CMの効果測定を正確に行う3つの方法と具体的な手順・流れ

CMはWeb広告と違って効果測定がしにくく、「どれだけの認知向上につながったのか」「CM経由で問い合わせは増えたのか」という計測が難しいのが現状です。

そんなCMの効果測定方法ですが、大まかにわけて3つの方法があります。

  • クロスチャネルを使った分析
  • 専用ツールを使った分析
  • アンケートによる分析

中でもCMの接触者やその後の行動を客観的に分析できるクロスチャネルを使った分析を行えば、CMの効果測定を正確に行えます。

そこで本記事では、テレビCMの効果測定方法から、実際に効果測定を行う流れについて解説します。

この記事を読むことで、CMの効果測定を正確に行えるようになり、CMの効果を最大化するための施策検討やPDCAを回すのに役立ちます。


CMの効果測定を行う3つの方法

CMの効果測定を行う3つの方法は以下の通りです。

分析手法特徴
クロスチャネルを使った分析自社のWebサイト・SNSアカウント、第三者データを総括的に分析することで消費者の行動を明確に分析できる。
専用ツールを使った分析Web広告のようにCPM/CPA/CPIといった数値で分析できる。ツールごとに独自の機能がある。
アンケートによる分析アンケートにより客観的で正確なデータを取得できる。(例・この商品をどこで知りましたか?というアンケートを実施、CM経由・Web広告経由かを分析する)

この中でも、CMの効果を正確に計測するならクロスチャネルを使った分析がおすすめです。

CMはクリック率や広告の接触率を計測できないため、正確に分析するためにはCM配信後の効果を客観的に分析するデータが必要になります。

そこでクロスチャネル分析を行うことでテレビCMの接触者を分析・可視化できます。

自社で運営しているWebサイトやSNS等のデータと、情報収集機関が集める消費者データ等を分析することでCM効果により購買行動や性別・趣味嗜好といった属性も把握できます。

クロスチャネルを使った分析を行う

クロスチャネル分析は、最も正確にCMの効果測定を行える手法です。

CMの効果測定は配信後の消費者の行動を分析することで算出できますが、分析するためのデータは多ければ多いほど正確な分析ができます。

自社のWebサイトやSNSのデータ、3rd Partyデータなど、さまざまなチャネルを合わせて分析することで正確なCMの効果測定を行えます。

例えば、CM配信前と配信後のWebサイトへのアクセス数や指名検索数を比較し、増減があった場合は、「CMの影響によるもの」と判断できます。Webサイトのアクセス解析ではコンバージョンも計測できるので、「CMの影響による商品購入やサービス利用」などの効果測定も可能です。

3rd Partyデータを活用した事例では、CCCMKホールディングスのT会員の購買データと連動させ、CMの効果測定を行う分析方法があります。

Tカードには顧客一人ひとりの年齢や性別といった属性情報が登録されており、データ分析や広告配信時の詳細なセグメント設定が可能です。

さらに、Tカードを利用している約7,000万人のユーザーの購買データを活用することで、「CM配信後の顧客行動」を明確にでき、正確な効果測定を行えるようになります。

ツールを使用して効果測定を行う

CMに特化した分析ツールを利用する手段もあります。

分析ツールには視聴率をリアルタイムで計測し、GRPに合わせて予算を調整したり、CMデータの効果測定を自動的に行う機能がついています。

具体的には、以下のような分析が可能です。

  • Web広告同様にCPM/CPA/CPIなどの数値の分析
  • CM素材のABテスト
  • CMによる売り上げの貢献度
  • 時間帯ごとの配信・比較結果
  • CM配信の改善案の提示

CMの分析ツールはWeb上のデータや指名検索、アンケートなどのデータを一元管理し、CM効果を可視化したり、精度の高い分析ができるツールです。

そのため、「CMの出稿量が多く、データ収集・分析・アウトプットまでの作業時間を削減し、成果を出したい」というニーズに向いている効果測定方法です。

アンケートを取る

インターネットでのアンケートや商品の購入・サービスの利用時にアンケートを取り、CM効果を計測する方法があります。

アンケート調査はそれぞれ調査会社に依頼することで、自社ブランドのターゲットに対して「この商品をどう思いましたか?」や「このCMを見てどう思いましたか?」といったアンケートを取ります。

これにより、以下の項目の効果測定を行えます。

  • ブランド認知
  • CM認知
  • 商品・サービスへの理解
  • 興味や購入意欲の度合い

商品の購入やサービス利用時に「この商品をどこで知りましたか?」と質問する場合は費用はかかりません。ただし、アンケートの配信・回収業務を調査会社に依頼する場合は費用がかかります。

アンケートによる効果測定は「ブランド認知の向上を確認したい」「CM効果による視聴者の態度変容を確認して、次のCM制作に活かしたい」というニーズに向いている効果測定方法です。

「調査会社に依頼せず自社でアンケートを実施したい」とお考えの方は以下の記事も参考にしてください。

参考:はじめてのアンケート作成で失敗しない3つのコツと4つの注意点、便利ツール5選
   アンケート調査の5つのステップ【アンケート作成のテンプレ付き】
   顧客アンケートの実施ノウハウを徹底解説!回答率をアップさせる5つのポイント


