ビジネスチャットとは?今すぐ導入すべき3つの背景とおすすめツール5選をご紹介

ビジネスチャットとは、業務利用を目的に開発されたコミュニケーションツールです。メッセージ機能だけではなく、ビデオ通話やファイルの共有機能などが備わっています。

メールよりも使い勝手がいいことから、「業務や社内外でのコミュニケーションを効率化」や「情報漏れの防止」「働き方改革の推進」を行いたい企業は導入をおすすめします。

そこで本記事では、ビジネスチャットの機能や料金といった基本的な情報に加え、導入のメリットデメリット、おすすめのツールや選び方について解説します。

導入後のコツも紹介しているので、本記事を最後まで読めば自社に最適なビジネスチャットツールの見極めから、導入後の運用方法まで理解できます。

目次


ビジネスチャットとはあらゆる機能を備えたコミュニケーションツール

ビジネスチャットをひとことで説明
ビジネスチャットとは、SNSのような使いやすさでありながら、タスク管理などの業務サポート機能を併せ持つ業務利用を目的に開発されたコミュニケーションツールです。

チャットのような手軽さが連絡時の心理的ハードルを押し下げてくれるので、コミュニケーション量が一気に増えます。

主な連絡方法はテキストベースでのチャットですが、ビデオ通話による遠隔会議も可能で、離れていても対面でのコミュニケーションとほぼ変わらないやり取りが可能です。

ビジネスチャットの主要機能

ビジネスチャットはメッセージの送受信やWeb会議といった基本機能に加えて、業務の対応漏れを防ぐタスク機能やコミュニケーションを円滑に行うリアクション機能があります。

ビジネスチャットの主要機能をまとめると、以下の通りになります。

項目機能
基本搭載機能・1対1のチャット
・グループチャット(複数人)
・無料通話(音声・ビデオ両方可)
・ドラック&ドロップでできるファイル共有
オプション機能(ツールごと機能の有無がことなる)・タスク管理(業務の進捗状況管理)
・セキュリティ強化機能(二段階認証やグループ制限など)
・既読・未読判定機能
・他ツールとの連携機能
・リアクション機能(メッセージに対して絵文字で反応できる機能)

ビジネスチャットはツールごとに利用できる機能が異なります。

必要な機能や使いやすさなどを考慮した上で導入するツールを検討する必要があります。

ビジネスチャットの料金体系・相場

ビジネスチャットはツールを利用するユーザー一人につき、月額費用が発生する料金体系です。

例えば、ビジネスチャットを提供しているチャットワークの有料プランでは、ユーザー一人あたり600円前後かかります。

30人で利用するとなると、月額18,000円ほどかかる計算です。

ビジネスチャットはほとんどのツールが無料トライアルを提供しており、本格導入の前に使いやすさを確かめることができます。

自社にあったツールを見極めるためには、複数のビジネスチャットの無料トライアルを申し込み、機能・使いやすさ・費用面でバランスのいいツールを絞り込むといいでしょう。


ビジネスチャットが普及する背景

ビジネスチャットの普及を後押しした背景としては以下が挙げられます。

  • メールと比べた圧倒的な効率
  • プライベート向きなLINEにはないセキュリティ対策
  • 働き方改革による後押し

メールと比べた圧倒的な効率

ビジネスで最も主な連絡手段として用いられてきたメールですが、最近では業務効率の面から本当に最適か?と見直されつつあります(参考:業務の品質を引き上げる「5大ビジネスチャットツール」を徹底比較!)。

全体の平均は1通あたり6分で、送信数の平均が1日11.59通のため、1日につき約69分、メールの作成に費やしていることになる。
引用:仕事のメール作成に平均1日69分かけていることが判明 1通にかける時間は「5分」が最多 | キャリコネニュース

メールでは宛先、件名、時候の挨拶などを入力し、ようやく本文に入るのが一般的であり、マナーとして定着しています。ビジネスチャットではSNSのような使い勝手で、即座に要件からコミュニケーションを始めることができます。

