「自社商品やサービスの利用率が目標に到達していない、CS調査で理由を具体的に知りたい!」
「CS調査をやりたいけど、具体的にビジネスに使うにはどうしたらよいのか?」
こうした悩みから、CS調査を行うにはどうすればよいか悩んでいませんか。
CS調査は実施目的を明確にし、顧客が具体的に回答できるようアンケートを設計していくことが重要です。
設計や計画段階をあいまいにすると、結果も漠然としたものになり、競合調査や商品の不満も分からない、CS調査をすること自体が目的になるなど、失敗につながりかねません。
この記事では、CS調査を成功させるために、まずは押さえておくべき考え方や、アンケート作成とビジネスに応用するためのコツ、失敗につながりやすい注意点を解説します。
読み進めていくことで、CS調査を成功させるポイントを理解することができるでしょう。
目次
CS調査(顧客満足度調査)とは、顧客のニーズを確認しサービスの質を向上させるために行う調査
CS調査のCSは「Customer Satisfaction」の略称で、商品・サービスの品質を向上させるため、購入者を対象に行う調査のことを指します。
実際に購入した方に商品・サービスの期待度や満足度を調査し、それで得た情報を今後の商品開発やサービス改善に活かすという流れが基本です。
CS調査は、現状の自社商品・サービスの客観的な評価や、競合他社との違い、LTVが高い顧客の特徴など、マーケティングにおいて必要な情報を得ることができます。
参考:顧客満足度調査とは?実施のメリットと、調査を成功させるための6つのコツ
CS調査を実施する前におさえておくべき考え方
CS調査で調査される顧客満足度とは、顧客が期待した以上の価値が企業からもたらされているか、という点を数値化したものを指します。
期待した以上の価値があると顧客に判断してもらえるようになれば、売り上げ増加やリピート率向上も目指せるでしょう。
CS調査を成果につなげるには、企画・検討段階からの調査全体の設計が重要です。
ここでは、CS調査を成功につなげるためにも、おさえておきたい考え方を解説します。
- CS調査の目的を明確にする
- CS調査は継続的に行い、効果を測定し続ける
- CS調査は状況に応じた適切な指標を用いる
- 顧客の期待度とサービスの満足度のギャップ計測する
- 顧客だけでなく従業員にも満足度調査の協力を仰ぐ
CS調査の目的を明確にする
誰に対して実施したいのか、なぜCS調査を行うのか、結果の活用方法まで含め、事前に調査目的を整理して明確にしておくことが大切です。
目的が整理されていないと、CS調査を行う、ということ自体が目的となってしまい、次の成果や改善策へつなげられません。
調査目的は、大きく分けると次のような内容に分かれます。
- 企業そのものに対する、全体的なCSを把握する
- 特定のサービスや商品に関するCS調査で具体的な課題を把握する
- これまでの施策に対する仮説を立てて成果を把握する
たとえば、新商品に対する既存顧客のCS調査を行い、新規顧客の獲得につなげる施策のヒントを探るという目標を立てるというものです。
結果の活用まで含めて決めておくことで、CS調査を「やっただけ」にせずに済みます。
目的や目標が決まれば誰に、いつ、どのように行うべきかは明確になります。
また、アンケートの結果をどの部署が、どのような施策に活用できるのか、といった観点から、CS調査の具体的な計画を検討できます。
CS調査は継続的に行い、効果を測定し続ける
1回だけでCS調査を終わりにするのではなく、定期的に調査を実施する必要があります。
CS調査の結果を活用したアクションにより、顧客体験の改善で満足度に変化があったのか、結果を時系列で分析できるようになるからです。
時系列で分析できるCS調査を行うには、段階を踏んで実施していく必要があります。
- 現在の顧客の満足・不満を調査する
- 期待されていることを調査する
- 改善を行う(新商品やサービスの改善など)
- あらためて、顧客の満足・不満を調査する
このように、段階を踏んで調査を継続的に行うことで、改善策が成果を上げているのか分かります。
CS調査を行う際は、継続的に実施し、効果を測定し続けられるようにやり方などを検討することも大切です。
CS調査は状況に応じた適切な指標を用いる
結果を継続して分析するためにも、状況に応じた指標の選択が重要です。調査を行う前に、どの指標で評価を行うか、決めておきましょう。
