簡単計算!深夜割増賃金(深夜手当)の計算方法をケース別に解説

eyecatch_220329_1

従業員が深夜残業を行った場合には、企業側は25%以上の深夜割増賃金を支給する必要があります。

しかしながら、割増賃金の計算について次のような悩みをかかえる経理担当者の方も多いのではないでしょうか。

「深夜割増賃金はどのような条件で支給する必要があるのか知りたい」
「深夜割増賃金の計算方法について知りたい」
「深夜割増賃金の仕組みを理解して従業員の給与計算に活かしたい」

そこで本記事では、深夜割増賃金の仕組みや計算方法について詳しく解説します。

本記事を最後までお読みいただければ、深夜割増賃金の仕組みや計算方法を正しく理解し、日々の経理業務に活かすことができるようになります。

深夜割増賃金の計算を自動化する給与計算ソフト>>

※本記事は株式会社マネーフォワード提供によるスポンサード・コンテンツです。


深夜労働に対する割増賃金(深夜手当)とは

労働者が深夜労働をした際には、企業側は割増手当を支払わなければなりません

深夜労働とは厚生労働省が定めた夜間帯の業務を指し、割増賃金率は基礎賃金に対して「25%増し以上」と規定されています。

さらに、労働基準法では週に1日、あるいは4週間に4日以上の法定休日も義務づけられています。そして当該日程で労働が発生した場合は、別途「休日出勤手当」などの名目で割増賃金を付与しなければなりません。

具体的な割増率は「35%増し以上」とされているため、もし従業員が「休日に深夜労働」を行った際は、最低でも基礎賃金に対して「60%増し以上」の手当を支払う必要があります。

<割増賃金>

時間外労働:25%以上

深夜労働:25%以上

法定休日労働:35%以上

 

<計算例>

深夜に時間外労働をした場合:25%+25%=50%以上

休日に深夜労働をした場合:35%+25%=60%以上

休日に時間外労働をした場合:35%以上(法定休日には法定労働時間が存在しないので休日労働分のみ)

深夜労働の定義

割増賃金を正確に算出する上では、労働基準法によって定められた深夜労働の定義についても把握しておいた方が良いでしょう。

具体的な時間帯などは、労働基準法で以下のように明記されています。

使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

引用:労働基準法第37条4項|厚生労働省

上記の通り、労働者が22時から朝5時まで業務を行った場合、企業はきちんと基礎賃金を基に深夜手当を支給する必要があります。

なかには「日付が変わった時点」などの誤った認識を持つ方もいるため、正しく条文を理解しておいてください。

労働基準法内に記載されている「厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで」については、実例としては認められてことはないので、22時から朝5時までと認識しておきましょう。

参考までに、深夜労働は男女による区別は存在しませんが、18歳未満の年少者は原則認められておらず、妊婦についても請求があった場合には行わせてはいけません。

使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によつて使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。(労働基準法第61条)

使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。(労働基準法第66条3項)

引用:労働基準法|厚生労働省

これらは経理ではなく人事の領域である一方、理解を深めるためには当然覚えておいた方が良いでしょう。必要に応じて条文を確認するなどして、法に則った運営を心掛けてください。


深夜割増賃金の計算方法

深夜割増賃金 = 時給 × 割増率(25%) × 時間

例として、割増率を最低水準の25%、時給を1,000円と仮定して、22時~5時のシフトを例に算出してみましょう。

深夜割増賃金:時給1,000円 × (100% + 25%) × 7時間(22時~5時) = 8,750円

上記の通り、時給1,000円に割増率の25%相当分を上乗せした、1時間あたりの割増賃金は「1,250円」となります。
次に業務に従事した7時間を乗じれば、総額「8,750円」の深夜割増賃金が算出できます。

厚生労働省から計算方法の資料も公開されているので、目を通すようにしてください。
参考:しっかりマスター 割増賃金編|厚生労働省


ケース別の深夜割増賃金の計算方法

ここからは、深夜労働を行った際に、時間外と休日出勤が発生した場合の計算方法をそれぞれ解説します。

  • 深夜に時間外労働する場合の計算
  • 法定休日に深夜労働する場合の計算

いずれも経理担当者には必要知識となるため、きちんと押さえておきましょう。

深夜に時間外労働する場合の計算

通常賃金 + 時間外労働手当25% + 深夜労働手当25%

 