プライベート向きなLINEにはないセキュリティ対策

最近では社外とはメールで、社内ではLINEを用いたコミュニケーションをとる企業もあるようです。短文でやり取りするSNS連絡の利便性に着目しているからでしょう。

しかし、重要な取引情報や顧客情報を、コンシューマ向けSNSでやり取りするのは危険です。

誤送信はもちろん、アカウントが乗っ取られる可能性があります。本来はプライベートツールであるため、上司による管理権限もありません。

高いセキュリティを誇るビジネスチャットでなら、安心して社外との連絡手段に用いることも可能です。

大手企業も社外との連絡手段としてビジネスチャットを用いる例が年々増えています。

参考:実は危ない?LINEをビジネスで利用する際の注意点と対策方法

働き方改革による後押し

あらゆる業界で必要に迫られている働き方改革ですが、ビジネスチャットの導入は働き方改革を後押しすると注目されています。

非鉄金属メーカーである「東洋アルミニウム株式会社」では、メールでの連絡・報告だけでなく決済までビジネスチャットで済ませることで業務スピードを上げたり、ビデオチャットで顧客対応することで遠隔からでも顧客満足度をあげることに成功しました。

ビジネスチャットは国からも注目されるコミュニケーションツールなのです。

ビジネスチャットがコミュニケーションツールとしてインフラ化していくのは間違いないでしょう。

参考:総務省|働き方改革×チャットツールのビジネス活用


ビジネスチャットの5つのメリット

ビジネスチャットを導入するメリットは以下の5つの通りです。

  • コミュニケーションを効率化できる
  • 業務の対応漏れを減らすことができる
  • 働き方改革の足がかりになる
  • 過去のメッセージを検索・確認できるため情報の見落としを予防できる
  • 誤送信してもメッセージを編集できるため情報漏洩を防ぐことができる

1.コミュニケーションを効率化できる

ビジネスチャットを利用することで社内でのコミュニケーションを効率化できます。

ビジネスチャットはSNSのような使い勝手で、メッセージの送信やファイルの共有など簡単に行えます。

メールの場合はアドレスの選択や件名の入力など、本文を作成する前の作業が必要になりますが、ビジネスチャットでは宛先を選択して気軽にメッセージを送付できることから社内でのコミュニケーションを効率化できます。

取引先が同じビジネスチャットツールを利用している場合は、業務連絡やレポートの送付、商談などのビジネスチャット上で完結できるので、さらなるコミュニケーションの効率化が期待できます。

2.業務の対応漏れを減らすことができる

ビジネスチャットツールの機能を活用することで、業務の対応漏れの防止につなげられます。

ビジネスチャットには「誰が、いつまでに、どんなタスクに対応するのか」といった情報をまとめられるタスク機能や、メッセージを特定の相手を選んで送付してプッシュ通知を送るメンション機能があります。

これらの機能を活用することで複数人で活用しているグループチャットでも進捗状況を確認しやすく、対応が漏れている業務にもいち早く気づくことができます。

例えば、営業担当宛に「◯月◯日の期限で資料を作成して欲しい」というタスクを作成すると、担当者のアカウントに通知が届きます。

期限前日になるとタスクの進捗状況を自動で確認してくれる機能もあり、業務の対応漏れ防止につなげられます。

3.働き方改革の足がかりになる

あらゆる業界で必要に迫られている働き方改革ですが、ビジネスチャットの導入は働き方改革の足がかりになると注目されています。

なぜならビジネスチャットを導入することで働き方改革の一環である、リモートワークやテレワークといった「場所を選ばない働き方」を実現できるためです。

非鉄金属メーカーである「東洋アルミニウム株式会社」では、メールでの連絡・報告だけでなく決済までビジネスチャットで済ませることで業務スピードを上げたり、ビデオチャットで顧客対応することで遠隔からでも顧客満足度をあげることに成功しました。

このようにビジネスチャットを導入することで時間や場所に囚われない働き方ができることで、業務効率化や顧客対応の品質を向上させられるため、働き方改革の足がかりとして期待できます。

参考:総務省|働き方改革×チャットツールのビジネス活用

4.過去のメッセージを検索・確認できるため情報の見落としを予防できる

ビジネスチャットでは過去のメッセージを確認・検索できるため、情報の見落としを予防できます。

ビジネスチャットは、プロジェクトやグループごとにメッセージを検索確認できるだけでなく、送信者ごとのメッセージ内容を検索できるため、必要な情報をすぐに見つけられるからです。

