社会保険料の支払い方法は主に3種類。支払い期日や注意点も解説

社会保険料 支払い方法

社会保険料の納入告知書が届いてから納付期限までの期間は短く、毎月支払い時期にバタバタしてしまうという方は多いでしょう。

社会保険料は毎月支払うものであるため、できるだけ手間をかけずに支払いたいですよね。

本記事では、個人事業主や法人の資金調達に関する相談に対応しているFPである筆者が社会保険料の支払い方法について解説します。

支払い期日や納付期限を過ぎた場合の問題も説明するため、最後まで読むことで社会保険料の支払い方法が分かり、支払い忘れを防ぐことができるでしょう。

※本記事はGMOあおぞらネット銀行株式による寄稿記事です。LISKUL編集部監修のもと公開しています。


社会保険料の支払い方法

社会保険料の納付方法は主に以下の3つがあります。各納付方法の主な特徴は次のとおりです。

  1. 金融機関の窓口:担当者に相談しながら納付できる
  2. ペイジーによる電子納付:24時間いつでも納付できる
  3. 口座振替:自動引き落としで手間や時間をかけずに納付できる

社会保険料の各納付方法について、以下で詳しく解説します。

金融機関の窓口

管轄の年金事務所から送られてくる納付告知書の内容に基づいて、金融機関の窓口を通じて現金で支払う方法です。

参考:日本年金機構|社会保険料の納入告知書(納付書)について

事前に面倒な申請手続きが不要で、疑問点があれば担当者に直接質問できるメリットがありますが、毎月金融機関の営業時間に足を運ばなければならないデメリットもあります。

金融機関の窓口での支払いは、初めて社会保険料を納付する人や、収入が不安定で毎月決まった日に納付できる自信がない人におすすめの方法です。

納付の際は、納付告知書を金融機関の窓口に持参します。3枚つづりになっていますが、切り離さずに持っていきましょう。

ペイジーによる電子納付

Pay-easy(ペイジー)とはインターネットバンキングや、ATMなどから税金や公共料金といった各種料金支払いが電子納付できるサービスのことです。

金融機関が共同で構築・運用しており、国内のほとんどの金融機関が共通の仕組みでサービスを提供しています。

好きなタイミングで納付手続きができるメリットがありますが、毎月納付手続きが発生する点はデメリットと言えるでしょう。

インターネットバンキング

各金融機関のインターネットバンキングを利用して支払う方法です。

インターネットバンキングによる納付なら、金融機関の窓口やATMに行く必要がありません。

ただし利用する場合は、あらかじめインターネットバンキングの利用登録をしておく必要があります。

ATM

ペイジーマークの表示がATMであれば、ATMでも支払えます。

ペイジーマークが記載された払込票を持参して、金融機関ATM画面の流れに従って操作をします。

金融機関によってATMの表示画面の形式は異なりますが、主にATM画面に表示されている「税金・料金払込み」を選択し、「収納機関番号(0500)」、「納付番号(またはお客さま番号※)」「確認番号」などを入力していきます。

次に現金、キャッシュカードどちらで支払うかを選択し、現金なら現金投入口に代金を投入してください。

キャッシュカード払いのときは、キャッシュカードをATMに挿入し、暗証番号を入力して支払います。

※お客さま番号…申込時の電話番号や、予約番号・申込番号・会員番号などのこと

口座振替

指定した金融機関の口座から、毎月、自動振替する方法です。

毎月、決まった日に自動的に社会保険料が口座から引き落としされるため、支払い漏れがありません。

ただし、残高が不足していると自動振替ができず未納付となるため、振替日に残高不足にならないよう注意が必要です。

口座振替による社会保険料の納付を希望する場合、年金事務所に「健康保険厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書」を提出します。

