RPAでできることは?事例、メリット・デメリットをわかりやすく解説

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「RPA(Robotic Process Automation)」は、単純業務を自動化できるツールです。

DX化が進む中、RPAを導入する企業が増えており、業務効率化の実現や長時間労働の削減に成功したという事例も増えています。

しかし、
「そもそもRPAで何ができるのか」
「どんなメリット・デメリットがあるのか」
「RPAでは対応できない業務もあるのか」

とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、RPAができることやできないことの具体的な内容、業界ごとの成功事例、導入に踏み切る際に押さえておきたいメリットやデメリットを詳しく解説します。

通常業務の負担を軽減したい、今よりも生産性を上げるためにRPA導入を検討したい、その際に必要なヒントをお伝えします。

目次


RPAでできることと具体的な業務例

RPAができることは、PC上で行うマウスやキーボードの操作を自動化することです。

大きく以下の3つに分けられます。

  • 作業手順が決まっている業務
  • 電話履歴・メールのサポート業務
  • データの収集・分析業務

以下の表で、RPAでできることと具体的な業務例をまとめました。

RPAでできること具体的な業務例
作業手順が決まっている業務・請求書や経理の処理
・勤怠管理
電話履歴管理・メールのサポート業務・問い合わせ対応
・メール配信
データの収集・分析業務・顧客情報のシステム登録
・在庫管理
・日時レポート作成
・競合他社の調査
・SNS上の口コミ収集

