ランサムウェア対策とは?8つの対策方法と被害に遭った時の対応法まとめ

ランサムウェア対策_アイキャッチ

ランサムウェア対策とは、システムやデータを人質に取る悪意のあるソフトウェアであるランサムウェアから、企業や個人を守るための手段です。

ランサムウェアによる被害を防ぐためには、エンドポイントセキュリティやネットワークセキュリティ、多層防御といった複数の対策を組み合わせ、攻撃のリスクを低減することが重要です。

また、感染時の迅速な対応や、バックアップ体制の整備によって、データの復元や業務の早期再開も可能になります。

ただし、ランサムウェアの脅威は日々進化しており、単一の対策では防ぎきれないリスクが存在します。

そのため、適切な対策ソフトの選定や、従業員のセキュリティ意識向上も含めた包括的な対策が必要となります。

そこで本記事では、ランサムウェアの基礎知識から具体的な対策方法、被害時の対応策まで一挙に解説します。

ランサムウェア対策にお悩みの方は、ぜひご一読ください。


目次

ランサムウェア対策とは

ランサムウェア対策とは、企業や個人がランサムウェアの攻撃からデータやシステムを守るための具体的な手段や対策を指します。

対策には、エンドポイントセキュリティやネットワークの防御、データのバックアップなど、多層的なアプローチが求められます。

ランサムウェアは感染すると重要なデータを暗号化し、復号のための身代金を要求するため、事前の対策が企業にとって欠かせません。

効果的な対策を講じることで、被害を未然に防ぎ、万一の感染時にも迅速に対応できる体制を整えることが可能です。

ランサムウェアは一度感染してしまうと多大なコストや信頼の損失を招くため、リスク管理の観点からも重要です。

特に、近年では攻撃の手口が高度化しており、標的型攻撃やゼロデイ攻撃など、従来のセキュリティ対策では防ぎきれないケースも増えています

そのため、最新のセキュリティツールや社内教育を通じて、常に防御レベルを高めることが求められます。


そもそもランサムウェアとは

ランサムウェアとは、システムに侵入してデータを暗号化し、そのデータを人質に取る形で身代金を要求する悪意のあるソフトウェアのことです。

企業や個人の重要なファイルやシステムを狙い、データへのアクセスを封じるため、深刻な業務停止やデータ喪失のリスクを伴います。

特に企業にとっては、データの復元にかかるコストや信頼の損失が甚大であり、適切な対策が不可欠です。

ランサムウェアの代表的な攻撃手法としては、感染したファイルのダウンロードや、フィッシングメールを介した不正リンクのクリックなどが挙げられます。

これによりシステム内部に入り込んだランサムウェアは、データを素早く暗号化し、復号化のための身代金を支払うよう被害者に要求します。

このような攻撃は、企業のセキュリティ脆弱性を突く形で行われ、特にインターネットを介した業務が増えている現代において、大きな脅威となっています。

近年では、標的型攻撃やランサムウェア-as-a-Service(RaaS)といった攻撃の高度化が進み、サイバー犯罪者が簡単に攻撃を実行できる環境が整いつつあります。

そのため、ランサムウェアは単なるITセキュリティの問題を超えて、企業全体のリスク管理や危機対応力が問われる領域となっています。


ランサムウェアに感染すると起こる3つのこと

ランサムウェアに感染すると、企業や個人のシステム内にある重要なデータが暗号化され、業務が即座に停止する可能性があります。

これにより、ファイルやシステムへのアクセスが完全に遮断され、身代金を支払うまで復旧が困難になることが多いです。

この間、企業は業務停止による生産性の低下や顧客対応の遅延、信用の失墜といった二次的な影響を受ける可能性が高まります。

1.身代金の要求とそのリスク

感染直後、攻撃者は復号化のための鍵を提供することを条件に、一定額の身代金を暗号通貨などで要求します。

しかし、実際に身代金を支払ったとしても、データが完全に復元される保証はなく、逆に再度の攻撃対象になるリスクも存在します。

そのため、ランサムウェアに対しては事前の防御策が重要とされ、事後の対応は難しい側面があります。

2.情報漏えいと不正アクセスのリスク

ランサムウェア感染はデータの暗号化だけでなく、情報漏えいや不正なシステムアクセスのリスクも伴います。

近年のランサムウェア攻撃では、暗号化前に機密データを外部へ送信する「二重脅迫」型の攻撃も増えており、企業が攻撃を受けた際には、法的な問題や顧客への説明責任を果たすための対応が求められる場合があります。