通常賃金:時給 × 時間
時間外労働:時給 × 時間外労働手当(25%) × 時間
深夜労働+時間外労働:時給 × (深夜労働手当25% + 時間外労働手当25%) × 時間

労働基準法では、従業員1人あたりの所定労働時間を8時間と定めており、超過分については必ず「時間外手当」を支給しなければなりません。具体的な割増率は「25%増し以上」であり、夜勤が長引いた場合などは深夜割増と組み合わせて計算することになります。

たとえば、時給1,000円で両方の割増率を25%とし、12時から24時(休憩1時間含む)まで労働した従業員に支払うべき給与は以下の通りです。

通常賃金:1,000円 × 8時間(12時~21時) = 8,000円…①
時間外労働:1,000円 × (100% + 25%)× 1時間(21時~22時) = 1,250円…②
時間外 + 深夜割増:1,000円 × (100% + 50%) × 2時間(22時~24時) = 3,000円…③
①+②+③=12,250円

上記の計算によって、通常勤務8時間と時間外3時間の合計賃金は12,250円という結果が得られました。一見すると複雑なようにも思えますが、例に挙げたように「時間」で区切ればそこまで難しくはないでしょう。

特に、工場やコンビニといった24時間稼働が基本の業種は、時間外手当と深夜割増を比較的頻繁に支給することになるため、ぜひ参考にしてください。

法定休日に深夜労働する場合の計算

通常賃金 + 休日労働手当35% + 深夜労働手当25%

 

通常賃金:時給 × 時間
休日労働:時給 × 休日労働手当(35%) × 時間
休日労働+深夜労働:時給 × (休日労働手当35% + 深夜労働手当25%) × 時間

法定休日に深夜労働が発生した際は、合計「60%増し以上」の割増賃金を支給する必要があります。こちらもきちんと時間で区切れば簡単に計算できます。

例として、法定休日に15時~24時(休憩1時間含む)まで業務を行ったケースを例に挙げてみましょう。

休日割増賃金:1,000円 × (100% + 35%) × 6時間(15時~22時) = 8,100円…①
休日割増+深夜割増:1,000円 × (35% + 25%) × 2時間(22時~24時)=3,200円…②
①+②=11,300円

上記の計算により、総額11,300円という結果が得られました。

<参考>
法定休日には法定労働時間が存在しないので、法定休日労働と時間外労働の割増手当は重複しません

上記の例でも、休日に時間外労働をしても休日労働分の35%のみで、時間外労働手当の25%は計算されません。

そのため休日労働+時間外労働+深夜労働となっても、休日労働+深夜労働=60%となります。


深夜手当に関するよくある質問と回答

ここからは、深夜手当に関するよくある質問を確認しましょう。
経理担当者が抱えがちな疑問となるため、ぜひ参考にしてください。

夜勤手当と深夜手当の違いとは?

2つの手当は以下のように大きく異なる賃金制度であり、法律上は深夜手当をきちんと支給していれば問題ありません。

  • 深夜手当:労働基準法で定められており、22時~5時までの深夜労働に対して必ず支給しなければなりません。割増率は「最低25%増し以上」であるため、その水準を下回らないように設定する必要があります。
  • 夜勤手当:法令で定められているわけではなく、企業の任意で設定できる賃金規定です。深夜手当との同時支給も可能ですが、ほとんどの場合は一本化されています。

上記に加えて、「当直手当」という項目を採用している企業も存在しますが、法的義務のない任意の賃金となります。自社の就業規則などを確認して、適正に給与を支給できるようにしましょう。

所定労働時間のカウントはどの時点から起算すべきか?

賃金を計算する上では、従業員の労働時間を正確に反映させなければなりませんが、この時は必ず「実際に出勤した時点」からカウントしてください。

たとえば、22時〜7時のシフトであるところ、早めに21時から業務を開始した場合は、1時間繰り上げて計算する必要があります。さらに、当初予定されていた終業時間まで労働したのなら、1時間分の時間外手当も発生するでしょう。

経理担当者の中には、所定のシフトを基準に算出してしまうケースも多いため、きちんと把握しておいてください。

参考:しっかりマスター 割増賃金編|厚生労働省

深夜手当は管理職も対象なのか?