RPAでできる業務について一つひとつ説明します。

RPAの仕組みについて確認しておきたい方は、こちらの記事をご参照ください。

参考:RPAとは?いまさら聞けないRPAの仕組みと、3つの導入メリット|LISKUL

作業手順が決まっている業務

RPAができるのは、作業手順が決まっている業務を自動化することです。

具体的にはどのようなものがあるのか、代表的な4つの業務をもとに解説いたします。

請求書や経費の処理

請求処理や経理処理など、手順が決まっているが対応量が多くて負担になりがちな業務は、RPAでの自動化に向いていると言えます。

RPAは請求書に限らず、契約書や見積書などさまざまな文書を自動で発行することができます。

また、請求情報と実際の入金情報と照合して確認できたものを消し込み、未入金のものをリスト化するといった作業も自動化が可能です。

勤怠管理

毎月発生する従業員の勤務時間の集計や、累計残業時間の確認などもRPAで自動化できます。

さらに、集計データに基づいた給与計算、振り込み、明細書の発行もRPAで可能です。

電話履歴管理・メールのサポート業務

会社あてにかかってきた電話履歴の管理やメール配信も、RPAを活用すれば効率化が可能です。

問い合わせ対応

コールセンターや営業部門にかかってきた電話履歴の管理も、RPAを活用すれば効率化が可能です。

多くの場合、顧客管理ツールに履歴を記載して管理しますが「かかってきた電話番号から顧客データを参照」などのフローは自動化できます。

同時に業務管理システムへの転記や各部門の担当者に通知も行えるため、業務を効率化させることができます。

メール配信

あらかじめ決まった内容のメール配信も自動で行うことができます。

例えば、会社説明会や採用面接などでは、イベント日時の告知やリマインドなどメール内容がある程度決まっています。

実施日時の告知、参加者への連絡、対象者へのリスト抽出など手作業で行う業務をRPAで自動化すれば、業務負担の軽減が可能です。

また、ホームページの問い合わせフォームからのメールに対しても、あらかじめメール返信内容の設定を行うことで、自動返信が可能です。

連絡もれなど人的ミスの防止も期待できます。

データの収集・分析業務

RPAは、データの収集・分析業務にも活用できます。

一定の時間がかかるデータの収集や分析にも、RPAを活用すれば自動処理できるため時間短縮ができます。

具体的に見ていきましょう。

顧客情報のシステム登録

RPAを活用すれば、専用フォームに顧客情報を一度入力するだけで、エクセルや会計ソフトなど他の情報を自動で一元化してくれます。

社内で使用している顧客情報は、エクセルや会計ソフト、業務管理アプリなど複数に渡る場合が多く、これらは、同じ内容を繰り返して入力するため、労力がかかります。

コピペミスや見落とし、誤入力といったミスが生じる可能性もあり、防ぐためには複数人でチェックを行う必要があるからです。

しかし、RPAであらかじめ設定しておけば、専用フォームに顧客情報を一度入力するだけで、RPAが自動で顧客情報を登録してくれます。

これによって、業務の人的ミスを防ぐこともできます。

また、得意先や見込み顧客の企業名からオフィシャルサイトにアクセスし、必要な情報を自動的に取得できます。

問い合わせを受けたと同時に会社のデータを取得し、問い合わせ内容に詳細情報を添えて担当者に提示するといった使い方も可能です。

在庫管理

RPAを活用すれば、あらかじめ設定しておいた時刻の在庫数や出荷予定数などの情報を営業担当者に自動でメール送信することができます。

営業担当は自宅でもどこからでも自社商品の在庫状況を把握できるので、在庫切れで販売機会の喪失を予防できます。

日次レポート作成

ECサイトや広告媒体の管理画面からあらかじめ設定しておいた情報を取得し、定型レポートを作成することが可能です。

具体的には、ECサイトの場合、売り上げ向上の施策を練るためには、日々のサイトの閲覧数や販売数、費用対効果など定量データを収集した上で、分析する必要があります。

データ収集作業を毎日行うのは大変な労力です。

しかし、毎朝始業前に自動的にデータ収集するよう設定しておけば、工数削減が可能です。

始業と同時にレポートを確認できるだけではなく、考察が必要な分析や戦略立案などスピーディーに対応することができます。

競合他社の調査

RPAを使えば、競合他社の調査を行い、自動的にデータにまとめることも可能です。

具体的には、マーケティング活動の一環として自社商品や競合のサービスを調査するといった場合です。

公式サイトやECサイトから競合商品の価格などデータを抽出し、エクセルの表にしてまとめることができます。

SNS上の口コミ収集

SNS上の口コミ情報も自動的に収集することができます。

担当者が自社や商品・サービスに対してどのような口コミやコメントがあるのかを、毎日チェックをするのは手間も時間もかかります。

これらを定期的に自動収集し、エクセルにデータでまとめることが可能です。

また、ポジティブな評価とネガティブな評価に分けて集積することもできるので、商品認知度や好感度調査のデータ分析に活用できます。

参考:【2022年最新】RPAツール比較17選!プロが教える絶対に失敗しない選び方 | LISKUL


RPAでできないこと

たくさんのことができるRPAですが、一方でRPAは、ルールが定まっていない業務の処理ができません。

大きく以下の2つが該当します。

  • 自ら考えること
  • ルール変更・複雑な処理

これらの具体的な事例についても以下にまとめました。

RPAでできないこと具体的な事例
自ら考えること顧客データ入力の際、電話番号入力欄に氏名のデータが誤入力されているとエラーとなる
ルール変更・複雑な処理製品仕様変更等、作業環境が変化した場合は機能しない

RPAでは対応できない業務について一つひとつ説明します。

自ら考えること

RPAは、決まった手順に従って業務を行うことは得意な一方、自ら考えて行う業務は不得意です。

「条件分岐」処理を使って、条件によって対応を変更させることは可能ですが、そのプログラムに組み込めないようなイレギュラーの業務は対応できない場合が多いです。

例えば、顧客データを入力する場合に、電話番号を入力する欄に氏名のデータが誤って入力されていたなど、決められたルールと違うイレギュラーな事象が発生した際に、エラーが起きてしまいます。

人間が入力する場合は、電話番号を入力する欄に間違ったデータが入っていればその欄を「要確認」などとして、関係部署に連絡する必要があると考えることができます。

しかしRPAは、人間のような思考を持って判断したり、ゼロから新しいものを創造したりといったことはできません。

あらかじめ、人にしかできない思考や判断を伴う複雑な作業と、自動化できる作業を切り分けて業務を整理するとよいです。

ルール変更・複雑な処理

ルール変更や、複雑な処理が定期的に発生する場合も適応が難しいです。

例えば、以下のような場合にエラーが起きてしまいます。

  • ブラウザやアプリケーションのバージョンアップによる操作対象の製品仕様変更した場合
  • 操作対象のWebサイトの更新により、ボタンの位置が変わったりレイアウトの変更が起こったりした場合