3.企業に迅速な対応が求められる

ランサムウェア感染が確認された場合、企業は迅速なインシデント対応体制を整えることが不可欠です。適切な初動対応ができないと、被害が拡大する恐れがあり、データ復旧が困難になる可能性もあります。

また、被害を最小限に抑えるためには、感染時の対応手順を事前に策定しておくことが重要です。


ランサムウェアの主な感染経路5つ

ランサムウェアの主な感染経路は、フィッシングメールや脆弱なシステムの悪用、リモートデスクトッププロトコル(RDP)の不正利用など多岐にわたります。

これらの経路を理解し対策を講じることで、ランサムウェアの侵入リスクを大幅に低減できます。

特に、日常業務でよく利用されるメールやリモート接続を狙った攻撃は、企業のセキュリティ体制において見落としがちなポイントです。

1.フィッシングメール

フィッシングメールは、ランサムウェアの感染手法として最も一般的です。攻撃者は、正規の企業や取引先を装ったメールに悪意のあるリンクや添付ファイルを仕込み、受信者がそれを開くことでランサムウェアがシステムに侵入します。特に、企業内の従業員が不審なメールに対して注意を払わない場合、感染リスクが高まります。

2.ソフトウェアやシステムの脆弱性

ランサムウェア攻撃では、ソフトウェアやシステムのセキュリティホールを悪用する手口も多く見られます。

古いバージョンのソフトウェアや未更新のシステムは、攻撃者にとって格好のターゲットとなります。

これにより、セキュリティパッチが適用されていないシステムにランサムウェアが自動的に侵入し、感染が広がるケースが増えています。

3.リモートデスクトッププロトコル(RDP)の不正利用

リモートワークの普及に伴い、RDPを利用した攻撃も増加しています。

攻撃者は、弱いパスワード設定や適切な認証を行っていないRDPを悪用し、企業のシステムに直接アクセスすることが可能です。

一度RDPを通じてシステムに侵入されると、ネットワーク全体にランサムウェアを展開されるリスクが高まります。

4.悪意のあるWebサイトや広告

ランサムウェアは、悪意のあるWebサイトや広告(マルバタイジング)を経由しても拡散されることがあります。

ユーザーが知らずに危険なリンクをクリックすることで、ランサムウェアが自動的にダウンロードされる仕組みです。

これにより、Webの閲覧中に突然ランサムウェアに感染するケースも少なくありません。

5.USBメモリや外部デバイスの利用

企業内で共有されるUSBメモリや外部デバイスも、ランサムウェア感染の原因となり得ます。

これらのデバイスが感染している状態でパソコンに接続されると、ランサムウェアが自動的に拡散する可能性があります。

物理的な接続による感染は、外部からの攻撃ではないため、社内のセキュリティ体制において注意が必要です。


ランサムウェア対策の基本的な考え方3つ

ランサムウェア対策の基本的な考え方は、多層防御を導入し、セキュリティポリシーを整備し、ゼロトラストセキュリティを取り入れることです。

これらのアプローチにより、攻撃のリスクを最小限に抑えつつ、万が一の感染時にも被害を抑えることが可能です。

特に、近年のランサムウェアは巧妙化しているため、単一の対策では防ぎきれないケースが増えています。

複数の防御手段を組み合わせることで、より堅牢なセキュリティ体制を構築することが重要です。

1.多層防御を取り入れる

多層防御とは、複数の防御手段を組み合わせて、システムのセキュリティを強化するアプローチです。