管理職(管理監督者)が深夜労働を行った場合も、法令に則った手当を支給する必要があります。

ただし、一般社員のような時間外手当は発生しないため、ここでは時給3,000円で12時〜24時(休憩1時間含む)まで勤務した場合の計算例を確認しておきましょう。

通常賃金:3,000円 × 8時間(12時~21時) = 24,000円…①
深夜割増:3,000円 × (100% + 25%) × 3時間(21時~24時) = 11,250円…②
①+②=35,250円

また管理職の場合は休日手当についても支給する義務がありません。

あくまでも加算するのは深夜割増手当だけ、という点を認識しておきましょう。

割増賃金額の端数の処理はどうすべきか?

従業員の賃金計算は、特別な定めがない限り1分単位で計算するのが基本です。したがって、細かな遅刻や早退が発生する場合は、1円未満の端数がでることもあるでしょう。

原則としてそういったケースは、「50銭未満」まで切り捨てが認められており、たとえば、1,000.4円の場合は0.4円の部分を省略できます。

一方、計算した結果1,000.7円などで5銭を超えた際は、切り上げて賃金を支給する点に注意してください。

加えて、上記の対応はあらかじめ就業規則に明示しておかなければなりません。少しでも賃金計算の手間を削減できるように、きちんと確認しておきましょう。

参考:3.残業手当等の端数処理はどうしたらよいか|厚生労働省

深夜手当の未払い請求はできるのか?

深夜手当の未払い請求は可能です

要件事実の立証責任は労働者側にあるが、一応の立証がされ、使用者側が有効かつ適切な反証をしなければ、労働者の請求が認容されることがあります。

割増賃金請求の場合、要件事実の立証責任は労働者側にありますが、労働者側の証拠が不十分でも、使用者が労働者の労働時間を適正に把握する責務を果たしていないことが考慮され、タイムカード等の明確な証拠がない場合であっても、労働者が作成して使用者に提出する書面(出勤簿、業務日誌等)や個人的な日誌、手帳等によって、一応の立証がされたものとし、使用者側が有効かつ適切な反証をしなければ、労働者の請求が認容されることがあります。

引用:「割増賃金不払い」に関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性|厚生労働省

深夜手当は、企業の任意で支給するわけではなく、労働基準法によって規定されている義務です。

したがって万が一手当がきちんと計算されていない場合、従業員は当然請求する権利を持っており、企業もその求めに応じなければなりません。

一方実際に請求する際は、22時〜5時の間に業務を行った旨のエビデンスが必要になります。
そのため、取引先とのメールやり取りやアプリで記録を残し、いつでも提示できるように体制を整えておくのがおすすめです。

くわえて個人で追求するよりも、弁護士などの専門家に依頼した方が、知識と労力削減の面で効率的といえます。現在は無料相談を行っている事務所も数多く存在することから、困った際はぜひ利用してみてください。


まとめ

深夜残業における割増賃金は、労働基準法によって規定されており、25%以上の割増率となっています。

深夜割増賃金 = 時給 × 割増率(25%) × 時間

深夜労働だけでなく、時間外労働や法定休日労働にも割増賃金が発生し、それらと重複して計算が必要になります(ただし時間外労働と休日労働は重複しない)。

深夜に時間外労働した場合:通常賃金 + 時間外労働手当25% + 深夜労働手当25%
休日に深夜労働した場合:通常賃金 + 休日労働手当35% + 深夜労働手当25%

企業は正しい計算方式を用いて従業員に給与を支給する必要があります。

ただし、深夜割増にはいくつかの注意点があり、経理担当者は時間外と休日手当についても把握しておいた方が良いでしょう。

一方、企業は深夜割増手当を支給する義務はあるものの、「夜勤手当」や「当直手当」といった項目を設ける必要はありません。

経理担当者は、自社の就業規則を確認して、正しく割増賃金を計算しましょう。

深夜割増賃金の計算を自動化する給与計算ソフト>>

※本記事は株式会社マネーフォワード提供によるスポンサード・コンテンツです。

コメント