EASMとは?仕組み、他対策との違い、導入方法まで一挙解説

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EASM(外部アタックサーフェス管理)とは、企業の外部に公開されている資産を外部視点で監視し、潜在的な脅威や脆弱性を管理するための手法です。

EASMを活用することで、外部からの視点で脆弱性を特定し、攻撃のリスクを事前に軽減することが可能になります。また、従来のセキュリティ対策に加えて外部からの脅威に迅速に対応することで、企業全体のセキュリティ体制を強化する効果が期待できます。

ただし、EASMは内部の脅威に直接対応するものではないため、他のセキュリティ対策と併用し、包括的なリスク管理を行うことが重要です。

そこで本記事では、EASMの基本的な仕組みや他のセキュリティ対策との違い、導入方法、代表的なツールについて一挙に解説します。

外部からの脅威管理にお悩みの方は、ぜひご一読ください。


目次

EASM(外部アタックサーフェス管理)とは

EASM(External Attack Surface Management、外部アタックサーフェス管理)は、組織が外部からの視点でネットワーク全体の脆弱性やリスクを継続的に把握し、未然にサイバー攻撃を防ぐための管理手法です。

近年、デジタル資産が増加し続けるなか、従来の内部セキュリティ対策だけではカバーしきれない領域を補完するために、外部からの脅威を想定した管理が必要不可欠となっています。

EASMは、組織のインターネット上に公開されているすべての資産(Webサイト、クラウドサービス、サードパーティのAPIなど)を対象に、攻撃にさらされやすい領域(アタックサーフェス)を特定します。

これにより、外部攻撃者がアクセス可能な脆弱なポイントを事前に把握し、迅速な対策を講じることが可能となります。

一般的なセキュリティ対策が組織内のネットワーク防御に特化しているのに対し、EASMは「外部からの視点」を重視する点で異なります。これにより、内部ネットワーク外からのアタックサーフェスを包括的に管理し、ビジネスリスクの低減に寄与します。


EASMが注目される背景にある2つの要因

EASMが注目される背景には、サイバー攻撃の巧妙化と攻撃対象の拡大が挙げられます。

現代のビジネス環境では、企業のデジタル資産が増え続け、ネットワークが複雑化する中で、外部からの攻撃対象も増加しています。

従来の境界防御では全てのリスクに対応しきれず、EASMのような外部からの視点での脅威管理が求められるようになりました。

1.デジタル資産の増加とリスクの拡大

リモートワークの普及やクラウドサービスの利用増加に伴い、従来の社内ネットワークの範囲を超えたサイバーリスクが新たに生まれています。

社外のネットワークやサードパーティのサービスに依存する状況が増え、企業のセキュリティ対策だけでは十分に守りきれない領域が広がっています。

このような環境下で、外部から見たアタックサーフェスを常に可視化し、リスクを早期に発見するEASMが重要視されています。

2.高度化する攻撃手法への対応

近年では攻撃手法が高度化し、従来のセキュリティ対策の盲点を突いた攻撃が増えています。

フィッシングやサプライチェーン攻撃など、外部からアクセス可能なポイントを狙った攻撃が増加していることから、EASMを活用して自社の脆弱性を常に監視・管理することが求められています。


EASMの仕組みと主な機能5つ

EASM(外部アタックサーフェス管理)は、企業がインターネット上に持つすべての資産を外部から管理し、潜在的な脅威を早期に特定するための仕組みと機能を備えています。

EASMは、組織のセキュリティ対策を強化するために、継続的なリスクの把握と対応を可能にします。

1.インターネット上の資産の特定と可視化

EASMの基本機能として、まず企業のインターネット上の資産を特定し、外部からアクセス可能なすべてのポイントを可視化します。

これには、Webサイトやサーバー、クラウドサービス、外部システムとのAPI接続などが含まれます。

多くの組織では、無意識に公開してしまった資産や管理が不十分なリソースが存在するため、これらをリストアップして全体像を把握することがリスク管理の第一歩となります。

2.脆弱性の検出とリスク評価

特定された資産に対しては、脆弱性のスキャンとリスク評価が行われます。

EASMは、外部から見える設定ミスやパッチの未適用、アクセス制御の不備など、攻撃者が利用できる弱点を自動で検出します。さらに、リスクの優先順位を明確化し、どの脆弱性に対して先に対策を行うべきか判断しやすくします。

