Cookie規制で欠損したデータを補完する「コンバージョンAPI(CAPI)」を実装して広告効果を最大化する方法

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デジタル広告業界で昨今話題のCookie規制。
Cookieには「1st party Cookie」と「3rd party Cookie」の二つがあり、現時点で規制の対象になっているのは、主に、第三者ドメインが発行する3rd party Cookieです。

3rd party Cookieは、ドメインをまたいで広告出稿や効果測定ができる便利な仕組みである一方、個人情報やプライバシーの観点から問題視されはじめました。2024年後半にほとんどのウェブブラウザで利用できなくなってしまうことが予測されています。

正確にデータを計測できなくなると、デジタル広告のパフォーマンスに影響を及ぼし、多くの広告主にとって悩ましい状況になってしまうのです。

そこでデータ補完対策として各広告媒体がリリースしたのが、「コンバージョンAPI」という機能
広告主の1sa party DataをAPI経由で媒体に送信します。

本記事では、コンバージョンAPIの重要性や導入方法、成果改善につながった事例をご紹介します。

「コンバージョンAPI」の実装を簡単にするデータマネジメントツール「DATA CONTROL(データコントロール)」

監修者

小野 友嘉(おの ゆうか)
ソウルドアウト株式会社 マーケティングテクノロジー本部 本部長
2015年ソウルドアウトに入社。ソウルドアウトの開発・プロダクト責任者を務める。2021年フィードやタグに関する深い知見、かつ最高水準のCriote広告の運用実績が認められ国内3名の「Criteo Expert」に認定。

※本記事はソウルドアウト株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。


Cookie規制がデジタル広告に及ぼす影響

現時点でCookie規制の対象になっているのは、主に、第三者ドメインが発行する3rd party Cookieです。
前述のとおり、3rd party Cookieは、個人情報やプライバシーの観点から問題視され、規制が敷かれる範囲が広がっています。

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Cookie規制は、デジタル広告のパフォーマンスに影響を及ぼしています。

広告タグからのシグナル量が減少し広告パフォーマンスが悪化

Cookie規制の影響で、広告タグからのシグナル量は減少傾向にあります。
次章で詳しく記載する、プラットフォーマーの動向を考えると、2025年以降は【3rd party Cookieは無効】【1st party Cookieは1日のみ有効】となることも予想できるからです。

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DATA CONTROL3広告タグから取得できるシグナル量のイメージ。2017年以降、ITPの影響で広告タグからのシグナル量は減少傾向にあります。

ソウルドアウトでサポートしている、ある案件の広告管理画面上の配信実績をご紹介します。

DATA CONTROL4ある案件の広告管理画面上の配信実績。iOS14.5のアップデートを境に、獲得率の悪化・獲得数の減少がみられます。

特に、ITPに大きな影響を与えたiOS14.5(※)のアップデート以降、緩やかに獲得数は減少しています。
※iOS14.5では、「ATT(App Tracking Transparency)」と呼ばれる新しいプライバシー機能が追加されました。アプリがユーザーをトラッキングする場合、ユーザーにトラッキング許可のポップアップが表示されます。
(参考:iOS 14.5は、Apple WatchでiPhoneのロックを解除する機能、多様なSiriの声などを提供|apple

デジタル広告における機械学習は、広告管理画面のデータをもとに行われています。広告管理画面上でデータが減ってしまうと、機械学習が進まず、ターゲティングやパフォーマンスに悪影響を及ぼすのです。


Cookie規制の背景

では、前述のように広告のデータ計測に影響を与えている、Cookie規制の内容を詳しく見ていきましょう。

  • 国内外の法律による規制
  • プラットフォーマーによる規制

の二つの側面から紹介します。

国内外の法規制

国外の法規制

世界的には、

  • EU(欧州連合)|GDPR(一般データ保護規則)
  • 米国・カリフォルニア州|CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)

など、プライバシー保護への意識が高まり法規制が進んでいます。

EU(欧州連合)でのGDPR(General Data Protection Reguration:一般データ保護規制)とは、2018年5月に定めたられた、EU(欧州連合)およびEEA(欧州経済領域)に居住する個人からの個人情報の収集と処理、および保管に関するガイドラインを定めた法律枠組みです。
世界で最も厳しいプライバシー保護のための法律とも言われており、違反した際には多額の罰金が科せられます。
GDPRの施行を受け、世界各国でプライバシーに関する取り決めを見直す取り組みが活発になりました。

