広告代理店の営業の方々は、ネット広告の運用代行の商談をすることがあると思います。
しかし「思うように受注がとれない」「お客様によって状況が違い過ぎて、トークが型化できない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
ネット広告の商談は、お客様のネット広告の取り組み状況に合わせて分類し、パターンに応じてトークを使い分けることが得策です。
お客様は「現在ネット広告を活用している / 活用していない」の2つに分類できます。そのうえで状況に合わせてそれぞれ4つ、計8パターンに分けてトークを使い分けていきます。
この記事ではネット広告の商談の進め方を、お客様の状況別に8パターンに分けて解説していきます。
本記事を読むことでお客様のネット広告の活用状況を上手く整理して、適切な攻略ができるようになります。
目次
商談の起点は「お客様のネット広告の取組状況」の把握
ネット広告運用の商談の起点は、「お客様(商談相手)の状況」を把握することです。
特に「ネット広告の取り組み状況」や「企業担当者のリテラシー」を正確に把握することで、その後の商談の流れが変わります。
「ネット広告に詳しいのか・詳しくないのか」「運用経験があるのか・ないのか」「インハウスで運用しているのか・代理店に委託しているのか」など状況によってお客様のニーズは異なり、話の内容や話し方をお客様に合わせて調整する必要があります。
お客様の状況は8パターンに分類可能で、話す内容・話し方・商談時の留意点をパターン化できます。
参考:10年営業して分かった、受注につながるWeb広告の提案方法
ネット広告を活用している企業の分類と攻略のポイント
現在ネット広告を活用している企業との商談では、企業を4象限に分類することで戦略的に商談を進められます。
整理の軸は「LP&効果測定の有無」と「代理店による運用or社内(インハウス)運用」で、以下のA~Dに分類可能です。
A:代理店が運用中(委託)で、LP&効果測定無し
B:代理店が運用中(委託)で、LP&効果測定あり
C:社内で運用中で、LP&効果測定無し
D:社内で運用中で、LP&効果測定あり
A:代理店が運用中(委託)で、LP&効果測定無し
代理店に運用を委託していて、LPや効果測定が無いという場合、社内にネット広告の知識・ノウハウがないケースが想定されます。
運用だけして成果を追いかけておらず、成果につながっていないことにも気づいていません。
改善の動きもないので、ただ広告費を浪費しているだけという場合もあります。このケースの場合、委託している代理店側もそこまでリテラシーがないことも少なくありません。
Aのケースでは「自分たちは問題なく運用できている」と認識しているので、正しいネット広告の運用を説明することが攻略のコツです。
一般的なネット広告の運用では、効果検証とデータに基づいた改善を繰り返すことで成果を高めていきます。Aに該当する企業に対して、この基本的な運用ができておらず、成果改善が見込めない「無駄な投資」を続けているということを説明しましょう。
正しいネット広告の運用方法や現状の課題を企業に理解してもらうことが先決です。
参考:ネット広告の種類一覧!課題別の効果の出る手法を解説│LISKUL
B:代理店が運用中(委託)で、LP&効果測定あり
代理店に運用を委託しており、LPや効果測定を行っている企業は、ネット広告のリテラシーが比較的高い傾向にあります。代理店が運用しており、LPも作りこまれていたり、効果測定や運用改善にも取り組んでいたりします。
一定以上の知識を保有しており、代理店との取引にも慣れていることが特徴です。
そのため、「こういう代理店がいたらリプレイスしたい」と、求めるサービスが明確になっています。
Bの企業は代理店側に求める運用のクオリティが高いことが多いです。
求めるクオリティを提供できない中、無理に受注しようとして、大きく値引きしてしまうこともあるので注意しましょう。
Bの企業の場合、ストレートな商談を心がけるようにしてください。
自社との取引メリットや付加価値を伝えましょう。自社の強みやPRポイント、過去リプレイスしてくれた企業との取引実績を伝えます。
他社との差別化ポイントも説明できると良いでしょう。
C:社内で運用中で、LP&効果測定無し
社内で運用しているが、LPや効果測定ができていないという場合、社内の担当者に大きな負担がかかっているケースが想定されます。
経営者や事業責任者がネット広告の運用すべてを担当者に丸投げしており、「ネット広告の運用ノウハウや知識がない中で頑張ってはいるけれど、思うような成果が出ていない」と、担当者が困っている可能性があります。
Cに該当する企業との商談では、担当者だけではなく責任者同席の上、現状の運用方法の課題と解決方法を伝えるようにしてください。
