【テンプレート付き】有給休暇管理表とは?運用ポイントも解説

有給休暇管理表とは、従業員の年次有給休暇を正しく管理するための帳簿のことです。

有給休暇管理表を活用すれば、社員一人ひとりの「有給取得日」や「有給取得日数合計」、「有給残日数」などの情報を管理できます。

有給休暇管理表の活用は、社内の有給取得状況を細かく把握するだけでなく、労務管理における工数削減、労働基準法の遵守にもなるため、企業にとって重要な役割を担います。

厚生労働省で提供している「年次有給休暇取得管理台帳テンプレート」のようなフォーマットもあるため、ダウンロードすればすぐに使い始めることが可能です。

本記事では、有給休暇管理表を導入する上で、有給休暇管理表の基礎知識や作り方、運用方法について詳しく解説いたします。

こちらの記事を読めば、有給休暇管理表について理解し、適切な作成・運用方法を理解できるようになります。


有給休暇管理表のエクセルテンプレート

厚生労働省提供の「年次有給休暇取得管理台帳テンプレート」のように、すでにあるフォーマットをダウンロードすれば、作成する手間を省くことが可能です。

有給休暇管理表は、基準日や有給の取得日数、時季などの情報を明確にしないといけないため、一から管理表を作成する際は注意しないといけません。


有給休暇管理表とは、年次有給休暇を正しく管理するための帳簿

有給休暇管理表とは、従業員の年次有給休暇を正しく管理するための帳簿のことです。

年次有給休暇日数が10日以上である労働者は年5日以上の有給休暇を取得しなければならないと、2019年4月の労働基準法改正により定められています。

参考:労働基準法 | e-Gov法令検索

そのため企業は、従業員一人ひとりの有給休暇の残日数や、取得状況を把握するための有給休暇管理表の管理が義務付けられました。

有給休暇管理表の作成・保存は義務

有給休暇管理表の作成と保存は事業主の義務です。

有給休暇を与えた場合、使用者は有給休暇の基準日や有給取得日数、時季などを、労働者ごとに明らかにした書面を作成する必要があります。

また、有給休暇管理表は、有給休暇を与えた期間中および該当期間満了後3年間は保存しておかなければなりません。

労働基準監督署に求められた際には、すぐに提示をしなければならないため、必ず3年間は保存しましょう。

有給休暇管理をしなかった場合の罰則

有給休暇管理の作成や管理を怠ったからといって、すぐに罰則が与えられるわけではありません。

しかし、2019年4月の労働基準法改正に伴い、有給休暇に対して以下の内容に違反した場合、罰則が与えられます。


罰則

(※)罰則による違反は、対象となる労働者1人につき1罪として取り扱われますが、労働基準監督署の監督指導においては、原則としてその是正に向けて丁寧に指導し、改善を図っていただくこととしています。

参考:年次有給休暇管理簿とは? 作成・保存義務における注意点を解説|顧問弁護士・企業法務ならベリーベスト法律事務

罰則は、労働者1人に対してのため、もし仮に違反した労働者が100人いた場合、3,000万円の罰金が科される可能性もあります。

企業にとって大きな損失になるため注意しましょう。


有給休暇管理表の作り方

年次有給休暇の取得状況については、誰でも確認・把握できるように、年次有給休暇管理簿の作成・保存が義務化され、以下3つの項目が記載必須となっています。

有給休暇管理表に必要な項目

厚生労働省提供の有給休暇管理表のテンプレートをもとに、情報を記載する具体的な方法について紹介します。

参考:年次有給休暇取得管理台帳テンプレート|厚生労働省

基準日を設定する

有給休暇管理表を作る上で、まずやるべきことは基準日の設定です。

基準日とは、労働者が10日を超える年次有給休暇を取得する権利を与えられた日付のことでした。

労働基準法により、基準日から1年以内に年次有給休暇を5日以上取得しなければいけません。

基準日を設定しなければ、そもそも1年という期間を計算できないためです。

年次有給休暇の付与は、企業により異なるため注意しましょう。

例えば、4月1日に入社、その6ヶ月後に10日を超える年次有給休暇が与えられた場合、基準日は10月1日です。

4月1日の入社時に5日の年次有給休暇が付与され、その6ヶ月後に5日の年次有給休暇が付与された場合、基準日は10月1日です。

企業ごとで年次有給休暇の付与タイミングは異なりますが、いずれも10日を超える年次有給休暇を与えられた日が基準日となります。

有給取得状況を判断するうえで基準日は重要な1つの指標ですので、有給休暇管理表を運用する際には最初に記入しましょう。

記入する箇所は、下図の赤枠を参考にしてください。

有給取得日数を記入する

社員が年次有給休暇を取得している場合には、有給取得日数を記入する必要があります。

実績を入力すると、自動で取得日数合計がカウントされます。記入する箇所は、下図の赤枠を参考にしてください。

上記のようなテンプレートで管理すると、取得日数合計のカウントだけでなく、年次有給休暇の残日数や1年以内に取得しなければいけない年次有給休暇の5日もカウントされます。そのため、年次有給休暇の取得状況を瞬時に確認できます。

