2014年4月3日、ユニバーサルアナリティクスが正式版としてリリースされ、リマーケティングやユーザー属性、インタレストカテゴリに関するレポートに対応しました。
正式版となって、従来のGoogle アナリティクスで利用できていた全機能が利用可能になり、すべてのプロパティがユニバーサルアナリティクスへアップグレードできるようになりました。
Google の目標は、ユニバーサルアナリティクスへの完全移行です。
現在、ユニバーサルアナリティクスに手動で移行できるようになっていますが、近い内に全プロパティの自動移行が開始されます(すでに一部のアカウントでは、プロパティが自動移行されています)。
ユニバーサルアナリティクスへの移行はもはや避けられない状況です。
従来のアナリティクスとの違いや注意点をしっかりと理解し、移行の準備と対策を進めましょう。
目次
そもそも従来のアナリティクスとは何が違う?
従来のアナリティクスとユニバーサルアナリティクスでは、セッションのカウント方法が微妙に異なります。
従来のアナリティクスでは、ユーザーが他のサイトへ一度遷移してまたすぐに戻ってきた場合、セッションが途切れることはありませんでしたが、ユニバーサルアナリティクスでは、参照サイトからの流入の処理が変更となり、すべての参照サイトからの遷移で新しいセッションが開始されます。
ユニバーサルアナリティクスでは、ユーザーが他のサイトへ一度遷移してすぐに戻ってきた場合、そのユーザーのセッションは2回になります(設定で特定ドメインからの参照トラフィックを除外することも可能です)。
また、トラッキングコードやデータ集計の仕様が変更になるため、イベントラッキングや仮想ページビュー、クロスドメイントラッキング、eコマース設定の設定方法や記述も変更となります。
■イベントラッキングの計測コード
従来のアナリティクス
_gaq.push([‘_trackEvent’, ‘カテゴリ’, ‘アクション’, ‘ラベル’, 値]);
ユニバーサルアナリティクス
ga(‘send’, ‘event’, ‘カテゴリ’, ‘アクション’, ‘ラベル’, 値);
■仮想ページビューの計測コード
※URLだけでなくタイトルまで指定できるようになりました。(ページタイトルは任意)
従来のアナリティクス
トラッキングコードの _gaq.push([‘_trackPageview’]); を以下のように変更
_gaq.push([‘_trackPageview’, ‘仮想URL’]);
ユニバーサルアナリティクス
トラッキングコードの ga(‘send’, ‘pageview’); を以下のように変更
ga(‘send’, ‘pageview’, {‘page’: ‘仮想URL’, ‘title’: ‘ページタイトル’});
ユニバーサルアナリティクスを使用する
4つのメリット
ユニバーサルアナリティクスには、従来のアナリティクスにはない4つの大きなメリットがあります。
1. クロスドメイントラッキングの実装が簡単に
従来のアナリティクスでクロスドメイントラッキングを実現する場合、トラッキングコードの変更だけでなく、異なるドメインへのすべてのリンクに_link()メソッドを設定する必要がありました。
導入のハードルが高かったので、正しく設定・計測できていないサイトを見かけることも多々ありました。
ユニバーサルアナリティクスでは、トラッキングコードのカスタマイズだけでクロスドメイントラッキングが可能になります。
■http://www.aaa.co.jp⇔http://www.bbb.com でクロスドメイン計測する場合
※赤字の部分が通常のトラッキングコードからの変更・追記箇所になります。
<script> (function(i,s,o,g,r,a,m){i['GoogleAnalyticsObject']=r;i[r]=i[r]||function(){ (i[r].q=i[r].q||[]).push(arguments)},i[r].l=1*new Date();a=s.createElement(o), m=s.getElementsByTagName(o)[0];a.async=1;a.src=g;m.parentNode.insertBefore(a,m) })(window,document,'script','//www.google-analytics.com/analytics.js','ga'); ga('create', 'UA-XXXXXXX-X', 'auto',{'allowLinker':true}); ga('require', 'linker'); ga('linker:autoLink', ['aaa.co.jp','bbb.com']); ga('send', 'pageview'); </script>
[]に並べて記載したドメインへのリンクへ対し、自動的にCookieを引き渡してくれます。
