赤字決算でも融資を受けられる可能性はある!コツや他の資金調達方法も紹介

赤字決算 融資

赤字決算になると、書類提出や面談などを行う一般的な銀行からの融資を受けられなくなるのではと不安に思う方もいるのではないでしょうか。

結論から言えば、赤字決算になったとしても、状況ややり方次第では融資を受けられる可能性は十分にあります。

本記事では、まず赤字決算であっても銀行からの融資を受けられるケースや、融資を受ける際のコツについて解説します。また、融資以外の他の資金調達方法もご紹介しますので、資金繰りにお悩みの方は参考にしてみてください。

※本記事はGMOあおぞらネット銀行株式による寄稿記事です。LISKUL編集部監修のもと公開しています。


赤字決算でも融資を受けられるケース

赤字決算でも銀行からの融資を受けることは100%不可能ではありません。

特に以下の2つのケースでは、企業が赤字経営であっても融資を受けられる可能性があります。

起業したばかりの場合

起業したばかりの場合、初期費用や設備投資がかさむため、一時的に赤字になるのは珍しくありません。

しかし、事業計画書に沿ってコンスタントに売上・利益を出し、将来的に黒字に転換する見込みがあると判断されれば融資を受けられる可能性があります。

後述するように、収支の具体的な改善案を提出できるよう準備しておきましょう。

一時的に赤字の場合

赤字になった原因があくまで一時的なもので、原因が解決すれば黒字に転換する見込みがあると判断されれば、融資を受けられる可能性はあるでしょう。

昨今の事例で言えば、新型コロナウイルス感染症拡大により、通常通りに事業が営めず、赤字になったケースも考えられます。

この場合、以下のポイントを盛り込んだ経営改善計画を作り、自社で対応できることを済ませてから融資の相談を行えば、結果が違ってくるはずです。

  • 不要な経費の削減
  • 取引先への値下げ、支払期日の変更の交渉
  • 販売形態の変更
  • 広告の出稿などの販促活動

具体的にどのようなことを経営改善計画に盛り込むべきか、会社の状況によっても異なるため、経営革新等支援機関に認定されている専門家に相談するのをおすすめします。


赤字決算でも融資を受けるコツ

赤字決算でもプロパー融資や信用保証付き融資を受けるためには、返済能力があり、かつ将来的に黒字にできる見込みがあると判断できる証拠を提出することが効果的です。

取り入れてほしいコツとして、以下の3点を紹介します。

具体的な改善案を提出する

赤字になっている場合は、原因を分析し具体的な改善案を提出しましょう。

例えば、売上が目標に達していない場合は、個人やチームの努力不足・コミュニケーション不足、販促活動上の問題などさまざまな原因が考えられ、適した改善案はそれぞれで異なるはずです。

単に役員報酬引き下げや人件費の削減、経費の削減で利益を出そうとするのは好ましくありません。

なお、具体的な改善案を提出する場合は、経営改善計画という形にまとめましょう。

以下のポイントを押さえて作成するようにしてください。

  • 「なぜ、赤字になったか」について要因分析と反省をする
  • 要因分析に基づく解決策を提示する
  • 「何を、いつ、どこまでやるか」について、数字も用いて具体的な施策を示す
  • 「来期は黒字を目指します」など過度にポジティブな目標を掲げない
  • あくまで実現可能かつ持続可能な目標を掲げる

返済能力がある証拠を提出する

不動産やまとまった額の預金があるならば、登記簿謄本や残高証明書を用意し、担保として差し入れることができないか交渉してみましょう。

金融機関にとっては信用リスクの低減にもつながるため、交渉がまとまる可能性が出てきます。

資金繰り表を作成する

整合性のある資金繰り表を作成することも重要です。

いつ、いくら借入が必要なのかを根拠をもって示せます。

具体的には、以下の点に注意して資金繰り表を作成してみましょう。

  • 費用の計上漏れがないか(特に毎月発生しない費用に注意)
  • 試算表や貸借対照表の数字と一致しているか
  • 売上予測は綿密なリサーチに基づいた妥当なものになっているか

