ネット広告を実施するにあたって、少額予算の案件でどのように予算配分をするべきか迷われる方も多いでしょう。
例えば、予算20万円なら10万円ずつGoogle広告もYahoo!広告もやるべきなのか、あるいはどちらかに集中すべきかと悩まれるはずです。
筆者は広告代理店にて、数多くの少額案件の運用をしてきましたが、その私が提唱するのは「少額予算であれば一つの媒体に集中投下したほうが良い」ということです。
本記事では、ネット広告の少額案件においてどのように予算配分するべきかを、運用時に注意すべきこととあわせてご説明します。
執筆者
SO Technologies株式会社 LISKUL五代目編集長
広告運用者⇒広告レポートツール『ATOM』カスタマーサクセス⇒LISKUL編集部。 「日本のすみずみまでWebマーケティングの力を」モットーに日々活動しています。(執筆記事一覧 )
少額予算の場合は一つの媒体に予算を集中すべき
地方や中小企業がネット広告を実施する際に、いきなり多額の予算を用意できることは稀で、10万~100万円未満の少額予算で始めることが多いです。
そうした少額の予算の場合には、あまり多くの媒体に手を出さずに、一つの媒体に集中すべきです。
例えば「スポットのキャンペーンでネット広告予算が30万円あるので、GoogleとYahoo!とFacebookを10万円ずつやりたいんだけど、できますか?」と聞かれたら、私なら「Google広告を30万円やりましょう」と提案します(Google広告というのは仮です)。
複数媒体を推奨しない理由としては以下の5つが挙げられます。
- 理由1.広告代理店経由の場合、各代理店別に最低出稿予算が決まっているのでそもそも請けてもらえない可能性が高い
- 理由2.複数媒体では運用コストがかかり採算性が合わない
- 理由3.PDCAサイクルを回すための十分なデータ量が集まらない
- 理由4.機械学習に必要なデータが集められない
- 理由5.クリック単価の高い商材の場合、予算が足りず機会損失が発生する
それぞれ詳しくご説明します。
理由1.広告代理店経由の場合、各代理店別に最低出稿予算が決まっているのでそもそも請けてもらえない可能性が高い
広告代理店経由でWeb広告を実施する場合、代理店ごとに最低出稿予算が決まっているケースが多いです。
たとえば100万円以下の案件は受け付けていないという代理店は少なくありません。
そのため先述のケースのように、Google・Yahoo!・Facebookに10万円ずつという予算配分では、請けてくれる広告会社は限られてしまうのが実情です。
一媒体で30万円なら請けてくれる会社も増えますので、発注する際には認識しておくと良いでしょう。
理由2.複数媒体では運用コストがかかり採算性が合わない
運用型のWeb広告では、扱う媒体が増えるほど運用コストも増えます。
例えば「Google・Yahoo!・Facebookに10万円ずつ」と「Googleに30万円」では、同じ30万円でも後者の方が断然運用コストは低くなります。前者は後者の3倍とは言わないまでも、それに近い工数が掛かります。
またWeb広告は、予算の一定割合の手数料をいただく料金体系になっていることが多く、配信の結果にかかわらず生み出せる利益の上限があらかじめ決まっています。
例えば料率20%であれば、予算30万円なら6万円の運用費となり、これ以上の運用コストが掛かれば赤字になります。
3つの媒体を運用して、6万円(実際にはもっと少額)以内に運用コストを抑えるというのは、実際にはかなり難しいことです。
このように、少額予算で複数媒体を扱うと、運用コストが掛かり採算性が合わなくなります。
採算性が合わなくて案件を受けられなくなってしまうというのは、広告主にとってもマイナスのことなので、広告主・広告会社の双方にとってこの観点は非常に重要です。
理由3.PDCAサイクルを回すための十分なデータ量が集まらない
運用型のWeb広告は、広告配信をしてその結果をもとに改善をして再度配信する、というPDCAサイクルを回していくことが重要です。
しかし少額予算だと、そのために必要な十分な量のデータが集められないということが起きます。
例えばリスティング広告では、広告文を複数設定して効果を見ながら変更・改善していきますが、配信金額が少額だと一つの広告文のクリック数やコンバージョン数が少なくて、どの広告文が良かったのか・悪かったかの判断が正確にはできません。
データをもとに運用・改善していく運用型広告において、そのデータが十分にないというのは致命的です。
他にも、試しにFacebook広告を10万円分やってみたが、結果が良くなかったので配信をやめてしまったというような話もよく耳にします。
この場合も、たまたまその時は結果が出なかっただけで、本当は成果を挙げるポテンシャルを秘めている可能性もあります。
その媒体を実施するかどうかの判断においても、データが少ないと判断が難しくなります。
理由4.機械学習に必要なデータが集められない
2022年現在、Web広告の多くの媒体では機械学習を用いた自動運用が活用されています。
