業務効率化は、多くの企業が抱えているほど難しい課題です。
効率化のための方法は色々ありますが、どれから優先していいか、そもそもどの施策をすればいいかわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、業務効率化を行う上で重要なポイントと、具体的な方法・アイデア、業務効率化を成功させるコツを紹介します。
この記事を読み進めることで、自社の課題に合わせた業務効率プランを構築していけるでしょう。
目次
業務効率化の重要なポイントは方法選びにある
企業ごとに業務の効率を下げている課題が異なるため、当てはまる解決方法は企業によってバラバラです。したがって課題を正確に把握し、方法選びの基準を明確にすることが、もっとも重要な業務効率化のポイントといえます。
方法選びについては、コストを優先するのか、効果を優先するのかによって、選ぶ軸が異なります。
コストを優先するなら、業務効率化のアイデアを片っ端から実践していく
「効果よりもコストが優先」である場合は、自分たちでできる工夫の範囲で改善を目指せるアイデアの取り入れが向いています。
導入コストが不要なほか、新しいシステムやツールを選定したり、使用方法を覚えたりする時間もかからないためです。
この場合、何を始めるか協議するよりも、とにかく着手することをおすすめします。そのうえで、効果が出たものに注力していくのが良いでしょう。
効果を優先するならツールの導入や外部リソースの利用を検討
「コストよりも効果と成果の速さが優先」であれば、ツールやシステムの導入や外部への業務委託に関するアイデアが向いています。どちらも業務にかかる時間を短縮したり、業務そのものを無くす方法のためです。
特に工数管理ツールを活用すると、業務の進捗状況、工数、コスト情報が全て可視化できるため、何が原因で業務量を増やしているのか課題が明確になります。
そしてその課題を改善することで、業務を効率化することができます。
そのため、まずは正確に工数を把握することから始めましょう。
すぐに実践できる業務効率化のアイデア6選
業務効率化を目指すにあたり、コストが大きな課題になることもあります。
簡単に導入でき、改善効果が現れやすいアイデアを6つ紹介します。
- 会議時間を短縮・縮小する
- 面接のWeb化(オンライン面接)を実施する
- 業務マニュアル・フローチャートを作成する
- 職場環境・備品を整備する
- 社内で使う書式を統一する
- 業務の担当を変える
会議時間を短縮・縮小する
長時間行われがちな会議について、本当に必要なのか、不要な時間をかけていないか、再度検討する方法です。
たとえば「金曜日にこれまでの慣習に従って会議を行っている」とします。慣習に従っているだけだと、本当は不要なはずの会議のために複数名の社員を拘束し、他の業務が行えない時間を作っているかもしれません。
次のような方法を実践することで、効率化だけでなく、会議での認識の違いによるトラブル防止も行えるでしょう。
- 参加人数を「この会議なら〇人まで」と決める
- 会議資料は事前に共有する
- 会議の目的を必ず決める
- 会議後に議事録を送る
- 会議時間を決める
会議の資料作りの時間短縮や、残業時間の短縮にも繋がり、社員のモチベーションアップも目指せるでしょう。
また会議時間だけでなく、会議後の議事録作成にも時間がかかりますよね。
議事録作成にかかる手間を削減するためには、ツールの利用が効果的です。
大企業でも安心して使えます | 全研本社株式会社 – 導入事例 | ビジネスチャットならChatwork
面接のWeb化(オンライン面接)を実施する
オンライン面接は、地方にいる優秀な人材にも、効率的にアプローチできるアイデアです。たとえば一次面接をWeb上で行って人材を広く募集し、二次面接では対面にしてより詳しくお互いを理解し合う、という方法も行えます。
求職者側の負担と採用に至るコストを減らしながら、面接の質の向上を目指せるでしょう。
参考:営業と採用の業務効率化だけでなく、企業ブランドにも貢献。C-mindの導入事例 – meet in メディア
業務マニュアル・フローチャートを作成する
マニュアルを作ることで業務の内容や進め方を明らかにし、さらにフローチャートの作成で、1日を通した業務全体の流れを説明できるようにする方法です。作成する中で業務の均一化による品質アップだけでなく、無駄な手順や不要な業務の洗い出しにつながります。
ただし、マニュアルがないとフローチャートを詳細に作れません。順番としては、まず業務マニュアルを作成し、そのうえでフローチャートを作るようにすると効果的です。
業務改善の課題と、業務の質の向上を同時に進める準備ができるでしょう。
参考:業務効率化にはどんなアイデアがある?成功させるポイントと事例をご紹介! | マニュアル作成・共有ツール 「Teachme Biz」
職場環境・備品を整備する
