ファクタリングとは?図解でわかりやすい解説・手数料・違法会社を避ける7つのポイント

ファクタリング (factoring)とは、企業が保有している売掛金をファクタリング会社が買い取る仕組みです。売掛金が支払いサイトの期日前に現金化でき、万が一売掛先が倒産した場合の支払いリスクを回避できるメリットがあります。最近では、経済産業省が積極的に周知し、注目を集めています。

ファクタリングには、メリットが多い一方、手数料がそれなりにかかったり、一部の悪徳業者・違法業者によってトラブルに巻き込まれる中小企業も一定数いるようです。(参考:ファクタリングに関する注意喚起:金融庁

本記事では、図解を用いて、ファクタリングの意味をわかりやすく解説するとともに、手数料の相場や、トラブルに巻き込まれないように知っておきたい7つのポイントについても説明します。

本記事を読むことで、ファクタリングを有効利用して、キャッシュフローの改善に取り組むための基礎知識がかんたんに身につきます。

ファクタリングの基礎知識が身に着き、利用を検討する際には、検索結果に頻出のファクタリング会社を一覧にまとめましたので合わせてご覧ください。

目次


ファクタリングの意味を図解でわかりやすく説明

ファクタリングとは?

ファクタリングの概要と仕組みを説明します。

ファクタリング概要

ファクタリングとは、企業の持つ売掛金や受取手形などを業者へ売却することで、売掛金を早期資金化することです。これから手に入る予定の売上金を先に回収する方法と考えれば良いでしょう。

ファクタリング

引用:九州ファクタリングサポート|ファクタリングで全国の中小企業を応援!|トップページ

オンライン完結の「クラウドファクタリング」も

最近では、AIや機械学習の技術を活用した審査で人件費を抑え、低い手数料を提供する「クラウドファクタリング」も注目です。申込から契約まで全てオンラインで完結するため、全国・24時間どこからでも申込が可能となっています。

参考:クラウドファクタリングとは?

ファクタリングを利用すべき状況

以下のような場合はファクタリングを利用するべきです。

・銀行融資を断られてしまった
・売掛金の入金まで時間がかかる
・銀行、取引先に知られず資金調達したい

続いて、ファクタリングのメリット・デメリットを紹介します。

ファクタリングのメリット・デメリット

ファクタリングのメリット

・売掛金の早期資金化
・売掛先の財務状況が悪くなり、倒産した場合も支払いリスクは発生しない。
・事業運営に使用している資産・負債でも、貸借対照表(バランスシート)に計上されない

ファクタリングのデメリット

・売掛債権の金額範囲内のみ、資金化できる。そもそも売掛金がない場合はできない。
・ファクタリング会社への手数料が必要。
・3社間での取引となった場合、売掛先企業の承諾が必要。


ファクタリングの仕組み

ファクタリング業者は企業から手数料を受取り、売却額を支払い、後日ファクタリング業者は売掛債権の回収を行う仕組みです。

たとえば、手形取引では売掛金を回収するためには期日まで待たなくてはいけません。銀行融資は担保も必要となるし、何より審査などで時間がかかります。

そういった素早く資金調達したい場面では、手数料を支払って、売掛金を現金化することでキャッシュフローを素早く改善できます。

ファクタリングには2社間と3社間がある

ファクタリングの種類について説明していきます。ファクタリングには、売掛先企業の承諾が必要な3社間と、取引先に売掛債権の現金化がわからない2社間でおこなうものがあります。

できるだけ低い手数料で資金を調達したい場合は、3社間ファクタリング

ファクタリング

引用:ファクタリングに必要な5つの書類とその理由|資金調達プロ
※売掛先企業はファクタリング会社にファクタリング契約について承諾している必要があります。

3社間で売掛債権をファクタリングする場合は取引先の了承が必要です。まずファクタリング業者に売掛債権を買い取ってもらいます。次に取引先からファクタリング業者へ売掛債権の支払いをおこないます。

