インハウス支援サービスの内容・支援会社の選び方・成功のポイント

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広告運用やSEOなどのマーケティング業務を外部に委託するのではなく、自社内で運用することで、ノウハウを社内資産として蓄積したいと考える方は多いはずです。

しかしながら、次のように悩まれている方も多いのではないでしょうか。

「インハウス化を実現するために何から手をつければいいか分からない」
「具体的にどのような業務をインハウスできるのか知りたい」
「インハウス化を進める時に何に注意すべきか分からない」

マーケティング業務のインハウス化を進める際は、自社だけで全てをやろうとせず、外部から支援を受けながら進めることをおすすめします。

自社だけで完結させようとすると、急増するタスクにリソースが足りずに失敗に終わるケースが多く見られます。

そこで本記事では、インハウス支援の具体的な内容から支援を受けるメリット、さらには注意点についてご紹介します。

この記事を読み終わるころには、外部の支援会社をうまく活用し、マーケティング業務のインハウス化をスムーズに実現できるようになるでしょう。


インハウス化支援とは

インハウス化支援とは、これまでアウトソースしていた特定業務のインハウス化(内製化)をサポートしてくれるサービスです。

広告代理店などへ外部委託することが多いマーケティング業務、特にWeb広告やSEOの分野でよく利用されており、運用体制を切り替える際に発生するリソース不足やノウハウ不足といった課題に対応してくれます。

支援サービスを活用することで、「いざインハウス化してみたが想定よりも工数が掛かってリソースが足りなかった」「最初は問題なくインハウス化できたが、思ったよりも情報収集が難しく成果が悪化してきた」といったインハウス化のよくある問題を防ぐことができます。