時季を記載する

社員が実際に年次有給休暇を取得した場合に、時季(労働者が実際に年次有給休暇を取得した日付)を記録する必要があります。

時季は労働者がきちんと休んだことの記録となるため、後から見返した際に休んだ日付が分かれば問題ありません。

たとえば4月20日が有給取得日の場合、赤枠内に「4月20日」と日付を入力します。

もし連続で年次有給休暇を取得したい場合には、4月20日から4月25日などと記載します。


漏れなく有給管理するための3つの運用方法

厚生労働省が提供するエクセルテンプレートを用いて、有給休暇管理表を活用することで、労働者ごとの有給休暇取得状況を把握しながら、年次有給休暇管理簿の作成もできます。

しかし、エクセルは手入力が多く、入力漏れや入力ミスなどのヒューマンエラーが発生する恐れがあります。

そこで、なるべく入力漏れや入力ミスを減らすための運用ポイントを説明します。

もれなく管理する

参考:勤怠管理ができるエクセルテンプレートを紹介!活用法や注意点も解説

全従業員の基準日を統一する

基準日は、社員一人ひとりで別日設定をせず、企業で統一した日付にするのがおすすめです。

年次有給休暇の取得状況は、基準日から1年以内にどれだけ年次有給休暇を取得しているかを確認する必要があります。

これは労働基準法で基準日より1年以内に5日以上の年次有給休暇取得が義務付けられているからです。

そのため、有給休暇管理表も基準日以降で年次有給休暇を取得する際に作成されます。

基準日が労働者ごとに別日で設定されていると、管理が大変で、漏れやミスの原因となるでしょう。

例えば、基準日の設定を統一で4月1日と決めることで、有給休暇管理表を一括作成できたり、年次有給休暇の取得状況の確認もしやすくなったりします。

しかし、4月1日を基準日とした場合、5月入社した人の有給付与が11ヶ月後になってしまうなど、入社タイミングによって不公平な付与条件になる場合があります。

休暇付与の公平性を保つためには、入社月に応じて付与日数の調整を行うなど、状況に応じて柔軟にルール整備をしなければいけません。

参考:事業主の方へ | 年次有給休暇取得促進特設サイト | 働き方・休み方改善ポータルサイト

労働者名簿や賃金台帳を一緒に作成・運用・保存する

有給休暇管理表と法定帳簿を一緒に作成・運用・保存できれば、労働者ごとにデータをまとめられるため、データの確認漏れ防止、労務工数削減になります。

法定帳簿も年次有給休暇管理簿と同様に、原則3年の保存義務があるため、一緒に作成、運用、保存しておくことがおすすめです。

参考:人事担当必見!いまさら聞けない入社手続きの流れと、提出する書類一覧

勤怠管理システムを利用する

勤怠管理システムの利用で、有給管理の工数削減になるだけでなく、ヒューマンエラーの防止になります。

その理由は、勤怠管理システムであれば、エクセルで手入力していた作業をシステムで行えるためです。

エクセルで管理する場合、数値の入力ミスや漏れが起きる可能性があるため、正確な情報が管理できないことがあります。

しかし、勤怠管理システムは、社員の出退勤時間を打刻により自動で入力したり、有給の申請から承認、取得日数などの情報を一元化できるため、より正確な情報を管理することができます。

勤怠管理システムは、SaaSで提供されることが多く、オンライン上でデータ管理が完結するため、データ確認などの管理工数、自動アップロードによる人的ミス防止にもなります。

従業員数が多く、労働者一人ひとりの有給管理をするのに手間がかかる企業の場合は、勤怠管理システムの導入がおすすめです。

参考:おすすめ勤怠管理システム10選!料金・サポート内容・機能など


まとめ

有給休暇管理表を活用すれば、社員一人ひとりの「有給取得日」「有給取得日数合計」「有給残日数」を管理できます。

さらに、有給休暇管理表は、労働基準法で作成・保存が義務化されている「年次有給休暇管理簿」の作成になります。

有給休暇管理表を作る場合、以下の順番に沿って情報を記載しましょう。

  • ステップ1:基準日を設定する
  • ステップ2:有給取得日数を記入する
  • ステップ3:時季を記入する

漏れなく有給管理するための運用ポイントは以下の通りです。

  • 全従業員の基準日を統一する
  • 労働者名簿や賃金台帳を一緒に作成・運用・保存する
  • 勤怠管理システムを利用する

有給休暇管理表の基礎知識を身につけて、運用ポイント、注意事項を意識しながら活用することで、社員の有給取得状況を把握できるだけでなく、労務管理における負担を減らすことができるでしょう。