この取引先からファクタリング業者への支払いに伴い事前に了承が必要となります。

取引先の承認が必要ですが、手数料が少なく済むため、できるだけ多くの資金を調達したい場合は、3社間ファクタリングを利用すべきです。

メリット
・現金化できる金額が大きい。
・掛目が少なくなくすむ

デメリット
・取引先との契約、調整が必要

ファクタリングサービス利用時には2社間・3社間に対応しているかを確認しましょう

ファクタリングサービスの提供企業によっては、2社間のみ対応している場合、3社間のみ対応している場合、2社間・3社間のどちらにも対応している場合があります。サービス利用時には、あなたが求める形に対応しているかを事前に確認しましょう。


ファクタリングの手数料・諸費用・必要書類

ファクタリングの手数料や諸費用について説明します。

3社間ファクタリングの場合は、手数料は安くなります。売掛債権の1%〜5%程度です。2社間ファクタリングの場合、手数料が高く売掛債権の10%〜30%程度となります。

一般的に2社間ファクタリングの手数料が高い理由は、ファクタリング利用会社が回収した売掛金をファクタリング会社へ支払わないリスクがあるためです。一方3社間の場合は、売掛金は取引先企業から回収するためリスクが少なく、その分手数料も安くなっています。

一方、クラウドファクタリングの場合は、AI審査とオンライン完結でコストを削減し、低い手数料でのファクタリングが可能です。

参考:ファクタリングにかかる手数料の相場と、安く利用するための3つのコツ

2社間ファクタリングの具体例

売掛債権 100万を一般的な2社間ファクタリングで現金化した場合の例は以下のようになります。
売掛債権:100万 x 手数料 20% = 現金化:80万

※多くのファクタリング会社は固定費用だけで10万以上必要となるため、手数料は10%〜30%となる。

手数料20%の内訳

一般的には以下の手数料が必要です。ファクタリング会社手数料は会社毎に異なりますが、登記費用や印紙代金などは大きく違いません。

・ファクタリング会社手数料 70,000円
・登記費用 80,000円
・紹介料 30,000円
・印紙代等 20,000円

登記費用の内訳

登記費用とは売掛債権の譲渡の際に司法書士の手続きに対する報酬となります。

・債権譲渡登記及び抹消時事務代行報酬
・債権譲渡契約書作成事務代行報酬

印紙代等明細

債権譲渡には司法書士への報酬以外にも印紙代など必要となります。

・債権譲渡契約書印紙代:200円
・登録免許税(債権譲渡登記):7500円
・登録免許税(抹消登記):1000円
・登記事項証明書交付:500円
・振込手数料:100円~864円
・他、事務手続き費用・日当・交通費等

ファクタリング契約で準備する書類

ファクタリング契約には利用会社側でも書類の準備が必要です。
準備する書類は契約するファクタリング会社により異なります。
以下は一般的な例ですが、ファクタリング業者によっては決算書、試算表、売掛先企業と取引している証拠となる書類が必要な場合もあります。

以下書類を準備する場合は費用が必要となります。一般的な費用を記載します。

・商業、法人登記簿謄本:600円
・法人代表者登記印鑑証明書:450円
・納税証明書:200~400円など


ファクタリングと銀行融資の違い

銀行融資とファクタリングではどういった違いがあるのでしょうか。比較しながら説明していきます。
※実際の銀行融資の状況は、各企業の信用状況によって異なります。

資金調達の時間

銀行融資の場合

資金調達までの時間は1ヶ月程度必要です。必要な書類を準備し、審査があるため時間がかかります。

ファクタリングの場合

ファクタリング会社によるが最短だと即日ということもありえます。少なくとも数日程度で資金調達が可能です。

どうやって決まる?ファクタリングの手数料の計算法と内訳とは

銀行融資の場合

年間数%の金利であり、手数料は安くおさえることができます。

ファクタリングの場合

売掛債権の手数料(掛目)は2%〜25%程度でファクタリング業者によって異なる。銀行融資と比較すると割高です。

資金調達

銀行融資の場合

担保と審査が必要になります。また、融資は「借入金」であり返済義務と金利が発生します。

ファクタリングの場合

ファクタリングは借り入れではないので金利が発生しません。当然、借入ではないので返済義務もありません。これは既に発生している売り上げの金額を先にもらうファクタリングのメリットです。さらに最短1日から数日で素早く資金を調達することができます。