このようにして、外部の脅威から組織を守るための具体的な指針を提供します。

参考:脆弱性診断(セキュリティ診断)とは?必要性や費用などを徹底解説!│LISKUL
   脆弱性管理とは?基礎・管理手順・ガイドライン・ツールまで一挙解説│LISKUL

3.リアルタイムのアラートと通知

EASMは、リスクが増加する状況や異常が発見された際にリアルタイムでアラートを発信する機能も備えています。

これにより、攻撃の兆候があった際に素早く対策を講じることが可能となり、セキュリティインシデントを未然に防ぐサポートをします。

また、アラートに加えて定期的なレポート機能もあり、リスク状況の推移や改善点を可視化し、組織のセキュリティ状況の最適化に役立てることができます。

4.継続的なモニタリングと更新

EASMは一度のスキャンで終わるものではなく、企業のデジタル環境が日々変化することを前提に、継続的に監視を行います。

新しい資産の追加や既存システムの更新に伴い、リスクも刻々と変化するため、EASMは常に最新の状態を保つために定期的なスキャンと評価を実施します。

これにより、動的に変化する脅威に対応し、セキュリティ体制を強化できます。

5.重要なインシデント対応のサポート

EASMは、インシデントが発生した際の初動対応に役立つ情報も提供します。

どの資産がどのようなリスクにさらされているか、またそれに対する過去のアラートや対応履歴がわかるため、インシデント対応が迅速かつ的確に行えます。

これにより、被害の拡大を防ぐだけでなく、復旧のための対応もスムーズに進められます。

参考:インシデント発生前にすべき対策と発生後の対応フローまとめ│LISKUL


EASMと従来のセキュリティ対策との違い

EASM(外部アタックサーフェス管理)は、従来のセキュリティ対策と異なり、外部からの視点でリスクを管理する点に特徴があります。

一般的なセキュリティ対策が内部のシステム防御に重点を置く一方で、EASMは外部から攻撃者が狙う可能性のあるポイントを可視化し、対応を強化します。

項目EASM従来のセキュリティ対策
視点外部視点:攻撃者目線でリスクを把握内部視点:ネットワーク内部を防御
監視の継続性継続的かつリアルタイムで監視定期的な監査やインシデント発生時の対応
リスク可視化インターネット上の資産や脆弱なポイントを可視化内部システムのリスク管理が中心
変化への対応力動的な環境変化に対応し、資産や脆弱性の更新を継続変更時の再設定や追加対応が必要
脆弱性の対応速度リアルタイムアラートで早期発見・対応発見から対応までに時間がかかる場合も
代表的な対策手法外部資産のスキャン、脆弱性の特定、リスク評価ファイアウォール、IDS/IPSなどの境界防御

防御の視点が異なる

従来のセキュリティ対策は、主に内部ネットワークの防御に焦点を当てています。ファイアウォールやIDS/IPS(侵入検知・防御システム)などは、ネットワーク内部での不正アクセスを防ぎ、境界を守るためのツールです。

一方で、EASMは外部からの視点で攻撃の入り口を検出し、組織のデジタル資産全体を監視します。この外部視点により、企業が気づいていないインターネット上の公開資産や脆弱なポイントを見つけ出し、リスク管理を強化します。

リアルタイム監視の徹底

従来のセキュリティ対策では、定期的な監査やインシデント発生時の対応が中心であることが多く、潜在的な脆弱性の発見が後手に回ることがあります。しかし、EASMは継続的に外部からのアクセス状況をモニタリングし、リアルタイムで脅威を検知します。