従来のように異なるドメインへのリンクのカスタマイズは不要です。
2. 管理画面での設定変更
従来はトラッキングコードのカスタマイズが必要だった以下の設定が、管理画面上で行えるようになりました。
- オーガニック検索ソース(検索エンジン)の追加
- セッションとキャンペーンのタイムアウトの処理の変更
- 参照元の除外設定
- 検索キーワードの除外設定
例えば、docomo dメニューの検索から流入を検索エンジンとして追加する場合
_gaq.push([‘_addOrganic’, ‘search.smt.docomo’, ‘MT’, true]);
上記のようにトラッキングコード内に追記する必要がありました。
ユニバーサルアナリティクスでは、わざわざトラッキングコードをカスタマイズする必要がなく、管理画面上で以下のように設定するだけです。
[トラッキング情報]→[オーガニック検索ソース]→[+検索エンジンを追加]
検索エンジン名に「dmenu」、ドメイン名に次を含むに「search.smt.docomo」、
クエリパラメータに「MT」を入力し、[作成]をクリック
サイトの修正が不要なので、検索エンジンの追加も費用をかけず気軽に行うことができます。
3. デバイスを跨いだユーザー測定
ユーザー毎に別々のユーザーIDでログインする機能があるサイトの場合、User-ID機能を使用することで、デバイスを跨いだユーザーの測定が可能となります。
システムから取得したUser-IDをGoogle アナリティクスに送るために、トラッキングコードのカスタマイズを行い、User-ID用のビューを追加で作成すると以下のようにクロスデバイスレポートを閲覧できるようになります。
4. 新機能の追加
これがもっとも大きなメリットとなりますが、今後控えている新しい機能やサービスのアップデートは、ユニバーサルアナリティクスにのみ適用されます。
ユニバーサルアナリティクスへの移行の手順
ユニバーサルアナリティクスへの移行は、2ステップで完了します。
STEP1 プロパティの移行
[アナリティクス設定] ページの[ユニバーサルアナリティクスにアップグレード]で、プロパティをユニバーサルアナリティクスに移行します。移行は[移行]ボタンをクリックするだけです。
この際、セッションとキャンペーンのタイムアウトの設定画面が表示されますが、従来のアナリティクスのデフォルト設定と同じ期間になっているので、変更せずに[保存]ボタンをクリックします。
以上でステップ1は終了です。
24~48時間以内に、データ処理のプロセスが従来のものからユニバーサルアナリティクスのものへと移行されます。
なお、自動的に移行されたプロパティは、このステップまで完了している状態です。
STEP2 トラッキングコードの差替
従来のコード(ga.js)をユニバーサルアナリティクス用のコード(analytics.js)へ貼り替えます。
ステップ1のプロパティの移行が完了していると、 [アナリティクス設定] ページの[トラッキング情報] で、ユニバーサルアナリティクス用のトラッキングコードを取得できます。
できれば一括で全ページのコードを差し替えたいところですが、先に触れたように、トラッキングコードの変更にともない、イベントラッキングや仮想ページビュー、eコマース設定などについても変更が必要となるので、それらを利用している場合はその設定の変更も必要となります。
ページが異なればサイト内で古いga.jsのコードとanalytics.jsのコードが混在しても大丈夫なので、新しく作成するページはユニバーサルアナリティクス用のコードを設置し、イベントトラッキングなどを利用しているページは段階的に古いコードから新しいコードへ変更していく、という進め方でも問題ありません。
ただし、同じページ内に同じIDの新旧のコードを両方設置するのはNGです。データが正しく計測できなくなります。
完全移行後もしばらくは、ga.js / urchin.jsの古いコードやカスタム変数は継続して利用できるので、しっかりと準備して計画的にコードの変更を進めて行きましょう。
リスティング広告を出稿している場合は要注意
リスティング広告を出稿している場合は、移行に際して他にも注意点があります。
ユニバーサルアナリティクスは、スポンサードサーチ(Yahoo!プロモーション広告)のキーワードが取得できない仕様となっています。
Google アナリティクス上でスポンサードサーチからの流入を計測する場合、オーガニック検索からの流入と区別するために、カスタムキャンペーンのパラメータを付与します。
■パラメータ設定例
http://www.aaa.co.jp/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=キャンペーン