ランサムウェアは、メールやRDP、不正なWebサイトなど様々な経路から侵入するため、一つの防御手段だけでは対応が難しいことがあります。

エンドポイントセキュリティ、ネットワーク防御、メールフィルタリングといった複数の対策を同時に実施することで、攻撃を早期に発見し、感染を防ぐ可能性が高まります。

2.セキュリティポリシーを整備する

セキュリティポリシーの整備は、ランサムウェア対策を社内に浸透させる上で不可欠です。

企業全体で共通のセキュリティ基準を定め、それに基づいた業務の運用を徹底することで、日常の業務で発生するセキュリティリスクを低減できます。

具体的には、パスワードの強化、ソフトウェアの更新ルールの策定、データのバックアップ手順の明確化などが挙げられます。

ポリシーを周知徹底することで、従業員一人ひとりが自分の役割を理解し、セキュリティ意識を高めることが重要です。

3.ゼロトラストセキュリティを導入する

ゼロトラストセキュリティは、「信頼しないこと」を前提としたセキュリティモデルです。

従来の「一度内部に入ったものを信頼する」考え方から、アクセスするすべてのデバイスやユーザーに対して常に認証を求めるアプローチにシフトすることで、ランサムウェアが内部に侵入した場合でも、被害の拡大を防ぐことが可能です。

たとえば、アクセス制御や認証の強化、社内ネットワークのセグメント化を行うことで、攻撃者が一部のシステムにアクセスできても、他のシステムに移動するのを防ぎます。

参考:ゼロトラストセキュリティとは?基本からゼロトラストを実現する方法まで一挙解説!│LISKUL


ランサムウェアの具体的な対策8つ

ランサムウェア対策には、複数のアプローチを組み合わせた防御策が効果的です。

以下の8つの具体的な対策を実施することで、ランサムウェアの侵入リスクを低減し、感染時の影響を最小限に抑えることが可能です。

1.エンドポイントセキュリティを導入する

エンドポイントセキュリティは、パソコンやモバイル端末など、ネットワークに接続される各デバイスを保護するための対策です。

アンチウイルスソフトの導入や、不審な動きを検知するEDR(Endpoint Detection and Response)の利用により、ランサムウェアが端末に侵入する前に検出・除去が可能です。

また、端末のファイアウォール設定を強化することで、不正な通信をブロックすることも重要です。

参考:エンドポイントセキュリティとは?種類、機能、導入法まで一挙解説!│LISKUL

2.ネットワークセキュリティを導入する

ネットワーク全体の防御を強化することで、ランサムウェアの拡散を防ぎます。

具体的には、ファイアウォールの適切な設定や、侵入検知システム(IDS)、侵入防止システム(IPS)の導入が効果的です。

また、VPNの利用により外部からのアクセスを保護し、リモートワーク環境でのリスクを軽減します。

3.メールセキュリティを導入する

ランサムウェアの多くがフィッシングメールを通じて拡散するため、メールセキュリティ対策は不可欠です。

スパムフィルターの設定や、添付ファイルの自動スキャンを実施することで、悪意のあるメールを受信するリスクを減らせます。

また、フィッシング対策として、従業員への定期的な注意喚起も重要です。

参考:メールセキュリティとは?メール攻撃の被害にあわないための対策│LISKUL
   【2024年最新版】メールセキュリティシステムおすすめ5選を比較!口コミも紹介│LISKUL

