テストマーケティングで“売れる商品”をつくる!最適な手法の紹介と注意点について

新商品や新サービスを世の中に出す場合、本格的に資金調達や予算を獲得して商品、サービス開発をする前に、まずは「テストマーケティング」をしたほうがよいといわれています。

【完全保存版】”売れる”新商品の3つの共通点

それは、できる限り大きな失敗はせずに、成功確率を高めるためです。テストマーケティングの必要性に気づき、この記事をみつけていただいた時点で、大きな失敗をするリスクが確実に軽減できています。

しかし、テストマーケティングってそもそもどのように行えばいいのか?どうすれば上手くいくのか?そもそも本当に実施すべきなのか?わかるようでわかっていないということがありませんか?

本記事では、テストマーケティングについての全体像から、お客様の業態に合わせた手法について、最新のやり方も踏まえて紹介します。実際に、上場企業で新規事業開発を行い、新規事業に取り組む多数の企業経営者や担当者に話を聞いたうえで、新規事業、新サービスをスタートさせた担当者が書いた記事です。

この記事を最後まで読み終えて頂ければ、ご自身のこれからチャレンジされる事業のテストマーケティングについて、最新の情報や注意点についてご理解されたうえで計画の方向性を決められるようになっているはずです。

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目次


テストマーケティング=試験販売

テストマーケティングによって「売れる商品」がつくれるようになる!


テストマーケティングとは一言でいえば、『試験販売』のことです。テストマーケティングを行うことが、「必要とされず、売れない商品」を大量につくってしまうリスクを軽減することにつながり、商品やサービスの成功確率を高めます。

世の中にこれまでになく、販売実績もない新商品や新サービスは「本当に売れるか」「どれだけ売れるか」はわかりません。実際に商品を手元に届け、買うか買わないかの意思決定をさせることで「本当にユーザーが買ってくれるのか?」「ユーザーニーズがあるのか」が初めてわかるのです。

試験販売であれば、売れなかったとしても、材料や設備、人員への投資は限定的なため損失を抑えられます。その後は、売れるように商品を改善することもしやすく、その商品の販売をやめて撤退する判断や対応も柔軟に行いやすくなります。
 

テストマーケティングをしないと準備が無駄になることが多い


テストマーケティングをしないで、本格的に資金調達・設備投資や生産体制を確保してしまってから売れないことがわかった場合、準備したコストはすべて無駄になってしまいます。

コストを出来る限り回収するために価格を下げてでも無理して販売活動を続けなくてはいけなくなるかもしれません。売れないもの、必要とされないものを無理して売ることは、組織としてはモチベーションも下がります。避けたいことです。

このような状況に陥るリスクを軽減するために行うのが「テストマーケティング」なのです。

テストマーケティングとは、新商品発売の際にリスクを軽減するため地域や期間などを限定してその商品を試験販売し、消費者の反応を実験することをいう。
引用:テスト・マーケティングとは – コトバンク

開発された新商品を本格的に販売する以前に、限られた地域で少数に対して販売するということ。これが行われるのは消費者からの新商品に対する評価を収集するためのテストという意味合いが大きく、テストマーケティングでの評価が高かったならばその商品は広範囲で大規模に販売されるようになるということである。逆にテストマーケティングを行った結果の評価が良くなければその商品は広く販売されること無く、テストマーケティングで終わるというわけである。テストマーケティングを行えばリスクを減らすことができたり、今後のマーケティング活動に向けての計画を効果的、効率的に行えるようになるといったメリットが存在する。
引用:テスト・マーケティング – Wikipedia

テストマーケティングとは、商品やサービスの販売にあたり、予め決められた地域や流通チャネルなどを用いてテスト的に行うマーケティング手法。

テストマーケティングでは、初動やリピート率、広告への反応、販売促進の方法などを測定し、全国展開したときの状態を予測する。そして、全国展開していくにあたっての商品仕様、販売・生産計画、さらにはその商品自体の訴求ポイントなどを、その結果を反映しながら追加・修正する。主な目的は、商品やサービスの販売を行っていく上でのリスクを最小化すること、生産計画を効果的、効率的に行っていくことである。

