手書き文字をデータ化するOCR8選!特徴・機能・料金を徹底比較

手書きOCRとは、光学技術を用いて手書き文字をデータ化する技術です。

手書きで書かれた契約書や申込書を手入力でデータ化する必要がなく、業務工数の削減につながります。

参考:契約書の電子化が解決する企業の課題と、電子契約導入までの3つのステップ

企業の中には、「申込書や契約書の情報をExcel、既存システムなどにデータ化するのに時間がかかっている」「データ化のために残業しなければいけない」など、課題を抱えている方もおられるのではないでしょうか。

上記のような課題を抱えている企業は、手書き文字や印刷された文字をOCRでデータ化することで、大幅な業務改善が見込めます。

本記事では、OCRの基礎知識から失敗しない自社にあった手書きOCRツールの選び方、おすすめツールをご紹介します。

この記事を読めば、手軽に手書き文字のデータ化に使えるOCRサービスを比較できます。


目次

OCRとは手書きや印刷された文字をデータ化する技術

OCRとは手書きや印刷された文字をデータ化する技術です。

カメラやスキャナでデータとして取り込み、解読することによって文字をデータ化します。

OCRを利用することでデータ入力の手間を省いたり、2重入力や誤字・脱字などの人的ミスを減らすことができます。

OCRの種類

OCRにはAI技術を用いたAI-OCRとOCRの2種類があります。

2種類の特徴は以下の通りです。

AI-OCROCR
特徴

・データ化する文字を記憶

・学習するために文字認識率が高い

・既存の業務システムやPRAと連携できるからOCR業務の自動化が可能

・月額制のサービスが多い

・あらかじめ決めているパターンの文字認識率が高い

・買い切りのサービスが多い

活用すべきケース

・手書き文字やフォーマットの異なる帳票をデータ化したい

・業務システムやRPAと連携して、OCR業務を自動化したい

・固定フォーマットの帳票のみをデータ化したい

手書き文字をデータ化したい場合は、文字を記憶・学習するAI-OCRがおすすめです。

通常のOCRはパターン化された文字をデータ化するのに向いていますが、契約書や申込書など、人によって文字の癖が変わる手書き文字の認識はできません。

認識できたとしても「工事」を「エ」のカタカナに勘違いして認識するなど、誤字脱字が発生しやすくなります。

AIOCRは手書き文字の癖をAIが学習し、文字の認識精度を向上できるため手書き文字をデータ化したいならAI-OCRがおすすめです。

ただ、固定フォーマットの帳票を大量にデータ化するのであれば、従来のOCRがおすすめです。

AI-OCRはAI技術を活用しているために利用料は高めですが、従来のOCRは固定フォーマットの認識のみに対応している分、買い切りのサービスや料金が低めに設定されているものが多いです。

手書き文字を読み取るOCRのメリット

手書き文字を読み取るOCRのメリットは以下の通りです。

  • 手書き文字や印刷した活字のデータ入力業務の削減
  • 既存システムとOCRを連携させることでデータ入力業務を自動化
  • データ入力後の確認・修正業務の効率化

OCRは誤字脱字が発生しないとは言い切れず、最終的には人の目でチェックする必要があります。

ただ、手入力でデータ化するよりも業務時間を大幅に削減できるため、手入力による残業の発生や疲労を感じているのであれば導入すべきです。

手書き文字や印刷した活字のデータ入力業務の削減

文字認識率が高いAI-OCRは、手書き文字や印刷した活字をスキャンし、クラウド上にアップロードするだけでデータ化されるため、手入力による業務負担を削減できます。

OCRでは難しいフォーマットにはない帳票の認識もAIが自動で文字列を認識し、データ化できます。

取引先によって請求書のフォーマットが変わる場合でも、自動でデータ化することも可能です。

既存システムとAI-OCRを連携させることでデータ入力業務を自動化

既存システムとAI-OCRを連携させることで、会計システムや経理システムにデータを移し替えることができます。

本来はデータの転記が必要になりますが、既存システムのPRA(ロボットによる業務の自動化)に組み合わせることでデータを自動で転記できるような仕組みを構築することも可能です。