4.ソフトウェアのアップデートやパッチ管理を行う

ランサムウェアは、システムやソフトウェアの脆弱性を突いて侵入します。

これを防ぐために、使用しているソフトウェアやOSを常に最新の状態に保ち、セキュリティパッチを迅速に適用することが求められます。

定期的な更新スケジュールを設定することで、脆弱性のリスクを最小化できます。

5.データのバックアップし、リストアできるようにする

データのバックアップは、ランサムウェア感染時にデータを復旧するための重要な対策です。

定期的なバックアップと、リストア手順のテストを実施することで、万が一の際にデータを迅速に復旧することが可能です。

特に、バックアップデータはネットワークから隔離された場所に保存することが推奨されます。

6.社内ネットワークのセグメント化する

ネットワークをセグメント化することで、ランサムウェアが感染した際に被害の拡大を防ぐことができます。

たとえば、部門ごとにネットワークを分離することで、一部のシステムが攻撃を受けた場合でも、他のシステムへの感染を防ぎます。

これにより、感染時のダメージを局所化でき、復旧作業も迅速に進められます。

7.インシデントの対応手順を定める

ランサムウェア感染が発生した際に迅速に対応するための手順を事前に定めておくことが重要です。

対応手順には、感染の拡大を防ぐための初動対応や、被害状況の把握、外部機関への報告などが含まれます。

これにより、被害を最小限に抑え、迅速な復旧が可能になります。

参考:インシデント発生前にすべき対策と発生後の対応フローまとめ│LISKUL

8.従業員のトレーニングを行う

ランサムウェア対策の要は、従業員一人ひとりのセキュリティ意識の向上です。

定期的なトレーニングを実施し、フィッシングメールの見分け方や不審な活動への対処法を共有することで、感染リスクを大幅に低減できます。

従業員がセキュリティの重要性を理解し、適切に行動できる環境を整えることが、長期的な防御力の向上につながります。


ランサムウェア対策ソフト4つ

ランサムウェア対策ソフトは、ランサムウェアからシステムを守り、攻撃の早期検知・防止を実現するための必須ツールです。

特にエンドポイント向けのセキュリティツールや、ネットワークを監視するツールは、企業の規模や業種に関わらず、導入すべき対策の一つです。

以下に、主要なランサムウェア対策ソフトの特徴と選定ポイントを解説します。

1.エンドポイント保護ソフト

エンドポイント保護ソフトは、PCやサーバーなどの端末を直接保護するためのツールです。

リアルタイムでのウイルススキャンや、ランサムウェアの振る舞いを検知する機能が備わっています。特に、最新のランサムウェアの手口に対応するために、常にアップデートされる製品を選ぶことが重要です。

また、EDR(Endpoint Detection and Response)機能を持つソフトウェアは、感染の兆候を早期に検知し、迅速な対応をサポートします。

2.ネットワーク監視ツール

ネットワーク監視ツールは、企業内のネットワーク全体を監視し、不審なトラフィックや異常なアクセスを検出します。

これにより、ランサムウェアの拡散や、外部との不正な通信をリアルタイムで遮断することが可能です。

ネットワーク上の異常を早期にキャッチできるため、感染拡大を未然に防ぐことができます。

IDS(侵入検知システム)やIPS(侵入防止システム)を活用することで、ネットワークレベルでの防御を強化できます。

3.クラウド型のランサムウェア対策

クラウドベースのランサムウェア対策ソフトは、複数のデバイスを一元的に管理できる点で、リモートワーク環境を持つ企業に最適です。

クラウド上でデータのバックアップを自動化し、攻撃を受けた際にも迅速にリストアできる機能を提供します。

また、クラウドサービスプロバイダーによるセキュリティアップデートが自動で行われるため、最新の脅威にも対応しやすいメリットがあります。

4.専門的なランサムウェア除去ツール

万が一ランサムウェアに感染した場合、専用の除去ツールを用いて感染を取り除くことが可能です。

これらのツールは、特定のランサムウェアファミリーをターゲットにして開発されており、暗号化されたファイルの復号化を試みることができます。

ただし、全てのランサムウェアに対応できるわけではないため、初期の感染予防が最も重要です。


ランサムウェア対策ソフト選定のポイント3つ

ランサムウェア対策ソフトを選ぶ際には、ソフトの機能や使い勝手、将来の拡張性に注目することが重要です。

適切な対策ソフトを選定することで、ランサムウェアの脅威に効果的に対応し、企業全体のセキュリティレベルを高めることができます。

以下の3つのポイントを参考に、自社に最適なソフトを選びましょう。

1.リアルタイム保護機能

ランサムウェア対策ソフトにおいて、リアルタイム保護機能は欠かせません。

常時稼働するスキャン機能を持つソフトは、未知のランサムウェアやマルウェアの侵入をリアルタイムで検知・ブロックすることで、システムへの感染を未然に防ぐ役割を果たします。

