【文例つき】ビジネス文書の基本!即実践できる書き方のポイント紹介

ビジネス文書の作成は、契約書や報告書など正式な情報を共有する社会人に必須の業務です。

しかし、これまで馴染みの薄かった方からすれば、何に留意して書くべきか分かりにくいかもしれません。

「報告書を提出してと言われたけど、どう書けばいいかわからない」
「上司からやり直しを命じられたけど、どうすればいいの?」
とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ビジネス文書を書くときに重要なのは「目的に合わせて分かりやすく伝える」ことです。ビジネス文書は、相手から承認や許諾を得たり、状況を記録報告したりといった異なる目的を果たすために作成されます。そのため、用件がスムーズに伝わる分かりやすい書き方を意識する必要があります。

そこで本記事では、失敗を防ぐために即実践できる書き方のポイントをご紹介します。

最低限押さえてほしい基本、よく起こるミスの対策、提出前のチェックリスト、そのまま真似できる文例集をまとめました。

今日からビジネス文書に悩むことなく、時間をかけずに書けるようになるために、ぜひご一読ください。


ビジネス文書の肝は「目的に合わせて分かりやすく伝える」

ビジネス文書を書くために、最初に理解すべきなのは「目的に合わせて分かりやすく伝える」ことです。

ビジネスシーンでの文書は、仕事を円滑にするためにさまざまな目的のもと作成されます。そして、目的の達成には、文書の受け取り手にスムーズに用件が伝わること(=分かりやすさ)が重要です。

用件ごとの目的を果たす

文書を作成するときには、目的の達成を意識する必要があります。

実はビジネス文書は、受け取り手や役割によって3つのタイプ「社内文書・社外文書・社交文書」に分けられており、作成される目的もそれぞれ異なります。

下の表では、目的や例を紹介し、押さえるべきポイントをまとめました。

ビジネス文書の目的を達成するためのポイント

受け取り手に分かりやすく伝える

どんな文書であっても、「受け取り手に分かりやすく伝えられるか」という点は変わらず重要です。

文書のやり取りはコミュニケーションであり、受け取って読む相手がいます。つまり、受け取り手にスムーズに用件が伝わる書き方を常に心がける必要があります。

相手に誤解なく伝えるために、「正確・明瞭・簡潔」の3点を意識することがおすすめです。

ビジネス文書をわかりやすく伝えるために正確・明瞭・簡潔が重要


ビジネス文書を失敗せずに書くための基本ポイント9選

失敗しないビジネス文書を書くには、基本ポイントを理解する必要があります。

そこで本章では、「目的に合わせて分かりやすく伝える」ためにも絶対に押さえてほしい9つのポイントを解説いたします。

1.結論を最初に明記する

ビジネス文書は結論ファーストが大切

文書の冒頭に結論を明記することは、ビジネス上のやり取りの基本です。

何を伝えたい文書なのかを最初に示すと、読み手が自分で要点を探す手間が省け、ストレスを与えません。また、結論を先に知ることで、その後に続く結論に至った内容を整理しながら読むことができ、読み手の理解度が向上します。

難しく感じるときは、文章構成の基礎であるPREP法(結論:P、理由:R、具体例:E、結論:P)を意識して、共有したい内容を整理することがおすすめです。

参考:プロ直伝の「わかりやすい文章」の書き方・おすすめテクニック9選│LISKUL

2.5W3Hを意識して曖昧な表現は避ける

ビジネス文書は5W3Hで情報を整理する

曖昧な表現を避け、正確な情報を伝えるために、5W3Hの整理方法はおすすめです。

5W3Hとは、伝えたいことを過不足なく伝えるために【What(課題)Why(動機)Who(対象者)When(日時)Where(場所)How(手段)How many(規模感)How much(予算)】の要素ごとに情報を整理するというフレームワークです。誤った認識や伝え忘れによる混乱を防ぐためにも、各要素ごとに整理して伝えることを意識しましょう。