CMの効果測定の流れ

ここからは、正確な効果測定がしやすいクロスチャネルを使った分析による効果測定の流れについて解説します。

クロスチャネルを活用したCMの効果測定方法は以下の通りです。

  1. テレビCM配信前のデータ収集
  2. テレビCM配信後のクロスチャネル分析を実施
  3. 出稿量の調整・出稿時間帯・番組帯の変更

テレビCM配信前のデータ収集

まずはテレビCM配信前のデータ収集を行います。効果測定の基礎になりますが、分析前にできる限りフラットなデータを収集しておきましょう。
例えば、Webサイトでコンテンツマーケティングを実施している場合は、Googleのアップデートによりアクセスが増減することもあります。数ヶ月の平均PV・CVを算出するなどできるだけフラットなデータを収集しましょう。

テレビCM配信後のクロスチャネル分析を実施

テレビCMの配信後にクロスチャネル分析を実施します。

具体的には以下のようなデータを収集します。

  • Webサイト・SNSのアクセス解析
  • 指名検索の増加数確認
  • 3rd partyデータの活用

WebサイトやSNS上でコンバージョンを設計している場合は、テレビCM配信前後でPVやCV数を比較し、効果測定を行います。

実店舗や代理店販売などオフライン上での商品(飲食店や美容・健康商品)を取り扱っている場合は、指名検索数の増減や3rd partyデータを活用して消費者行動を分析します。

ブランド認知を促すようなCMの効果測定は指名検索数の増減で分析できますが、消費者の購買行動を正確に分析する場合は3rd partyデータの活用が有効です。

効果測定時には出稿量(GRP)に対してどれだけの効果が得られたかを分析します。

出稿量の調整・出稿時間帯・番組帯の変更

効果測定の結果に合わせてCMの出稿量や出稿時間帯・番組帯を変更しましょう。最近のCM配信は個人視聴率の普及により、詳細なターゲティングができ、狙ったターゲット層にアプローチできるよう技術が向上しつつあります。

また、3rd partyデータを活用した詳細なセグメントを提供しているテレビCM代理店もあります。

このように、根拠のあるデータを元にCMの効果測定を行えば「出稿時に何GRPをどの番組帯に出稿すればどれだけの効果が得られるのか」などの予測が可能です。


CMの効果測定の指標に活用できる「GRP」「GAP」

CMの効果測定の参考となる「GRP」「GAP」という2つの指標があります。

CMではWeb広告のようにクリック率やコンバージョン率を計測することはできません。

ですが、CMにも効果測定に使える指標があります。それが「GRP」「GAP」になります。

これらの2つの指標とWeb上のデータを連携させることでCMの効果測定を行えるようになります。

GRPとは特定の期間内に放送されたCMの世帯視聴率を合計した数値

GRP(延べ視聴率)とは、特定の期間内に放送されたCMの世帯視聴率を合計した数値のことです。

GRPは主にCMを配信する際に「どれくらいの視聴者に届けられるか」を測定する際に利用します。

例えば、CMを放送する番組の視聴率が10%で5本のCMを流した場合、数値は10×5=50GRPです。GRPの数値が高ければ高いほど「多くの視聴者にCMを配信している」ことになります。

CMの効果測定により「250GRPのCMを出稿したがWebサイトやSNSのアクセス数が増えなかった」「指名検索数が増えなかった」という場合は、「CMの配信時間を変える」「配信回数(GRP)を増やす」という判断・改善ができるようになります。

ただし、GRPはテレビがついている世帯の数値を計測しているだけで、「視聴者が実際にCMを見ていたか」まではわかりません。

視聴者がトイレ中、あるいはテレビをつけたまま眠っている場合でもカウントされるため、データの正確性に欠けてしまいます。

CMの測定や効果を上げるためのポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。

参考:データ・事例に見るCMの広告効果|測定の方法・成功のポイント

GAPとは、「CMを視聴した人」を割り出した数値

GAPとは、Gross Attention Pointの略で日本語では「延べ注視量」と呼びます。GRPは世帯視聴率を元に計測しますが、GAP(延べ注視量)とは調査世帯の家に設置されたセンサーカメラを使用し、各家庭の視聴者のテレビ画面を注視している度合いを測定した数値のことです。

これにより、CMを実際に見ていた人を割り出すことができるので、GRPよりも精度の高いデータを取得できます。

また、センサーカメラは顔認識もできるため、「世帯の誰が見ていたか」まである程度把握することができます。

GAP・GRPの両方の指標を分析することにより、「CMをどれだけの人が視聴したか」を計測が可能です。

GAPは2015年に実証実験が開始された比較的新しい計測方法であり、データ取得の正確性は高くなく、方法としてはまだ確立されていません。そのため、現状はGRPを用いて分析するのが一般的です。

しかしデータの精度はGAPの方が高く、今後はGRPよりもGAPが主流になると考えられるため、理解しておく必要があります。


まとめ

この記事では、CMの効果測定の流れや具体的案方法について解説しました。

CMはWeb広告と違い、クリック率やコンバージョン数などを計測できないために効果測定が難しいとされています。

ですが、Web上のデータやアンケートなどを活用すれば、CMでも効果測定を行うことが可能です。

CMの効果測定の方法は以下の3つです。

分析手法特徴
クロスチャネルを使った分析自社のWebサイト・SNSアカウント、第三者データを総括的に分析することで消費者の行動を明確に分析できる
専用ツールを使った分析Web広告のようにCPM/CPA/CPIといった数値で分析できる。ツールごとに独自の機能がある。
アンケートによる分析アンケートにより客観的で正確なデータを取得できる。(例・この商品をどこで知りましたか?というアンケートを実施、CM経由・Web広告経由かを分析する)

この中でも、実際の顧客行動を元に分析を行うクロスチャネル分析はCMの効果を正確に計測できるためおすすめです。

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