データ化したファイルをCSVデータに出力して、他のシステムにアップロードすることでデータを自動転記できます。

データ入力後の確認・修正業務の効率化

AI-OCRには文字認識率が99%を超えるサービスもあり、データ化後の確認・修正業務を効率化できます。

OCRツールは文字認識率が低いサービスもあり、丸々修正しなければならない場合があります。

中には、誤字脱字チェックや修正業務を外部に委託できるサービスもあります。「確認作業にリソースを避けない」「契約書や申込書などデータ化したい書類が多すぎる」このような課題を抱えている企業におすすめです。


手書き文字を読み取るOCRの選定ポイント

手書き文字を読み取るOCRで最も重要な選定ポイントは読み取り精度です。

手書き文字は人によって書き方に癖が出るので、読み取り精度が高くなければ誤字脱字が多くなります。

それ以外にも選定時に見極めるポイントがあります。

以下では、手書き文字を読み取るOCRの選定ポイントを3つ紹介します。

読み取り精度が90%以上か

手書き文字のOCRの導入を検討している場合は、読み取り精度が90%以上のものを選びましょう。

前述した通り、読み取り精度が低いと誤字脱字や誤ったテキストに変換されてしまう可能性が多く、修正業務の負担が大きくなります。

手書き文字のOCRが目的でない場合はパターン化された文字の認識が得意なサービスを選べばいいので、文字認識率はそこまで必要はありません。

ただし、手書き文字のOCRは読み取りの難易度が高くなるため、読み取り精度が高いサービスが必須になります。

編集をなるべく減らすためにも、読み取り精度が90%以上のツールを選びましょう。

OCRツールで特化している機能が何か

OCRツールの特化している機能が何かを確認しておきましょう。

当たり前のことですが、手書き文字をデータ化したい場合は、手書き文字のOCRに対応しているサービスを選びましょう。

OCRツールによっては、業務効率化を意識したサービスや、フォーマットを固定することでデータ入力の手間の削減に特化したサービスなど、特化したものが異なります。

特化した機能が何か判断する際は、ベンダーの事例を確認しましょう。

たとえば「手書きの領収書、見積書をデータ化したい」という導入目的であれば、手書き領収書や見積書のデータ化ができた事例があるか、ツールの公式サイトなどで確認します。

事例を確認できない場合はベンダーに直接問い合わせしてみましょう。

使用頻度に対して料金が見合うか

買い切り型以外に月額料金のかかるOCRサービスもあるため、使用頻度に対して料金が見合うかも確認しましょう。

例えば、AI-OCRの場合は読み取った箇所、文字数、帳票の枚数によって料金が変動します。

月に500枚の帳票の読み取りで月額3万円の利用料がかかるサービスもあります。

自社と相性の良いOCRを選ぶためには、読み取る予定の書類や枚数を明確にした上で予算に合うサービスを選ぶことが大切です。

ベンダーのサポート内容に開発・運用が入っているか

OCRを利用する前にベンダーのサポートに開発・運用サポートが含まれているかを確認しておきましょう。

OCRを導入する場合、企業に合わせて設計・開発するサービスや自身で設計・運用するサービスがあります。

OCR技術に関する知識がある社員が在籍している場合は、自身で設計できるOCRを選びましょう。

OCRをはじめて導入する方は開発・運用を任せられるサービスを選ぶのが無難です。

また、OCR技術に関する知識がある社員が在籍している場合でもサービスごとに設計方法が異なる可能性があるため、設計・運用についてサポートしてもらえるベンダーを選んだ方が安心です。