これにより、攻撃者が狙いやすいポイントの変化を迅速に把握し、セキュリティインシデントが発生する前に対応できる体制を整えます。

サイバーリスクの可視化と迅速な対策

従来のセキュリティ対策では、内部のシステム状況を守ることに重点が置かれているため、外部から見たリスクが十分に可視化されていない場合があります。

EASMはインターネット上で外部に公開されている資産の状態やリスクレベルを明示し、どの領域が最も脆弱かを示すことで、優先順位を付けた対策が可能です。

こうしたリアルタイムでのリスク可視化と対策の迅速化は、従来のセキュリティ対策にはないEASMの強みといえます。

動的な環境変化への対応

EASMは、企業のデジタル環境が日々変化する現代に適したセキュリティ対策です。

リモートワークの普及やクラウドサービスの導入により、企業のシステム構成や外部との接続が動的に変わる中、EASMはこの変化に対応して資産の状況や脆弱性を常に最新の状態で把握します。

これにより、変化する攻撃対象を常に見逃さず、リスクを最小限に抑えることが可能です。


EASMとASMの違い

EASM(外部アタックサーフェス管理)とASM(アタックサーフェス管理)はどちらも組織の攻撃対象領域(アタックサーフェス)を管理する手法ですが、その主な違いは「管理範囲の視点」と「対応の深さ」にあります。

EASMは、特に外部からのリスクを可視化し、外部からの攻撃に対する防御を強化する一方、ASMは組織全体の攻撃対象領域を網羅的に管理し、内部リスクも含めた包括的な視点でリスクを管理します。

項目EASMASM
視点外部視点:インターネット上の公開資産を中心にリスク管理内部を含む全体視点:内部ネットワークも含めた包括的管理
管理範囲外部資産のみ内部と外部の両方の資産
監視の継続性継続的なリアルタイム監視定期的なリスク評価、長期的な戦略立案に注力
目的外部からの攻撃に対する迅速な対策組織全体の攻撃対象領域を一括管理・評価
適用シーン外部からのアクセスが多い企業、公開資産の多い企業に適用内部ネットワークが複雑な組織、サプライチェーン管理などに適用
対応の深さ外部からのアクセス可能なリスクに特化外部・内部両面からのリスクを柔軟に管理

外部視点 vs. 内部を含む全体管理

EASMは外部攻撃に特化した対策として有効であり、ASMは内部・外部双方のリスクを包括的に管理するための手法です。

EASMは「外部からの視点」を重視しており、インターネット上に公開された資産やサービスを対象に、外部からアクセス可能なポイントを監視します。

一方で、ASMは内部ネットワークも含む「全体的な視点」を持ち、内部システムやデバイスも含めた組織全体の攻撃対象領域をカバーします。

継続的な外部監視 vs. 包括的なリスク評価

EASMが外部リスクへの即応性を重視するのに対し、ASMは内部を含めた広範なリスク評価に基づいて長期的なセキュリティ戦略を構築することを目的としています。

EASMは外部アタックサーフェスを継続的にモニタリングし、外部からの脅威に対してリアルタイムで対応できる体制を整えています。

対して、ASMは組織全体の攻撃対象領域を網羅的に評価し、包括的なリスクを把握することに重点を置きます。

特化した外部セキュリティ対策のEASM vs. 柔軟なリスク管理のASM

外部からの攻撃に対する直接的な防御にはEASMが有効ですが、組織全体のリスクを一括管理するためにはASMのアプローチが適しています。

EASMは、特にインターネット上の外部資産におけるリスクを迅速に発見し、外部からの攻撃経路を封じることにフォーカスしています。

ASMは、外部のリスクだけでなく内部の潜在的な脆弱性や接続デバイス、システム変更に伴うリスクもカバーし、柔軟にリスク管理を行います。

具体的な利用シーンの違い

EASMは、外部からの攻撃にさらされやすい企業、特に広範なデジタル資産をインターネット上で公開している企業にとって有効な手段です。

一方、ASMは内部ネットワークの保護や、サプライチェーン全体のセキュリティ管理が求められる業種に適しています。

たとえば、多数のサプライヤーとデータを共有する製造業や、内部ネットワークが複雑な金融機関では、ASMを導入して全体的な攻撃サーフェスを管理することが効果的です。


EASMのメリット5つ

EASM(外部アタックサーフェス管理)の最大のメリットは、外部からの脅威に対する事前の防御を強化し、企業のリスクを最小限に抑えることができる点です。外部からアクセス可能な脆弱なポイントを可視化し、迅速に対応することで、攻撃を受けるリスクを大幅に低減します。