代表的な指標は以下の3つです。
- 顧客のロイヤルティを測るならNPS
- 商品やサービスの満足度を客観的に計測するならCSI
- 日本国内で商品やサービスの満足度を客観的に計測するならJCSI
では、それぞれの特徴を解説します。
顧客のロイヤルティを測るならNPS
NPSとは、顧客に対し「この商品・サービスを、どの程度他人に勧めますか?」という質問を行うことで計測し、顧客ロイヤルティの高い顧客がどれくらいいるのかを知るための指標です。
満足度が高いだけでは、実際のリピート率向上につながるとは限りません。1回購入しただけで「満足」という可能性もあるからです。NPSは顧客ロイヤルティの計測を行うことで、どのような顧客体験が提供できているかまで調べられます。
顧客ロイヤルティとは、企業に対し顧客がどのくらい信頼度を持っているのか、商品やサービスに愛着を持っているのかを示します。
ロイヤルティの高い顧客が多ければ多いほど、リピーターや肯定的な意見で他の人に勧めてくれる顧客が多くなり、企業の業績を高めることにつながります。
NPSを計測する際は、設問で商品やサービスに対する推奨度を、0~10点で顧客に採点を依頼します。
0~6点の顧客は「批判者」、7・8点なら「中立者」、9・10点なら「推奨者」です。
そして推奨者の割合から、批判者の割合を差し引くことで求めます。
商品やサービスの満足度を客観的に計測するならCSI
CSIは、アメリカ・ミシガン大学が調査主体となって実施している、CS調査の指標です。
商品やサービスの満足度を、客観的に数値化することができます。
実際の調査では、以下のお互いに関連しあった項目を調査することで、平均数値を割り出します。
項目 | 内容 |
---|---|
顧客期待値 | 企業やブランドに対する顧客の期待 |
知覚品質 | 全体的な品質として顧客が感じている者 |
知覚値 | コストパフォーマンス |
顧客不満度 | 満足したのか、不満があるのかを調査 |
顧客忠実度 | 将来もう一度使うかどうか |
CSIの特徴は、世界30か国以上で採用されている国際的な数値であることです。海外の拠点を持つ企業にとっては、他国の競合他社との比較にも活用できるでしょう。
日本国内で商品やサービスの満足度を客観的に計測するならJCSI
JCSIは、サービス産業生産協議会が調査主体となって計測しています。
日本国内で活用しやすいように項目が設定されており、主にサービス産業のCS調査に用いられる指標です。
実際の調査では、次の6項目に関する質問からスコアを出し、100点満点で指数化することで、業種を超えた満足度の比較を可能としています。
項目 | 評価内容 |
---|---|
顧客期待 | 利用前に感じた期待・予感 |
知覚品質 | 実際に利用したことで感じた商品に対する感覚やニーズへの合致 |
知覚価値 | 支払った金額に対する満足度 |
顧客満足 | 利用によって得られた満足度 |
推奨意向 | 他の人にも商品を勧める度合い |
ロイヤルティ | 関連して商品を購入したり、頻繁に利用したりしたいか |
CSIとの違いは、日本国内向けに開発されている、という点です。
国内向けの製品を扱う中小企業も、同業他社との比較や自社の満足度調査のKPIとして活用しやすい指標といえます。
顧客の期待度とサービスの満足度のギャップ計測する
CS調査から分かるサービスや商品の満足度と、クレーム件数やコンバージョン率を用いて、顧客の満足度の高低差を確認しましょう。
目に見えてこない、期待と現状のギャップを把握するためです。
顧客満足度が高くなる理由は、期待と結果のギャップが埋まることにあります。
たとえば、顧客が「この商品は美味しいらしい」と聞いて購入した結果「確かに美味しかった!」という体験をしたとします。
すると、商品に対する期待値を結果が上回ったため、満足度が高まるのです。
顧客期待度を調べる方法としては、CS調査以外にもクレーム件数やコンバージョン率が活用できます。
顧客だけでなく従業員にも満足度調査の協力を仰ぐ
従業員にもCS調査に協力してもらうことで、声なき声、クレームとして投稿されない意見を発見することにつながります。
実際、不満を抱いた顧客の全体において、実際にクレームを出す割合は全体の5%ほど、残りの95%は意見を出さないとされます。