これらを回避するためには、イレギュラーな事象が発生した際にどうすべきかの手順やルールをあらかじめ設定しておくとよいです。

例えば、仕様変更が発生した場合にはまず情報システム部と連携を取る、あるいは新しいルールに沿って新たなロボットを作成するなどの方法を検討するといった方法が挙げられます。

しかし、ルール変更が多く、複雑な業務だからといってRPAが適応できないというわけではありません。

業務を細かく作業単位に分類することで、RPAによる自動化ができる場合があるため、まずは業務フローを見直してみるのがおすすめです。


RPAの活用事例8つ

ここからは、具体的にRPAをどのように業務に活用しているのか、業界別に8つの事例を紹介します。

各業界ならではの課題や活用の背景、効果をまとめました。

さらに多くの事例を知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

参考:RPAの事例・業界別20選!業界別の活用事例でできることを徹底理解|LISKUL

人事労務:三井住友トラストクラブ株式会社

  • 課題:月に1500件ほどの公文書のダウンロードをする必要があり、月に150時間の業務工数がかかっていた
  • 効果:PRA導入後は作業時間を月30時間ほどに削減。処理業務でストレスを抱えて退職するパート職員は0に

あすか社会保険労務士法人は公文書のダウンロードを効率化するべく、RPAの導入を行いました。

結果、公文書のダウンロードにかかっていた150時間の業務は、30時間まで削減することに成功しました。

以前はパートスタッフを3人雇って公文書のダウンロード業務を依頼していましたが、業務の煩わしさから、パート同士が業務を押し付け合っており、それが原因でパートスタッフの離職も多かったと言います。

そこでPRAを導入し、業務が始まる前に公文書を全てダウンロードできるようロボットを構築しました。

その結果、150時間かかっていた公文書のダウンロードを30時間まで減らすことに成功しました。

参考:あすか社会保険労務士法人 – RPA – Robo-Pat(ロボパット)

保険業界:家庭保険サービス株式会社

  • 課題:DX化の推進
  • 効果:100件以上のデータ処理自動化を実現

家庭保険サービス株式会社では「DX化の推進」を行うために、PRAの導入を行いました。

過去にPRAツールを導入していましたが、操作性の難しさで挫折を経験している同社。ロボパットの無料トライアルで試用した際の「使いやすさ」が決め手となり、RPAを再度導入。

とくに大きく効果が出たのは、保険が満期となった顧客に関するデータ入力です。

顧客ごとに管理された番号を入力する必要があり、件数も多くなるため、人の手だとミスが多くなる作業をPRAに任せることで効率化を図るだけでなく、従業員に対する作業負荷や心理的不安の軽減につながっています。

参考:家庭保険サービス株式会社 – RPA – Robo-Pat(ロボパット)

不動産業界:野村不動産パートナーズ

  • 課題:毎日届くメール内容の印刷自動化、物件情報などの自動データ入力化
  • 効果:年間1万時間の工数削減

野村不動産パートナーズでは、もともと自社で使っている基幹システムと、クライアントが使っているシステムは違うため、毎回双方のシステムに手動で入力する必要がありました。