米国・カリフォルニア州でのCCPA(California Consumer Privacy Act:カリフォルニア州消費者プライバシー法)とは、2020年1月に適用が開始された、州民のプライバシー権を保護し、消費者の個人情報を扱う事業者には適正管理の義務を定めた法律です。
米国で最も人口が多く、世界的にも有名なIT企業が集まるカルフォルニアでCCPAが施行されたことによって、米国だけではなく、世界各国へ大きな影響を与えています。

参考:
EU(外国制度) GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則|個人情報保護委員会
EU一般データ保護規則(GDPR)の概要(前編) | NTTデータ先端技術株式会社
EU一般データ保護規則(GDPR)の概要(後編) | NTTデータ先端技術株式会社
California LEGISLATIVE INFORMATION
カリフォルニア州 消費者プライバシー法(CCPA)の概要 | NTTデータ先端技術株式会社

国内の法規制

次に、国内での動向です。

・改正個人情報保護法:2022年4月施行
氏名と結びついていないインターネットの閲覧履歴、位置情報、Cookie情報は、個人関連情報と定義され、利用規制がなされます。
Cookieなどの個人関連情報を第三者に提供し、個人情報と紐づける場合には、本人の同意を得る必要があるのです。

例えば、Webサイトで「Cookie使用について同意」をポップアップで表示する方法などが挙げられます。

個人関連情報取扱事業者が、提供先が個人関連情報を個人データとして取得することが
想定されるときは、あらかじめ当該個人関連情報に係る本人の同意等が得られていることを
確認しないで、当該個人関連情報を提供してはならないこととするもの。

引用:第171回 個人情報保護委員会資料4 改正法に関連するガイドライン等の整備に向けた論点について(個人関連情報)|個人情報保護委員会

・改正電気通信事業法:2023年6月施行
電気通信事業者は、Cookieデータを含む利用者に関する情報を第三者に提供する(外部送信する)場合に、「外部送信情報の通知・公表」「事前に利用者の同意を得る(オプトイン)」「あとから拒否できる(オプトアウト)機会の提供」のいずれかの対応をすることが義務付けられました。

電気通信事業を営む者(ウェブサイト運営者、アプリケーション提供者等)は、利用者の端末に外部送信を指示するプログラムを送る際は、あらかじめ、送信される利用者に関する情報の内容等を、通知・公表(利用者が容易に知り得る状態に置く)等しなければなりません。

引用:外部送信規律|総務省

国内外で企業におけるCookieにまつわるデータ利用に関して規制が進んでいることが分かります。加えて、プラットフォーマー自身もプライバシー強化の動きをみせています。

国内でシェア率の高いWebブラウザで規制

Google社は、2024年後半にWebブラウザ「Chrome」で3rd party Cookieの利用を段階的に廃止すると発表しました。

参考:Chrome ブラウザでのサードパーティ Cookie の段階的廃止に向けた次のステップ

Apple社は、Webブラウザ「Safari」でCookieを規制してトラッキング(追跡)を防止する機能「ITP」を実装し、年々バージョンアップしています。2018年から1st party Cookieの利用も制限しており、現在のOS(iOS)では1st party Cookieの保存期間は24時間にまで制限されています。また、2020年3月には3rd party Cookieを完全に削除する規制が敷かれました。

参考までに、日本におけるWebブラウザの使用率を見てみます。

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引用:Browser Market Share Japan | Statcounter Global Stats

2024年1月時点でのシェア率は、Chromeが54.81%、Safariが25.51%という結果になっています。ChromeとSafariだけで全体の約80%のシェアを占めていることが分かります。

現在、そのChrome(Google社)、Safari(Apple社)で3rd party Cookieの規制が強化されているのです。つまり何も対策をしない場合、この約80%のデータを取りこぼしてしまうとも言えるでしょう。

以上のように、国内外の法規制、国内でシェア率の高いWebブラウザでの規制が進むことで、3rd party Cookieを活用したデータ計測は今後さらに難しくなっていくでしょう。そこで、Cookieに依存しないデータ計測環境の構築が求められています。


コンバージョンAPIの重要性

Cookie規制の厳格化が進むなか、各広告媒体は、広告主がもつ1st party Dataを活用した補完機能をリリースしています。

Cookieに依存しない計測環境の構築が必須

正確なデータ計測を行う手段の一つとして注目されている機能が、冒頭にご紹介した「コンバージョンAPI」です。1st party Dataを、広告主のサーバーからAPI経由で広告媒体のサーバーへ直接送信します。

下図は、Meta広告においてコンバージョンAPIを実装した際のイメージです。

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従来の広告計測はMetaピクセル(広告タグ)によって行われていました。しかしコンバージョンAPIの導入で、広告主のサーバーからMeta広告のサーバーへと直接データを送信できるようになります。