通常のアナリティクスでは、スポンサードサーチのリンク先URLに必須のパラメータ(「utm_source」、「utm_medium」、「utm_campaign」)を指定・付与していた場合、検索クエリをキーワードとして取得してくれていました。
ところが、ユニバーサルアナリティクスでは、パラメータを付与している場合、キーワードが計測されず「(not set)」となってしまいます。(2014年5月20日現在)
キーワードを計測するためには、広告の登録キーワード毎に「utm_term」でキーワードを指定、パラメータを付与しなければなりません。
■パラメータ設定例
http://www.aaa.co.jp/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_term=キーワード&utm_campaign=キャンペーン
しかし、実際に設定・運用をされている方ならお分かりになると思いますが、スポンサードサーチでキーワード毎に個別でリンク先URLを指定するのは、設定の手間と管理・運用を考慮すると現実的ではありません。
ValueTrackを使用してキーワードを自動取得
実は、ValueTrackというGoogleが提供している機能を使用することで、キーワード毎に個別でパラメータを設定しなくても、キーワードが取得できるようになります。
■ValueTrackを使用する場合のutm_termパラメータ
utm_term={keyword}
上記をリンク先URLに付与するパラメータに追加することで、キーワードが自動的に取得されます。
※取得されるのは、検索クエリではなく入稿した登録キーワードになります
■パラメータ設定例
http://www.aaa.co.jp/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_term={keyword}&utm_campaign=キャンペーン
これにより、「utm_source」、「utm_medium」、「utm_term」の値が固定となるので、これまで通り「utm_campaign」をキャンペーン別に変えるだけで済みます。
スポンサードサーチに出稿しているため、ユニバーサルアナリティクスへの移行を控えていたという方も、リンク先URLに一律で「&utm_term={keyword}」を追記するだけであれば、負担も少ないのではないでしょうか。
まとめ
近い内に全プロパティの自動移行が開始され、強制的にユニバーサルアナリティクスへとアップグレードされます。
プロパティの移行が進んでも従来のコードや設定はしばらく利用可能ですが、メリットの項でも触れたように、ユニバーサルアナリティクスには従来のアナリティクスにはない多くの利点があります。
また、新機能は今後ユニバーサルアナリティクスにしか適用されないので、Google アナリティクスをさらに活用していくためにも完全移行は必須となります。
従来のアナリティクスとの違いや移行に際しての注意点を踏まえ、ユニバーサルアナリティクスへの移行を進めていただければと思います。
ユニバーサルアナリティクスの設定に関するよくあるご質問
ユニバーサルアナリティクスの設定でお悩みの方に役立つQ&Aをまとめています。
Q.ユニバーサルアナリティクスでデータを視覚化する方法は?
A.ユニバーサルアナリティクスでは、データを視覚的に理解しやすくするためにグラフや表を活用できます。特に行動フローやリアルタイムデータは、サイト内のユーザーの動きを視覚的に捉えるのに有効です。
Q.ユニバーサルアナリティクスでページごとのクリック率をどう測定しますか?
A.クリックイベントを設定することで、どのボタンやリンクが最もクリックされているかを把握できます。これにより、ユーザーがどこに興味を持っているかを知ることができます。
Q.ユニバーサルアナリティクスで離脱率を改善するためには?
A.離脱率が高いページを特定し、そのページの内容やユーザーエクスペリエンスを見直すことで、全体のパフォーマンスを改善できます。例えば、ページの読み込み速度を上げることや、ナビゲーションの整理が有効です。
Q.ユニバーサルアナリティクスでコンバージョン率を最適化する方法は?
A.ゴール設定を行い、そのゴールに到達したユーザーの行動を分析することで、コンバージョン率の最適化が可能です。どのステップでユーザーが離脱しているかを確認し、適切な対策を行います。
Q.ユニバーサルアナリティクスでモバイルとPCのユーザー行動を分析する方法は?
A.デバイス別のデータを比較することで、モバイルユーザーとPCユーザーの違いを把握できます。これにより、それぞれのデバイスに合わせた最適化が可能です。
参考サイト
Universal Analytics アップグレード センター
Universal Analytics アップグレード ガイド
ValueTrackを使用する
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