また、資金繰り表を作成した結果、資金不足の懸念があるなら、改善策を講じるのも重要です。

具体的には、以下の改善策を講じ、金融機関との面談の際にも伝えてみましょう。

  • 回収・支払条件の変更交渉
  • 取引先の信用管理
  • 在庫管理の厳格化
  • 経費の見直し
  • 借換保証制度を利用する

赤字決算で融資を受ける際の注意点

赤字決算で融資を受ける際の注意点として、融資で得た資金を赤字補填に回すべきではないことが挙げられます。

銀行も、融資が赤字補填の目的だと判断した場合、否決にすることがほとんどです。

やむを得ず赤字補填のために融資を受けたいのなら、現在の状況を整理して原因を導き出し、今後の経営改善策を提示しましょう。

また、節税目的で赤字にするケースも考えられますが、あまり好ましいことではありません。

節税のために恣意的に赤字にしていたと判断した場合、企業に対する信頼は失われます。

さらに、2期連続で赤字になった場合、既存の借入について一括返済を求める金融機関もあるので注意が必要です。


赤字決算で融資を受けられない場合の資金調達方法7選

赤字決算とはいっても、実際に融資を受けられるかは金融機関の判断によります。

ここからは、審査の結果融資が否決されたり、可決されたものの希望額より低い額を提示されたりした場合に、有用な資金調達方法を紹介します。

ビジネスローン

ビジネスローンとは、事業資金を融資するためのローン商品を指します。

銀行や消費者金融、信販会社などで提供されていて、法人経営者および個人事業主が利用可能です。

融資基準は提供元の会社によって異なりますが、銀行からの一般的な融資に比べると総じて高めに設定されています。

また融資実行までにかかる時間は、銀行からの一般的な融資の場合1カ月前後を要するのに対し、ビジネスローンの場合は7日から10日程度であるのが一般的です。

中には、最短即日融資可能という商品もあります。

なお、ビジネスローンの中には決算書や事業計画書を審査に使わず、赤字決算の場合も利用しやすい商品もあります。

このようなビジネスローンとしては、GMOあおぞらネット銀行の「あんしんワイド」や、福岡銀行の「フィンディ」などが挙げられます。

その他のビジネスローンについては、以下の記事でも参考にしてください。

参考:【2023年最新版】ビジネスローンおすすめ25選を比較!選び方も紹介 | LISKUL

ファクタリング

ファクタリングとは、保有する売掛債権を専門業者(ファクタリング会社、ファクター)に買い取ってもらうことで資金調達する方法です。

本来の売掛債権の決済期限が到来したら、ファクタリング会社に対し利用者もしくは取引先が支払いを行います。(参考:金融庁

ファクタリングについての詳細は、以下の記事も参考にしてみてください。

参考:ファクタリングサービスの仕組みやメリット、注意点、業者選びのコツを解説! | LISKUL

なお、契約に関与する当事者の数により、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングに分けることが可能です。

項目2社間ファクタリング3社間ファクタリング
ファクタリング会社への支払いを行う対象者利用者取引先
取引先への通知なしあり
資金入金までの日数比較的早い(最短即日のことも)比較的時間がかかる(1週間程度)
手数料比較的高め(10%~30%)比較的低め(1%~9%)

ここで、ファクタリングを実際に利用した人の口コミを紹介します。

「複数回に渡る利用を打診した所、資金計画にもご協力いただき、対応は積極的でした。弊社の継続的な事業活動に対して、一定の貢献を頂いております。」
引用:即日振込専門ファクタリング会社 – ベストファクター|Google

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)

日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)は、一時的に業況が悪化している場合に利用できる融資制度です。

一定の条件を満たす場合であれば、最大4,800万円まで融資を受けることができます。

返済期間は、設備資金であれば15年以内(据置期間3年以内)、運転資金であれば8年以内(据置期間3年以内)です。

担保の有無や赤字に至った原因によって適用される利率は異なるため、利用に先立って確認するのをおすすめします。

ここで、経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)に対する口コミを紹介します。

参考:「貸金業制度等に関する懇談会」(第19回会合)の開催について|金融庁

不動産担保ローン

不動産担保ローンとは、文字通り不動産を担保にして事業資金を借り入れるローンのことです。

事業用資金を調達するためには社屋や工場、倉庫など事業に用いている不動産だけでなく、法人代表者の自宅を担保にすることもできます。

担保にする不動産の評価額に応じて融資が受けられるため、赤字であっても多額の資金調達ができる可能性があります。

ただし、返済が滞ると担保にした不動産が差し押さえられ、競売にかけられる可能性が出てきます。

また、不動産評価額の鑑定に時間がかかるため、実際に融資が受けられるまでには時間がかかる点に注意が必要です。

リースバック

リースバックとは、不動産を専門業者に買い取ってもらい、改めて賃貸借契約を結び使い続ける契約です。

売却によりまとまった資金を確保できるうえに、融資とは違い返済をする必要はありません。

ただし、一般的な不動産の売却より買取価格が低めになるうえに、賃借料を払い続けなくてはいけない点に注意しましょう。

不動産の売却

使う予定がない不動産は売却すると、まとまった資金を一気に確保できます。

しかし、タイミング次第では長期間売却ができないことにも注意しなくてはいけません。

最初は不動産会社に仲介を前提に依頼し、仲介契約の満了まで売れなければ買取に切り替えるなど、臨機応変な対応が必要です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、群衆を表す「クラウド」と資金調達を表す「ファンディング」からなる造語です。

インターネット上のプラットフォームを通じて支援者を募り、資金調達をすることを指します。会社(法人)だけではなく、個人であっても利用できます。

たとえ会社自体が赤字だったとしても、プロジェクト自体に魅力があれば多額の資金調達をすることが可能です。

ただし、資金調達までに時間がかかるうえに、支援者が集まらなければ調達できる資金が少なかったり、ゼロになったりする可能性もあります。

プロジェクトの魅力をどれだけアピールできるかがカギになる方法です。

また、プロジェクトが成立した場合、プラットフォーム運営企業に手数料を払わなくてはいけません。

額面上は必要額が調達できたとしても、手数料を引いたら足りなくなったという事態も起こりうるので、その点を含めて計画を練りましょう。

なお、事業計画が曖昧だと、プラットフォーム運営企業の審査に通らないケースもあるので注意が必要です。その点に言及した口コミを紹介します。


まとめ

赤字決算だったとしても融資を受けられる可能性はありますが、銀行からの一般的な融資審査では「将来的に黒字にできる見込みがあるか」は厳しくチェックされます。

実際に審査に通るかどうかは確約できないため、「審査に通らなかった場合」のことも想定して、資金調達方法を考えましょう。

税理士や中小企業診断士などの専門家に相談するのも効果的です。