コンバージョンAPIとMetaピクセルによる広告配信の最適化

では具体的にMeta広告で実装する際のポイントを説明していきます。

コンバージョンAPIとMetaピクセルを同時に利用してデータ量を増やす

Metaは、コンバージョンAPIとMetaピクセルの同時利用を勧めています。併用することで、計測の取りこぼしを防ぐだけではなく、計測の精度を向上させ、データ量を増やし、広告の最適化につながるのです。

DATA CONTROL7管理画面でも「Recommended」されています。

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従来のMetaピクセルでは、オンラインコンバージョンのみの計測でした。しかし、コンバージョンAPIを導入することで、オフラインコンバージョンも計測可能になり、より多くのデータを収集できるのです。

また、さらなる広告効果の最大化のためには、Metaピクセルの設計も重要なポイントです。

Metaピクセル「標準イベント」を適切に設計して広告効果を最大化

Metaピクセルは、

  • ピクセルベースコード
  • 標準イベントコード
  • カスタムデータパラメーター

からできています。

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・青枠:ピクセルベースコード
ユーザーの行動追跡や、イベントの計測をするために必要となる機能を実行するためのコードです。

・赤枠:標準イベントコード
ユーザーの行動を記録。例えば、商品の閲覧や購入、支払い情報の追加など、具体的なアクションに対応します。

・緑枠:カスタムデータパラメーター
「標準イベントコード」に加え、閲覧・購入した商品IDや価格、通貨など、より細かな情報を送ります。

Metaピクセルの設計において重要なのは、サイト構造とビジネスモデルを理解し、ユーザーフローに合わせて上記の「標準イベントコード(赤枠)」と「カスタムデータパラメーター(緑枠)」を組み合わせることです。

適切な設計ができると、日々進化する広告媒体の機械学習において、より多くの「良いデータ」を送ることができるようになります。

下図は、実装する設置ページと、標準イベントの種類(赤枠)の一覧です。

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例えば、「カートに追加」というアクションであれば、標準イベントコードとカスタムデータパラメーターの記述は下記の通りです。

fbq('trackSingle', '{{facebook_pixel_id}}', 'AddToCart', {
content_type: 'product',
content_ids: ['<<<アイテムID1>>>','<<<アイテムID2>>>','<<<アイテムID3>>>'],
value: '<<<価格>>>',
currency: 'JPY'
});

参考:Metaピクセル標準イベントの仕様 | Meta Businessヘルプセンター

Meta広告に送信できるすべてのカスタムデータパラメーターは、サポートサイトを参考にしてみてください。

参考:Standard Parameters – Conversions API – Documentation – Meta for Developers

特にECや不動産、人材など、多品種の商材を扱っている場合、ユーザーの性質も多様なので、標準イベントの設計はかなり重要になってきます。
複数の標準イベントを設置して計測できるシグナルを増やし、計測環境を最適化すれば、パーソナライズされたターゲティングができ、広告効果の最大化につながるでしょう。

そうはいっても、標準イベントを【正しく】【できるだけ多く】設置することは、非常に高度なスキルが必要です。

コンバージョンAPIとMetaピクセルを併用し「重複処理」を行う

また、MetaはコンバージョンAPIとMetaピクセルの併用と同時に「重複処理」を推奨しています

コンバージョンAPIとMetaピクセルは、同じピクセルIDをキーとしてデータの補完・代替をしています。例えば、Webサイトの購入完了ページでコンバージョンAPIとMetaピクセルを併用して計測をしている場合、「購入」アクションが行われた際には、対象のピクセルIDに対して双方からデータの送信が行われます。このとき、データ送信のみだと、同じユーザーからの「購入」として処理されません。

下図は、コンバージョンAPIを実装しているものの、正しく重複処理の対応がされていないWebサイトで「購入」アクションが行われた際のイメージです。

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重複処理がされていないため、媒体は「購入」を2件とカウントしてしまっています。

つまり重複処理とは、コンバージョンAPIとMetaピクセル双方から送られる同一のイベントデータを媒体側でマッチングするために必要な対応であり、正しく設計されないと、上図のようにイベントデータが重複カウントされたり整合性が取れなくなったりしてしまうのです。

加えて、すべてのファネル(「カートに追加」「購入」など)で「イベントID」を発⾏した重複処理が必要です。実装には、開発コストやサーバー代などの費用が追加でかかってしまう場合もあります。