オフィスの備品収納方法や、デスクやコピー機のレイアウトを、現在の業務フローに合う形へ変えることで、業務効率化を目指す方法です。不満がたまるような環境として、立ち上がった後に目的の場所まで動きにくかったり、室内が暗かったりすることが挙げられます。
そこでデスクの配置やコピー機の位置を変え、照明を明るくします。備品を置く位置を決め、必要な時にすぐ取り出せるように整理し直すのもよいでしょう。
位置を変える範囲によっては、業務を一時的にストップする必要もあるため、何時頃行うか、どの程度動かすか、スケジュールをたてたうえで実施することが大切です。
参考:業務効率化に向け、オフィス備品の管理を見直そう!徹底したい整理・収納のコツ
参考:フリーアドレス導入でスピーディーな課題解決を実現
社内で使う書式を統一する
社内文章の作成に使うソフトをそろえ、文章の結合や表の挿入の形式など、フォーマットを統一する方法です。書式を部署ごと変更せずに済むほか、他の部署が書類を参照する際、自分の部署と同じ書式なら、確認作業も簡単になります。
たとえば報告書の作成にはWordを使用し、フォーマットは報告書テンプレートを利用する、と決めるだけでも、各部署で同じ条件で報告書が共有可能です。
内容は地味ですが、決めるべき箇所も絞りやすく、かつ、手軽に実行できるでしょう。
参考:業務効率化のポイントと具体例を紹介します | Office (オフィス) 365相談センターブログ | SB C&S
業務の担当を変える
人材配置転換は、業務の現状に応じて担当を変更し、さらなる業務効率化を目指すアイデアです。人事に関わる方法、かつ、根本的な問題解決にならない可能性もあるため、優先度は低めです。
たとえば、業務を可視化した結果、マンパワーが足りていない業務と、マンパワーが足りすぎている業務が分かった際、足りていない方へ人材を増やす、といった方法が挙げられます。
また、社員によっては現在担当している業務とは、別の業務に適したスキルを持っていることもあります。配置転換によってコミュニケーションの活性化を起こし、相性の良い人同士でチームワークを高め、業務効率化に影響を与えるのも手です。
高い効果が見込める業務効率化のアイデア5選
現状の業務にかける時間をできるだけ大幅にカットしたい場合、ITツールやシステム、アウトソーシングなどのサービスを活用して効率化するのがおすすめです。
新しく導入する場合はコストがかかり、慣れるのに少し時間はかかるかもしれません。ただ、サービスの導入によって長期的に見て大幅な効率化に繋がる可能性が高いです。
具体的には、以下の5つのアイデアをおすすめします。
- 書類を電子化する
- 定型業務を自動化する
- データを活用する
- 業務をアウトソーシングする
- 専門家のコンサルティングを受ける・専門家の意見を聞く
それぞれのアイデアについて解説していきます。
書類を電子化する
書類の電子化も業務効率の改善に大きなインパクトを与えます。
日常的に印刷している会議資料や、契約などにかかる書類を電子化することで、ペーパーレスな経営を実現していきます。
参考:事例で学ぶ「ペーパーレス化」働き方改革に失敗しないための方法、ツールとは
実際に削減できる業務は以下のようなものが挙げられます。
- 紙の印刷
- 契約書の製本
- 文書の検索性
- 書類情報の入力の手間
- 押印作業
- 書類の管理(ファイリングなど)
特筆すべき点はコストカット・顧客満足度の向上などの効果にも期待できる点です。
たとえば電子契約であれば、契約書の印刷代・印紙税や、書類作成・製本・郵送などにかかる人件費を大幅に削減できます。
また、オンライン上で契約締結が可能なので、契約にかかる時間が紙の契約の場合と比べて早いです。サービス提供までの期間を大幅に圧縮できるので、顧客満足度のアップにつながります。
参考:「クラウドサイン AI」で紙の契約書を読み取り、契約期間管理を自動化へ
電子契約とは?メリットデメリット・法律・やり方まで詳しく解説
定型業務を自動化する
ツールの活用により、自動計算やデータの自動反映など、定型業務が自動で進むように構築していく方法です。
たとえば、毎回入力したデータをもとに同じ式で計算を行うのであれば、Excelのマクロを組み、1クリックで処理できるようにする方法が挙げられます。計算にかける時間が減らせるだけでなく、単純な計算間違いの防止が可能です。
また、RPA(人がコンピュータ上で実行する作業を、ロボットが記憶・自動化するシステム)の導入も、業務の自動化に大きく貢献してくれます。
たとえば、営業現場で得られる膨大な量の顧客情報の整理・収集をRPAで自動化することで、見込み客とそうでない客を可視化したり、それぞれの顧客に対するアプローチを適切に行うことも可能です。
参考:【2022年版】RPAツール比較17選!プロ直伝の失敗しない選び方も紹介
業務を自動化する方法3つと対象業務、注意点について徹底解説