メールの場合はプロモーションや緊急度の低いメールが同じメールボックスに届くため、重要なメッセージが埋もれてしまい、見つけるまでに時間がかかります。

ビジネスチャットの場合はメッセージの検索・確認がしやすく、情報の見落としを予防できます。

5.誤送信してもメッセージを編集できるため情報漏洩を防ぐことができる

ビジネスチャットは誤送信した場合でもメッセージを編集できるため、情報漏洩を防ぐことができます。

別の取引先に送る内容を誤送信した場合でもメッセージを削除、もしくは文面を後から編集できるため、情報漏洩や間違った情報を送付するリスクを回避できます。

取引先の情報を別の企業に漏らしてしまうと、信頼関係を損ねるだけでなく法的処置を講じられる可能性がありますが、ビジネスチャットを利用すれば、メッセージの編集・削除ができるため情報漏洩防止につなげられます。


ビジネスチャットの2つのデメリット

ビジネスチャットのデメリットは以下の2つになります。

  • 文面だけのやりとりを行っているとコミュニケーションエラーが発生する可能性がある
  • 過度なコミュニケーションが横行する可能性がある

1.テキストだけのやりとりを行っているとコミュニケーションエラーが発生する可能性がある

ビジネスチャットでテキストだけでやり取りしていると、知らないうちにコミュニケーションエラーが発生する可能性があります。

文章だけでやりとりすると、業務の依頼内容や共有事項がうまく伝わらず、「依頼した業務が対応されずに放置されている」「取引先に資料を送って欲しい旨を伝えたが、担当者の認識違いで資料が送付されていなった」など重大なミスに繋がる可能性があるのです。

ビジネスチャットツールは対面でコミュニケーションができない分、業務の依頼や連絡事項がテキストだけでなく、ビジネスチャットの機能であるWeb会議なども行いながら認識があっているかなどの確認が必要です。

2.過度なコミュニケーションが横行する可能性がある

SNSのように気軽にメッセージを送りあえることが、かえって過度なコミュニケーションを引き起こす可能性があります。

気軽さゆえに社員の業務時間外に連絡をしたり、休暇中の社員にプッシュ通知が届くと、無用なメンタル面のプレッシャーや身体的な疲れが発生するからです。

ビジネスチャットは業務効率化や働き方改革の足がかりとして期待できるツールですが、ルールを整備しておかなければ帰って生産性を妨げるものであることを理解しておく必要があります。

ビジネスチャットを利用する際は「業務終了後は連絡不要」「休暇中はツール内の通知オフ機能を設定する」というようなルールを設定し、利用者の負担にならないようにルール整備を行いましょう。


ビジネスチャットの導入事例

実際にビジネスチャットを導入して具体的な成果を生み出した事例をご紹介します。

陳列棚を動画共有することで、店舗に訪れなくとも売り場状況を把握できるようになった「鈴花商事」

導入のきっかけ

着物を中心に、バッグや宝飾、寝具まで幅広く扱う鈴花商事は、店舗との連絡に電話・FAX・書面を用いていました。また、従業員全体への連絡にはまず部署ごとのリーダーに連絡し、そこから伝言形式で伝わっていました。

ツールによる情報伝達の遅さや、伝言形式による不正確な情報に課題を感じていたのです。

しかも各店舗には年配の従業員も多く、PCの扱いにも不慣れです。そこでシンプルで使いやすくチャット機能に特化した「Chatwork」を導入しました。

導入後の成果

直感的に扱えるUIなので、年配の方やITが苦手な方でも気軽に連絡が取れるようになりました。情報伝達が伝言ゲームになりがちな現場でも、チャットによって全員が一次情報を確認でき、正確に伝わるようになったのです。

それだけでなく、店舗の商品陳列を動画で撮影しChatworkで共有することで、実店舗に訪れなくとも売り場状況がわかるようになりました。

さらに、取引先企業ともChatworkでやり取りすることで配送ミスや発送事故などのトラブルが激減しました。

参考:商品陳列を動画で共有しお客様目線を再現、伝達ミスもゼロに

開発ツールとしてSlack導入をきっかけに、情報共有の場として社内に定着させた「日本経済新聞社」

導入のきっかけ

日本経済新聞社は2010年から「日本経済新聞 電子版」をリリースし、デジタル事業にも取り組んでいます。その開発チームのコミュニケーションを強化するため、「Slack」を導入しました。