手書き文字を読み取るOCRサービス8つを比較

ここからは手書き文字を読み取ることができるOCRサービス8つを紹介します。

選定基準は機能に「手書き文字の認識」があるものを選びました。サービス選定の参考にしてください。

AI-OCRらくスルー/関西ビジネスインフォメーション株式会社

AI-OCRらくスルー

  • 96%以上の認識精度を誇る手書き読み取り特化のOCRサービス
  • ドラッグ&ドロップで読み取りたい箇所を指定できる操作性が魅力
  • 初期費用なしで月額3万円から利用できる

初期費用

なし

料金プラン

・ライトプラン:3万円/月
・スタンダードプラン:9.98万円/月
・プレミアムプラン:20万円/月

導入企業

要問い合わせ

導入社数

要問い合わせ

こんな人におすすめ

■手書き文字の書類のみをデータ化したい
■手書きのアンケート書類を読み取り・集計したい
■帳票の仕訳業務を効率化したい

Tegaki/株式会社コージェントラボ

Tegaki

  • 独自のアルゴリズムを元に認識の難しい手書き文字でもデータ化できる手書き文字特化のOCRサービス
  • ひらがなやカタカナ、漢字や数字はもちろん、まるで囲まれた文字も認識可能
  • AIに他の言語を学習させれば海外のクライアントから送られてくる書類の読み取り・データ化が可能

初期費用

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料金プラン

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導入企業

C&Cビジネスサービス株式会社、朝日生命保険相互会社、特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール、トランスコスモス株式会社、ワタベウェディング株式会社など

導入社数

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こんな人におすすめ

■手書き文字の書類のみをデータ化したい
■手書きのアンケート書類を読み取り・集計したい
■他言語の読み取り・データ化を実施したい

DEEP READ/株式会社EduLab

DEEP READ

  • 金融・教育・官公庁など35,000件のテストデータを読み取っており、高精度な認識精度を誇るOCRサービス
  • 強固なセキュリティを完備。データ漏れの心配なく利用できる
  • カスタマイズ性が充実しており、アンケート用紙や答案用紙、申込書や診断書等のさまざまな書類に対応

初期費用

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料金プラン

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導入企業

要問い合わせ

導入社数

要問い合わせ

こんな人におすすめ

■手書き文字の書類のみをデータ化したい
■手書きのアンケートや診断書、答案用紙などさまざまな書類をデータ化したい
■英語の読み取り・データ化を実施したい
■API連携で既存システムと連携したい

AnyForm OCR/株式会社ハンモック

AnyForm OCR

  • 97.97%の認識精度を誇るOCRサービスで、固定の帳票から取引先のシステムで発行された帳票でも読み取ることが可能
  • マウス参照や明細自動演算処理など、実践的で使いやすい機能を搭載
  • 他製品と簡単に連携できる柔軟性が魅力

初期費用

要問い合わせ

料金プラン

要問い合わせ

導入企業

タキゲン製造株式会社、オタフクソース、株式会社イグアス、NDIソリューションズ株式会社、帝國製薬株式会社

導入社数

要問い合わせ

こんな人におすすめ

■取引先ごとに異なるレイアウトの帳票が送られてくる
■手書きから印字まで幅広いレイアウトの書類をデータ化したい
■とにかくデータ化業務を削減したい

CLOVA OCR/LINE株式会社

CLOVA OCR

  • 帳票から身分証、請求書やレシートなど、幅広い書類のデータ化が可能
  • 手書き文字はもちろん、縦書き文字、傾き文字、丸みのある文字などどんな文字でも認識しデータ化できる
  • CLOVA OCRと同サービスの「LINE eKYC」を使えば、身分証画像と自撮り画を送るだけで本人確認サービスも利用できる