ネット広告の運用での王道的な手順を話し、「今の運用ではどこに課題があるのか」「正しい手順で進める場合、運用をどのように変えたほうが良いか」などを説明します。
この時、ストレートに表現すると担当者の顔を潰してしまうことになるので注意が必要です。
そのうえで、代理店に委託するメリットを理解してもらうようトークを展開していきます。「代理店に任せなくても、社内で回せているから問題ない」など、代理店の価値を誤解しているケースもあります。
「代理店とご担当者で役割分担すれば、より一層成果を伸ばせる」というように、役割分担・パートナーシップなどについて触れてください。
D:社内で運用中で、LP&効果測定あり
社内で運用していて、LPや効果測定もできているという場合、個人への依存度が高すぎて、担当者だけがノウハウや情報を蓄積している状態が想定されます。
経営者や事業責任者が運用状況を全く把握していない、あるいは把握できていない可能性があります。
商談では個人依存の経営リスクを説明することが先決です。
経営者との直接の商談や担当の方を外して商談できるのであれば、「担当の方がいなくなったらどうしますか?」など投げかけてみると良いでしょう。
また、代理店と担当者の役割分担についても説明します。
ネット広告に詳しい方がいることは大きな強みですが、全ての業務を請け負うとリソースが空きません。
細かく手間のかかる運用を代理店に委託することで、担当者のリソースが解放され、戦略立案やマーケティング設計などに時間が割けるようになることを理解してもらいましょう。
ネット広告を活用していない企業の分類と攻略のポイント
ネット広告を活用していない企業は、4象限に分類することが可能で、それぞれ攻略のポイントが異なります。
「活用経験の有無」と「興味・関心の有無」を軸に以下のA~Dに分類できます。
A:ネット広告を実施したことがなく、興味もない
B:ネット広告を実施したことがないが、興味はある
C:ネット広告を実施したことがあるが、興味はない
D:ネット広告を実施したことがあり、興味もある
A:ネット広告を実施したことがなく、興味もない
参考:お客様のネット広告の取り組み状況別の商談の進め方|ジッセン! オンライン
これまでネット広告を実施した経験がなく、活用への興味がない企業は、そもそも「ネット広告」を誤解しているケースが想定されます。
よくあるケースとしては以下のようなものがあげられます。
- ネット広告の実施には多額の費用がかかる
- 通販系のビジネス以外では活用しない・できない
商談では相手のネット広告への認識を正すことが先決です。営業トークを展開するのではなく、ネット広告の基礎的な説明を行います。
「業種・業界に関わらずネット広告は活用できる」ということを理解してもらいましょう。
ネット広告初心者の方が多いので、専門用語は使わないようにして、実際にその企業がネット広告を使った場合を例に出して説明できると良いです。
B:ネット広告を実施したことがないが、興味はある
ネット広告の実施経験はないものの、活用に興味を持っている企業は、「導入の仕方・始め方がわからない」「実施に踏み切る勇気が持てない」というケースが想定されます。
このパターンではネット広告の実施の障壁となっている不安を払拭して、導入を後押しするサポートが必要です。
開始までの手順を、相手企業の状況に沿う形で具体的に説明しましょう。
また、漠然とした不安を抱えている可能性があるため、ネット広告実施のリスクの言語化や、そのリスクへの対処法を説明して安心を与えるとともに、意思決定をサポートします。
次に競合や近いビジネスをしている企業がどのようにネット広告を利用しているのか説明します。そして、ネット広告を実施しないと他社との差が広がってしまうことを伝えていきましょう。今動き出さないことで生じるリスク・デメリットを説明して、アクションを後押ししていきます。
C:ネット広告を実施したことがあるが、興味はない
過去に実施した経験があるものの、活用に興味がない企業は、過去の失敗体験から「もうネット広告には手を出さない」と考えている可能性があります。
- よくわからないまま活用して効果が出なかった
- 失敗体験だけを意識して、二度と活用しないと凝り固まっている
このケースでは「ネット広告はうちぐらいの規模じゃ意味なかった」「事業モデルと合わない」「変な業者に騙された」など、ネット広告に対して悪いイメージを持っています。
失敗の要因としては、依頼した代理店・業者の影響によるものもあれば、自社のリテラシー不足によるものなどがあります。
商談ではネット広告に対する誤解を解消することが先決です。ネット広告ではなく、過去の運用方法が悪かったということを理解してもらいます。