成果

当初は開発環境の整備の一環としてSlackが導入され、エンジニアにとっては「開発がしやすい」と評判でした。また開発スピードや効率性もが格段に上がったようです。

徐々にエンジニアだけでなく、デジタル事業に関わるマーケターやプロモーションメンバーにまで普及し、今では欲しい情報を自由に共有できる場となっています。

さらに、会議効率化のためにアジェンダを事前に共有したり、気になるニュースを投稿しあうなど、活発なコミュニケーションが実現しています。

参考:部門を横断した開発コミュニケーションのハブとして Slack を活用 | Slack


おすすめビジネスチャットツール5選

ビジネスチャットの利用を具体的に検討される方のために、おすすめのビジネスチャットを5つ紹介します。

今回はビジネスチャットの比較を行った以下記事から、上位5つを抜粋してご紹介しています。こちらの記事ではより多くのビジネスチャットを紹介しているので、詳しく知りたい方はぜひご確認ください。

参考:【2022年最新版】ビジネスチャット15選!シェア・料金・機能などを厳選比較

ツール名特徴主要機能料金
slack・世界的にシェアの多いツール
・1日のアクティブユーザーは1000万人以上(2019年時点)
・組織、顧客別、など自由にチャンネルを作成して会話できる
・GoogleやSkype、メールやSNSなどの連携できる
・メッセージや通話など必要最低限の機能を搭載した無料プランあり
・リアクション機能
・オンライン表示
・スレッド機能
・メンション機能
・無料通話(ビデオ通話可)
・メッセージ送信
・検索機能
・画面共有
・ファイル共有
・招待機能(社外の方も可)
・アプリ対応
・API連携
・外国語対応
月額1,050円〜
※無料プラン、無料トライアルあり
Chatwork・日本発の国産ビジネスチャットツール
・IDを交換すればメッセージを取ることができ、社外の人とやりとりしやすい
・メッセージをタスク化できる「タスク機能」を使うことで、業務の対応や申告漏れ防止が期待できる
・メッセージや通話など必要最低限の機能を搭載した無料プランあり
・リアクション機能
・タスク機能
・メンション機能
・無料通話(ビデオ通話可)
・メッセージ送受信
・検索機能
・ファイル共有
・招待機能(社外の方も可)
・アプリ対応
・API連携
・外国語対応
月額600円〜
※無料プラン、無料トライアルあり
LINE WORKS・個人向けLINEに似た使用感でITに疎い方でも使いやすいツール
・個人向けLINE同様の既読未読機能があり、災害時の社員の安否確認やメッセージ確認の判断ができる
・掲示板機能があり、社員同士で共通の課題や情報を共有できる
・社員の予定表を確認できるカレンダー一覧機能があり、タスクの依頼状況や業務を振り分けるのに最適
・リアクション機能
・タスク機能
・スレッド機能
・メンション機能
・掲示板機能
・無料通話(ビデオ通話可)
・メッセージ送受信
・既読未読機能
・検索機能
・画面共有
・ファイル共有
・招待機能(社外の方も可)
・アプリ対応
・外国語対応
月額450円〜
※無料プラン、無料トライアルあり
Microsoft Teams・Microsoft Office365のライセンスに含まれるビジネスチャットツールで、Office365を契約済みであれば追加費用なしで導入可能
・WordやExcelといったOffice製品との親和性が高く、ビジネスチャット上からファイルを直接編集することも可能
・ビデオ会議は無料プランで100人以上、有料プランで300人が参加でき、セミナーレベルのビデオ通話ができる
・40もの多言語に対応しており、海外支店を持つ企業や海外に取引先を持つ企業はコミュニケーションを取りやすい
・リアクション機能
・メンション機能
・無料通話(ビデオ通話可)
・メッセージ送受信
・既読未読機能
・検索機能
・画面共有
・ファイル共有
・招待機能(社外の方も可)
・アプリ対応
・外国語対応
月額430円〜
※無料プラン、無料トライアルあり
Talknote・ナレッジ共有や組織文化の醸成・浸透、コミュニケーション最適化を促進するビジネスチャットツール
・社員のアクセス時間からオーバーワークを検知する機能や社員の仕事のリズムを計測してフォローアップを円滑化する機能があり、社員の育成に重きをおいている
・専属の担当者がつき、ビジネスチャットの運用をお手伝いしてくれるサポート制度が魅力
・リアクション機能
・タスク機能
・メンション機能
・メッセージ送受信
・既読未読機能
・検索機能
・ファイル共有
・招待機能(社外の方も可)
・アプリ対応
契約内容によって変動するため問い合わせが必要
※無料トライアルあり