テストマーケティングを行う候補地は、全国展開をふまえ、人口分布や市場規模などを基準にして、できるだけ異常値の出にくい地域を選ぶことが重要になる。
引用:テスト・マーケティングとは・意味|MBAのグロービス経営大学院


テストマーケティングで「早く」「小さな」失敗を積み重ねることが、成功への近道

ここまで説明してきたテストマーケティングの実施有無の違いを下記に図で整理してみました。

テストマーケティングで重要なのは、売れるのか、売れないのか?の二者択一の理解だけではありません。ユーザーからフィードバックを受け、売れるための改善点を模索することが重要なのです。どんな人が買ってくれているのか?売れる理由、商品の中身か、値付けなのか、コンセプトなのか、パッケージデザインなのか、ここの仮説を検証することが重要です。

商品化が決定し資金調達や事業化をする前に、テストマーケティングを行うことでユーザーニーズを見極めることができます。早めに問題に気付き、小さな改善を繰り返すことで、商品をアップデートすることができるようになります。

こういったアプローチによって、いざ売り出した際に売れる確率を高めることができます。しない場合はある意味一発勝負なので、売れないリスクが高まるのです。

ユーザーヒアリングで「買う」と答えたユーザーは、実際には「買わない」

テストマーケティングを行わなくても、アンケートや質問といった手法でユーザー調査を十分に行えばいいのではないか?といった問いがあるかもしれません。しかし、ユーザーはアンケートや質問で「買う」と答えても、実際には買わないことが多いのです。

確かに、グループインタビューやアンケートで質問に回答してもらう調査を行うなど、ユーザーニーズを調査する方法は様々あります。

とくに質問形式であれば、具体的に商品の情報を伝えたうえで「買いますか?」といった問いを投げかけ「買う」「買わない」の回答を得ることが出来ます。ただし、この調査だけでは本当に「買う」か「買わない」を把握するうえでは不十分なのです。

ユーザーヒアリングと実際に「買う」場面ではユーザーを取り巻く環境が異なる

その理由に、状況の違いの問題があります。実際にリアル店舗やネットショップの店頭に商品が並ぶ際、お店によって並ぶカテゴリ、並列する商品の種類や数、また値段も異なります。ユーザー調査の段階では持っていなかった情報が増えることで、判断も変わるかもしれません。

また、そもそもユーザーインタビューなどでは実際にお金を出すわけではないので、回答者は本気でその状況を想定しては回答していません。実際に財布からお金を出すか出さないかという状況にならないと本当の答えはわかりません。

その商品自体は欲しく買いたくても、全く異なるカテゴリで他にも買いたいものがあればその優先順位を下げられ見送られてしまうかもしれません。そんな状況でも「こういう商品が欲しいか?」と聞かれれば、「買いたい」と答えてしまうユーザーは多いでしょう。

実際に、早稲田大学の学生が研究した調査結果(※1)がありますので引用して紹介いたします。「買いたい」と言って「買った人」よりも「買わなかった人」のほうが多いという実績が出ています。

引用:購買意向と購買行動のズレの研究 ‐「買う」と言ったのに「買わなかった」人たち

事実、新規事業の撤退理由の50%以上は「テストマーケティング」の問題である

実態としてテストマーケティングの必要性は明らかです。中小企業庁の調べによると、中小企業が新規事業を撤退する大きな理由が2つあり、「期待したほどの市場性・成長性がない」(50.6%)、「販路開拓が困難」(42.1%)となっています(※1)。これは言ってしまえば「“必要とされないもの”をつくってしまった」ことになります。

これらはテストマーケティングである程度は解決できる問題です。実績からみても、テストマーケティングの必要性は明らかです。



テストマーケティングを実施しない場合に陥る3つの問題

仮にテストマーケティングを行わなかった場合に陥る問題が3つあります。

1.在庫リスク 
2.資金供給元からのプレッシャー
3.社内の雰囲気悪化

以下ではそれぞれについて解説します。

1.在庫リスク

「必要とされていない」商品は売れないので、在庫として残ってしまい、売上になりません。在庫処分のために、無理して値下げをしたり、場合によっては売りきることを諦めて、特損扱いとしてPLでマイナスをつけなくてはいけなくなるリスクがあります。

2.資金供給元からのプレッシャー

銀行や信用金庫などの資金の貸し手や、親会社や株主などのことです。ユーザー調査をもとに説得している場合、資金の出し手からすれば、『言っていることと違う、どうするんだ?!』と指摘を受けることになります。