過去の実施内容をヒアリングします。「目標を決めていましたか?」「効果測定しながらどういう検証をして、そのゴールに対して運用できましたか?」など聞いてください。
そのうえで、正しいネット広告の実施プロセスや考え方を説明しましょう。これにより、相手側の心理が「ネット広告が悪い」から、「過去の取り組み方に間違いがあったのではないか」と変わっていきます。
次にネット広告が昔と比べて進化していることを説明しましょう。
「少額から始める場合は媒体を絞ったほうが成果につながりやすい」「業種・業界やターゲットユーザーに合わせて相性が良い媒体がある」など正しいネット広告の知識を丁寧に伝えていきます。
参考:ネット広告の少額予算案件における適切な予算配分の方法│LISKUL
D:ネット広告を実施したことがあり、興味もある
ネット広告を過去に実施した経験があり、今後活用に興味がある企業の場合、自分たちが実現したいこと・やりたいことが明確になっていることが少なくありません。そのため、安心して運用を任せられるパートナーを探している可能性があります。
運用のパートナーを探しているので、そのパートナーに自社が適していることをアピールしていきます。実際の体制や過去の実績、サポートの内容を説明してください。この時「自社に任せるメリット」を具体的に掲示しましょう。
特に取引実績は重要で、実際に同業種・業界での取引実績に関する情報があると先方も委託のイメージがしやすいので、事前に詳細を準備して商談時に共有できるよう準備しておきましょう。
商談時には予算と対応範囲を明確にして、「無茶」な提案は控えましょう。代理店への委託経験がある企業の場合、費用相場と業務内容が想像できるので、「対応できないのに、調子よく返している」と不信感を抱かせる可能性があります。現実的に対応できる範囲で調整するようにしましょう。
参考:リスティング広告代理店の選び方と地雷を避けるチェックリスト│LISKUL
また、Bのケースと同様、ネット広告を利用するリスクとリスクヘッジの方法、競合他社との利用状況と今実施しないことのデメリットなどを説明してください。
ネット広告の商談に関するよくあるご質問
ネット広告の商談に関する役立つQ&Aをまとめています。
Q.ネット広告のリテラシーが低い企業にはどのように対応すべきですか?
A.基本的な広告運用方法や効果測定の重要性を説明し、現状の課題を理解してもらうことが大切です。
Q.ネット広告に興味はあるが経験がない企業に対してはどのように対応すべきですか?
A.実施の手順やリスク回避策を具体的に説明し、競合企業が活用している事例を紹介しながら、導入の不安を払拭します。
Q.過去にネット広告を実施したが失敗した企業に対してはどのように対応すべきですか?
A.失敗の要因をヒアリングし、その問題が広告運用方法にあったことを説明し、正しい運用手法を提案します。
Q.ネット広告の予算感が不明な企業にはどう対応するべきですか?
A.実際の広告運用に必要な費用を具体的に提示し、予算配分やリスク管理の方法についても丁寧に説明します。
Q.ネット広告に関心のない企業に対してはどうアプローチすべきですか?
A.ネット広告に対する誤解を解き、業界を問わず活用できることや、広告がビジネスにもたらす効果を具体的に説明します。
まとめ
ネット広告の商談を進める際の起点は、「お客様のネット広告の取組状況」です。お客様の状況に合わせてトーク内容を調整します。
お客様の状況は「ネット広告を現在利用しているか」で大別できます。
そこからお客様の状況に合わせて、それぞれ4種類、計8パターンに分けることが可能です。
すでにネット広告を活用している場合、「代理店運用orインハウス運用」と「LP&効果測定の有無」を軸に、以下の4パターンに分類します。
A:代理店が運用中(委託)で、LP&効果測定無し
B:代理店が運用中(委託)で、LP&効果測定あり
C:社内で運用中で、LP&効果測定無し
D:社内で運用中で、LP&効果測定あり
一方、ネット広告を活用していない場合、「これまでのネット広告の活用経験」と「興味・関心の有無」を軸に、以下4パターンに分けられます。
A:ネット広告を実施したことがなく、興味もない
B:ネット広告を実施したことがないが、興味はある
C:ネット広告を実施したことがあるが、興味はない
D:ネット広告を実施したことがあり、興味もある
パターンに合わせて攻略方法が大きく異なります。場合によっては営業トークは抑えて、ネット広告の知識を共有してお客様への説明に努めたほうが良い場合もあります。
商談時の提案方法については「10年営業して分かった、受注につながるWeb広告の提案方法」の記事で詳細に解説しています。
また、提案書のテンプレも「新規顧客獲得のためのネット広告提案マニュアル【提案書テンプレート付】」からダウンロードできるので、ご活用ください。