自社に適したビジネスチャットの選び方のポイント

前述したビジネスチャットの主要ツールをみていただくと、それぞれ異なる機能があることを理解いただけたと思います。

自社に適したビジネスチャットを選ぶためには、以下の3つのポイントを意識しましょう。

  • 取引先や業務委託先と円滑にコミュニケーションを取りたいならシェア率の高いツールから選ぶ
  • 勤怠管理や社内SNSなどのグループウェアとして利用したい場合は機能性の高いツールから選ぶ
  • 試験的な導入や少人数で利用する場合は一人当たりの料金が安く最低限の機能が備わったツールから選ぶ

取引先や業務委託先と円滑にコミュニケーションを取りたいならシェア率の高いツールから選ぶ

取引先や業務委託先ともビジネスチャットを活用してコミュニケーションを取りたい方は、シェア率に注目して比較・検討を行いましょう。

ビジネスチャットはツールを横断してコミュニケーションを取ることはできないため、企業導入数やユーザー数が多いツールを選ぶことで、取引先や業務委託先が同じツールを利用している場合は連絡や商談をビジネスチャット上から行うことができます。

シェア率の高いビジネスチャットツールでいうと、Chatworkは日本国内での導入企業数が30万社を超えています。

Slackについては全世界で75万社が導入しています。取引先や業務委託先とのビジネスチャットでコミュニケーションを取りたいと考えている方はシェア率に注目してツールを選定するといいでしょう。

勤怠管理や社内SNSなどのグループウェアとして利用したい場合は機能性の高いツールから選ぶ

テレワークやリモートワークを進めており、ビジネスチャットの主要機能と合わせて勤怠管理や社内SNSなどのグループウェアとして利用したい方は、機能性の高さから選びましょう。

ビジネスチャットの中には、メッセージ機能やビデオ通話の他に、社内周知に役立つ掲示板や社内だけで個人的な内容を発信できる社内SNS、勤怠管理までできるような多機能を揃えたツールがあります。

グループウェアを備えたビジネスチャットツールでいうと、勤怠管理やカレンダー共有、掲示板機能で社内周知のできる「Lark」やGoogleカレンダーの共有や社内向けSNSのGoogle Currentsを利用できる「GoogleWorkspace」などがあります。

企業のDX化や働き方改革の一環として、テレワークやリモートワークを進めており、オンラインでの勤怠管理や社内でのコミュニケーションを円滑に行いたいと考えている方は、グループウェアとして活用できるような機能を備えたビジネスチャットを選びましょう。

グループウェアとしても使えるビジネスチャットを選ぶ際には、以下の機能が搭載されているかも確認しておきましょう。

  • 社内SNS:社員が個人的な発信を行うコミュニティ
  • 掲示板機能:オンライン上で閲覧・編集できる掲示板
  • 勤怠管理機能:オンライン上で出退勤を管理できる機能
  • カレンダー共有、スケジュール機能:社員全員のスケジュールを確認できる機能

試験的な導入や少人数で利用する場合は一人当たりの料金が安く最低限の機能が備わったツールから選ぶ

試験的な導入したい企業や少人数で利用する場合は一人当たりの料金が安く最低限の機能が備わったツールを選びましょう。

メッセージの送受信やビデオ通話、ファイル共有程度の機能で事足りる、あるいは少人数で利用する場合は多機能なツールを選んでも使いこなせない可能性があり、費用対効果が低くなります。

社内での利用やテレワークやリモートワークを進める中で試験的に導入したいということであれば、ユーザー一人あたりの料金が100円程度と安く、以下のような必要最低限の機能が備わったビジネスチャットを選びましょう。

  • メッセージ送受信
  • ビデオ通話機能
  • ファイル共有機能
  • メンション機能

低価格かつ標準機能を搭載しているツールには、ユーザー一人あたり月額180円で利用できる「TAGS」や月額5,000円で50ユーザーまで使い放題の「Office Messenger」などがあります。

ChatworkやSlackには無料プランで試験的に導入することはできますが、大幅な機能制限(40日以上前のメッセージが表示されなくなる)がかかるため、本格導入後も費用を抑えて必要最低限の機能を活用したい場合は、一人当たりの月額料金が安いツールを選びましょう。


