ペーパーレス化とは書類を電子化する取り組みのことを指します。
ペーパーレス化は紙や印刷にかかるコスト削減が主な目的でしたが、近年ではテレワーク環境を整備するうえでも注目が集まっています。
Withコロナの現代に適応するためにテレワークの導入を検討している企業も増えてきていますが、そのためにはまず社内のペーパーレス化が欠かせません。
この記事を読んでいる方の中には、ペーパーレス化の具体的な施策について把握しておらず、自社でもペーパーレス化に取り組むべきか判断がつかないという方も多いのではないでしょうか。
そのような悩みを持つ担当者の方向けに、ペーパーレス化の導入に成功した事例、導入方法についてまとめました。
導入のポイントとコツ、必要なシステムなどをまとめて紹介しています。
この記事を読めばペーパーレス化を成功させるコツや進め方を理解できるので、ペーパーレス化を成功させたいと考えている企業の方はぜひ参考にしてください。
”紙”の契約稟議や申込書作成などが”Web・スマホ”でできる「承認Time」
※本記事はSBIビジネス・ソリューションズ株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。
ペーパーレス化の成功事例5選
実際にペーパーレス化に成功し、コストを削減した例を5つ紹介します。
いずれも、会議の資料や共有資料をペーパーレス化して紙代・印刷代を削減することができた例です。
14万枚の紙の使用量と印刷費用代300万円を削減できた長野県長野市の事例
長野県長野市では、会議に使う紙の使用量に着目し、ICTを活用して積極的に会議のペーパーレス化を行った結果、14万枚もの紙を削減でき、印刷費用代300万円分の削減に成功しています。
長野県長野市ではすでに業務やシステムの電子化を行っていましたが、紙の使用量の削減には繋がっていませんでした。
業務で使われている書類には電子化できないものもあり、期待するほどの削減効果はありませんでした。
そこで、日常的に行われる会議の書類に着目し、以下の運用ルールや社員の意識改革を行いました。
- 会議資料を共有できるパソコン40台と資料を投影できるプロジェクターを設置した
- 会議資料を作成する場合はA4横版の書式で伝えたいことを端的にまとめるようルール化した
- 会議終了後の資料は指定日以内にデータに格納するよう義務付けた
ICTと会議ルールの設定により、紙の書類を大幅に削減し、ペーパーレス化を実現しています。
東京タワー1本分の厚みの紙資料を削減できたコニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社の事例
コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社では、紙資料の電子化や書類の保存・破棄のルール選定を行い、東京タワー1本分の厚みの紙資料を削減することに成功しました。
同社はコンプライアンスや書類の種類により保存期間が定められている紙書類が多く、大量の書類を保存していました。
規約の観点から保存を余儀なくされている紙の書類を減らすため、以下の「ペーパーストックレス」を実施しました。
- 文書のうち、電子化できるものは全て電子化
- 紙の保存が必要な種類は年度ごとにファイルボックス化
- IDをかざさなければ印刷できない複合機を設置
ペーパーレス化を実施することでファイルキャビネット約56台分、東京タワー1本分の書類の削減に成功しました。
紙の書類の徹底した電子化と印刷方法を制限することにより、ペーパーレス化を実現しています。
ペーパーレス化で紙・トナー代を約14万円削減した青森県弘前市の事例
青森県弘前市では、平成26年にペーパーレス会議システムを導入した結果、、紙代やトナー代を約14万円削減することに成功しました。
さらに、会議前に資料を印刷・製本・配布していた手間もなくすことができ、職員の残業時間も減りました。
ペーパーレス化会議は、当初は月2回の幹部会議から導入されました。
しかしその後、情報共有やプレゼンにもペーパーレス化会議システムの活用が進んでいます。
参考:ペーパーレス化導入事例【自治体】 ペーパーレス会議Meta Moji Share for business
印刷コストを20%削減した株式会社極楽湯の事例
複数のレジャー施設を経営する株式会社極楽湯では、業務効率化を推進するグループウェアを導入したことで、印刷会社への発注を一元化することに成功し、印刷コストを20%削減することができました。