取引先に売掛債権の現金化がわからない、2社間ファクタリング

ファクタリング3

引用:ファクタリングに必要な5つの書類とその理由|資金調達プロ

ファクタリング業者との2社間で取引をおこないます。まずファクタリング業者へ売掛債権を買い取ってもらいます。そして取引先から債権の支払いを受けたら、ファクタリング業者へ支払うことで成立します。

取引先や銀行に知られることなく資金を調達したい場合は、一般的に手数料は多くかかりますが、2社間ファクタリングを利用すべきです。

メリット

・取引先に売掛債権の現金化がわからない

デメリット

・手数料が高くなる(売掛金の70%程度)


違法業者やトラブルを回避するための7つのポイント

ファクタリング契約においてトラブルを回避すべく事前に知っておくべきポイントを説明します。

1.条件が非常によいが、手数料は30%以上の場合

ファクタリングで資金調達をおこなうのに手数料が高いと調達資金が少なく意味がありません。手数料は一般的に15%〜25%で収まるファクタリング業者がほとんどです。ファクタリング業者を選ぶときには手数料30%以上の業者は除外しましょう。

2.2社間ファクタリングで手数料が約5%と非常に安い価格

2社間ファクタリングはファクタリング業者がリスクを負う以上、手数料は3社間に比べると割高になるのが一般的です。安い手数料を売りにしているファクタリング業者の中には、別のところで利益を出そうとする悪徳な業者も存在します。別途何かしらの形で料金を請求される可能性もあるので、気をつけるべきです。

ただし、最近ではオンライン完結のサービスでコストを抑え、5%前後の手数料だけで対応しているベンチャー企業などもあるようです。

3.2回目以降の手数料が安くならない

初回の手数料は高めに設定され、2回目からは手数料が安くなるのが一般的です。2回目以降の取引でも手数料が高いままの場合は別のファクタリング業者を別のファクタリング業社を検討しましょう。

4.ファクタリング業者が手数料を明確にしない

ファクタリング業者は手数料で収益をあげますが、一般的に契約前に手数料がわかります。手数料によって最終的に入金される金額がかわってくるためです。

もし、手数料を書類にしっかりと明記されず最終的な入金額がはっきりとしない場合は取引を中止しましょう。曖昧なまま話を進めて契約にもっていく業者なら注意が必要です。請求される手数料が高額なると考えられます。

5.予定されていた手数料以上に請求される

ファクタリング業者の担当者が口頭でいっていた手数料と実際の契約書の内容が異なるケースもあります。書面により手数料を確認した上で契約をすすめましょう。

6.手数料以外の金額が相場より高く請求される

ファクタリング業者の手数料は妥当な金額だが、印紙代や司法書士などへの報酬金額などが相場より高く請求されることもあります。手数料だけでファクタリング業者を判断せず、最終的な入金金額を確認してから契約をしましょう。

7.契約書を受け取れないまま話をすすめてくる

トラブルになった際に契約内容がわからないので、不利となります。手数料や対象となる売掛債権を明記した契約書を残さない。または契約書を作成しているが渡さないファクタリング業者もあります。


まとめ

ファクタリングは、売掛金が早期に現金化されキャッシュフローの改善につながったり、利息がなかったりとメリットも大きいです。

活用するときは、ファクタリングを契約することによってトラブルにならないよう、手数料や契約内容をしっかり確認してください。