1.外部脅威の早期発見と迅速な対応

EASMは、外部からの視点でインターネット上の資産を監視し、潜在的な脆弱性を早期に発見することができます。これにより、攻撃者に狙われやすい部分を事前に把握し、素早く対策を講じることが可能です。

従来の内部防御中心の対策と異なり、外部からのリスクをリアルタイムで管理できるため、企業にとって最も危険な攻撃経路への即応体制を強化できます。

2.外部資産の可視化と管理の効率化

EASMは、組織が管理しているインターネット上の資産を自動で検出し、リスト化する機能を備えています。これにより、企業が把握しきれていない外部の公開資産を洗い出し、管理を一元化できるため、管理の効率が向上します。

また、外部資産の状況を常に把握しておくことで、潜在的な脆弱性の特定が容易になり、リスクに対して迅速な対応が可能となります。

3.リスク評価と優先順位付けの明確化

EASMは、発見されたリスクに優先順位をつけるための評価機能も提供します。これにより、組織にとって最も重大なリスクから順に対応でき、リソースを効率的に配分することが可能です。

限られたセキュリティ資源を最も効果的に活用するため、リスクの大きさに応じた適切な対応がとりやすくなります。

4.継続的な監視によるセキュリティの強化

EASMは、企業の外部資産を継続的に監視し、新たな脆弱性や変化をリアルタイムで反映するため、常に最新の状態でリスク管理を行うことができます。

これにより、外部環境の変化に合わせた動的なセキュリティ対策が実現でき、リスクの低減とセキュリティ強化に貢献します。

5.コンプライアンス遵守のサポート

EASMは、企業の外部資産管理やリスク対応を適切に行うことで、セキュリティ関連のコンプライアンス要件に準拠することを支援します。

外部からのアクセスリスクを管理することで、データ保護規制や業界標準の遵守を助け、コンプライアンス違反による罰則や信用損失を防ぎます。

参考:コンプライアンス対策で実施すべき12の項目を優先順位順に解説│LISKUL


EASMを導入する方法5ステップ

次に、EASMを導入する一般的な流れを5つのステップに分けて説明します。

1.現状のリスクと課題の把握

EASMの導入に先立ち、まず自社の外部資産や現在のセキュリティ対策の状態を把握します。

特に、インターネット上で公開されている資産やサービス、クラウド環境の接続状況を確認し、どの範囲にリスクが潜んでいるかを明らかにします。この段階でのリスクの明確化が、EASM導入の効果を最大化するための基盤となります。

たとえば、企業が運営する複数のWebサイトや外部に公開しているクラウドストレージ、サードパーティのAPIなどが、公開状態のままで管理が不十分になっていないかを確認します。

この段階で、外部に無意識に公開されているサーバーや、アクセス制御が設定されていないクラウド環境が見つかることもあり、これらを発見して管理することがEASM導入の重要なステップとなります。

2.適切なEASMツールの選定

EASMツールを選ぶ際は、企業のニーズに応じた機能と既存のセキュリティシステムとの統合性を重視することが重要です。

たとえば、リアルタイムでの脆弱性検出やリスク評価が求められる場合は、それに特化したツールを選びましょう。

一方、経営陣向けの報告が必要であれば、レポート機能が充実したツールが適しています。また、IDSやファイアウォールなどの既存システムと連携できるかを確認し、導入後の運用が円滑に進むツールを選定してください。