インハウス化が重要視される背景

インハウス化の重要度が高まる背景には、デジタルマーケティングの需要に対して、デジタルマーケティングスキルを持つ人材が少ないことが関係しています。

特にWeb広告やSEOといった専門性の高いマーケティング業務は、自社にノウハウがなければ外注するしかありません。

しかし外注を続けていても自社内にノウハウが溜まっていきませんし、マーケティング人材を育成することもできません。

また新たにマーケターを雇おうと思っても、マーケティングに精通した人材が社内にいなければ、優秀な人材の採用基準・採用方法が分からず採用は難しいでしょう。

そのためコスト削減や運用の品質向上だけでなく、社内の人材育成も兼ねて、マーケティング業務をインハウス化するケースが多いです。


インハウス支援サービスの内容

インハウス支援サービスでは、インハウス化にあたって以下の支援を受けることができます。

  • コンサルティング
  • 戦略構築
  • 体制構築
  • 社員研修
  • 情報共有
  • 実務支援

コンサルティング

コンサルティングでは、戦略構築や戦術設計など、頭を使って考える部分の手助けをしてもらいます。

マーケティング全体のコンサルティングから、Web広告のアカウント設計など特定領域のコンサルティングなど、その範囲は幅広いです。

特にそもそもの課題・問題点が分からず、何から手を付ければいいか分からない状態のときには、コンサルタントと一緒にインハウス化を進めていくのが良いでしょう。

具体的な業務内容としては、マーケティングリサーチや各種戦略立案、社内MTGの出席、外部パートナーのディレクションなど様々です。

単にアドバイスをしてくれるだけでなく、社内の人材が自走できるようにきちんと寄り添ってくれることが、コンサルティングを受けるべき大きな理由です。

戦略構築

戦略構築では、市場調査やセグメンテーション、ターゲティング設計から施策立案といった一連の流れを通して、マーケティング戦略の構築についてサポートが受けられます。

たとえば広告運用は、自社サービスにマッチするニーズの把握や、出稿するキーワード選定などが重要です。

これらをいきなり自社で完結させるのが難しい場合は、外部にお願いして支援してもらうのも手です。

体制構築

インハウス化に欠かせない、社内の運用体制構築の支援を受けることができます。

どういう組織体制にするのか、どういった人材が必要になるかの定義から依頼ができます。

またスキルチェックを行って、社内人材の能力の可視化もお願いできたりします。

加えて、専門的見地から体制のグランドデザインも設計してもらえることから、ノウハウを持たない企業がインハウス化を目指す場合は特に役立つでしょう。

社員研修

インハウス化に向けた社員研修により、座学や実技を交えて広告運用のオペレーションなどが学べます。

インハウス化にあたって社内に教育リソースや教育体制があることは稀なので、外部の支援会社に教育をお願いすることになります。

もちろん、マーケティングに関わるディレクション業務や、広告関連ツールについても網羅的に習得が可能なため、知識を持たない人材でも独り立ちが期待できます。

ただし、教育内容に関してはインハウス化支援会社によって異なることから、あらかじめ内容を確認しておくのがおすすめです。

情報共有

新たな媒体や他社の運用実績、最新市場動向などの情報共有もサービスの一環となっています。

インハウス化したときに情報を得ることが難しくなるというのは、インハウス化で非常によくある問題です。

以下のブランディングテクノロジー社の調査でも、「競合・市場動向の把握」や「知見・ノウハウの共有」を目的として、インハウスではなく外部委託を活用している企業が多いことが明らかになっています。

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引用:【調査レポート】デジタルマーケティングのインハウス化・外部委託に関する意識調査|ブランディングテクノロジー

マーケティングの分野は情報のアップデートが激しく、遅れを取らないためには最新の情報を入手する経路を確保する必要があります。

インハウスの支援サービスを受けることで、そうした課題をクリアすることができます。

実務支援

インハウス支援は、スキル学習や体制構築だけに留まらず、広告のオペレーションなどの実務支援も受けることができます。

インハウス化をする際には、いきなり全てをインハウス化するのではなく、マーケティング業務を戦略構築や戦術設計・オペレーションなどに分けて、段階的に進めていくのが現実的です。

いったんオペレーションは外部に依頼したままで、まず戦略・戦術の部分からインハウス化する、といった際に実務支援は役立ちます。

また既存業務のスキーム見直しや、各種フォーマットの作成やツールの導入といったオペレーションの効率化も支援してくれる会社もあります。


インハウス化の支援を外部に依頼するメリット

インハウス支援を外部に依頼するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 最短でインハウス化を実現できる
  • 自社の課題解決に直結する運用が可能となる
  • 最新の情報やナレッジをシェアしてもらえる

最短でインハウス化を実現できる

インハウス化支援会社は、マーケットの一線で活躍するWeb広告運用のプロ集団です。そのため、ノウハウを持たない自社でゼロから始めるよりも、格段に早くインハウス化できるメリットがあります。

具体的なプロセスとしては、既存業務の見直しやリソースの再分配、教育なども必要となるため、本業を抱えながら進めるのは大変難しいでしょう。

専門家に一任すれば、最短でノウハウが蓄積されるだけでなく、市場ニーズに対する最適化も行えます。

非効率的なやり方で実施するより、トータルコストが安く済む可能性もあることから、積極的に支援を検討するのがおすすめです。

自社の課題解決に直結する運用が可能となる

インハウス支援では、第三者目線による問題点の洗い出しや、専門的な改善案を提示してもらえるため、自社の課題解決に直結する運用が行えるメリットもあります。

特にインハウス化においては、ボトルネックの特定と適切なロードマップの策定が肝心です。

業種や事業規模、広告予算によっても最適解は異なるため、ノウハウを持たない企業ほど得られる効果は大きいでしょう。

最新の情報やナレッジをシェアしてもらえる

インハウス支援会社からマーケットの情報や最新のナレッジをシェアしてもらえるため、インハウス化を進めている最中はもちろんのこと、インハウス化が実現してからも取引を続けて情報経路とするケースがあります。

媒体社から最新の情報・ノウハウを最初に共有してもらえるのは、広告代理店か一部の大手広告主です。
それ以外のプレーヤーは、どうしても彼らよりも遅れて情報をキャッチすることになります。

日々新機能のリリースやアップデートがされているなかで、最新の情報を入手する手段がなければ、昨日まで通用していた施策が通用しなくなり、知らぬ間に競合に遅れを取ってしまいます。

また支援会社が自社の業種の案件を扱った経験がある場合は、過去の事例を踏まえた支援を受けることができます。


インハウス化の支援を依頼する際の注意点

インハウス化の支援を依頼するメリットが理解できたところで、続いて以下2つの注意点を解説します。

  • インハウス化の目的を明確にする
  • インハウス化によって達成したいゴールを決めておく

インハウス化の目的を明確にする

インハウス化が必ずしも正解であるとは限らないので、何のためにインハウス化するのかの目的を明確にすることが大切です。

インハウス支援では、プロの目線から様々なアドバイスが受けられますが、自社がきちんと目的を明確にしていなければその効果は半減してしまうでしょう。

現在投じているコストの削減や社員育成、業務フローの改善を求めるのかによって、適したロードマップは異なります。

たとえばコスト削減するためにインハウス化したとしても、社内に十分なリソースとスキルを持った人材がいなければ、外注していた時よりも作業効率が悪化して結果的にコストアップしてしまう可能性があります。