たとえば、顧客が商品に対する不満が多く出た時期や、従業員が顧客に変化を感じた時期が分かれば、CS調査の結果の分析にも役立ちます。
現場従業員が実際に目にする顧客の表情や声、様子、商品の選び方といった行動を聞き取ることも大切です。
CS調査を行う際の流れ
CS調査は、以下の流れに沿って行うことが基本です。
- 調査を行う目的の明確化
- ターゲット(調査対象者)の選定
- アンケートの手法を具体的に検討
- 調査のスケジュール策定
- 仮説を立ててアンケートを作成
- アンケート実施・回収
- 集計
- 分析
それぞれの具体的な方法については、以下の記事を参考にしてください。
参考:顧客満足度調査とは?実施のメリットと、調査を成功させるための6つのコツ
CS調査に利用するアンケート作成のコツ
アンケート作成のコツは、次の5つです。
- 回答率を上げるアンケート作成を意識する
- 設問ごとに目的を明確化することで回答の質を上げる
- 設問の時系列を整えることで回答しやすいアンケートを作成できる
- 設問内容に適した回答形式を選ぶ
- アンケート作成はテンプレートや専用ツールを使って効率化を図る
アンケート作成は、CS調査の結果を左右する重要なものです。
たとえ多くの顧客にアンケートを実施したとしても、実際に回答してくれる顧客が少なければ、結果として分析対象となる意見も集まりません。
それでは、1つずつ見ていきましょう。
回答率を上げるアンケート作成を意識する
答えてもらいやすいアンケートのポイントとして、次の内容が挙げられます。
- 設問数は少なめにした方が効果的
- 最初に誰に、何のために、どのような企業が尋ねているか依頼文を入れる
- 個人情報保護に関する情報を入れる
- アンケートへ回答すると何分かかるのか入れる
- 答えやすい文章にして悩む時間を減らす
- インセンティブ(クーポンなど)を設定する
ほかにも、アンケート作成において回答率を上げる方法はさまざまです。より詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
参考:顧客満足度調査とは?実施のメリットと、調査を成功させるための6つのコツ
設問ごとに目的を明確化することで回答の質を上げる
設問ごとに、なぜその問いの答えを知りたいのか、目的を明確化することで回答の質を上げましょう。
目的を明確にすれば、設問に回答する顧客の負担も減り、正確な答えを得やすくなります。
また、設問の目的が明確になっていないと、CS調査自体の目的から内容がかけ離れる恐れがあります。
関係のない回答が増えるとデータの質が悪くなり、実際の分析や集計に影響を与える恐れもあります。
設問を設定する際は「この目的を達成するために、本当に必要な設問なのか?」を検討していきましょう。
設問の時系列を整えることで回答しやすいアンケートを作成できる
顧客が迷うことなく回答できるように、設問は時系列にそって並べていきましょう。
具体的には、過去から現在、現在から未来という流れです。
過去に関する設問は「忘れてしまった」「覚えていない」という印象を抱く顧客も多くいます。
そのため「はい」か「いいえ」のどちらかを選ぶだけで、すぐに答えられるような設問がおすすめです。
たとえば、既存サービスに関する設問を設定するなら、次のように時系列に沿って並べていきます。
- このサービスをこれまでに利用したことはありますか
- 現在もサービスを利用していますか
- 将来的にも、このサービスを利用したいですか
アンケートが完成したら、スムーズに顧客が回答できそうか、設問の並び順にも気を配りましょう。
設問内容に適した回答形式を選ぶ
回答形式とは、設問に対し、どのように回答を選ぶのかを示すものです。
顧客が答えやすい設問にするだけでなく、設問目的に合わせた回答形式を選ぶことも重要となります。
代表的な回答形式を、表にまとめました。
形式 | 概要 |
---|---|
単一回答/単一選択 | 質問に対し回答を選択肢から1つだけ選んでもらう、回答しやすく分析にも使いやすい |
複数回答/複数選択 | 当てはまるものを選択肢から全て選んでもらう、あてはまるものはない、という選択肢もいれる |
制御マルチ | あてはまるものを選択肢から、数を限定して選んでもらう |
順位法 | 重要な程度によって順位をつけてもらう |
数値配分法 | 各項目に持ち点を配分してもらうことで、項目間の相対評価を得る |
