
ROIを正確に計算することは、投資対効果を正確に判断するために必要です。
ROIの基本となる計算式は、「利益÷投資額×100(%)」です。数値が高いほど、収益性が高いことを示しています。
ただし、「年率ROI」「マーケティングROI」など種類があり、種類別で計算方法が異なるので注意しましょう。
本記事ではROIの計算方法を種類別にまとめています。
「ROIの計算方法が知りたい」「費用対効果を高めたいが、事業のどの部分に力を入れればいいかわからない」と頭を悩ませている担当者の方はぜひ参考にしてください。
- ROIの基本計算式と考え方
- 年率ROIとマーケティングROIの違い
- 種類別の具体的な計算手順
- 判断基準と市場要因の見方
- ROI改善と経営活用の要点
目次
ROI(投資利益率)の計算方法
ROIの計算式は以下のとおりです。
例えば、10万円投資し100万円の利益を上げたケースAと、100万円投資し500万円の利益を上げたケースBの計算方法はそれぞれ次のとおりです。
B:500万円÷100万円×100=500%
利益額だけで判断するとBの方が多いのですが、費用対効果ではAの方が上回っていると判断できます。
- 分母は投資金額に統一して比較する
- 利益の定義を明確化し計上ブレを防ぐ
- 単発ROIと期間調整済みROIを使い分け
- 金額の大小より効率性で評価する
参考:「ROIとは?指標の役割や算出時の計算法、ROASとの違いを解説|LISKUL
種類別のROIの計算方法
一般的な文脈で使われるROIとは別に「年率ROI」「マーケティングROI」など種類があります。それぞれの計算方法も覚えておきましょう。
- 年率ROI:期間を考慮した年率換算
- マーケティングROI:施策別の投資対効果
- 特徴の違いと使い分けのポイント
種類 | 計算式 | 特徴 |
---|---|---|
年率ROI | ((投資収益額 / 投資額)^(1/年数) – 1) x 100% | 一般的なROIの計算式では考慮されていない、投資の保有期間を含めて計算できる |
マーケティングROI | 利益額÷マーケティング投資金額×100(%) | マーケティング投資額に対してどのくらいの利益や効果が出たのかをみる数値 |
年率ROI
年率ROIとは、投資に対する利益率を年単位で表したものです。つまり、投資をした期間の年率での収益率を示します。
年率ROIの計算式は以下のとおりです。
例えば、1年間で10万円を投資し、1年後に12万円になった場合、年率ROIは以下のように計算できます。
同様に、2年間で10万円を投資し、2年後に15万円になった場合、年率ROIは以下のように計算できます。
- 投資期間が長短で利回りは大きく変動
- 複利換算で期間差を公平に比較可能
- 税金手数料は必要に応じ控除して算入
- 年数は実期間に合わせ正確に設定
参考:「投資収益率(ROI)の計算方法とは? | Indeed (インディード)」
マーケティングROI
マーケティングROIは、マーケティング投資額に対してどのくらいの利益や効果があるのかを把握する計算式です。
マーケティングごとに成果を確認することで、どの投資からいくらの利益を上げられたのか正確に把握できます。
なお、利益金額の計算式は次のとおりです。
ROIが100%を切ると、利益が投資額よりも小さいことを表わします。
そのため、そのマーケティング単体で見ると赤字になっていると判断できます。
複数のWeb広告を展開している企業がマーケティングROIを利用すると、各広告の成果を数値で把握できるため、どこに力を入れるべきか数値で判断できるようになります。
- 施策単位で費用と利益を厳密に紐付け
- 100%未満は改善か停止の判断材料
- 媒体別・キャンペーン別で比較分析
- LTVや間接効果も併せて評価検討
参考:マーケティングでのROI(費用対効果)の考え方 | マーケティングオートメーション List Finder(リストファインダー)
ROIの判断基準は商材・市場によって変わる
「ROIがどの程度であれば良い投資なのか」などの判断は商材や市場によって大きく変わります。そのため、ROIの明確な平均値・基準値などはなく、あくまで一指標でしかないということを意識しましょう。
例えばWeb広告などは広告プラットフォームやキャンペーンによってROIが大きく変わります。ターゲットの最適化を進めていくことでROIが向上していくこともあります。
数値だけを見て投資判断するのではなく、自身の目標やリスク許容度、市場の状況をよく理解し、ROIを含む様々な指標を総合的に判断することです。
リスク許容度の計算方法については以下記事をご確認ください。
参考:あなたの投資、リスク許容度は?計算方法と便利な診断ツールも紹介 | ZUU online
- 商材特性と市場環境で適正値は変動
- 単一指標に依存せず複合評価を行う
- 短期ROIと長期価値を切り分け判断
- 目標・許容リスクと整合を確認
ROIに関するよくあるご質問
ROIに関してのお悩みを持つ方に役に立つQ&Aをまとめています。
Q.ROIを計算する際に必要なデータは何ですか?
A.ROIを計算するためには、投資額とその投資から得られる利益が必要です。具体的には、初期コスト、運用コスト、売上高、利益率などが含まれます。これらのデータを正確に把握することで、より信頼性の高いROIが算出できます。
- 初期費用と運用コストの総額
- 売上高・粗利・利益率の実数
- 計上範囲と期間の整合性
Q.ROIを向上させるための戦略は?
A.ROIを向上させるためには、コスト削減や売上の増加、利益率の改善が効果的です。具体的には、効率的な運用や新しい収益源の開拓、マーケティングの最適化などが戦略として挙げられます。
- 無駄コスト削減と業務効率化
- 高粗利商品の比率拡大
- 広告配分最適化とCVR改善
Q.ROIの計算結果を経営判断に活用する方法は?
A.ROIの計算結果は、経営戦略や資源配分の判断材料として重要です。投資の優先順位を決定したり、新規プロジェクトの採用可否を判断する際に、ROIを基にした意思決定が求められます。
- 投資優先度と予算配分の根拠化
- 撤退基準と継続基準の設定
- ポートフォリオで全体最適を図る
Q.新規事業におけるROIの予測方法は?
A.新規事業におけるROIを予測するためには、市場調査や競合分析、顧客ニーズの評価を行い、期待される売上とコストを推定します。シナリオ分析を行い、複数のケースを考慮してROIの範囲を見積もることが推奨されます。
- 前提条件を明示し感度分析を実施
- ベース・楽観・悲観の三層試算
- 検証サイクルで前提を更新
まとめ
投資に対してどのくらいの利益が出るのか、数値で知ることができる計算式がROIです。
基本的な計算式は、次のとおりです。
またROIには「年率ROI」や「マーケティングROI」などの種類があります。それぞれの計算式は以下です。v
ただしROIの判断基準は商材・市場によって変わります。そのため、ROIの数値のみで投資判断するのではなく、そのほかの要素と合わせて検討しましょう。
- 指標の定義と期間を統一して比較
- 種類別ROIを併用し多角的に評価
- 市場環境とリスク許容度を反映
- 改善施策と検証で継続的に最適化