機械学習にはデータが必要になるのですが、予算が少額だと十分なデータが集められず、適切に機械学習が働かなくなります。
その分成果も悪くなってしまいます。
特に少額案件では、自動運用を活用して運用を効率化することが求められます。
理由3と同様に、データ量を集めるために媒体を絞ることが重要です。
理由5.クリック単価の高い商材の場合、日予算が足りず機会損失が発生する
BtoBビジネスやマンションなどの高額商材の場合、クリック単価が高くなるため、少額予算だと日予算が足りずに機会損失が発生します。
例えば予算が10万円の場合、1日に配信できる金額は約3,000円強です。
しかし上記のような高額商材では、1回のクリックで3,000円掛かってしまうケースもあります。
こうなると、1回クリックされただけでその日はそれ以上配信ができなくなってしまい、機会損失が発生します。
特にクリック単価の高い商材の場合には、媒体を絞って予算を増やすことを意識しましょう。
少額予算でも複数媒体を実施しても良いケース
基本的には少額予算の場合は一つの媒体に絞るべきですが、複数媒体を実施して良いケースもあります。
ケース1.リスティング広告のみでGoogle広告・Yahoo!広告の両方を実施
リスティング広告を実施する場合、Google広告とYahoo!広告のいずれか、あるいは両方を実施することになります。
実はYahoo!のリスティング広告は、Google広告と同じ仕組みで配信されており、Google広告とYahoo!広告をほぼ同じ広告内容で配信が可能です。
商材によってGoogleと相性が良かったりYahoo!と相性が良かったりするので、両方に予算を分配して試してみるのも良いでしょう。
ケース2.リターゲティングに必要な来訪者数がある
見込み顧客にアプローチしやすいリターゲティングは、リスティング広告に並んで費用対効果の高い広告手法です。
リターゲティングとは、過去にサイトに来訪したことのあるユーザーに配信するというものです。
このリターゲティングに必要な十分なサイト来訪者数があるのであれば、リスティング広告と一緒にリターゲティングを実施するのも良いでしょう。
少額予算時の媒体選定の方法
ここまで少額予算の場合には、配信する媒体を一つに絞ることを推奨してきましたが、実際にどの媒体を実施すべきか迷われることかと思います。
参考までにいくつかのケースをご紹介します。
リスティング広告が有効なケースはリスティング広告を推奨
数あるWeb広告のなかでも、依然として最もコンバージョンにつなげやすいのがリスティング広告です。
商品の購入や問い合わせを検討している、購買見込みの高いユーザーに絞って配信することが可能だからです。
少額予算であれば、まずはリスティング広告から始めて、しっかり結果につなげて配信を継続していく下地を作ることをオススメします。
ただしどんな場合でもリスティング広告が有効なわけではありません。
以下の表のように、適しているケースと適していないケースがあります。
適しているケース | 適してないケース |
---|---|
◎ニーズが顕在化している ◎検索エンジンを利用するセグメント層がターゲット ◎競合他社がリスティング広告をリピート出稿している | ×ニーズが顕在化していない(潜在的) ×幅広い層の認知度を高めたい ×テキストだけでは価値が表現できない ×検索エンジンを利用しないセグメント層がターゲット |
以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてください。
参考:初心者でもわかるリスティング広告とは?費用から運用のやり方まで徹底解説!
ターゲットユーザーと相性の良い媒体に配信する
ターゲットとするユーザーが明確に決まっていて、そのユーザーと相性の良い媒体があるのであれば、その媒体に絞るのも手でしょう。
例えば20代女性がターゲットなら、Instagram広告が相性が良いので選択肢に挙がります。
以下の図も参考に、相性の良い媒体がないかを探してみましょう。
ただし、成果を挙げるためには良いクリエイティブ(バナーや動画)が欠かせません。その媒体を実施するかを判断する際には、クリエイティブを用意できるかどうかも考慮してください。
まとめ
少額予算でWeb広告を実施する際には、媒体を一つに絞って予算を集中することがオススメです。
その理由は以下の通りです。
- 理由1.広告代理店経由の場合、各代理店別に最低出稿予算が決まっているのでそもそも請けてもらえない可能性が高い
- 理由2.複数媒体では運用コストがかかり採算性が合わない
- 理由3.PDCAサイクルを回すための十分なデータ量が集まらない
- 理由4.機械学習に必要なデータが集められない
- 理由5.クリック単価の高い商材の場合、予算が足りず機会損失が発生する
Web広告を実施して成果につながらないと、予算を削減、あるいは停止されてしまう可能性があります。
ですので、大事なのは、一番成果が挙げられそうな媒体を選定して、その媒体にリソースを集中することです。
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