彼らにとっては資金が戻らない不安が生じます。そうすると、本来は事業運営や営業活動、お客様の対応に割きたい時間を、資金供給元への報告のための資料作成や訪問対応などに時間を割かざる負えなくなってしまいます。精神的なダメージも大きくなるでしょう。

  

3.社内の雰囲気悪化

新規事業をやっている人は元々、既存事業の売上を元手にしている場合が多いと思います。そうすると既存事業に対しては気を使うものです。

そのような状況下で資金を投じてつくったものが売れないとなれば、既存事業からは冷たい目でみられますし、新規事業チームとしても自信を失います。新しい挑戦自体が会社全体としてネガティブに受け取られるようになってしまうかもしれません。
 
このような状況に陥らないためにも、テストマーケティングを行うことで、極力不要に大きな失敗をしないようにすることが大切です。

テストマーケティングでは購入動機・訴求内容・商品、価格の需要把握を

テストマーケティングでは、様々な項目が把握できます。

  • 「なぜ購入したのか?」という背景、動機
  • どんな訴求内容が刺さるのか?刺さらないのか?
  • 商品はどの程度の価格であれば購入してもらえるのか?
  • 同じ商品でも、色や機能についてどれが人気で、どれは不必要なのか?
  • どういうユーザーに最も評価されるのか?されないのか?

設計する際にはどこを把握したいのか?仮説をたてて取り組みましょう。

テストマーケティングの“共創”効果


また新たな視点としてテストマーケティングには“共創”効果もあるのではないかと考えられます。テストマーケティングの段階でユーザーは開発に関与することになります。ある意味自分がその商品の開発に関与した、商品をつくった、と思えるかもしれません。

そうなれば似たような商品が並んでいた場合、関与した商品への愛着により選択されやすくなるという効果もあるのではないかと考えています。


テストマーケティングの手法は3つの軸で考える

ここからは具体的なやり方について説明していきます。テストマーケティングの手法を考える際には3つの選択がポイントになります。

①既存顧客か新規顧客
②どの場で販売するのか?
③その場にどうやって集客するのか

結論から言えば、①新規顧客に ②オンラインで ③SNSを活用してアプローチすることをおすすめします。理由は「テスト結果を活用しやすい」「データ」「コスト」です。1つずつ、説明していきましょう。

「既存顧客」はコストがかからないが、「新規顧客」をターゲットに

「既存顧客」はコストを抑えられますが、効果に条件がつくためテストマーケティングとしては十分ではありません。最終的には「新規顧客」で実施する必要があります。「既存顧客」→「新規顧客」と段階的に実施してみることが良いでしょう。

「既存顧客」を活用すれば、低コストでテストマーケティング可能

「既存顧客」を沢山抱えている場合、「既存顧客」へは広告費などのコストをかけずにアプローチできるので、そのリストを活用すればテストマーケティングの費用を抑えられます。コストを考えれば断然「既存顧客」です。

「既存顧客」はテストマーケティングの役割としては不十分

ただし「既存顧客」へのアプローチにもテストマーケティングとしての課題があります。注意しなくてはいけないのは、ブランドとの関係値、ブランドへの認知があるかないかで新商品や新サービスへの反応も変わってくる点です。そのため、既に関係値がある既存顧客で実施したテスト結果を関係値のない新規顧客には転用しづらいのです。最終的に顧客の幅を広げることを目的とするのであればこの点は注意する必要があります。

テストマーケティングの目的を考えると、最終的には既存顧客に絞らずに、新規顧客向けに出すほうが良いわけです。最終的には新規顧客でテストマーケティングを行うことは必須としながら、まずは既存顧客ではじめるという2段階で実施してみるのはありかもしれません。

「販売する場」はオンラインがオススメ

販売する場については、「リアルな店舗」と「オンライン」の2択があります。業種業態によりますが、データが取得できる「オンライン」がオススメです。

テストマーケティングはテストとはいえ、今後の主戦場になりそうな販路で行うことがが実売に近い環境なのでよいと思うかもしれません。一方、コストを抑えて、結果やプロセスを計測可能な環境で行う点を意識することも重要です。理由は、テスト内容を次に活かしていくためです。