Excelの情報を2つのシステムに入力し、チェック担当者が入力内容を確認するという工程です。

1件約15分かかる作業が1日約30件あり、合計で約7.5時間かかっていました。

そこでRPAを導入し、契約用や契約解約用、情報更新処理用などにわけて自動化。

現在、担当者は重要項目をチェックするだけでよくなり、かかる時間は1件あたり約5分に短縮。合計で2.5時間で一連の作業を完了できるようになりました。

結果、年間1万時間の工数削減と時間の短縮に繋がりました。

参考:野村不動産パートナーズ株式会社|導入事例|現場が自身で業務最適化するRPA「ロボパットDX」|RPA-Robo Pat DX

税理士:税理士法人ASC

  • 課題:市販の税務ソフトと同じ働きをするロボットを作りたい
  • 効果:RPAで単純作業を自動化し、1ヶ月に10万円、時間にすると80時間の削減に成功

税理士法人ASCでは、「市販の税務ソフトと同じ働きをするロボットを作りたい」という目標を達成すべくPRAを導入。

結果、1ヶ月で10万円ほどの人件費削減、時間にすると1ヶ月80時間の削減に成功しました。

税理士には細かく工程の多い業務がたくさんあり、一つ一つの業務に対して正確性が求められる業種でもあります。

これまでは手動で作業をしていたため、時間をかけて書類の処理や顧客情報の管理、データの入力を行っていましたが、ロボットに任せられる単純作業をRPAで行うことにより、人件費や業務時間の削減に成功しています。

参考:税理士法人ASC/株式会社エーエスシー – RPA – Robo-Pat(ロボパット)
   RPAの事例・業界別20​​選!業界​​別の活用事例でできることを徹底理解 | LISKUL

小売業界:アイズコーポレーション

  • 課題:出荷報告の遅延の解消、遅延率を下げるための残業を減らし業務効率化
  • 効果:年間949時間の工数削減

インテリア商品のEC事業を行う株式会社アイズコーポレーションの課題は、販売機会の損失にも繋がる出荷報告の遅延をなくすことと、残業の削減により、総合的に業務を効率化することでした。

商品の販売ページで「当日出荷・翌日配送」の表記をしている商品は、注文を受けた当日に各モールに対して出荷報告をしなければショップの評価が下がり、販売機会損失に繋がります。

また、送状番号の伝達が夜になり出荷報告が翌日になってしまうこともありました。

そこで遅延率を下げ、外部倉庫の出荷が終わるまで残業するといった担当者の負担をなくすため、稼働時間を制限せず稼働させられるRPAを導入しました。

倉庫の管理画面から送り状データをDL、加工し、自社基幹システムにデータを取り込む一連の作業を自動化することにより、出荷遅延率が改善し顧客満足度も向上しました。

各ショップの店長が毎朝チェックする売上やアクセス・転換率のデータも自動的に抽出できるようになり、年間で949時間の削減を実現しました。

参考:株式会社アイズコーポレーション – RPA – Robo-Pat(ロボパット)

衣料品・家具小売業:株式会社きのした

  • 課題:定型業務を効率化したい
  • 効果:1日で終わらなかった提携業務が午前中には完了できるよう改善

衣料品と家具を販売する株式会社きのしたでは、工数のかかる定型業務を削減すべく、RPAを導入しました。

結果、1日では終わらなかった定型業務が午前中には完了できるように業務を改善できました。

同社では在庫をシステムにアップロードする作業と記帳や転記の作業に1日のほとんどの時間をかけていました。

また、すべて手作業で行っていたため、人的ミスも発生。数字の入力を間違えると修正業務に丸2日かかることもあったそうです。

RPAの導入後は定型業務の工数削減だけでなく、人的ミスを未然に防ぐことに成功しています。

参考:株式会社きのした – RPA – Robo-Pat(ロボパット)

食料品及び日用雑貨品等の小売販売:株式会社光洋

  • 課題:DX化に向けて実践的に色々取り組みたい
  • 効果:PRAを導入し、月間420時間の削減に成功

スーパーマーケット運営会社の「株式会社光洋」では、DX化に向けた取り組みを行う中で、店舗部長から「RPAを試してみたい」という声を反映し、RPAを導入しました。

結果、複数のロボットを作成し、商品の発注予測や店舗の発注状況の管理等を自動化し、月間420時間もの業務時間削減に成功しました。

同社ではもともとExcelを利用して発注業務等の自動化を行っていましたが、展開している全店舗用のエクセル作成には時間がかかるため、一部店舗ではDX化が進んでいませんでした。