具体的な候補がある場合は、試験導入を行い、運用環境での有効性を確認することが大切です。

3.EASMツールの設定と初期スキャンの実施

選定したツールを導入したら、初期設定・初期スキャンを実施します。初期スキャンによって、インターネット上の資産や脆弱性が自動的に検出され、リスクが可視化されます。

この段階で、外部からのリスク状況が具体的に把握できるため、優先度に応じた対応計画を立てるのに役立ちます。

たとえば、スキャンを行った結果、古いバージョンのWebサーバーが発見され、更新されていないことで脆弱性があることが判明するかもしれません。これにより、EASMがどの資産に最も高いリスクがあるかを具体的に提示し、優先順位をつけた対策を始めるための土台が築けます。

4.継続的なモニタリング体制の確立

EASMは継続的な監視が鍵です。ツールの設定後も定期的にスキャンを実施し、外部資産の状況が最新の状態であることを確認します。

さらに、リアルタイムでのアラート通知設定を活用し、異常が発生した場合に即座に対応できるよう体制を整備しておくと、リスク低減に大きく貢献します。

たとえば、新たにリリースしたWebアプリケーションが追加された場合、EASMの監視対象にそのアプリを含め、外部からのアクセス状況を常に把握できるようにします。この体制を整えることで、環境変化にも柔軟に対応できます。

5.導入後の評価と改善

EASMの導入後、定期的にモニタリングの成果やリスクの改善状況を評価します。レポート機能を活用し、リスクの推移や対応の成果を把握し、必要に応じて改善策を導入します。

また、リスクの状況や発見された脆弱性の種類に応じて、導入後の運用方法を見直し、より効果的なEASM体制を築いていきます。

たとえば、EASMツールのレポートを確認し、以前よりもリスクが減少していることが確認できれば、導入効果を具体的に評価できます。また、特定のリスクが依然として高い場合には、追加の対策や他ツールとの連携を検討するなど、より効果的なセキュリティ体制を目指して改善を重ねていきます。


EASMツールの主な機能

EASM(外部アタックサーフェス管理)のツールは、外部からの脅威を特定し、組織のリスク管理を強化するために不可欠です。

これらのツールは、外部に公開された資産のスキャンや、リアルタイムの脅威検出、リスク評価を提供し、企業のセキュリティ体制を外部視点で強化します。

1.外部資産の自動検出と可視化

EASMツールはインターネット上に公開されている資産を自動的に検出し、企業が把握していないリソースも含めて一覧化します。これにより、管理が及んでいない潜在的なリスクを明らかにし、リスク管理の土台を築きます。

2.リアルタイム脅威検出とアラート通知

脅威が発生した際、ツールはリアルタイムでアラートを発信します。異常なアクセスや不審な振る舞いが検出された場合には、即座に通知が行われるため、迅速な対応が可能です。これにより、リスクが増大する前に対策を打つことができます。

3.リスク評価と優先順位付け

ツールは発見された脆弱性やリスクに基づき、リスクの重大度を評価し、優先順位を設定します。これにより、リソースを効率的に配分し、最も重大なリスクに重点的に対応することが可能です。

4.レポート機能

EASMツールには、リスク状況の推移や対策の成果を可視化するレポート機能が備わっています。これにより、セキュリティ担当者や経営層が状況を把握し、必要な施策の調整がしやすくなります。


代表的なEASMツール3種

本章では代表的なEASMツールを3つご紹介します。

RiskIQ

RiskIQは、企業のデジタル資産を自動的に検出し、外部からの脅威に対してリアルタイムで監視を行うツールです。

Webアプリケーションやクラウドインフラストラクチャなど、さまざまな資産の可視化をサポートし、組織が知らない脆弱なポイントの発見に役立ちます。また、包括的なリスク評価により、重要度に応じた優先順位を設定できるのも特徴です。

参考:RiskIQ

Cortex Xpanse

Cortex Xpanseは、Palo Alto Networksが提供するEASMツールで、企業のインターネット上の全資産を自動的に追跡し、セキュリティリスクの可視化と管理をサポートします。