定量的な情報を抜け漏れなく共有できているか、確認が大切です。

3.一文を短くする

伝えたいことを整理して、一文を短くするように意識しましょう。

ずらっと並んだ長文は読み手に圧迫感を与え、用件への理解を妨げる可能性があるため、避ける必要があります。

文字数は、基本40字までにまとめ、長くても60字までに収めることがおすすめです。

    短くするコツ

  • 一文に入れる要点はひとつだけに絞る
  • 読点(、)を打っているところで区切る
  • なくても意味が通じる言葉は省く
  • 過剰な敬語表現を避ける

4.所感は記載しない

ビジネス文書では信頼性を重要視するために、事実に所感を混ぜない

伝えるべき事実と、自分の感想とを混ぜて記載するのは避けます。

受け取った相手にとって知りたいこと(事実)とあなたの意見や感想(所感)が同じとは限りません。むしろ、理解すべき情報が分かりづらく見え、読み手に不快感を与える可能性もあります。

事実のみを伝える必要のある場では、所感を記載しないようにしましょう。

ただし、報告書など自分の意見を含める必要がある場合は、正確な情報共有のためにも段落を分けて区別したり、そもそも記載せずに直接相談したりといった別の方法をとりましょう。

5.段落分けや箇条書きを活用する

ビジネス文書は箇条書きで視覚的に情報を整理する
一目見てわかりやすくする工夫として、段落分けや箇条書きの積極的な活用がおすすめです。

ただ羅列するより情報が整理されて見えるため、要点が短時間で理解されやすく、誤解も生じにくくなります。不必要な単語や助詞をなるべく削り、少ない文字数で要点のみを簡潔に抜き出すようにしましょう。

6.1文書1用件を徹底する

ひとつの文書内に、複数の用件を含めることは避けましょう。

情報が混在していると、伝えなければならない重要点が埋もれ、読み手の理解を妨げてしまいます。

誤解を防ぐためにも、ひとつの文書はひとつの用件に絞って作成することをおすすめします。伝えたい用件が複数あっても、情報を整理し、別々の文書としてまとめるようにしましょう。

7.必要な情報を厳選してA4サイズ1枚に収める

ビジネス文書は1枚の用紙に収めることが基本です。

用件をA4サイズ1枚に収めると、全体像を一目で把握できるので、読み手の負担軽減につながります。

他サイズや複数枚で作成すると、情報の過不足によるストレスを与えかねませんし、印刷や持ち運びで不便が生じる可能性もあります。相手に用件を簡潔に伝えるためにも、だらだらと詳細を書き連ねずに必要な情報を厳選することは重要です。

共有しなければならない情報がどうしても入りきらなかった場合は、別紙として扱い、ページ番号を記載しましょう。

8.必ず共通要素を入れて作成する

ビジネス文書には、共通して含まれる要素があります。

この共通要素を押さえておけば、受け取り手の立場に拘らず、どこに何が書いてあるか分かりやすい構成で作成できます。

ビジネス文書には共通要素がある

9.タイプごとの構成の違いに注意する

社内・社外・社交の3タイプごとにも押さえておくべき要素があります。

前述した基本要素に加えて意識しましょう。

    社内文書

  • 書き出しにねぎらいの言葉は不要
  • 敬語表現は過剰に入れない

    社外文書

  • 前文は「頭語+時候の挨拶+感謝の挨拶」
  • 発信者は受信者と対等な立場の者を記載
  • 発信者とは別に担当者がいる場合には、担当者の情報を加えて記載

    社交文書

  • 前文は「頭語+時候の挨拶+安否+感謝の挨拶」
  • 「見舞状」「お悔やみ状」には時候の挨拶を書かない
  • 頭語に句読点は入れない

ビジネス文書を書くときによく起こる具体ミス5選

本章では、特に気を付けるべき「よく起こるミス」を例文とともに5つご紹介します。

ビジネス文書でのミスは、基本ポイントを押さえているだけでは防げない場合があります。注意していても起こってしまうミスには、誤字脱字などの日常生活でイメージしやすいもののほか、ビジネス上ならではの間違いも含まれます。

