視聴率の計算方法とCMの効果指標「GRP」の決め方

CMのプランニングや配信後の効果測定を実施する上で、視聴率を正しく求められるようになることが大切です。

参考:CMの効果測定を正確に行う3つの方法と具体的な手順・流れ│LISKUL

視聴率を調べられるようになると、CMがどの程度の人数に対してリーチしたのかを測る「GRP」という指標を求めることができます。

しかし、実際に視聴率がどのように計算されているのか理解できていないという方も多いのではないでしょうか。

視聴率は世帯視聴率と個人視聴率の2つの種類があり、それぞれ計算方法が異なります。

本記事では視聴率の種類別の計算方法や、CMの効果指標となる「GRP」の計算式、最適なGRPの決め方について解説していきます。


視聴率とはテレビ番組やCMがどれほど見られているかを示す指標

視聴率とは「テレビ番組・CMがどのくらい視聴されているか」を示す指標の1つであり、そこからさらに「世帯視聴率」と「個人視聴率」の2つに分けられます。

  • 世帯視聴率:テレビを持つ全世帯のうち、何世帯が特定のテレビ番組を見たのか
  • 個人視聴率:テレビを持つ世帯の総人口のうち、何人が特定のテレビ番組を見たのか

上記の通り、一口に視聴率といっても「世帯視聴率」と「個人視聴率」が示す数値には大きな差があり、基本的には個人視聴率より世帯視聴率の方が高くなる傾向です。

世帯視聴率は番組を視聴した人の総数や細かい属性を特定できないため、それらを詳細に分析可能な個人視聴率の方が、近年は重要視されています。

また、視聴率を理解する上では「リアルタイム視聴」と「タイムシフト視聴」も押さえておいた方が良いでしょう。

  • リアルタイム視聴:特定の番組の放送時間帯にリアルタイムで番組を見ていた視聴者の割合
  • タイムシフト視聴:視聴者が放送後7日以内に視聴した割合(リアルタイム視聴も含む)

録画・VODといったコンテンツの視聴方法が多様化し、リアルタイムで番組を見られない層の選択肢が増えたことを受けて、上記のような指標が生まれました。

ここまでは少し複雑に思えますが、それぞれの特徴は以下のようにシンプルです。

  • 世帯視聴率:番組を見た世帯数の割合
  • 個人視聴率:番組を見た人数の割合
  • リアルタイム視聴:番組をリアルタイムで見ていた人の割合
  • タイムシフト視聴:番組放送後7日以内に視聴した人の割合

特にCMのプランニングにおける重要指標は「個人視聴率」であり、効果的に活用すれば視聴者の個々の特性が割り出せるでしょう。

さらに、ターゲット層がどのような番組・時間帯にテレビを視聴しているかも把握できるため、ぜひ参考にしてください。

テレビCMの効果測定については下記記事で詳しく解説しています。

参考:CMの効果測定を正確に行う3つの方法と具体的な手順・流れ│LISKUL
   データ・事例に見るテレビCMの広告効果|測定の方法・成功のポイント│LISKUL


視聴率の計算方法

世帯視聴率か個人視聴率かで求め方は変わります。

  • 世帯視聴率=番組を見ている世帯数÷総世帯数
  • 個人視聴率=テレビを視聴した人数÷調査対象の家族の総人数

世帯視聴率の計算方法

世帯視聴率は「総世帯数のうち何世帯が番組を見ているかの割合」なので、「番組を見ている世帯数÷総世帯数」で算出できます。

もし全国1万世帯のうちの1000世帯が1つの番組を視聴した場合、世帯視聴率は10%です。

※1つの世帯が2つ以上のテレビで同じ番組を見たとしても、カウントは「1世帯」にしかなりません。

個人視聴率の計算方法

個人視聴率は「調査する家族のうち、何人が番組を見たか」の指標です。「調査対象の家族の中でテレビを視聴した人数÷調査対象の家族の総人数」で求めることができます。

具体的に、テレビを持つ世帯の100世帯300人のうち10人が特定の番組を視聴すれば、個人視聴率は3.3%となります。

スポットCMのプランニングにおいては非常に大切な指標となる一方、計算自体は誰でも簡単に行えるので、自分でもすぐチェックできるようにしっかり覚えておいてください。


視聴率の調査方法

視聴率そのものを調査する方法はは大きく以下の3つがあります。

  • ピープルメータシステム:ピープルメータでで、世帯の「誰が」「どの番組を」見たか測定する
  • オンラインメータシステム:オンラインメータで世帯視聴率を測定する
  • 日記式アンケート:ランダムに選んだ調査対象の家族に視聴情報を記入してもらい、視聴率を算出する

ピープルメータシステム

ピープルメーターシステムは、関東・関西・名古屋・福岡地区で採用されている視聴率調査法です。

PM(ピープルメーター)という専用の測定器が用いられており、視聴率調査会社から調査協力を受けた個人宅のテレビに設置され、家庭内で最大8台までの視聴状況を測定します。