コストを抑えて、次に活かすとなればオンラインでまず実施することがお勧めです。メーカーや小売店であれば、店舗にかかるコストは実店舗より抑えられますし、テストマーケティングを行った際に細かいデータを取得しやすいためです。

飲食店や実店舗型のサービス業などについては、実際店舗を構えないとテストマーケティングできないといった指摘があるかもしれませんが、Webサイトをつくってそこで利用チケットを先に販売してみるといった手法でテストマーケティングを行うこともできます。

オンラインであれば「各カテゴリのポータルサイト」に掲載料や手数料を支払って出店する、「小売店のECショップ」に掲載してもらうよう交渉する、「自社サイト」でECを構築する、等の手法があります。現在では「クラウドファンディング」も注目されています。オンラインショップのシステムでは販売手数料や決済手数料のみしかかからないような低コストのツールもありますのでこういったものを活用していただくのが良いでしょう。
  
一方、注意点として、ポータルサイトやモールだとアクセス解析や後述するインターネット広告の成果を計測するためのタグが設置できずにデータの取得ができないこともありますので、その点はタグが設置できるのか?そもそもどのようなデータが取得できるのか?を事前に確認することは重要です。

参考:ASPカート比較10選|ECサイト運営に必要なショッピングカートの選び方

売り場への集客はSNSの活用でコストを削減

テストマーケティングも場を用意して待っているだけではいけません。その場にユーザーを呼び込む努力が必要です。ここでの選択肢としては、「自力」で行うのか、「広告」で行うのか、です。

まずはコストのかからない「自力」で、Facebook、Twitter、instagramなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用してみることをおすすめします。

詳しくは他の記事に譲りますが、SNSはコストをかけずに運用できます。SNSでは“シェア”する文化があるので、つながっている人にお願いすることで、あなたの知らないその人の知人にシェアをしてもらい、お金をかけずに集客を拡げていくことができる可能性があります。

自力で集めるのが難しければ、広告を少額で試してみる選択肢もありです。その場合は仮説をたててターゲットを絞ることをお勧めします。

オンラインであれば、エリアや性別、嗜好性などターゲットを細かく設定できるものも少なくありません。ニーズが顕在化していて、検索数が多いキーワード経由での集客が期待されるのであればGoogleやYahoo! といった検索連動型広告を出すのもよいでしょう。していないけれどもターゲットユーザーのイメージができているのであればターゲット設定が細かく可能なFacebook広告が良いかもしれません。
 
もちろん、これ以外に集客方法はたくさんありますので、気になった方は1つ1つお調べください。

クラウドファンディングできるテストマーケティング


ここまで、販売する場は「オンライン」で集客は「SNS」がオススメというお話をしてきました。コストが抑えられて、データが取得できる点が理由です。具体的に今、おすすめしたいのが『クラウドファンディング』です。その中でも購入型(購買型)といわれるクラウドファンディングサイトへ掲載することがおすすめです。

クラウドファンディングをおすすめする5つの理由

オススメの理由は5つあります。

1つ目は、クラウドファンディングは現在「新しい挑戦や商品を提示する場所」と一定数のユーザーに認識されているということです。そのため、いわゆるオンラインショッピングのサイトで販売されている状況とそもそも差別化されています。

2つ目は、クラウドファンディングは「挑戦、スケールの意思表明」でもあるので、周囲の人が心理的にSNSでシェアをしやすいということがあります。色々な人に届くことが重要なのでこの点はポイントです。

3つ目はリターン(言い換えれば商品ですが)を複数設計できる点です。ここが購入型のクラウドファンディングの特徴です。リターンの中でどの商品設計(価格・色・機能等)に人気があるのかを把握することが可能になります。

4つ目は、掲載に初期費用、月額費用などがかからないことです。クラウドファンディングのプラットフォームによっては費用がかかるかもしれませんが、かからないところも多くあります。

5つ目は、待ってくれるということです。クラウドファンディング自体がそもそも、支援者が集まることを条件に、それから製造して販売するというものなので、売ってから届けるまで余裕を持つことができます

テストマーケティングのポイントはフィードバックなので、感想をしっかりと求めることも必要です。SNSで拡散する際に支援だけではなくフィードバックを求めるコメントを入れたり、支援してくれたひとにもメッセージの中で実際に店舗を訪れた感想を聞くことも可能です。