マトリクス | 同じカテゴリの設問をまとめ、1つの表にして問いかける |
自由記述 | 選択肢を提示せずに自由に記述してもらう |
参考:アンケートの作成方法には何がある?作成の流れやポイントのまとめ | ITコラムdeパイプドビッツ|パイプドビッツ公式HP (pi-pe.co.jp)
顧客にとって回答しやすく、かつ分析にも利用しやすいのは単一選択です。
どれか1つを選べばよいため設問に答えやすく、集計する際も便利です。
回答自体で顧客を振り分け、別の設問へ繋げることもできます。
たとえば単一選択で「商品を過去1年に使ったことはありますか?」と聞いたうえで、「使ったことがある、と回答した方にお聞きします。その理由は何ですか?」とつなげられます。
理由を複数回答にした場合も、その中に自由記述を含めるのも有効です。
アンケート作成はテンプレートや専用ツールを使って効率化を図る
効率よく始められるように、テンプレートや専用ツールを活用して、アンケート作成を効率化させましょう。
テンプレートは無料で配布されているものもあるため、アンケート作成の参考になります。
また、簡単に利用できるWebアンケート作成ツールなら、HTMLなどコード知識がなくとも、顧客が回答しやすいアンケート作成を行えます。
今後も継続してCS調査を自社内で実施するのであれば、ツールの導入は集計・管理作業にも活用できるためおすすめです。
ただし、無料ツールの中には、有料ツールに比べて機能制限されているものもあります。
ツールを導入する際は、事前に「必要サンプル数」や「アンケートを依頼するターゲットの年齢層」、「条件分岐など細かいアンケート設定ができるか」など、サービス選択にかかわる項目を調査しておきましょう。
CS調査の結果をビジネスに応用するコツ
せっかく実施したCS調査を「調査しただけ」で終わらせないように、ビジネスに応用する3つのコツを解説します。
- データを視覚的に理解できるようグラフを作成するなどしてわかりやすくする
- CS調査の結果を多角的な視点で分析する
- 顧客情報とアンケート結果を紐つける
それぞれ見ていきましょう。
データを視覚的に理解できるようグラフを作成するなどしてわかりやすくする
CS調査後は、誰が見ても分かるように、集計したアンケートをグラフや表で誰が見てもわかりやすいレポートを作成しましょう。
顧客満足度に深くかかわる顧客体験の改善には、会社全体で改善に取り組む地道な作業の継続が必要となります。どこか1つの部署だけが理解していればよい、というわけにはいかないのです。
たとえば、役員会と従業員、社外では、CS調査に対する受け止め方も読み取り方も異なります。
また、分かりやすくするために、グラフを活用することもポイントです。
たとえばアンケート結果で「自社の商品に対する満足度」と「商品を選ぶ際に重視すること」の2つから調べた場合、内容を散布図にすることで、顧客にとって重要度が高いのに満足度が低い改善点を、一目で理解できるようになります。
CS調査後に結果をビジネスに繋げるなら、データを視覚的に理解できるようにレポートを作成することを心がけましょう。
CS調査の結果を多角的な視点で分析する
データの集計を行ったら、結果を多角的な視点で分析します。分析手法によって得られる答えや読み取れる内容も変わってくるため、課題の答えを正確に得るためにも重要です。
CS調査に生かせる分析手法には、次の内容が挙げられます。
分析手法 | 概要 | 対応する課題 |
---|---|---|
重回帰分析 | ある項目をいくつかの調査内容から予測する | 商品購入のきっかけにもっとも影響を与える因子から購買行動を予測 |
クラスター分析 | ブランドや商品の類似性をグループ化する | ブランドのポジショニング確認 |
因子分析 | 数値の変化に関係する因子を見つけ出す | 分かっている満足度や反応率がなぜそうなのか因子を分析する |
ロジステック回帰分析 | ある事象をもとに発生率を予測する | 見込み顧客を発見する |
決定木 | 1つの原因から結果を何通りも予測する | 満足度の高い購入者の属性 |
構造方式モデリング | どの要素がどの要素へ影響を与えるのか評価し推定する | 改善すべき施策の要素を可視化する |
ここで解説したのは、分析手法の一部です。一部の評価には、統計学の知識も求められます。