以前までは各店舗間の情報共有の機会は月1回の会議だけで、店舗間で良い情報を共有できなかったため、チラシやPOP作りなどの準備を1店舗で行っていました
そこで社内向けグループウェアを導入したことにより、情報共有をリアルタイムで行えるようになり、複数店舗共通でキャンペーンを行えるようになりました。
その結果、印刷会社への発注も一元化できるようになり、最終的にチラシや案内状などの印刷コストを20%削減することができました。
さらに、ワークフローシステムも導入し、決裁者が出張していても滞りなく決裁ができるようにしました。
その結果、設備更新などに関わる稟議・申請もスムーズに通るようになりました。
参考:Cybozu 導入事例のご案内 | サイボウズ株式会社
年間約4万枚の紙を削減し、出張コストも減らすことができたアサヒグループホールディングス株式会社の事例
アサヒグループホールディングス株式会社は、省資源・情報漏えいリスク軽減のためペーパーレス会議システムを導入し、会議の資料をペーパーレス化しました。
結果、年間約4万枚の紙代や役員の出張旅費を削減することができました。
さらに、会議の準備や後片付けにかかる負担も約50%軽減できました。
タブレット端末があれば、出先や交通機関の中、場合によっては自宅からでもすぐに資料や数字が確認できると、管理職にも好評です。
海外拠点との会議もスムーズにでき、会議そのものも活性化しています。
参考:NEC 事例紹介 アサヒグループホールディングス株式会社様
ペーパーレス化を進める3つのステップ
ペーパーレス化を進めるには、現在何にどれだけ紙を使っているかを洗い出し、ペーパーレス化できるかどうか仕分け、できるところから始めるという3つのステップが必要です。
それぞれのステップについてまとめました。
ステップ1:何にどれだけ紙を使っているかを洗い出す
最初に、社内でどれほど紙が使われているか確認します。
報告書、稟議書、申請書、契約書、請求書やタイムカードなど、紙を使っている文書をすべてリストアップしてください。
ステップ2:文書を見直して、ペーパーレス化できるものとできないものを分ける
文書を洗い出したら、その文書が本当に必要かどうか、必要な場合はペーパーレス化できるかどうかを分けていきます。
従業員(現場)の意見を聞きながら仕分けすれば確実です。
文書の見直し方は、以下の2点です。
- その文書は必要か?→不要な場合は廃止、必要な場合は2へ
- その文書はペーパーレス化できるか?→可能な場合はペーパーレス化、不可能な場合は紙のまま
一般的に、稟議や申請書、会議の資料、業務マニュアルなどの社内向け文書はペーパーレス化しやすいものが多いです。
一方、社外向けの契約書や請求書などは電子化しにくい、できないケースもあります。
ステップ3:目的に適したシステム・ツールの導入
ペーパーレス化する文書を決めたら、それに合ったサービスを導入します。
たとえば、稟議や申請書などをペーパーレス化するのであればワークフローサービスを導入しましょう。
ワークフローを導入することで意思決定のスピードがグンと速くなります。
仕事の報告書などをペーパーレス化していくのであれば、文書共有サービスを導入して社員間で共有することから始めていくといいでしょう。
タイムカードなど勤怠管理関連の書類をペーパーレス化するのであれば、クラウド勤怠管理システムを導入しましょう。
事例から見るペーパーレス化を成功させるための4つのコツ
ペーパーレス化を成功させるコツは、全社一丸となって取り組むことです。
経営者と従業員それぞれに対してきちんと意義やメリットを説明し、理解してもらった上で進めることが大切です。
以下では、ペーパーレス化の事例を4つご紹介します。
1.経営者層にはコストや生産性向上などのメリットを訴える
ペーパーレス化をスムーズに導入するためには、経営者・役員層にペーパーレス化について説明し、導入することでどんな効果が得られるのかを理解してもらう必要があります。
「コスト削減につながる」「業務効率化や生産性向上」「在宅勤務などの新しい働き方にも対応できる」など、ペーパーレス化のメリットを必ず説明してください。
削減できるコスト、ペーパーレス化に必要なコスト、成功事例なども提示できると、説得力が増します。
2.従業員には利便性や効率などのメリットを訴え、意見を吸い上げる
従業員にもペーパーレス化の意義や理由を説明しておきます。