そこでRPAを導入し、元々Excelで管理していた業務をロボットに置き換えることで業務工数を削減。月間で420時間もの業務時間を削減することに成功しました。

現在はRPAで削減できた時間を「人にしかできない仕事」にあて、機会創出や新商品の発見などの属人性の高い業務に集中させています。

参考:株式会社光洋 – RPA – Robo-Pat(ロボパット)

観光業界:WILLER 株式会社

  • 課題:生産性を向上させたい
  • 効果:ノンコア業務をRPAに任せることで月に231時間の削減に成功

移動ソリューションを提供する「WILLER 株式会社」では、日本全国のフェリーやタクシー、鉄道やホテルといったツアーの予約・決済ができる移動ポータルサイト「WILLER TRAVEL」を展開しています。

同社は生産性向上のためにノンコア業務を自動化したいと考えており、RPAを導入。

結果、手動で行っていたノンコア業務の自動化に成功し、月に231時間の削減に成功しました。

RPAで自動化した業務の中で最も効果があったのは「Webサイトに掲載されている商品の販売停止業務」です。

フェリー商品の販売を行う同社では、管理システム上から予約受付期限を迎えると自動で予約がストップされる仕組みを作っており、その期間中にユーザーからの予約があった場合、各船会社に送信する作業を行っていました。

予約情報の送付に誤りがないかを確認するため、ダブルチェックを行う必要があり、作業完了までに40分以上の時間がかかっていました。

そこでRPAを導入し、手動で行っていた業務を自動化。人がかける時間は0になり、月に231時間の業務工数の削減に成功しました。

参考:WILLER 株式会社 – RPA – Robo-Pat(ロボパット)
   RPAの事例・業界別20選!業界別の活用事例でできることを徹底理解 | LISKUL


押さえておくべきRPAのメリットとデメリット

RPAにもできる業務と、できない業務があることがお分かりいただけたと思います。

ここからは、RPA導入に踏み切る前に、あらかじめ押さえておきたいメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

メリット

RPAを導入するメリットは、生産性が向上することです。

主に以下が挙げられますので、順に説明していきます。

  • 工数削減できる
  • 長時間労働を防げる
  • より創造的な業務に集中できる

工数削減できる

RPAをうまく活用すれば時間のかかる手作業を自動化し、工数削減が可能になります。

手作業で生じてしまう人的ミスを防止し、スピーディーな処理もできるようになります。

長時間労働を防げる

工数を削減できるため、長時間労働の改善にも繋がります。

結果的に社内の労働環境改善が可能になりますし、人件費の抑制にも効果的です。

より創造的な業務に集中できる

面倒な定型業務を自動化することで、人にしかできない創造的な業務に集中できるようになります。

より複雑な判断や思考力が求められる業務や、集まったデータから分析を行ったり戦略を立案したりといった企画業務にリソースを活用できることは、従業員にとってもメリットになります。

参考:RPAとは?いまさら聞けないRPAの仕組みと、3つの導入メリット|LISKUL

デメリット

さまざまなメリットのあるRPAですが、デメリットも存在します。

  • 費用対効果が高いとは限らない
  • 作成者が増えないと自動化が止まる可能性がある
  • 接続のシステムの仕様が変わると修正が必要になる

対応策も合わせて説明します。

費用対効果が高いとは限らない

社内の状況や課題を精査できていないと、費用対効果が高いとは言い切れません。

RPAツールを導入する時には、それなりのコストがかかります。

ツールの導入費用の相場として年間数十万円はかかるだけでなく、ツールの選定や業務の洗い出しや導入にあたっての時間的なコスト、人材育成の教育コストも考える必要があります。

業務の洗い出しをやってみたけれど、自動化できる業務がそもそも少ないといった場合は、思った効果を得られない可能性もあります。

導入にあたっては、​現状の課題や自動化したい業務を明確にしたうえで、どのような作業があり、どれくらいの工数・時間・人件費がかかるかを算出するなど​十分精査する必要があります。