データを深掘りしていきたい方、参考事例も含めて、より詳しく知りたい方は、以下のマーケティングに役立つ分析に関する記事を参考にしてください。
参考:蓄積した情報を売上につなげる「データ分析」の代表的な手法10選
顧客情報とアンケート結果を紐つける
改善に繋がる施策を立てやすくなるように、顧客情報とアンケート結果の紐づけを行いましょう。
顧客情報は、個別情報が分かるほど詳細にする必要はありません。年齢や性別が分かれば、改善にもつなげやすくなります。
具体的には、まずCS調査の質問で次の点を把握します。
- だれが
- どの商品・サービスの
- どのような部分に
- どれくらい満足しているのか
このデータを、既存の顧客情報と結びつけることで、どの部署で誰が何をすべきか、具体的に理解できるようになります。
あらかじめ、顧客データと結びつけられるように、無記名ではあっても性別と年齢は聞く、顧客IDなどをキーにする、といった対応を行いましょう。
CS調査を失敗させる、ありがちな3つの落とし穴
ここまでは、CS調査を成功に導くためのコツや考え方を解説してきました。反対に失敗に導いてしまう注意点には、次の3点が挙げられます。
- 仮説に合わせた調査設計でないと回答の質が低くなる
- CS調査を単発で行うとアクションの検証ができない
- 適切な指標を選らばないと改善できない
仮説に合わせた調査設計でないと回答の質が低くなる
CS調査のポイントとして、仮説に基づき満足度を調べたうえで、どの部分に問題があるのか調査できる設問にしないと、回答の質が低くなります。
満足度は分かっても、その理由が分からないため、結果として得られたデータがビジネスには活用しづらくなってしまうからです。
たとえば「商品Aの販売状況が想定よりも良くない」という状況があったとします。その場合、「商品Aに満足していますか?」という質問だけでは、では何が理由で想定よりも販売状況が悪いのかわかりません。
回答してもらえたとしても、データとして質が悪くなります。
そこで、仮説を立てることが重要となります。たとえば「商品Aが既存商品と比べて高額になったことが理由ではないか?」という仮説を立て「商品Aの値段に満足していますか?」という設問を提示するという方法です。
満足している場合も不満を感じている場合もダイレクトな評価を得られるため、仮説が間違っていたとしても効果はあります。
ただCS調査を行うことが目的となっており、仮説を立てずに調査設計を行うと回答の質が低くなるので注意が必要です。
CS調査を単発で行うとアクションの検証ができない
CS調査は「過去や他社などと比較して、どう思うのか?」を重視した調査のため、1回だけで終わらせると成果につながらなくなります。
その後の改善策が本当に効果があったのか、検証できないからです。
CS調査を実施した後は、そのデータの報告と共有をし、実際の改善策を行います。
そして改めてCS調査を実施し、施策の効果が本当にあったのか、あればどのような点が改善に影響を与えていたのか、改善しない理由は何かを突き止めていきましょう。
適切な指標を選ばないと改善できない
現状でCS調査を実施しているし、施策も実行しているのに、なぜか結果に結び付かない場合、調査に用いている指標が間違っている可能性を疑いましょう。
指標が間違っていると、分析結果そのものが実情に即していない可能性があります。
たとえば顧客ロイヤルティを把握し適切な課題を見つけたい場合は、NPSが指標として適しています。
特に口コミが購入意欲に大きく関連する業種にとっては、顧客ロイヤルティの把握は重要です。
しかし反対に、競合他社との比較に活用したい場合は日本版のCSIであるJCSIの方が、対象となる業界全体の傾向も分かるため適切です。
すでにCS調査を実施していて成果につながっていない場合、あらためて指標を見直してみましょう。
まとめ
CS調査は結果を分析することで、売り上げやリピート率の向上に大きく影響する顧客満足度の向上へつながる施策を立てやすくなります。
そのためには、漠然としたアンケート作成ではなく、目的に合わせ仮説検証できるアンケートを作ることが重要となります。具体的な質問になるほど、顧客も回答しやすく、実際の施策を具体的に立てやすいからです。
また、継続してCS調査を実施することで、調査自体が目的とならず、顧客満足度の改善につながります。根本的な業務改善を目指し、CS調査を実施してみてはいかがでしょうか。