コスト削減とは?実施手順と成功させるための3つのポイント

コスト削減とは、会社の経費を削減し利益を増加させ、結果的に資金繰りにゆとりを持たせることです。

コスト削減を行うためには、現状かかっている全てのコストを洗い出し、削減できるコストを見つけ出さなければなりません。いくら削減するのか目標を策定し、削減方法を決めます。目標達成に向けて取り組みながら、PDCAをまわし、コスト削減を実行しましょう。

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この記事を最後までお読みいただければ、コスト削減の意味や削減方法などが理解できます。

コスト削減にどう取り組めばよいか頭を悩ませている担当者の方は、ぜひ、参考にしてください。

※本記事はBPOテクノロジー株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。


コスト削減とは資金にゆとりを生み出すこと

コスト削減とは、会社の経営にかかわる費用の中から不要なものや無駄なものを削除し、結果として会社の利益を増やし、運営資金にゆとりを生み出すことを指します。経費削減とも呼ばれています。

会社経営の中では、様々な費用が必要です。売上から経費を差し引いたものが利益となります。コストを削減すると売上に変動がない場合でも利益は増加します。

やみくもにコストを削減すると、経営に支障をきたすこともあるため注意が必要です。一方、適切なコスト削減を行うと、企業の利益向上につながります。


企業にかかるコストの種類

企業経営には、多様なコストがかかります。コスト削減を考えるにあたって、よく検討される主なものは次のとおりです。

コストの種類 具体例
人件費 従業員・パート・アルバイトなどに支払う給料、賞与、残業代、福利厚生費、法定福利費、退職金、社宅費、各種手当金など
採用費 採用のための広告費、インターンシップ代、採用説明会にかかる費用など
オフィスコスト オフィスの家賃、オフィスの備品、通信費、事務用品費、消耗品費、郵送料、ITコストなど
エネルギーコスト 電気代、水道代、ガス代
企業保険料 生命保険、損害保険

参考:経費削減のアイデア15選と、取り組みの優先順位の決め方│LISKUL
   【事例付き】5分でわかるコスト削減!必要なポイントや実施手順などを解説
   コスト削減のためのポイントとは?経費を抑えるアイデアや導入事例も解説

人件費

人件費とは、社員やアルバイト、パートなどに支払う給料や賞与を指します。

基本給だけでなく、各種手当や残業代、福利厚生費、法定福利費、退職金、社宅費なども人件費です。一般的に経費の中で最も費用割合の多いものが人件費となります。

人件費を減らすには、労働の効率を上げて残業を減らす、ITツール・アウトソーシングの活用などを検討してみましょう。

採用費

採用のための広告費、インターンシップ、採用説明会にかかる費用などが採用費です。

リクルート「就職白書2020」によると、2019年度の採用単価は次のとおりです。

  • 新卒採用:93.6万円
  • 中途採用:103.3万円

2018年度の平均採用単価は次のとおりで、増加傾向であることが見受けられます。

  • 新卒採用71.5万円
  • 中途採用83.0万円

採用費を削減するには、今の社員の定着率向上を目指しましょう。また、説明会をオンラインで行い担当者の交通費を削減するなど、ITツールの活用が効果を発揮することもあります。

参考:就職白書2020

オフィスコスト

オフィスの家賃、備品、通信費、事務用品費、消耗品費、郵送料、ITコストなどオフィスの運営にかかわる費用がオフィスコストです。

次に紹介するエネルギーコストもオフィスコストに含まれます。

オフィスコストを削減するには、家賃や通信費といった、固定費の見直しを行いましょう。固定費は一度見直すと毎月削減できるため、大きな効果を発揮します。

エネルギーコスト

電気代、水道代、ガス代などの水道光熱費をエネルギーコストと言います。

不要な場所に電気がついている場合は消すように努めましょう。

しかし、オフィスにおいては、頻繁に電気を消す、必要以上に寒暖を我慢するといった節約方法は現実的ではありません。蛍光灯をLEDに変更する、自然エネルギーの導入を検討する、など、業務に支障のない方法でエネルギーコストの削減を検討しましょう。