業態別のオススメのテストマーケティング手法

これまで一般的な視点で新規顧客をオンラインにSNSで集客することが良い。そして今ならクラウドファンディングがおすすめだというお話をさせていただきましたが、業種による最適な手法を整理しました。

小売店、飲食店

【SNS×クラウドファンディング】
小売店、飲食店ではクラウドファンディングがおすすめです。最近は飲食店のクラウドファンディングへのチャレンジも増えております。クラウドファンディングでお店のアイデアを起案して、ユーザーにそもそもこんな店舗があったら行きたいですか?ということを問うことができます。実際には店に行ってみて体験しての評価にはなりますが、まず1回来てくれるのかどうか?については店舗を出す前に問うことができます。

集客もSNSを活用して、知人から知人へ拡散されることを狙いましょう。シェアしてくれている人の傾向をみたり、コメントを分析することから、ニーズを把握することもできます。

リターンとしては、お食事券やコースの予約券を用意できます。自分たちが想定する単価を設定してみることで、その価格でこのコンセプトや場所、メニュー、内観イメージのお店に来たいと思ってもらえるか?テストすることができます。場合によっては複数の価格帯を提示してみて、どれぐらいの価格帯であれば行ってもいいと思ってもらえるのか?も把握できます。

メーカー、商品

【SNS×クラウドファンディング】
メーカーも同じくSNSとクラウドファンディングの活用をおすすめします。基本的には飲食店、小売店と同じです。

商品のアイデアや機能、デザインを、在庫を抱える前に世の中にクラウドファンディングを通して、需要を問うというやり方です。クラウドファンディングではメーカー系の商品は多いです。明らかに新規性がある商品などは、商品スペックそのものを動画などを使ってアピールするのが良いでしょう。そうでない場合は、ものづくりへの想いやストーリーを訴求することでコンセプトに共感してくれるのか?を問うことが重要です。

集客もSNSを活用して、知人から知人へ拡散されることを狙いましょう。シェアしてくれている人の傾向をみたり、コメントを分析することから、ニーズを把握することもできます。

リターンとしては、商品自体を用意することがおすすめです。その商品自体がその価格で買ってもらえるのか?をテストできます。色や大きさなどに複数のアイデアがあればそれを複数並べてみることでテストすることができます。メーカーの場合のリターン設定のテクニックとしては、卸先となる小売店向けの複数個のパックを用意しておくことです。  

Webサービス

【SNS×クラウドファンディング】
WebサービスもSNSとクラウドファンディングの活用をおすすめしますが、難易度は高まります。Webサービスの課金に必要なサービスを売るというものです。課金に値する機能なのか?をクラウドファンディングを通して問います。

リターンについては、例えば月額1,000円のサービスであればそれを年間使用料というかたちにして、年間契約にする分、例えば2か月分は無料にして10,000円を設定するといったことができます。

難易度が高いというのは、Webサービスの前提がフリーミアムモデルで、多くは無料で使っているユーザーがその利用体験のなかでもっと便利に使いたいと感じる結果、課金サービスを求めるという傾向があるためです。また、解約も1か月単位や3か月単位で出来ます。いきなり課金で、かつ1年分してくれるのか?ハードルは高くなるかもしれません。

BtoB

【催事への出店】
ここまでクラウドファンディングをおすすめしてきましたが、BtoBについてはクラウドファンディングが相性はあまりよくはありません。複数社から見積もりをとる必要があったり、検討者と意思決定者が異なったり、経済合理性などが重視されることが多いので、一般消費者のように1人の判断で、気軽にネットで買うということがしづらいためです。BtoBでも、小規模のオーナー社長をターゲットにするなら公私の感覚が近いので相性は悪くない可能性はありますが。

BtoBでもデジタルを活用する方法はありますが、テストマーケティングという視点では、特定の業種のカテゴリの集まる催事への出店がスピード、コストという点を考慮しても最適なのではないかと思います。

