合同会社の資本金は最低いくら?平均額やメリット・注意点を解説

合同会社 資本金

合同会社の設立は資本金1円でも可能です。しかし、資本金を低く設定すると会社の信用力が落ちるなどのデメリットもあるため、注意点を理解したうえで金額を決める必要があります。

本記事では、合同会社の資本金の最低額や平均額、目安などといった合同会社を設立する際の費用面について、マネーセミナー講師の筆者が解説します。

高く設定する場合、低く設定する場合のそれぞれのケースについて説明するので、合同会社の資本金額を設定する際の参考にしてください。

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監修者

橋本 亮太(はしもと りょうた)
GMOあおぞらネット銀行株式会社 マーケティング統括チーム
大学卒業後、株式会社あおぞら銀行に入行。支店にて事業承継、企業オーナーおよび個人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年からはGMOあおぞらネット銀行にて、主にスタートアップ法人向けの事業戦略・マーケティング企画立案を担当。経営学修士(MBA)を取得中。

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合同会社の資本金は最低1円からでも設立できる

会社を設立する場合、かつては有限会社で300万円、株式会社で1,000万円の資本金が最低限必要でした。

しかし2006年5月1日に施行された会社法により資本金の制限が撤廃となり、会社を設立する際の資本金の制限がなくなっています。そのため、資本金1円でも会社の設立が可能になりました。

ただし、実際のところは資本金1円で会社を設立するのは現実的ではありません。資本金が少ないと、取引先から信用が得にくい、金融機関から融資が受けにくいなどのデメリットがあるため注意が必要です。会社を設立した直後は、売上が安定しないことから資金繰りが厳しくなりがちです。

そのため万が一に備えて、資本金は6カ月分の運転資金を目安に準備しておきましょう。

合同会社の資本金は、必ずしも現金を用意する必要はありません。土地や建物といった不動産や、車やパソコンといった動産を会社の持ち物として出資することも可能です。

現金の場合はすべての出資者が代表の口座に振り込みます。一方、現物出資は出資された現物の資産の評価を行い、価額が決まったら資本金に計上します。


合同会社の資本金の平均額

総務省の「登記の種類別・資本金階級別 会社の資本金の額の変動の件数及び金額」によると、合同会社の資本金の平均額は2023年8月実績で約138万円、約50%が資本金100万円未満です。

ただし、この金額はあくまで目安であり、適正な資本金は事業の規模や業態などによって異なります。実際に合同会社を設立した経験のある筆者の知り合いの複数人に話を伺ったところ、下は1万円から上は100万円までとさまざまでした。

また、事業によっては資本金額が法律で定められている場合があります。例えば、資本金要件がある許認可には、主に次のようなものがあります。


合同会社の資本金の目安

会社を設立すると、しばらくは売上が安定しない可能性があります。

そのため、設立時に必要な資本金は、設備資金に毎月発生する費用×6カ月分を加えた金額が目安です。

資本金は、開業後にかかる設備資金や見込める売上、融資を受けられる金額などをふまえ、資金繰りのシミュレーションを事前に行ったうえで決めることが大切です。


合同会社の資本金を高めに設定した場合

合同会社の資本金を高めに設定すると、事業にどのような影響があるのでしょうか。

メリット・デメリットに分けて解説します。

メリット

資本金が高いと金融機関から融資を受ける際に有利に働く傾向があります。

これは融資をする金融機関が、資本金が高い会社は自己資金が多く、貸し倒れるリスクが低いと考えるためです。

融資を受ける際に提出する事業計画書のなかには、資本金を記載する欄があり、金融機関が融資の可否や融資額を判断する材料となります。

また資本金が高い企業は、取引先からの信用を得やすいメリットもあります。

企業は取引先が倒産して売掛金が未回収になるリスクを避けるため、取引をする前に取引企業の財務状況をチェックします。資本金が高いと、自己資金が豊富で体力がある企業と判断され、積極的に取引をしてもらえる可能性が高まるでしょう。