例えば、契約会社や契約プランにより、電気代やガス代は異なります。必要に応じて契約会社やプランを見直してみても良いでしょう。

参考:エネルギー白書2022

企業保険料

企業として、生命保険や損害保険に加入していることもあるでしょう。このような企業保険料もコスト削減の対象となります。

今加入している保険が、自社にとって適正な範囲かどうか見直しましょう。必要以上に多く加入している場合、補償範囲を見直すことが保険料低下につながります。

また、複数の保険会社や保険代理店などから相見積もりを取ることも、コスト削減につながることがあるため、検討してみましょう。


コスト削減の企業事例5選

実際にさまざまな企業がコスト削減に成功しています。

ここでは、5つの企業の成功事例を取り上げましたので、参考にしてください。

1.新規事業開拓で1年後に売上が27.3%増加

家具やインテリアを販売しているニトリは、コスト削減を伴う新規事業の開拓で1年後に売上を27.3%増加しました。

ニトリは、2017年6月に「渋谷公園通り店」を対象にした「手ぶらdeショッピング」をスタートしています。これは、顧客が実店舗で商品を見た後、ネットで買い物をするというサービスです。

渋谷公園通り店はビルの1~9階までの大型店舗ですが、大物家具を陳列すると全面積の半分近くを費やす必要があるため、売り場としての効率の悪さを課題としていました。

この効率の悪さを逆手に取り、「大物家具のショールーミングスペース化」という発想から生まれたのが同サービスです。同サービスの利用件数は2019年2月期で累計2万2000件となり、ニトリネットの2019年2月期の売上は前年比27.3%増の389億円となっています。 全売上(6081億円)に占める比率(EC化率)は6.4%まで上昇し、2019年2月期決算では32期連続の増収増益を達成しています。

ニトリは、実店舗への商品の運び込みをやめたことで、一度店舗に商品を運び込む手間とコストの削減に成功しており、同時に売上増加も達成しています。

参考:32期増収増益の『ニトリ』がつくった物流でもうかる仕組み

2.AIやRPAの導入により、業務効率化と約241億円のコスト削減に成功

PRAやAI(人工知能)の活用により、業務効率化と約241億円のコスト削減に成功したのは、携帯電話サービスなどを行っているソフトバンクです。

同社は2019年4月から2022年3月に「デジタルワーカー4000プロジェクト」を実施し、合計4,513FTE相当の業務時間を創出しました。

なお、1FTEとは、フルタイム勤務する人が1週間で処理できる仕事量を指します。

具体的には次のことをはじめ、3000以上の施策を実行しました。

  • 電子押印の導入
  • 各種事務作業におけるRPAの活用
  • 新卒採用選考におけるAI動画面接など

ソフトバンクはこの業務効率化の取り組みで、約241億円のコスト削減に成功しています。

参考:ソフトバンク、3年間の『DW4000プロジェクト』で約241億円のコスト削減

3.エネルギー技術の導入で電気使用量を約60%減

エネルギー技術の導入で、電気使用量を約60%削減したのは、コンビニエンスストアである、ローソン豊橋明海工業団地店です。

同社は、2014年11月12日に開店しました。

15種類にのぼるエネルギー関連技術を導入しており、通常店舗と比べて約2倍の導入コストを要しています。一方、電気使用量を2010年比で約60%削減できています。

特に電気使用量削減の効果が高かったものは次の2つです。

  • CO2冷媒冷蔵ケース
  • LED照明

太陽光や蓄電池、地中熱などの自然エネルギーなども活用しています。加えて、建物の断熱・遮熱性の向上にも力を入れており、様々な観点から電気代削減を考えた建物だといえます。

電気代のコスト削減には、新技術の導入を検討してみても良いでしょう。

参考:電気代を『60%削減』、コンビニで15種類の技術が光る

4.会計のデジタル化により年間14億円を削減

会計のデジタル化により年間14億円を削減したのは、コンビニエンスストアを展開している、セブンイレブンジャパンです。

2005年10月から会計システムをデジタル化し、伝票や帳票のペーパーレス化に取り組みました。

それまで、1年に発生する伝票や帳票など紙データのうち、およそ9割に当たる2億2,000万枚の削減に成功しています。

これにより、年間14億円の経費削減に成功しています。

加えて、同社では節電対策にも取り組みました。

  • およそ6900店舗の店内照明をLEDに変更
  • 空調温度の設定を上げる

結果として、1ヶ月あたりの電気代を約27%削減しました。

参考:セブン-イレブン・ジャパン、伝票類の9割をペーパーレスに
jinjerBlog「経費削減の成功事例を紹介!経費削減の方法や実現させるポイントを解説」

5.固定電話の75%廃止で約10億円の通信料削減へ

固定電話の75%を廃止して、約10億円の通信料を削減したのが、金融サービスを提供している三菱UFJ銀行です。

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務を余儀なくされた企業は少なくありません。三菱UFJ銀行もその1つです。