新しいシステムを導入して運用する場合は、未知のシステム使用による生産性の低下により、従業員の間に不安や不満が出てきがちです。
一方的に説明するだけでなく、意見を吸い上げて、その不安や不満を解消できるような取り組みもしておくことが必要です
3.段階的に電子化を進めていく
ペーパーレス化は取引先との契約や手続きにも関係するため、一気に進めるのではなく段階的に進めていく必要があります。
取引先が請求書を紙で管理している場合のケースでは、PDFなどで電子化された請求書を送付したとしても、ICTをうまく活用できず受け取れない可能性があります。
取引先との継続関係にも関わりますので、ペーパーレス化を行う前に取引先の書類の管理状況を確認しましょう。
紙の書類の電子化を実施しても問題ないかを確認した上で、段階的に進めていくことが大切です。
4.ITリテラシーの低い従業員にも浸透するように環境を整える
端末の紛失・盗難リスクや情報漏れリスクに対応するには、ITリテラシーの低い従業員でも扱えるようマニュアルや教育環境を整えましょう。
以下の環境を整えるといいでしょう。
- ペーパーレス化ツールの管理者を置き、利用をサポートする
- ツールの利用方法を画像を使って解説するマニュアルを作成する
- ドラック&ドロップで操作できるような簡単に扱えるツールを導入する
ペーパーレス化はツールを利用して進めることがほとんどですが、社内に浸透しないのでは意味がありません。
ITリテラシーの低い従業員でも扱えるように、上記の3つの環境構築を意識しましょう。
ペーパーレス化に必要なシステム
ペーパーレス化を実現するには、ワークフローシステムや文書共有サービスなど、いくつかのシステムを導入する必要があります。
その中から絶対に必要なもの、できれば導入したいもの、専門家と相談の上導入したいものを表にまとめました。
絶対必要なもの | ワークフローシステム オンラインストレージサービス(文書共有サービス) |
---|---|
できれば導入したいもの | クラウド勤怠管理システム オンライン請求書発行サービス 電子契約システム |
それぞれのサービスについて、詳細を以下に紹介・解説します。
ワークフローシステム
ワークフローシステムは、稟議や申請などの社内手続きを電子化し、スムーズに行うためのシステムです。
ワークフローシステムの特徴は大きく以下の4つがあります。
1. 電子化されているため印鑑がいらない
2. 端末を使ってオフィスの外からでも手続きを進められる
3. 今どの段階まで手続きが進んでいるのか見える
4. 手続きが止まっている場合はどこで止まっているかがわかる
テレワークなどでオフィスに不在の社員が多い会社であれば、導入を検討すべきシステムでしょう。
たとえば、「承認Time」は契約稟議などをWebやスマホ上からでも申請・承認できるワークフローシステムです。テレワーク下でも迅速に意思決定を進めることができます。
参考:社内文書をペーパーレス化する「承認Time」
ワークフローはシステムを導入すると便利!主要の25ツールを徹底比較
オンラインストレージサービス(文書共有サービス)
オンラインストレージサービスは、インターネット上にデータを保管・共有するサービスです。
電子化した文書を保管し、参照するためには欠かせないサービスです。
オンラインストレージサービスには、個人で使える無料のものを含めさまざまなサービスがあります。
全社的に使うのであれば、セキュリティがしっかりした有料サービスを選ぶことは必須です。
有料サービスの中には、ファイルごとにアクセス権限やパスワードを設定できる、誰がどのファイルを参照したかのログが残るなどの機能が使えるものもあります。
予算と求める機能に応じたものを選びましょう。
クラウド勤怠管理システム
クラウド勤怠管理システムは、勤怠管理をオンラインで行えるサービスです。
タイムカードなどを使い紙ベースで勤怠管理を行っているのであれば、これを導入することでペーパーレス化を一歩進めることができます。
従来、勤怠管理はオフィスに設置したタイムカードを打刻する方法が一般的でした。
しかし現在は、クラウド勤怠管理システムを導入し、各従業員がが使用している端末から打刻して勤怠管理を行う方法が広まりつつあります。
在宅勤務やテレワークをしている社員の勤怠管理に便利なシステムです。
参考:勤怠管理とは?システム比較・有料、無料別での実践方法まで解説!