ビジネスチャット運用時のコツ

ビジネスチャット運用時のコツは以下の通りです。

  • 使用ルールを決めておく
  • 見やすさを意識したコミュニケーションを心がける
  • 社内でのチャットは積極的に絵文字やスタンプを活用する

使用ルールを決めておく

ビジネスチャットの導入前に使用ルールを決めておきましょう。

メッセージの送受信の時間や送信内容についてルールを決めておかなければ、かえって非効率なコミュニケーションになったり、社員の負担になる可能性があります。

ビジネスチャットはコミュニケーションの効率化を目指すツールであるため、有効活用するためには、以下のようなルールを設けるべきです。

  • 業務時間外は基本的に連絡をしない
  • 連絡事項に関わりのない人のグループチャットは、業務時間外には極力動かさない
  • 業務外の連絡(飲み会や休日の約束など)はプライベートで用いるツールで連絡する
  • 「お疲れ様です」「お世話になります」などの形式的な挨拶を排除する(社内チャットのみ)
  • 休みの日は通知オフを推奨し、返信はしなくてもいいよう周知する

このように、コミュニケーションを効率化するために社員の負担にならないやりとりを心がけるためのルールを決めておきましょう。

見やすさを意識したコミュニケーションを心がける

ビジネスチャットでは改行や枠を用いて見やすさを意識したコミュニケーションを心がけましょう。

ビジネスチャットではテキストでのやりとりが基本になるため、みやすさを意識したメッセージを送付しなければ意図がうまく伝わらない可能性があります。

文章をより見やすくする方法としては、以下のような方法が挙げられます。

  • 伝えたいことを箇条書きにする
  • 改行で余白を作り、視覚的に見やすくする
  • 記号や「」などを用いて伝えたい文章を目立たせる

例えば、資料のチェックを依頼する際の文章は以下のように作成します。

〇〇さん、先日話していたA社のプレゼン資料が完成したので、確認お願いします。

●プレゼン資料
URL:〜〜〜
▲確認期日:◯月◯日

◆確認して欲しい箇所
1.資料の配色
2.◯ページの言い回しチェック

このように記号や改行、箇条書きを活用することで伝わりやすいメッセージを作成できるので、ビジネスチャットの利用の際には参考にしてください。

社内でのチャットは積極的にスタンプやリアクションを活用する

ビジネスチャットを社内で利用する際には、積極的にスタンプやリアクションを活用する社内風土の形成を心がけましょう。

メッセージにスタンプやリアクションを行うことで、社員同士のコミュニケーションが取りやすくなり、よりスピーディーなやりとりを実現できます。

例えば、メッセージにスタンプをつけて感情を表すことで普段では頼みにくい仕事の依頼ができたり、相手への指摘がしやすくなります。

そのほかにも「了解です」や「確認しました」などのメッセージを送付する代わりに、メッセージに対してリアクション機能(メッセージに対して絵文字を送る機能)を活用することで、取引先の対応中や忙しいタイミングでも返信できるようになります。

ただし、上記はあくまでも社内向けでのビジネスチャットの話であり、ビジネスの場面でスタンプやリアクションを行うと悪い印象を与える可能性があるため取引先と連絡を取る際には利用しないようにしましょう。


まとめ

本記事では、ビジネスチャットの主要機能や料金相場、導入のメリットやデメリットを解説しました。

ビジネスチャットの要点を簡単にまとめると、以下の通りになります。

  • ビジネスチャットとは多機能コミュニケーションツール
  • メッセージの送受信やビデオ通話、タスク管理などのさまざまな機能がある

ビジネスチャットを導入することで得られるメリットとデメリットは以下の通りです。

【メリット】

  • コミュニケーションを効率化できる
  • 業務の対応漏れを減らすことができる
  • 働き方改革の足がかりになる
  • 過去のメッセージを検索・確認できるため情報の見落としを予防できる
  • 誤送信してもメッセージを編集できるため情報漏洩を防ぐことができる

【デメリット】

  • 文面だけのやりとりを行っているとコミュニケーションエラーが発生する可能性がある
  • 過度なコミュニケーションが横行する可能性がある

ビジネスチャットにはそれぞれの強みや独自の機能を備えたツールがありますが、以下の3つのポイントを意識して自社に最適なツールを見つけましょう。

  • 取引先や業務委託先とも円滑にコミュニケーションを取りたいならシェア率の高いツールから選ぶ
  • 勤怠管理や社内SNSなどのグループウェアとして利用したい場合は機能性の高いツールから選ぶ
  • 試験的な導入や少人数で利用する場合は一人当たりの料金が安く最低限の機能が備わったツールから選ぶ