アドレサブル広告とは、企業が保有している自社顧客の情報(メールアドレスなど)を活用し、広告媒体の配信対象リストを作成し、リストに基づいて広告配信をする手法です。
FacebookのカスタムオーディエンスやGoogle広告のカスタマーマッチなど、ディスプレイ広告の効果が頭打ちの中、効果の高さで注目されています。
本記事では、アドレサブル広告の種類や意味、具体的な手法とその効果について、事例を交えて紹介します。 筆者は国内のアドレサブル広告の第一人者として、実際に100件以上のアドレサブル広告に携わってきました。
本記事を読めば、はじめての方でも、アドレサブル広告を活用して広告の効果をさらに高められるようになります。検索広告やリターゲティング広告依存から脱却したいという方にぜひ読んでいただきたい内容です。
目次
ROAS800%超えの広告施策事例
「ディスプレイ広告はリタゲ以外の費用対効果が悪く、獲得件数が頭打ちです。」こんな話を聞くことが多いですが、そんな状況でもディスプレイ広告でROAS800%を達成し、広告効果の改善に成功した事例を紹介します。
<事例1>
- 業種:アパレル企業
- 課題:リターゲティング広告以外のディスプレイでROASが合わないため、件数が頭打ちになっている。
- 実施施策:既存顧客に対してのディスプレイ広告の配信。
- 結果:ROAS800%で獲得件数を拡大、通常のリターゲティング広告の3倍の費用対効果!
<事例2>
- 業種:通信教育を行っている大学
- 課題:出願件数が頭打ちになっている。
- 実施施策:過去に資料請求しているユーザーに対してのディスプレイ広告配信。
- 結果:広告が寄与した結果過去最高の出願数を獲得、通常のディスプレイ広告と比較して獲得単価を6分の1に低減!
いずれも通常のディスプレイ広告と比較して大きな改善結果が生まれています。
なぜ、このような結果が生まれたのか?
ご紹介した事例では、アドレサブル広告という手法を活用しました。
アドレサブル広告とは?
企業が保有している自社顧客のメールアドレス(一部電話番号)と、広告媒体が持つメールアドレスをマッチングさせることで、広告媒体の配信対象リストを作成し、リストに基づいて広告の配信が可能となります。
Facebookのカスタムオーディエンス広告や、Googleのカスタマーマッチ広告など、各広告媒体で顧客データを活用した広告の仕組みが存在します。(参考:リスティング運用自動化ツールの一覧 ≫)
アドレサブル広告が対応しているメディア
Facebookカスタムオーディエンス広告
メールアドレス・電話番号を元にユーザーリストの作成が可能です。ユーザーリスト・類似ユーザーに対して広告配信を行うことができます。
Facebookカスタムオーディエンス広告は、企業ページの投稿を拡散する用途での活用や、拡張配信の精度が高いため、拡張配信に有効に活用されている点が特徴です。
Instagram広告
Facebook同様メールアドレス・電話番号を元にユーザーリストの作成が可能です。既存顧客などに投稿型のキャンペーンを促すなど、Instagram広告の特性を活かし自社顧客の活性化に活用することが可能です。
Googleカスタマーマッチ広告
メールアドレス・電話番号を元にユーザーリストの作成が可能です。ユーザーリストはGoogle Adwordsが提供する検索広告・Gメール広告・Youtubeに利用することができます。
カスタマーマッチ広告は検索広告における指名検索での出し分け配信や、Youtubeでの動画広告の配信など、他メディアと比較し活用方法に特徴があります。
YDN広告(ヤフーディスプレイネットワーク)
Yahoo! DMPに投入して、YDN広告にユーザーリストを連携することが可能です。YDN広告が配信面となるため、インフィード広告や動画広告などでも配信対象にすることが可能です。中高年の商材のときにマッチしやすいのが特徴となります。
Twitterティラードオーディエンス
自社のTwitterアカウントの宣伝や、ツイート広告の配信に活用することができます。ティラードオーディエンスはソーシャルキャンペーンなど、自社顧客を巻き込んだ拡散性の高いキャンペーンを行う際に活用できる点が特徴です。
アドレサブル広告の主な活用用途
顧客データを活用することで、以下のようなアプローチが可能になります。
- 過去購入の休眠顧客や成約前の見込み顧客など、新たなセグメントの発掘。
- 自社顧客の類似ユーザーへの拡張配信や除外配信に活用することで、新規顧客獲得の精度を向上させる。
また、競合企業が保持していない自社の顧客データを広告に活用できることから、「競合企業との差別化」を図るときにも効果を発揮します。
アドレサブル広告のネックは個人情報の取扱い
非常に効果が高く差別化要素として活用しやすいアドレサブル広告ですが、
- 広告代理店側に顧客データの取り扱いを委託できないため、運用が困難。
- 顧客データの抽出作成に、大きな工数がかかる。
といった課題から、導入に踏み切れない企業が多い状況があります。
この課題を解決するためには、広告代理店側で顧客データの取扱いを行わない運用を行う必要があります。