在宅勤務時の課題のひとつに電話対応がありました。同行では、それまで使用していた固定電話の75%を廃止し、新たに「法人用スマートフォン」を導入しました。

固定電話の廃止により約10億円の通信料の削減が見込まれると言います。 加えて、割安プランを持つ法人用キャリアのスマートフォンを導入することで、コスト削減を図っています。

参考:【三菱UFJ銀行が固定電話75%廃止で10億削減?】法人スマートフォンのメリット


企業でコスト削減をする際の流れ

企業でコスト削減するには、次の6ステップが欠かせません。

  1. 現状の全コストを洗い出す
  2. 削減できそうなコストを検討する
  3. 効果・方法を分析する
  4. 目標を策定する
  5. 具体的な削減方法を設定する
  6. PDCAサイクルに基づいて振り返る

それぞれの工程について詳しくみていきましょう。

①現状の全コストを洗い出す

最初に、現状の全コストを洗い出します。

コストとは、利益を得るために必要な企業活動の全ての費用を指します。実際には人件費、採用費、オフィスコストなど、現在かかっている全てのコストを洗い出しましょう。

②削減できそうなコストを検討する

現状コストの中で、削減可能なコストを洗い出します。

全コストを、必要なコストとそうでないコストに大まかに仕分けます。その後コストの、優先順位を決めましょう。

絶対に削減できないコストから順に並べていき、リスト化します。後の方に並んだコストは削減できる可能性があるといえます。

③効果・方法を分析する

コスト削減の効果や、削減方法の調査を行います。

例えば、同業種の企業事例などを調査し、自社に無駄なコストがどのくらいあるのか、削減方法はあるのか、といった観点から経費を分析します。

ただ単価を下げるだけでなく、運用方法の変更なども視野に入れ、徹底的に改善可能性を探りましょう。

④目標を策定する

ステップ3で分析した結果、削減可能だと判断したコストを中心に、以下のように削減目標を設定しましょう。

  • 達成項目(何のコストを削減するか)
  • 達成基準(何円削減するか)
  • 目標期限(いつまでに達成するか)

上記3項目を決め数値化し、次のステップに移ります。

⑤具体的な削減方法を設定する

目標を達成するための具体的な削減方法を設定しましょう。

削減により、事故や過度な負担が発生する可能性がないかを推測・確認したうえで選択します。

削減方法を試行する前に、社内周知の徹底が欠かせません。

以下の記事でコスト削減の具体的な方法やアイデアについてまとめています。

参考:経費削減のアイデア15選と、取り組みの優先順位の決め方│LISKUL

⑥PDCAサイクルに基づいて振り返る

ステップ5を実施したら、PDCAサイクルに基づいて振り返ります。

PDCAとは、次の4つです。

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(評価)
  • Action(改善)

実行して、コストがうまく削減できなかった場合、評価、改善を行います。

なるべく担当者ではない従業員からも客観的な視点での改善案を収集するようにすると、より良いアイデアが出てくるでしょう。

参考:【完全版】コスト削減とは?今さら聞けない意味や考え方、削減方法を紹介


コスト削減で成功するための3つのポイント

コスト削減で成功するためのポイントは次の3つです。

  • 固定費から削減する
  • ノンコア業務をアウトソーシングする
  • 社内環境の改善

それぞれについて詳しくみていきましょう。

固定費から削減を図る

固定費からコスト削減を図りましょう。固定費を一度削減すると、毎月のコスト削減につながります。

例えば、IT化により、単純な業務効率化だけでなく、ペーパーレス化による印刷費・用紙代などの固定費削減につながります。

一般的に、削減可能な固定費は、「人件費」「保管費」「消耗品費」「光熱費」などです。今の賃料が高く、オフィスの引っ越しや移転が可能であれば「家賃」を視野に入れて検討してみても良いでしょう。

ノンコア業務をアウトソーシングする

ノンコア業務をアウトソーシングすると経費削減につながります。

業務は企業活動に直結する「コア業務」とそのコア業務をサポートする「ノンコア業務」に分かれています。コア業務は専門性を有しており、企業活動の根幹を担う業務なので、社内の担当者のリソースを優先的に割くべきです。一方ノンコア業務は定型化しやすい業務が多いため、外部リソースなどを活用して効率化するほうが費用対効果が高まります。