特に、ファイルのアクセスや変更が発生した際に、即座にスキャンを実施する機能が備わっている製品を選ぶと安心です。

この機能により、ランサムウェアによる被害を最小限に抑えることが可能です。

2.使いやすい管理画面

ランサムウェア対策ソフトは、日常的に使用するため、直感的で使いやすい管理画面を持つ製品を選ぶことが重要です。

特に、ITリソースが限られる中小企業にとっては、専門知識がなくても簡単に操作できるソフトが適しています。

シンプルなUI(ユーザーインターフェース)を持つ製品は、設定変更やスキャン結果の確認、ログの管理などをスムーズに行えるため、日々の運用が効率化されます。

これにより、セキュリティ管理の負担を軽減し、対策の実効性を高めることができます。

3.スケーラビリティ

企業が成長するにつれて、セキュリティニーズも変化します。

そのため、ランサムウェア対策ソフトを選ぶ際には、スケーラビリティが高い製品を選定することが大切です。

スケーラビリティの高いソフトは、導入後のライセンス追加や機能拡張が容易であり、企業規模の拡大や新たな脅威への対応に柔軟に対応できます。

たとえば、クラウド対応のソフトは、リモートワーク環境にも対応しやすく、将来的なアップグレードがスムーズに行えるため、長期的なセキュリティ強化に役立ちます。


ランサムウェアの被害にあってしまった際の対応方法6つ

ランサムウェアの被害に遭遇した場合、迅速で計画的な対応が被害の拡大を防ぎ、復旧をスムーズに進めるために非常に重要です。

以下の対応手順に従い、冷静に対応することで、データの復旧や二次被害の防止に努めましょう。

1.直ちにネットワークから隔離する

ランサムウェアの感染を確認したら、まず最初に感染した端末やサーバーをネットワークから切り離します。

これにより、他のデバイスやシステムへの感染拡大を防ぐことができます。

ネットワーク隔離は、被害の範囲を限定するための最も重要な初動対応です。

特に、社内ネットワークや共有ファイルサーバーと繋がっている場合、迅速な切断が求められます。

2.インシデント対応チームへの報告と初期調査

感染が確認されたら、社内のインシデント対応チームや外部のセキュリティ専門家にすぐに報告し、状況の初期調査を開始します。

感染したデバイスやデータの範囲、使用されたランサムウェアの種類を特定することが重要です。この情報を元に、適切な対応策を判断します。

また、被害の証拠を確保するために、感染のログやスクリーンショットを保存しておくことが推奨されます。

3.バックアップからのデータ復元を試みる

最新のバックアップがある場合は、それを用いてデータを復元します。

バックアップからの復元は、身代金を支払うよりも安全かつコスト効果の高い方法です。

ただし、バックアップデータが感染していないか事前に確認し、安全な環境で復元作業を行うことが必要です。

また、復元後は再度ランサムウェアの感染がないか徹底的に確認します。

4.身代金の支払いは慎重に判断する

攻撃者からの身代金要求に対しては、支払いを慎重に検討する必要があります。

多くの場合、身代金を支払ってもデータが完全に復元される保証はなく、逆に再度攻撃されるリスクもあります。

法的な観点からも、身代金の支払いは推奨されていません。

そのため、支払いの前に、セキュリティ専門家や法的アドバイザーと相談し、最善の対応策を決定することが重要です。

5.セキュリティの強化と再発防止策の実施

被害を受けた後は、再発防止のためにセキュリティ体制の見直しと強化を行います。

たとえば、ランサムウェアがどのように侵入したのかを分析し、その経路を遮断するための対策を実施します。

これには、ソフトウェアの更新、パスワードポリシーの強化、従業員へのセキュリティトレーニングの再実施などが含まれます。

今後の被害を防ぐためには、学んだ教訓を活かし、より強固なセキュリティ対策を整えることが不可欠です。

6.関係者への報告と法的対応

ランサムウェア被害を受けた場合、顧客や取引先などの関係者に対して適切に報告することが求められます。

また、個人情報の漏洩が発生した場合には、最寄りの警察署又は都道府県警察本部サイバー犯罪相談窓口に通報・相談しましょう。