初期費用

なし

料金プラン

・Template:55,000円/月〜
・General:55,000円/月〜
・特化型:88,000円/月〜

導入企業

ノシクミ株式会社、株式会社シスプラ、株式会社七和など

導入社数

要問い合わせ

こんな人におすすめ

■取引先ごとに異なるレイアウトの帳票が送られてくる
■手書きから印字まで幅広いレイアウトの書類をデータ化したい
■本人確認等の業務を自動化したい
■導入スピードを重視したい(最短2営業日で導入可能)

eas/株式会社うるるBPO

eas

  • AI-OCRと人力で99.98%の認識精度を誇るOCRサービス
  • 癖のある文字でもAI-OCRで認識可能。認識できずに誤字脱字が発生した場合は人の手によって確認・修正されるから精度が高い
  • 人力でデータ入力をする場合はサービス専用の入力システムで個人情報特定が不可能な形式で入力されるためセキュリティ面でも安心

初期費用

要問い合わせ

料金プラン

55,000円/月〜

導入企業

要問い合わせ

導入社数

要問い合わせ

こんな人におすすめ

■取引先ごとに異なるレイアウトの帳票が送られてくる
■手書きから印字まで幅広いレイアウトの書類をデータ化したい
■確認・修正業務も任せたい
■月によっては大量の帳票・書類をデータ化しなければならない業種・業界

AIRead/アライズイノベーション株式会社

AIRead

  • 自由記入形式の手書き文字やフォーマットの定まっていない書類をAIが読み取るべき箇所を見つけ出し、自動でデータ化してくれる
  • 書類の自動回転、傾き修正、色の強調や除去機能など幅広い機能を搭載しており、高精度のOCRが可能
  • 誤字脱字のあった文字はAIに学習させることができ、読み取り精度を向上できる。使えば使うほど高精度なOCRが可能

初期費用

22万円

料金プラン

・Sコース:11,000/月
・Mコース:33,000/月
・Lコース:55,000/月
※オンプレミス版(買い切り)は1,056,000円”

導入企業

株式会社山梨中央銀行、株式会社アドビュート、日本交通株式会社、セイコーエプソン株式会社、岡谷薄板販売株式会社、日本紙パルプ商事株式会社など

導入社数

要問い合わせ

こんな人におすすめ

■取引先ごとに異なるレイアウトの帳票が送られてくる
■手書きから印字まで幅広いレイアウトの書類をデータ化したい
■読み取りたい書類が固定で枚数が決まっている
■CSVでデータを抽出したい

DX Suite/AI inside株式会社

DX Suite

  • 手書き文字や印字、写真で取った書類まであらゆる文字をデータ化できるOCRサービス
  • 文字認識を邪魔する羅線があっても読み取り可能
  • APIシステム連携が可能であり、既存システムと連携すれば帳票受け取りからデータ化を自動化できる

初期費用

・DX Suite Lite:0円
・DX Suite Standard:200,000円
・DX SuitePro:200,000円

料金プラン

・DX Suite Lite:30,000円
・DX Suite Standard:100,000円
・DX SuitePro:200,000円

導入企業

近江八幡市役所、山九株式会社、JOHNAN株式会社、ケイティケイ株式会社、MS&AD事務サービス株式会社、SCSKサービスウェア株式会社など

導入社数

要問い合わせ

こんな人におすすめ

■取引先ごとに異なるレイアウトの帳票が送られてくる
■手書きから印字まで幅広いレイアウトの書類をデータ化したい
■既存システムとAPI連携できる


まとめ

この記事では、OCRの基礎知識から失敗しない自社にあった手書きOCRツールの選び方、おすすめツールを紹介しました。

OCRはサービスごとに得意、不得意があるため、OCRを導入する際には「手書き文字に対応しているか」は必ず確認しましょう。

具体的な選定ポイントは以下の通りです。

  • 読み取り精度が90%以上か
  • OCRツールで特化している機能が何か
  • 使用頻度に対して料金が見合うか

この記事では手書き文字のデータ化機能があるサービスを8つ紹介しているので、OCR導入時の参考にしてください。