下図は、重複処理を行なったときのイメージです。イベント(event_name)は、標準イベントを指定するもので、ここでは「購入」を指します。イベントID(event_id)は任意の文字列を割り当てて実装します。イベントIDは、コンバージョンAPIとMetaピクセルで同じ値を指定しないと重複処理が正常に行われないため、非常に難易度が高いです。

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例えば、Metaピクセル側での実装では、
▸重複処理がないとき
fbq('track', 'Purchase', {value: 12, currency: 'USD'});

▸重複処理があるとき
fbq('track', 'Purchase', {value: 12, currency: 'USD'}, {eventID: 'EVENT_ID'});

となります。

コンバージョンAPI側では、JSON(JavaScript Object Notation)データに「eventID: ‘EVENT_ID’」を指定します。

上記で双方のイベントIDがマッチすると、同一のイベントとして判断されるのです。

参考:重複したピクセルイベントとコンバージョンAPIイベントの処理
   コンバージョンAPIのエンドツーエンド実装


まとめ

広告主さまにとって、Cookie規制の影響は広告パフォーマンスにダイレクトに影響を与えます。特に、大企業に比べて予算が限られる中小企業ほど、Cookie規制への早めの対策が必要です。

Cookieに依存せずに安定した計測を行える環境を構築し、データを補完することで、機械学習を促進、広告効果の最大化を目指しましょう。

コンバージョンAPIの実装と標準イベントの適切な設計を実現する「DATA CONTROL」(PR)

コンバージョンAPIの実装と、標準イベントの適切な設計や重複処理を行える環境構築のためには、プログラミングとマーケティングの専門スキルが必要です。工数・人員・知識の観点から実装難易度が非常に高く、エンジニアによるサポートも必須になってきます。

コンバージョンAPIの実装を簡単に行う

ソウルドアウトでは、「コンバージョンAPI」の実装を簡単にするデータマネジメントツール「DATA CONTROL(データコントロール)」を開発・提供しています。

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3rd party Cookieの無効化によって近い将来起こりうる広告タグからのシグナル量の減少を、1st party Dataを連携して追加することで防ぐことができます。

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DATA CONTROL15広告タグから取得できるシグナル量のイメージ

ここまでお伝えしてきた、コンバージョンAPIの実装と、標準イベントの適切な設計や重複処理を行える環境構築で、大幅に広告効果を改善できた事例をご紹介します。

【成果事例1】Meta広告で、獲得数2倍・獲得単価10%改善

BtoB事業会社の事例で、コンバージョン(獲得)地点は問い合わせ完了です。

▍施策
・「DATA CONTROL」の導入(コンバージョンAPIの実装)+標準イベントの設計

▍効果
・獲得率が大幅に上昇したため、配信量を増やす(広告予算を投資する)ことができ、獲得数が拡大
・獲得数は2倍に増加し、獲得単価は10%改善

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【成果事例2】LINE広告で、獲得数9倍・獲得単価90%改善

BtoC(店舗)事業会社の事例です。

▍背景
・LPの遷移先に設置していた申し込みフォームが別ドメインだったため、計測が十分にできておらず、広告管理画面上でコンバージョンが大幅に減少していた

▍施策
・「DATA CONTROL」の導入(コンバージョンAPIの実装)

▍効果
・獲得数は9倍に増加し、獲得単価は90%改善

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DATA CONTROL

「DATA CONTROL」はMeta社からもお墨付きをいただいたツールでもあります!ぜひ、ご興味のある方はお問い合わせください。

DATA CONTROLの特徴

  • Meta(Facebook・Instagram)広告、LINE広告、X広告、ヤフー広告、TikTok広告Pinterestアドが提供する「コンバージョンAPI」と接続済
  • 企業の顧客データ(1st party Data)と広告配信プラットフォームを連携する「カスタマーマッチ機能」を搭載。広告配信・計測の両側面でCookie規制対策が可能

参考:コンバージョンAPI対応ツール「DATA CONTROL」、 新たに「Pinterest Conversion API」との接続を開始 | ソウルドアウト
   企業が保有する顧客データと広告メディアを連携する”カスタマーマッチ” 機能をデータマネジメントツール「DATA CONTROL」へ搭載 ~ ポストCookie時代における広告成果の最大化に向けた打ち手を中小企業向けに提供開始 ~ | ソウルドアウト

また、本記事でご紹介したように、Meta広告では標準イベントの適切な設計も重要です。ソウルドアウトでは、広告主さまの業種・業態に合わせて設計のサポートもしています。

興味がある方は、以下のリンクから資料をダウンロードできるので、ぜひご覧ください。

「コンバージョンAPI」の実装を簡単にするデータマネジメントツール「DATA CONTROL(データコントロール)」

※本記事はソウルドアウト株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。

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