法的対応においては、弁護士や専門家の助言を受け、誤った対応による二次的なリスクを避けることも重要です。


ランサムウェアに関するよくある誤解5つ

最後に、ランサムウェア対策に関するよくある誤解を5つ紹介します。

誤解1.「身代金を支払えばデータは必ず戻る」

最も一般的な誤解の一つは、「身代金を支払えばデータが必ず元通りになる」というものです。

しかし、実際には、攻撃者がデータの復号化キーを提供しないケースも多くあります。

また、支払ってもデータが一部しか復元されない、あるいはデータが破損しているといった事例も報告されています。

さらに、身代金を支払うことで攻撃者に資金を提供し、再び標的にされるリスクも高まります。

そのため、身代金の支払いは最終手段として慎重に検討する必要があります。

誤解2.「ランサムウェアは大企業だけが狙われる」

多くの人が「ランサムウェアは規模の大きい企業をターゲットにしている」と考えがちですが、実際には中小企業や個人も多くの被害に遭っています。

攻撃者は大規模な攻撃だけでなく、脆弱なセキュリティを持つ企業を広範に狙うことで、効率よく身代金を得ようとする戦略を取ることがあります。

そのため、企業規模に関わらず、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。

誤解3.「アンチウイルスソフトさえあれば安心」

「アンチウイルスソフトを導入しているから安心」という誤解も多く見られます。

アンチウイルスソフトはランサムウェアに対して有効な防御手段の一つではありますが、それだけでは十分ではありません。

近年のランサムウェアは進化しており、従来型のアンチウイルスソフトでは検出できないものも増えています。

そのため、多層防御の一環として、ネットワーク監視やエンドポイント保護、従業員のトレーニングなど、総合的な対策を実施することが求められます。

誤解4.「バックアップさえあれば心配ない」

バックアップはランサムウェア対策の重要な要素ですが、「バックアップがあれば全て解決する」という考えは危険です。

ランサムウェアがバックアップデータ自体を標的にするケースもあり、ネットワーク上にあるバックアップが暗号化されるリスクがあります。

そのため、バックアップデータはネットワークから隔離して保存し、定期的にリストアのテストを行うことが重要です。

これにより、感染時にも確実にデータを復元できる体制を整えることができます。

誤解5.「ランサムウェア攻撃は防ぎきれない」

「ランサムウェア攻撃は避けられない」と諦めるのは誤解です。

確かに100%防ぐことは難しいですが、リスクを大幅に低減することは可能です。

従業員のセキュリティ意識を高めるトレーニングの実施や、最新のセキュリティパッチの適用、ゼロトラストセキュリティの導入など、適切な対策を講じることで、感染のリスクを最小限に抑えることができます。

また、早期発見と迅速な対応ができる体制を整えることで、被害を最小限に抑えることが可能です。


まとめ

本記事では、ランサムウェア対策の基礎知識から、具体的な対策方法、感染時の対応策まで一挙に解説しました。

ランサムウェアとは、システム内のデータを暗号化し、復号のために身代金を要求する悪意のあるソフトウェアです。

感染すると業務停止や情報漏洩のリスクが生じるため、企業にとって適切な防御策が欠かせません。

ランサムウェアの感染経路としては、フィッシングメールやRDPの脆弱性、未更新のソフトウェアなどが挙げられます。

これらを防ぐために、多層防御やセキュリティポリシーの整備、ゼロトラストセキュリティの導入が重要です。

具体的な対策としては、エンドポイントセキュリティやネットワークセキュリティ、データのバックアップなど、複数の防御手段を組み合わせることが推奨されます。

また、ランサムウェア対策ソフトの選定や、感染時の迅速な対応も被害の最小化に直結します。

またランサムウェア対策は単にツールを導入するだけでなく、従業員のトレーニングやセキュリティ体制の継続的な見直しを通じて、長期的に強化していくことが求められます。

適切な準備と対策を施すことで、企業はランサムウェアの脅威に対してより強固な防御を築くことができるでしょう。

コメント