この様式では、口座振替を利用する金融機関の確認が必要になるため、必要事項を記入した用紙を持参し金融機関で手続きをしてから、年金事務所に提出しましょう。


利便性で選ぶなら口座振替やペイジーによる電子納付がおすすめ

社会保険料は、さまざまな方法で支払えますが、利便性で選ぶなら口座振替やペイジーによる電子納付がおすすめです。

ただし、利用できる支払いサービスは金融機関によって異なるため、事前に自社の利用金融機関でのサービス提供有無を確認しておきましょう。

口座振替がおすすめのケース

社会保険料の口座振替に対応している金融機関の口座がある人は、支払い漏れがない口座振替がおすすめです。

日本年金機構のサイトで社会保険料の口座振替が可能な金融機関の一覧表が公開されているので、確認しておきましょう。

なお近年利用が増えているネット銀行では、2023年11月現在は社会保険料の口座振替に対応していません。

参考:厚生年金保険料等・国民年金保険料の口座振替可能金融機関一覧表

ペイジーによる電子納付がおすすめのケース

社会保険料の口座振替に対応している金融機関の口座がないときは、ペイジーによる電子納付がおすすめです。

インターネットバンキング納付なら、金融機関の窓口やATMに行く必要がありません。

ネット銀行でも対応金融機関が増えており、2023年11月現在では、GMOあおぞらネット銀行、楽天銀行、paypay銀行で利用できます。


社会保険料の支払期日

社会保険料は年金事務所から20日ごろに事業所宛てに届く「保険料納付告知書」によって請求されます。納付期限は納付対象月の翌月末日です。

参考:日本年金機構 納付期限

例えば5月分の保険料であれば、6月末日が納付期限となります。

また、仮に末日が土日祝日など休日の場合は、翌日以降の最初の営業日が納付期限です。


社会保険料の納付書が届かないときの対処法

郵便事業などによって20日ごろに事業所に保険料納入告知書が届かないことがあります。

その場合は、管轄の年金事務所に問い合わせて、再発行を依頼しましょう。

郵便物の転送届を提出している事業所は、さらに時間がかかることもありえます。

しかし口座振替を設定しておけば、支払漏れが起こらないため安心です。


社会保険料の支払いに関する注意点

社会保険料の支払いに関する主な注意点について紹介します。

特に納付期限が過ぎたときは、事業活動に影響を及ぼすケースもあるため注意が必要です。

クレジットカードでは支払いできない

個人事業主による国民年金保険料の支払いなど、一部対応できる場合もありますが、法人の場合、社会保険料はクレジットカードによる納付ができません。

また個人事業主は、健康保険料を電子マネーやクレジットカードで支払える自治体があります。

しかし、電子マネー払いの場合はポイント付与がないケースが多く、チャージによるポイント付与のみとしているケースがほとんどです。

クレジットカード払いはポイント還元の対象とない場合があるほか、ポイント還元対象でも決済手数料が高く、かえってデメリットになるケースがあるため注意しましょう。

納付期限を過ぎたら延滞料が発生する

社会保険料の納付期限を過ぎると、約1週間後に督促状が届き、督促の電話もかかってきます。

督促状が指定する期日までに納付すれば延滞金は発生しません。

しかし、督促状に記載された納付期限を過ぎると、納付期限の翌日から納付日の前日までの日数に応じ、保険料額に一定割合を乗じた金額が延滞金として加算されます。

延滞金は納付期限の翌日から3カ月を経過する日までは2.4%、それ以降は8.7%となっています。(令和5年1月1日から令和5年12月31日)

また滞納をそのままにしておくと、最終的に財産調査や、財産の差し押さえといった事態に発展します。

従業員がいる会社の場合、大きな不安を与えてしまうかもしれません。

また基本的に社会保険料を滞納していると融資が受けられるため、事業活動にも影響を与えます。

社会保険料の支払いが難しいと感じたときは、必ず事前に年金事務所などに相談しましょう。


まとめ

社会保険料は銀行窓口やインターネット、ペイジーや口座振替などさまざまな方法で支払えます。

社会保険料を滞納すると延滞金がかかるほか、金融機関の融資を受けられない、従業員に動揺を与える可能性があるなどのデメリットがあります。社会保険料は納付漏れが生じにくい支払方法を選びましょう。