デメリット

資本金を高くすると設立時の費用負担が増えるのはもちろんですが、登録免許税や消費税など負担が増える税金があります。

例えば合同会社の登録免許税は、法務局の「合同会社設立登記申請書」によると「資本金額×0.7%または6万円のどちらか高いほう」となっています。

資本金が800万円の場合、800万円×0.7%=5万6,000円のため、登録免許税は6万円です。

資本金が1,000万円であれば1,000万円×0.7%=7万円のため、登録免許税は7万円になります。

登録免許税は、資本金が857万円を超えると、資本金が高くなるほど税負担が増える仕組みです。

また資本金が1,000万円未満の企業は、創業してから2年間は消費税が免税となりますが、1,000万円以上だと1年目から納税する必要があります(※参考:No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例|国税庁)。

そのほか、法人住民税均等割も資本金が高くなると負担額が増えます(※参考:法人市民税|札幌市役所)。

合同会社が倒産した場合、資本金が高いと失う出資額も大きくなる点も注意が必要です。複数の社員が出資している場合は、出資額に無理がないか確認しておきましょう。


合同会社の資本金を低めに設定した場合

資本金を低く設定した場合にも。それぞれメリット・デメリットがあります。

メリット

資本金が低ければ、設立時の初期費用が抑えられます。また資本金が少ないと、消費税や登録免許税、法人住民税均等割など負担が軽減される税金があります。

>>消費税:国税庁№6501納税義務の免除
>>登録免許税:国税庁№7191登録免許税の税額表
>>法人住民税均等割(東京都の場合):総務省ホームページより

デメリット

法人口座を開設する際、資本金が極端に少ない企業は実態がないペーパーカンパニーとみなされる可能性が高く、審査で不利になる場合があります。

目安となる具体的な資本金額などは金融機関によって異なるため、明確な基準はありませんが、同規模、同業種の企業と比較して妥当と言える資本金を用意するようにしましょう。 

法人口座を保有していれば、個人と会社の資産が区別されていると評価され、社会的信用が高まり取引先や金融機関からの評価が高まる可能性があります。

また資本が少ないと、設備・什器の購入費用、内装工事費といった設備資金が不足する可能性があります。仮に設備資金が準備できて事業がスタートしても、過小資本は少し売上が落ちただけでも運転資金が不足して倒産するリスクが高い状態です。

中小企業庁の「白書・統計情報 倒産の状況」によると、2022年の過小資本による倒産件数は124件で2021年から増加。さらに2023年9月時点では、126件と増加傾向にあります。

合同会社の資本金は増資も可能で、在籍している社員に追加で出資をしてもらう方法と、新しい社員を追加して増資する方法があります。

どちらの方法も社員の同意書や証明書が必要になり、登録免許税も追加で支払わなければなりませんが、過小資本で不安な方は増資も検討してみましょう。


合同会社の資本金に関するよくある質問

合同会社の資本金に関するよくある質問を紹介します。合同会社設立前に知っておくべき内容もあるため、ぜひ参考にしてください。

合同会社の出資金はどこに振り込めばいいの?

設立時は発起人の個人口座に振り込みます。登記が済んだら登記簿謄本を持って法人口座を開設し、法人口座に資金を移動する流れになります。

合同会社の設立にあたり、まだ許認可を取得していない業種を定款の事業目的に加えても大丈夫?

まだ許認可を取得していない業種を定款の事業目的に入れる場合も、実際に事業を始める際に許認可が取得できていれば問題ありません。

ただし、合同会社の規模の割に事業目的が多すぎると、融資の審査などで良いイメージを持たれない可能性があります。

合同会社の社員が退職したら資本金は取り返せる?

合同会社の社員が退職して資本金の払い戻しを請求するには、総社員に定款を変更してもらわなければなりません。ただし定款変更をしても、出資金が運転資金などで使われていていると、払い戻し請求を拒絶される場合があります。


まとめ

合同会社は、資本金1円から会社の設立が可能です。資本金を高くしても低くしても、それぞれにメリット・デメリットがあるので、慎重に吟味したうえで決定しましょう。

合同会社の資本金を高くすると、取引先や金融機関からの信用は高まりますが、税金の負担は増える可能性があります。

一方で低くした場合は、税負担は軽減されるものの、法人口座の審査に通りにくくなることが多くなり、過小資本で倒産するリスクも高まります。

合同会社の資本金は、設立時にどれくらい設備資金がかかるのか、運転資金はどれくらい必要なのかなど、資金繰りのシミュレーションを十分行ったうえで決めることが大切です。


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