オンライン請求書発行サービス
オンライン請求書発行サービスは、作成した請求書をpdfファイルに変換してそのまま相手にメールできるサービスです。
紙の請求書からオンライン請求書に切り替えることで、印刷にかかるコストだけでなく郵送にかかるコストも減らすことができます。
ここで注意すべきは、取引先がpdfファイルの請求書を受け付けているかどうかです。
会社によっては、紙の請求書でないと受け付けないところもあります。
導入を検討する場合は、取引先にpdfファイルの請求書をメール添付で送っていいかなどを確認しておく必要があるでしょう。
参考:請求書発行システム8選!月末月初の業務負担を減らせるシステムまとめ
電子契約システム
一般的に、契約書はペーパーレス化しにくいと言われています。
しかし現在は、pdfなどの文書ファイルに電子署名もしくは電子サインを行い双方のサーバーに保管するという電子契約システムが登場しています。
契約の種類によっては契約にあたって書面の交付が必要なものもあります。
また、電子契約については電子契約法などいくつか留意すべき法律があるので、専門家に確認の上検討したほうがいいでしょう。
参考:おすすめ電子契約サービス6選!特徴・料金プラン・選び方など
ペーパーレス化で注意すべき3つのポイント
ペーパーレス化には、じっくり時間をかけることが必要です。
従業員がスムーズに使いこなせるよう、ITリテラシー教育に対する教育も同時に行いながら、長期的な計画のもとに取り組むといいでしょう。
以下では、ペーパーレス化を実施する際の3つの注意点を解説します。
現場の意見を聞きながら、少しずつペーパーレス化を実現する
急激な変化は現場の従業員にストレスをかけます。
このストレスを軽減するためには、現場の意見を聞きながら、少しずつペーパーレス化を進めていくのもポイントのひとつです。
まずは小さなことからペーパーレス化を始め、そこから現場のフィードバックをもらい改善し、ペーパーレス化の範囲を広げていきます。
電子化業務のPDCAを回しながら、じっくり社内全体のペーパーレス化に取り組んでいきましょう。
全ての書類を電子化できるわけではない
紙で提出が義務付けられている公的書類など、どうしても紙の状態で運用しなければならないものがあるため全ての書類を電子化することはできません。
以下は電子化できない書類になります。
法律 | 電子化できない書類 | 改正法の有無 |
---|---|---|
宅建業法 | ・34条2:不動産売買の媒介契約書 ・35条5項及び7項:不動産売買や賃貸借契約の重要事項説明書 ・37条:不動産売買や賃貸借契約の契約書面 | 2022年5月に改正法の施行予定 |
借地借家法 | ・22条:定期借地契約書 ・38条1項:定期建物賃貸借契約書 ・38条2項:定期建物賃貸借の説明書面 | 2022年5月に改正法の施行予定 |
特定商取引法 | ・契約締結時等に交付すべき契約書・重要事項説明書 ・クーリングオフ書面 | 2023年6月に改正法の施行予定 |
改正法により書面義務の緩和は予定されていますが、現時点では原則紙での運用が必要です。
ペーパーレス化を推進する際は、社内に存在している書類のなかでどの範囲までがペーパーレス化できるのかをよく検討し、ペーパーレス化を進めましょう。
システム障害などのリスクに備える必要がある
ペーパーレス化を進めるためには、システム障害のリスクに備えておく必要があります。
システム障害が起きるとデータが閲覧できなくなるため、業務に支障が出る可能性があります。
顧客情報を管理している場合は流出のリスクもあるため、システム障害が起きた時の対策方法を決めておきましょう。
対策方法は以下の通りです。
- データをバックアップしておく
- 電子化した書類の原本は一定期間破棄せずに保管しておく
- クラウドサーバーを利用して自社にサーバーを持たずに電子データを管理する
電子化データが通常業務に直接影響する場合は、クラウド上でデータを扱えるようにし、システム障害がおきてもすぐに業務に戻れるよう対策しておきましょう。
紙書類の保存期間に合わせて保管・処分できる環境を整えておく必要がある
紙書類には保存期間が定められている書類があるため、保管・処分できる環境を整えておく必要があります。
例えば、会計帳簿は10年、会社法に定めのない領有書・請求書などは7年間データを保存する必要があります。
それ以外にも、決算書や申告書、取引先との契約書や届出書などは保存期間の有無に限らず、永久的な保管が必要です。
これらの電子化していない書類についてはスキャナでデータ化して保存するのか、ファイルボックス化して保管するのかを明確にしておきましょう。
書類を管理する方法としては、年数ごとにファイリングしてまとめて保管、破棄できる環境を整えておくのがおすすめです。
書類の保管年数が過ぎればまとめて捨てられるので便利です。
ファイリングの方法については以下の資料のコニカミノルタソリューション株式会社のペーパーレス化の事例が参考になります。
まとめ
ペーパーレス化を進めるには、まずは社内で「どれだけ紙を使っているか」をリストアップし、リストをペーパーレス化できるか否かで分けていきます。
そのうえで専用ツールを導入していきましょう。
ペーパーレス化を成功させるためには全社で一致団結させることがポイントです。
また、現場の意見を聞きながら、少しずつペーパーレス化をしていくことも大事です。
急いで導入すると失敗しやすいので、現場やクライアントの紙の管理状況を確認したうえで段階的にすすめていきましょう。
社内文書をペーパーレス化「承認Time」(PR)
社内稟議・申請に関わるペーパーレス化には「承認Time」がおすすめです。
テレワークで出社せずとも以下のような業務を進めることができます。
・契約稟議
・捺印申請
・休暇申請
・人事諸届
・会議議事録 など
いまどの承認者に申請されているかも簡単にWeb・スマホ上で確認できるので、「承認Time」を導入すれば、意思決定を迅速に進めることができます。
”紙”の契約稟議や申込書作成などが”Web・スマホ”でできる「承認Time」
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