リスクスコアリング機能もあり、脅威の重大度に基づいた対応が可能です。また、既存のセキュリティインフラと連携しやすく、組織全体のセキュリティ体制を強化します。

参考:Cortex Xpanse

CyCognito

CyCognitoは、外部の脅威を迅速に発見するためのEASMツールで、クラウド資産や第三者サービスまで含む広範な監視が可能です。

リスクを可視化するだけでなく、アクション可能なインサイトを提供するため、企業が最も重要なリスクにすぐに対策を取れる点が特徴です。攻撃者の視点からの分析を行い、最も脆弱な箇所にフォーカスした対応ができます。

参考:CyCognito


EASMに関するよくある誤解4つ

最後に、EASMに関するよくある誤解を4つ紹介します。

誤解1:EASMは内部セキュリティを強化するツールである

EASMは外部からのリスクを管理することに特化しており、内部セキュリティを直接強化するためのものではありません。多くの企業がEASMを導入する際、内部ネットワークの保護にも効果があると期待することがありますが、EASMの役割は「外部視点での脅威管理」です。内部セキュリティにはファイアウォールやエンドポイントセキュリティといった対策を補完的に利用する必要があります。

誤解2:EASMはすべての脆弱性を即時に解決する

EASMは外部からの脅威や脆弱性を発見する役割を持ちますが、発見した脆弱性を自動的に修復するわけではありません。EASMはリスクを可視化し、どの部分に脆弱性が存在するかを提示するものであり、実際の修復や対策は別途行う必要があります。EASMの活用により優先度が高いリスクを発見できるため、限られたリソースを効率的に使って対応が行えますが、すべてのリスク解消には別途の取り組みが求められます。

誤解3:EASMを導入すれば他のセキュリティ対策は不要

EASMは、外部からの攻撃経路を可視化し管理する重要なツールですが、全体のセキュリティ対策をカバーするものではありません。たとえば、フィッシング攻撃や内部の不正アクセスなど、内部視点のセキュリティには別の対策が必要です。EASMは外部からのリスク管理に強みを持つため、従来のセキュリティ対策と併用することで、セキュリティ体制をより強化できます。

誤解4:EASMは設定すれば自動で運用できる

EASMツールは自動化された監視やアラート機能を持っていますが、適切な運用には継続的な設定と監視が欠かせません。たとえば、定期的な設定更新やリスク評価の確認、レポートのレビューが必要です。また、新たな脅威に対応するためにはツールの設定を調整することも求められるため、EASMの効果を最大限に発揮するには人の関与が不可欠です。


まとめ

本記事では、EASM(外部アタックサーフェス管理)の概要、注目される背景、仕組みと機能、他のセキュリティ対策との違いやメリット、具体的な導入方法、代表的なツールについて解説しました。

EASMとは、外部からの視点で企業のデジタル資産を監視し、攻撃対象となり得る脆弱性を可視化してリスクを管理する手法です。特に、従来の内部防御に加え、外部からの脅威への対応を強化するための重要な対策として注目されています。

EASMは、外部資産の継続的な監視やリスク評価、リアルタイムでの脅威検出によって、企業が気づかずに公開している脆弱なポイントを発見し、攻撃リスクを最小限に抑えます。また、EASMと従来のセキュリティ対策、あるいはASM(アタックサーフェス管理)との違いを理解することで、EASMの役割を正しく把握し、包括的なセキュリティ体制を構築することが可能になります。

EASMの導入にあたっては、まず現状のリスクを把握し、適切なツールを選定した上で継続的なモニタリング体制を確立することが重要です。RiskIQやCortex Xpanseなどのツールを活用することで、外部からのリスクを包括的に管理し、組織のセキュリティを強化できます。

EASMを効果的に活用することで、企業は外部からの脅威に対して迅速に対応し、攻撃のリスクを抑えながら継続的なセキュリティ強化を実現できます。

企業のセキュリティ強化にお悩みの方は、検討してみてはいかがでしょうか。

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