いくつかの事例を紹介いたしましたが、こちらにない業種については、上記の記事を参考に方法を検討してみてください。


テストマーケティングを行うにあたっての注意点

テストマーケティングは期間ではなく、アクション数をKPIに

何を基準にするのかはテストマーケティングの目的により異なりますが、期間を基準にするのではなくアクション数を基準にするようにしましょう。
  
オンラインで商品を販売する場合、集客方法や集客するターゲットによりますが、商品ページに訪問したうち実際に購入するのは多くは1%以下です。であれば最低でも100人はサイトに来させないとそもそも購入はされません。あとは検証のために必要な購入数がどの程度なのか?を逆算して最適な集客数を目安として算出しましょう。そして集客に対しての反応、つまり購入率がひとつの評価目安になります。
  
アクション数については企業の規模や目標数値によって異なってくると思いますが、商品やサービスが良いか悪いのか、改善すべき点が何か?参考にして次のアクションにつなげられるだけの説得力のあるボリュームが取れることが大切です。

テストマーケティングは、実施前に「模倣」対策を要検討

ここまで「テストマーケティングを実施すべき!」という話をしてきましたが、最後にテストマーケティングを実施することで発生するリスクと注意点についてお伝えしたいと思います。それは「模倣」されるリスクです。

テストマーケティングとして試験的とはいえ、世の中のサービスを販売することになるので、商品情報がオープンになります。競合他社や同じような商品・サービスを検討している企業の目にも入ることになります。自分たちが試験販売をしている間に、商品のアイデアやネーミングを真似されて、大量に資金を投下されてまるで自分たちの商品のように販売されてしまうリスクがあります。

場合によっては、消費者から、真似したブランドのほうが最初からあった商品のブランドと思われてしまう可能性も出てきます

「特許」と「商標」の2つに気を付ける

これを守るのが特許であり、商標です。特許申請や商標登録によって真似されるリスクを軽減できます。特許は商品のアイデア、つまり商品自体のこと。商標はネーミングやパッケージのデザインのことです。詳しくは特許庁のウェブサイトをご覧いただくか、顧問弁護士さんにご相談ください。

ちなみに、特許庁のウェブサイトに記載されているポイントは①技術的思想の創作である「発明」が保護の対象 ②権利の対象となる発明の実施(生産、使用、販売など)を独占でき、権利侵害者に対して差し止めや損害賠償を請求できる。 ③権利期間は、出願から20年。があります。

ともに、コストはそれなりにかかります。テストマーケティングの段階でどこまでコストをかけるかはそれぞれの判断になりますが、重要なポイントとは理解してください。

商標は、サービス名やロゴの権利のことです。特定の業種のなかで1社だけに使用が認められます。業種が異なれば同じサービス名やロゴでも認められます。

ただし、そもそもの考え方としては、ビジネスモデルは真似される可能性が高く、真似をされるものだという前提で向き合っていただくことも、正しい姿勢かもしれません。

テストマーケティングでの実績は偶然かもしれない

テストマーケティングで仮にうまく販売ができたとしても、それをそのまま世の中のニーズとは受け取らないように注意をしましょう。あくまでも、「なぜ買ってくれたのか?」「誰が一番買ってくれたのか?」「どういうシチュエーションだから買ってくれたのか?」「何が違ったら買っていないのか?」などをしっかりと考える機会ととらえ、結果を分析し次につなげましょう。

これまでとは違う!テストマーケティング機能強化型購入型クラウドファンディングサービスとは?


まとめ

大変長文となってしまいましたが、最後にもう一度整理します。

  • 新しい挑戦にテストマーケティングは必要
  • テストマーケティングで「早く」「小さな」失敗を積み重ねることが、成功への近道
  • テストマーケティングをやらないことで発生する3つのリスク
     ①在庫リスク ②資金供給元からのプレッシャー ③社内の雰囲気悪化
  • テストマーケティングの手法は3つの軸
     ①既存顧客か新規顧客 ②どの場で販売するのか? ③その場にどうやって集客するのか
  • オススメは「新規顧客」を「SNS」を活用して「オンライン」に集客する
  • クラウドファンディングがおすすめだが、BtoBや小売店は別の方法が良い
  • テストマーケティングをする際に、「模倣リスク」だけは気を付けよう

この記事を読んでいただいた人が、新商品、新サービス開発に際して大きな失敗をする可能性が軽減でき、少しでも新規事業の成功確率が高められれば記事としてこれ以上の喜びはありません。

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