データを活用する
数字から結果を分析する過程をツールを利用して自動化することで、さらに素早く改善案をつくり、行動に移せるように効率化する方法です。
たとえばさまざまな情報を基幹システムに保持できていても、実際には分析に大幅な時間をとられ、自由に活用するのが困難になっていたとします。この解決策として、BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)や、データの可視化に役立つツールの導入が挙げられます。
蓄積されたデータの集計値の参照や、データの中にある法則の分析、過去の予算をもとにしたシミュレーションなどが可能になるでしょう。
参考:BIツールとは?利用で得られる4つのメリットと、導入を成功させる2つのコツ
業務をアウトソーシングする
業務の内容のうち、ルーティン化されている定型業務をアウトソーシングするアイデアです。アウトソーシングとは、専門性の高い業務から、社内で負担になっている定型業務まで、内容に応じて依頼先を選び、委託することを指します。
業務の量を減らせるため、クオリティを高めてほしい業務へ、社員により優先的に注力してもらえる環境を目指せるでしょう。
下記にサービス資料を用意しましたので、気になる方はぜひご覧ください。
参考:オフィスなど電話受付を代行してくれるサービス「fondesk」
参考:株式会社一休様 | 事例紹介|NOCアウトソーシング&コンサルティング株式会社
専門家のコンサルティングを受ける・専門家の意見を聞く
社内の業務効率化に関する課題を、専門家からコンサルティングや意見を聞くことで、改善に役立てるアイデアです。業務のやり方を抜本的に改善したい場合に、より的確な課題の洗い出しが可能となります。
また、コンサルティングを受けることで、自分たちでは分からなかった課題が判明することもあります。
これまでも課題の洗い出しを行ったが、業務効率化がどうしても実現できない、という場合に、現状打破のために取り入れるのも手です。
改善中に起きた出来事をもとに、さらなる改善フローを提案してもらうことで、目的達成を目指しやすくなるでしょう。
参考:業務効率化・コンサルティング事例[事例1]|介護、医療、福祉の経営コンサルティング|株式会社SOL
業務効率化の手順
業務効率化を進めていく手順は、以下の4ステップに分かれます。
- 現状把握と問題の可視化
- どの業務を改善するかが明確になっている
- 業務改善をするために解決策を決める
- 実施前と後の検証を行う
それぞれのフローについて解説します。
1.現状把握と問題の可視化
効率化の基本は無駄な作業をなくし、シンプルで簡単にしていくことです。しかし無駄な作業や工数がどれか分からなければ、この基本に取り組むことはできません。そこでまずは、問題を可視化するために、現状の作業や工数を具体的に書き出してみましょう。
- 業務担当者の名前や人数
- 担当部署
- 作業の工程に使用されているツール
- 必要なスキル
- 作業にかかる時間
- 作業が発生する頻度
これらを書きだす中で、現状の業務のなかでも、高度な判断を求められず、難易度が低い業務が見えてくるかと思います。
このようなノンコア業務は、無駄な作業をなくしやすく、ツールやシステムの導入で効率化しやすいです。
2.どの業務を改善するかが明確になっている
業務を具体的に「見える化」し、問題が可視化された段階で、業務ごとにどれを改善すべきか明確にしていきます。ここでポイントとなるのが、問題の関連性です。業務ごと関連しやすい問題には、次のような内容が挙げられます。
- 季節によって膨大な量になる
- 人手を増やして処理をしている
- ノウハウの蓄積がなくマニュアル化されていない
- 利益に対しコストがかかりすぎている
3.業務改善をするために解決策を決める
改善すべき業務が分かったら、解決の手法や期間を決めましょう。最初に紹介したように、課題が分かった上で、解決の手法の軸を決め、優先度の高い課題に合う方法から、選ぶことが重要です。
多くの業務改善に一度に取り組むと、職場の実態に合わなくなってしまいます。マンパワー不足や残業時間が加速する恐れもあるため、優先度が高い課題から、確実に対応することが重要です。
ここで、本記事で優先度が高く、かつ、改善効率の高い順に紹介してきたアイデアを、リスト形式でみていきましょう。まずはツールやシステムを導入し、利用することで課題の改善を目指すアイデアです。
- クラウドサービスを利用する
- 文章を電子化する / ペーパーレス化
- 面接のWEB化(オンライン面接)
- 自動化する
- システム化する
- データを活用する
また、コストをかけず、工夫のみで効率化を目指すアイデアは以下の通りです。
- 会議時間を短縮・縮小化
- 業務マニュアル・フローチャートの作成
- 社内コミュニケーションを活性化させる
- 環境・備品編か
- 社内で使う書式を統一する