一緒に確認していきましょう。

1.敬称の使い分けが誤っている

敬称は、ビジネスシーンならではの表記なので間違えやすいポイントです。

一見難しそうに見えますが、実は「御中」「様」「各位」の3つだけおさえれば安心して使えるようになります。

それぞれの使い分け方をマスターするため、下の表をぜひ参考にしてください。

敬称の使い分けは3つだけ覚えておけば安心です

「○○様御中」のような用法は誤りなので、同時に使わないよう注意が必要です。

2.社名を誤って表記している

社外とのやり取りで失礼な間違いのひとつが、社名を誤って表記することです。

正式名称と異なる記載は、信頼関係にも影響を及ぼしかねません。

こうした社名に関するミスは、できるだけ手入力を避け、名刺や検索を通して正しい社名を確認することで簡単に防げます。

3.部署を略称で記載している

社内で共有する文書でも、略称や通称などで記載することはおすすめできません。

ビジネス文書では、社員間で共通している呼称があったとしても、正式名称を用います。もちろん、受け取り手の部署名を誤って表記することは失礼に当たるので、社名と同じく注意が必要です。

部署を記載するときは、誤字脱字なく正式名称を記載しているか確認しましょう。

4.名前の漢字を誤変換している

固有名詞の中でも、特に間違えてはならないものが「名前」です。

受け取り手の名前を誤って表記した場合、社名や部署名を間違えてしまったとき以上に印象を悪くする可能性があります。特に、誤変換しやすい同音かつ見た目が似ている漢字には注意が必要です。

ミスを防ぐために、名刺やメールといった相手の名前を確認できるものを参照し、なるべく手入力を避けて記載しましょう。

5.敬語を曖昧な理解で使っている

ビジネスの場において、敬意を伝えるための敬語は必要不可欠です。

細かいルールがあるので億劫かもしれませんが、敬語を正しい用法で使えていないと、ビジネスマンとして今ひとつの評価を受ける可能性があります。

下記の表では、書き言葉において間違いやすい敬語をまとめました。

書き言葉でよく間違えやすい敬語

敬語は文書上のやり取りに留まらず欠かせないものなので、話し言葉も含め、正しい敬語を習得することをおすすめします。


ビジネス文書を提出する前のチェックリスト

ビジネス文書を書き終えた提出前の段階では、必ずポイントごとに見直しをしましょう。

どんなに忙しくても、実際に自分で一通り読んで確認することがおすすめです。

とはいえ、注意点を漠然と覚えているだけだと、なにも修正できずに悩んでしまうと思います。

提出前にチェックすべきポイントを簡単にまとめたので、ここまでの振り返りもかねて、ぜひお手元に置いてご活用ください。


頻出6選!ビジネス文書のフォーマットまとめ

本章では、具体的にイメージいただけるように、よく使われる書類6つの具体的なフォーマットをご紹介します。

ここまでご紹介してきた「ビジネス文書を書くために押さえるべきポイント」が、実際にどのように用いられているのかぜひご参照ください。

今回紹介している文例は下記6つです。

  • 送付状
  • 案内状
  • お礼状
  • 報告書
  • 始末書
  • 社内周知書


まとめ

本記事では、ビジネス文書を書くために最低限押さえてほしい基本、よく起こるミスの注意点、提出前のチェックポイント、文例集をご紹介しました。

ビジネス文書の肝は、「目的に合わせて分かりやすく伝える」ことです。

受け取り手に「正確・明瞭・簡潔」に用件を伝えるためにも、文書の目的を理解し、その達成のために結論ファーストや5W3Hといった基本のポイントを意識して作成しましょう。

また、誤字脱字などのケアレスミスや敬称敬語の用法間違いは、基本ポイントを押さえているだけでは防げないので注意が必要です。提出前に確認を徹底することも有効なので、ぜひチェックリストをご活用ください。

ビジネス文書を書くときに、本記事で紹介した情報が一助となれば幸いです。

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