ピープルメーターシステムのメリットは以下の通りであり、とても詳細なデータを収集することが可能です。

  • 世帯の「誰」が「どの番組」を視聴したのか記録できる
  • 世帯視聴率と個人視聴率のどちらも測定可能
  • 毎分の視聴率を計測できる

対して次のようなデメリットもあるため、合わせて押さえておきましょう。

  • 測定機器が設置されている世帯が限られている
  • 詳しい視聴データを記録するためには、個人が毎回リモコンで入力しなくてはならない

ピープルメーターシステムは、リモコンによる操作が必要となる一方、トータルの有用性は非常に高いツールといえます。

オンラインメータシステム

オンラインメーターは、関東・関西・名古屋・福岡地区以外で採用されている機械式世帯視聴率調査システムです。

PMと同じく、こちらも視聴率調査会社が専用測定器と通信機を設置して調査を行い、測定されたデータはインターネット回線か電話回線を通じて集計されます。

そして、オンラインメータシステムのメリットは以下の通りです。

  • PMと違い完全自動でデータが集計できる。
  • 最大3台まで測定可能
  • 視聴状況は秒単位で記録される

一方、オンラインメータシステムには、次のデメリットもあります。

  • 世帯視聴率しか測定できない
  • 測定機器が設置されている世帯は限られている

秒単位での計測や完全自動といった魅力があるものの、世帯視聴率しか計測できないため、あらかじめきちんと押さえておきましょう。

日記式アンケート

日記式アンケートは、関東・関西・名古屋・福岡地区以外で採用されている調査方式です。

具体的には、特定の対象者へ調査票が配布されて、テレビの視聴状況を記入する形となります。調査票の記入欄は5分刻みとなっており、対象者は1週間毎日記入し無ければなりません。

日記式アンケートのメリットは、以下の通りです。

  • 各個人の視聴状況を詳細に把握できる
  • 調査対象となる世帯は統計学の理論に基づいてランダムに選定される
  • 2〜3年ごとに全ての世帯が入れ替わるようにローテーションされる

対して、次のようなデメリットもあります。

  • 視聴データは1週間ごとにしか集計できない
  • アナログな方法で手間と時間がかかる

先ほど触れた2つの方法よりもはるかにアナログですが、アンケートならより詳細なデータが収集できるでしょう。


視聴率の計算はテレビCMの投資効果を測る指標「GRP」の算出に必要

GRP(Gross Rating Point)は、延べ視聴率とも呼ばれており「一定期間に流したCM1本ごとの視聴率の合計」を指しています。

テレビCM投資の規模・効果を測定する際の重要な指標であり、上手く活用すれば「いつ」「どのテレビ局」で「どの番組のCM」を放送するのが適切かを判断することが可能です。


GRPの計算式

GRPの計算式は以下の通りです。

【GRP(%)=広告1件あたりの平均露出量×広告を打つ回数 GRP(%)=リーチ(広告の到達率)×平均フリーケンシー(広告接触の頻度)】

実際に広告価値を計算してみれば、比較的簡単に理解できるでしょう。たとえばGRP目標値を1000%とすると、平均視聴率が10%の番組の場合100回、5%の番組なら200回CMを放送することになります。

極端に言えば「視聴率1%の番組でCMを100回放送する」のと「視聴率100%の番組でCMを1回放送する」のではGRP値は同じであり、同じ広告価値となります。


最適なGRPの決め方

ここからは、最適なGRPを決める際に押さえるべき3つのポイントを見ていきましょう。

  • 有効フリークエンシー
  • 相関分析
  • ROI分析

CM投資額を検討するには、目標GRPを設定しなければなりません。費用対効果を最大限に高めるためにも、ぜひ参考にしてください。

有効フリークエンシー

有効フリークエンシーとは、ターゲットが広告に接触した頻度を意味しており「最低有効フリークエンシー」と「最高有効フリークエンシー」の2種類に分かれます。

  • 最低有効フリークエンシー:該当の広告が効果を発揮するために必要な最低接触回数
  • 最高有効フリークエンシー:それ以上広告を露出しても効果が見られない上限

また、広告が効果的に機能する回数のみ接触している層への到達率は「有効リーチ」と呼ばれ、最高有効フリークエンシーの算出に用いられるので、こちらも覚えておきましょう。

相関分析

2つ目の「相関分析」は、過去放映されていたテレビCMと、その認知率の調査データをもとに「テレビCMの出稿データ」と「認知率データ」の相関関係を分析する方法です。

過去のテレビCMの放映回数と認知度の相関を分析することで、どれだけテレビCMを放映すれば視聴者からの認知を得られるかが予測できるでしょう。

ROI分析

3つ目のROI分析は、コストパフォーマンスを加味した上でCMの適正出稿量を判断することが可能です。

たとえば、相関分析を行う際に「GRPが1%増えた時のコストの上昇分」と「認知率の増加具合」の関係をチェックします。そこで「コストを増やしても認知率が上がらなくなる分岐点」の割り出しに役立つのがROI分析なのです。

適切な出稿量がわかれば、コストの無駄遣いも必然的に無くなるので、上記の2つと合わせて取り入れましょう。


まとめ

本記事では、テレビCMの視聴率の概要や計算方法、GRPの詳細についても解説してきました。

視聴率の求め方は「世帯視聴率」か「個人視聴率」かで変わります。

  • 世帯視聴率=番組を見ている世帯数÷総世帯数
  • テレビを視聴した人数÷家族の人数

視聴率の調査方法は以下の3つです。

  • ピープルメーターシステム
  • オンラインメーターシステム
  • アンケート

GRPはテレビCM1本ごとの視聴率の合計を指す数値で、CMの投資効果を図る指標となります。

GRP配下の計算式で求めることが可能です。

【GRP(%)=広告1件あたりの平均露出量×広告を打つ回数 GRP(%)=リーチ(広告の到達率)×平均フリーケンシー(広告接触の頻度)】

GRPの最適化の方法としては以下が挙げられます。

  • 有効フリークエンシー
  • 相関分析
  • ROI分析

自社のターゲットへ的確にCMを届けるには、視聴率から需要の高い番組を割り出し、適切にコストを投じる必要があります。本記事で触れたターゲットコストなども参考に、さっそく広告運用のパフォーマンスを最大化させましょう。

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