- ナレッジを共有する・属人化されている業務をなくす
- 働き方の多様化
- 業務の担当を変える・人材配置転換
4.実施前と後の検証を行う
実際にアイデアを実施した後、スケジュールに沿って、どれほど改善できたかを把握しましょう。そのうえで、改善効果のアップに向けて動いたり、細かな修正を加えていくことが大事です。
業務効率化に成功するための4つのコツ
業務効率化を成功させるためには、以下の4つのコツを意識しましょう。
- 業務に主観的なこだわりをもたない
- 目標(改善度合い)を数値化し見える化する
- 手段の目的化を避ける
- 上手くいかないことは継続せず変える
業務効率化のためにできることは色々ありますが、ただ実行しても上手くいかないことがあります。
実行した施策で成果を出すためには、これから説明するコツを押さえましょう。
業務に主観的なこだわりをもたない
業務に対し、主観的なこだわりをもって効率化を考えてしまうと、現場の問題との乖離が生じます。業務の現状把握を行う際は、現場で働く社員や業務担当者と共に行うことが重要です。
問題が分かりやすくなるほか、「何時から何時まで何名で担当している」など、具体的な数字として業務を把握できます。
具体的な数字や時間、特定の曜日、担当者を把握し、客観的にまとめられそうな業務やムダ、ムリがある業務を明確に分けていきましょう。
目標(改善度合い)を数値化し見える化する
業務改善を行うにあたって「1ヶ月で残業が1人当たり何時間減る」や「2ヶ月以内に1回当たりの会議の時間が何分に収まる」など、具体的な目標をたてましょう。
数値を目標とすることで、改善度合いが明確に分かるようになり、社員全体に周知しやすくなります。
手段の目的化を避ける
業務を進めるうえでの「手段」と「目的」を明確に分けて考えましょう。本来の目的を見失って、手段にこだわってしまうのは業務効率を考えるうえで絶対に避けなければなりません。
たとえば、文書を探すことに手間取り、業務時間が長くなっていたとします。解決策は、文書のファイリングや電子化です。しかし文章の電子化はあくまでも解決策であり、目的ではありません。
「電子化で文書を探す手間を省き、その結果、課題であった残業が減らせた」という結果を得ることが大事です。
そこで「〇月×日に導入を開始し、2週間後に再評価」など、評価のスケジュールを立てておきます。スケジュールを先に作ることで、手段が目的化するのを防ぎ、業務改善に関わる社員全員が、目的を見失わないようにできます。
上手くいかないことは継続せず変える
実施した方法では改善が上手くいかないことがあります。その際は失敗したのではなく、「自社の業務改善には合っていない方法だった」と割り切って、施策を中止するという決断も大切です。
また、社員から解決策を導入した後、業務上のミスに変化はあったのか、しっかりと報告してもらうことも重要です。これまで起きていたミスの根本的な原因が分かったり、次に実行すべき解決策を決めるヒントが見つかったり、業務改善に生かしていけるでしょう。
業務効率化に関するよくあるご質問
業務効率化に関するよくあるご質問をQ&A方式でまとめました。
Q. 業務効率化の重要なポイントは何ですか?
A. 業務効率化の最も重要なポイントは、企業ごとに異なる課題を正確に把握し、適切な方法を選ぶことです。コストを優先するか、効果を優先するかによって選ぶ方法が変わります。
Q. 業務効率化の簡単なアイデアは何ですか?
A. 簡単に実践できるアイデアには、会議時間の短縮、面接のWeb化、業務マニュアルの作成、職場環境の整備、書式の統一、業務担当の変更があります。
Q. 高い効果が見込める業務効率化の方法は何ですか?
A. 高い効果が期待できる方法には、書類の電子化、定型業務の自動化、データの活用、業務のアウトソーシング、専門家のコンサルティングがあります。
Q. 業務効率化の手順はどうなっていますか?
A. 業務効率化の手順は、現状把握と問題の可視化、改善する業務の明確化、解決策の決定、実施前後の検証の4つのステップに分かれます。
Q. 業務効率化の成功のコツは何ですか?
A. 成功のためのコツには、主観的なこだわりを持たないこと、目標を数値化し見える化すること、手段の目的化を避けること、上手くいかないことは変えることが含まれます。
まとめ
業務効率化の課題や達成したい目標は、企業によって異なります。課題に合う方法選びをすることが、業務効率化には欠かせません。そして解決策を実行したら、達成したい目標に近づけたか評価し、さらなる改善を目指すことが大切です。
ここまで読み進めていただいた方は、自社の課題に合わせた業務改善プランの糸口を掴めているかと思います。現場の意見もしっかり反映させながら、社員にとって満足度の高い業務改善を目指していきましょう。
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