ノンコア業務に従事していた社員リソースをコア業務に集中させることが可能になるので、生産性向上にも期待できます。

雑務にかかっていた時間が短縮されることで社内リソースが確保できるようになるので、企業の「人手不足」の解消にもつながります。

社内環境を改善する

社内環境を改善すると、離職率防止につながり中途採用費などが抑えられるため、コスト削減につながります。

採用コストを削減するには、離職率低下につながるよう、社内の環境を改善するのも1つの方法です。

例えば、「従業員個々の能力に合った配置」「キャリアアップの支援」「定期的なヒアリング・1on1の実施」などを行い、社内環境を改善して離職率を低下させることが、コスト削減につながります。

参考:【応募が来ない原因と対策】応募したくなる採用サイトの作り方│LISKUL
   リファラル採用が注目を集める理由と3つのメリット、導入までの流れ│LISKUL


やってはいけない3つのコスト削減

やってはいけないコストの削減方法は次の3つです。

  • 商品・サービスの質を下げるコストの削減
  • 従業員のモチベーションを下げるコストの削減
  • 生産性にかかわるコストの削減

コスト削減と聞くと、手あたり次第コストを削減したくなることもあるでしょう。しかし、コストを削減した結果、売上が低下してしまった場合、コスト削減は成功とは言えません。

そのために、特に注意すべき3点について詳しくみていきましょう。

商品・サービスの質を下げるコストの削減

商品・サービスの品質を下げるコスト削減を行ってはなりません。

商品やサービスの質を落とすと、売上低下につながります。顧客からの信頼を落とすことにもつながるため、注意しましょう。一度離れてしまった顧客を元に戻すのは困難です。

コスト削減の最終的な目標は利益向上により資金にゆとりをもたせることです。売上を下げてまでコストを削減するのは本末転倒といえるでしょう。

そのため、原材料コストやサプライチェーン(生産ライン)にかかるコストの見直しを行う際は、品質を落とさないよう注意しなければなりません。

従業員のモチベーションを下げるコストの削減

従業員のモチベーションを下げるコスト削減を行ってはなりません。

従業員のモチベーションが下がると、生産性の低下につながることがあります。また、モチベーションの低下により従業員が辞めると、新たな採用費が必要となるため、結果としてコストが増加します。

例えば、福利厚生などを経費削減の対象とすることがありますが、従業員側の意見を聞いたうえで判断するようにしましょう。

また、コスト削減によって従業員の業務量が従来と比較して増加することのないよう注意が必要です。例えば、コスト削減のために業務内容を見直すことなく従業員の数だけを減らした場合、残った社員の仕事量は増加します。このように、経費削減により余計な業務が増加すると、それまではなかった余計な業務や残業が増加し、モチベーション低下につながります。

コスト削減を行う前に、そのコストの削減が従業員のモチベーション低下につながらないかどうか、確認しましょう。

生産性にかかわるコストの削減

生産性にかかわるコスト削減を行ってはなりません。 例えば、重要なデバイスやツールのスペックを下げることで、業務効率が大幅に落ちる可能性が生じます。また、機械のメンテナンスを行うと、事故につながる恐れが生じることにもなりかねません。

業務効率の低下防止や安全配慮義務の観点から、生産性にかかわる部分から必要なコストを削減しないよう注意しましょう。

参考:コスト削減の4つのアイデア!失敗しがちなポイント・成功事例を解説


まとめ

コスト削減とは、会社の経営にかかわる費用の中から不要なものや無駄なものを削除し、結果として会社の利益を増やし、運営資金にゆとりを生み出すことを指します。

人件費や採用費など、コストの中で多くを占めているものについて削減可能かどうか検討してみましょう。固定費は一度削減すると、長く効果が持続します。

ただし、生産性の低下や商品・サービスの品質低下、従業員のモチベーション低下などがおきないよう注意が必要です。

アウトソーシング業者の利用がコスト削減につながることも少なくありません。

全コストを洗い出し、削除できそうなコストを探します。目標を立てて、それに向かって削減を行います。コスト削減を実現するには、全社員への周知徹底が欠かせません。一度でコスト削減を成功させるのは困難です。PDCAを回して、改善しながらコスト削減や利益向上を目指しましょう。

※本記事はBPOテクノロジー株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。

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