また、課題の洗い出しやさまざまなツールの検討などを行うためには、プロに相談するのも一つの方法です。

参考:【2022年最新】RPAツール比較17選!プロが教える絶対に失敗しない選び方|LISKUL

作成者が増えないと自動化が止まる可能性がある

社内でRPAの作成者が限られてしまうと、業務が改善されずに自動化が終わってしまう可能性があります。

できるだけ多くの業務を効率化したいのであれば、その分RPAの作成に関わる人が必要です。

業務のプロセスを確認したり、試しにRPAを設定して課題・改善点を洗い出したりするためには、複数のメンバーの協力が要ります。

しかし、RPAの作成が一部のメンバーに限定されてしまえば、ほか業務への展開することが難しくなり、想定していた成果が得られなくなる可能性もあります。

効率化したい業務が多ければ、社内でRPAの作成に協力してもらえるメンバーを確保しましょう。

接続のシステムの仕様が変わると修正が必要になる

アップデートなどによってシステムの仕様が変更された場合、RPAの修正が必要です。

システムの仕様変更によって起こるエラーは、当初設定されていた指示と変更後の指示と異なるため発生します。

このようなエラー時は、開発者に修正依頼をしても完了までに時間がかかってしまうため、その間に作業がストップしてしまいます。

できるだけ業務をストップさせないようにするためには、社内の担当者だけで修正できるようにするのがおすすめです。

RPAによっては専門的な知識がなくても操作がしやすいツールがあるため、エラーが起きたときのことも考えて操作性が簡単なものを選びましょう。


RPAに関するよくあるご質問

RPAの導入を検討中の方に役立つQ&Aをまとめています。

Q.RPAを導入する際のトレーニングはどのように行いますか?

A.RPAの導入には、使用するツールの操作方法やワークフローの設計方法を学ぶトレーニングが必要です。専門企業から提供されているトレーニングプログラムなどが効果的です。

Q.RPA導入による業務効率化の測定方法は?

A.RPA導入後の効果を測定するには、業務処理時間の短縮率、エラー発生率の低減、コスト削減効果などのKPIを設定し、定期的にモニタリングすることが重要です。

Q.RPA導入時に考慮すべきセキュリティ対策は?

A.RPAがアクセスするデータやシステムは、適切なセキュリティ対策が求められます。アクセス権限の管理や、データ暗号化、ログ管理を行い、セキュリティリスクを最小限に抑えることが必要です。

Q.RPAの導入が業務プロセスに与える影響は?

A.RPAを導入することで、業務プロセスが再設計されることが多く、業務フローの見直しが必要となります。これにより、業務の効率化が進む一方で、従業員の役割や業務内容も変化する可能性があります。

Q.RPA導入における従業員の不安を解消する方法は?

A.RPA導入に伴う従業員の不安を解消するためには、導入目的やメリットを明確に説明し、トレーニングを提供して新たなスキルを習得させることが重要です。また、RPAが従業員をサポートするツールであることを強調することが有効です。


まとめ

RPAができることは、「PC上で行うマウスやキーボードの操作を自動化すること」です。

具体的には請求書の処理や勤怠管理などの手順が決められた業務や、電話・メールのサポート業務、データの収集・分析業務が該当します。

一方、RPAは人間のように、自ら考えたり判断したりするような複雑な業務は対応が難しい場合があります。

「条件分岐」などの機能を使うことで、人が判断したような動きを取ることができますが、想定できないイレギュラーな業務は適応が難しいです。

以下にRPAの特徴をまとめて一覧にしました。

RPAでできること RPAでできないこと
・作業手順が決まっている業務
・電話履歴管理・メールのサポート業務
・データの収集・分析業務
・自ら考えること
・ルール変更・複雑な処理

実際にRPAを活用した企業事例も幅広い業界において多数存在しているので、自社と似た課題があればぜひ参考にしてみてください。

導入を検討するにあたって押さえておきたいメリットとしては、一言で言うと「生産性向上」ですが、接続のシステムの仕様が変わると修正が必要になる場合があるので、その点は注意が必要です。

RPAで全ての業務が自動化できるわけではないことに注意し、適切な業務整理を行ってください。

自社の業務の中でどの業務がRPAで解決できるか、できないかを検討するために、まずは業務の洗い出しを行うと良いでしょう。