社内の体制が不十分であれば、まずは体制構築から進めて、その後にオペレーションの移管をする方が良いでしょう。

このように、インハウス化の目的を明確にして、その達成に必要なロードマップを引く必要があります。

インハウス化によって達成したいゴールを決めておく

インハウス化の目的にも関連しますが、インハウス化によって達成したいゴールを決めておく必要があります。

インハウス化を進める目的・背景は企業により千差万別で、そのため目指すべきゴールも違ってきます。
必ずしも全ての業務をインハウス化するのが正解ではありません。

大まかに、マーケティングのインハウス・外部委託体制は3つのタイプに分けることができます。

  • フルアウトソース:外部委託メイン
  • ハイブリッド:外部委託と内製組織の両立
  • フルインハウス:内製組織メイン

フルアウトソースは外部委託をメインにマーケティング業務を進める体制です。

施策の運用や分析・効果測定といったオペレーションに加えて、戦略立案のサポートを受けます。

ハイブリッドは、外部委託とインハウスの両方を活用する体制です。

例えば突発的に発生した業務に対応するために外部委託を活用するケースが挙げられます。

他には、戦略立案は自社で、施策運用などのオペレーションは外部委託、といった形で両者を上手く使い分けるのがこのハイブリッド体制です。

フルインハウスは、内製をメインで行う体制です。

ただしすべてを自社だけで行うのではなく、高度な知見を必要とする業務の支援を受けたり、内製化を進めるための育成・勉強会の支援を受けたりと、外部委託を上手く活用することでより成果を高めることができます。

参考:マーケティングのインハウス化を実現する方法・支援会社の選び方


インハウスの支援会社を選ぶ際に確認したい4つのポイント

ここからは、インハウスの支援会社を選ぶ際に確認するべき4つのポイントを解説します。

  1. 対応範囲
  2. 取り扱う広告媒体
  3. 実績や事例

1. 対応範囲

インハウス化支援会社を選ぶ際は、対応範囲を最初に確認した方が良いでしょう。

体制構築や情報共有などのサービス内容は企業によって異なり、定期MTGの有無や、質問の回数が月ごとに決められているケースもあります。

お願いしたい業務に対応してくれるかを事前に把握しておかなければ、目指していたゴールには到達できません。

場合によっては他社に切り替える必要性もでてくるため、どこまで対応してもらえるか、というポイントは必ずチェックしておいてください。

2. 取り扱う広告媒体

Web広告には様々な媒体が存在するため、自社がインハウス化したい媒体を取り扱っているかどうかも確認した方が良いでしょう。

リスティング広告(Google広告・Yahoo!広告)、各種SNS広告、動画広告やフィード広告など、Web広告には様々な種類があります。

特に動画広告やフィード広告は一定のスキル・ノウハウが必要になるため、会社によって提供サービスのレベルに差がある印象です。

多くの会社が対応媒体をWebサイト上に公開しているので、対応媒体が問題ないかを確認しておきましょう。

3. 実績や事例

最大限の効果を得るためには、過去の事例や実績を確認して、自社の目標と親和性の高い成果を挙げているインハウス化支援会社を選んでください。

また過去の支援実績の数値(削減できたコストや業務時間、実際に向上したコンバージョン率など)を見せてもらえば、より効果的な判断につながるでしょう。


まとめ

インハウス支援とは、Web広告やマーケティングといった外部委託が多い分野のインハウス化(内製化)のサポートを指しています。

自社だけでインハウス化を実現するのは、ノウハウ面やリソース面において非常に難易度が高いです。
インハウス支援会社の協力を仰ぎ、外部のリソースや知見を借りながら段階的に進めていくことを推奨します。

支援会社からは以下の支援を受けることができます。
自社に必要な支援内容が何かを明確にすることが必要です。

  • コンサルティング
  • 戦略構築
  • 体制構築
  • 社員研修
  • 情報共有
  • 実務支援

また支援会社を選ぶ際は、以下のポイントを押さえておきましょう。

  1. MTGや質問の回数、サポートの内容といった対応範囲
  2. 対応している広告媒体の種類
  3. 過去の実績や事例

本記事を参考に、マーケティング業務のインハウス化を実現していただければ幸いです。