ユーザーコミュニティとは?立ち上げ方や成功させるためのポイント

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「ユーザーの声をもっと知りたい」
「ユーザー同士で交流できる場を作りたい」

ユーザーの声をもっとマーケティングや商品開発に活かしていきたいと考えている、プロダクトマネージャーやマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。

ユーザーコミュニティは、サービスのユーザーが集まってノウハウを共有したり、悩みを解決しあったりする場です。
ユーザーコミュニティを通じ、ユーザーのサービスの利用やロイヤリティが高まるだけでなく、そこで挙がった意見を商品の開発へと活かしている企業もあります。

本記事では、ユーザーコミュニティのメリット・デメリットや成功事例、作り方、成功させるコツを紹介します。

ユーザーコミュニティの基本的な作り方をおさえて、自社サービスのユーザーコミュニティ構築に活かしてください。


ユーザーコミュニティとは

ユーザーコミュニティはサービスのユーザーが集まる場であり、サービスのノウハウを共有し合ったり、疑問や質問をしてそれをユーザー同士で解決したりします。
あるいはユーザーと企業間でのやり取りも発生します。

具体的には、オフラインでのイベントや、サイトの掲示板、FacebookなどのSNS、ブログ、オンラインサロンなどさまざまな場所があります。

ユーザーコミュニティを通じて得たユーザーの声をもとに行うマーケティングをコミュニティマーケティングといいます。

参考:コミュニティマーケティングとは?手法や成功のポイントを分かりやすく解説

ユーザーコミュニティを通じて商品やサービスが口コミで広がれば、商品の認知度アップも期待できます。

ネットやSNSが普及した現在、匿名の相手とコミュニケーションをとることへの抵抗は少なくなっています。
また、特にサブスクリプションモデルのSaaS事業においてはユーザーのチャーン(解約)を減らすことが最重要であるため、ユーザーのサービス利用を促進するコミュニティマーケティングがより重要になっています。

このような背景もあり、多くの企業からユーザーコミュニティが注目されるようになりました。


ユーザーコミュニティのメリット

ユーザーコミュニティのメリットは、主に以下の3つです。

  • ユーザーの生の声を聞くことでニーズや不満を把握できる
  • ユーザーサポートの負担を軽減できる

メリット1.熱狂的なファンを育てられる

ユーザーコミュニティの1つ目のメリットは「熱狂的なファンを育てられること」です。

企業が顧客と接点を持ったり、意見や要望を商品に反映したりすることで、顧客に「意見を採用してくれる」「ユーザーとの距離が近い」といったポジティブな印象を与えられます。

その結果、企業やサービスの熱心なファンを育成でき、顧客ロイヤリティの向上につながります。

顧客ロイヤリティが高まれば、継続的な商品の購入や顧客単価アップなど、さまざまなメリットが生まれます。周囲の人にサービスを勧めてくれることで、ユーザーが増える効果も期待できます。

顧客ロイヤルティの詳細を知りたい人は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
参考:顧客ロイヤリティとは何か?高めるための具体的な方法や事例も紹介

メリット2.ユーザーの生の声を聞くことでニーズや不満を把握できる

ユーザーコミュニティの2つ目のメリットは「ユーザーの生の声を聞くことでニーズや不満を把握できること」です。

従来はユーザーアンケートや調査を通じてユーザーの声を集める必要がありましたが、ユーザーコミュニティを通じて低コストかつ簡単にユーザーの不満点や課題を知ることができます。

そうして把握したユーザーの抱える課題やニーズを商品に反映することで、商品の開発・改善につながります。

また頻出の質問をFAQにまとめることで、既存のユーザーだけでなく、購入を検討しているユーザーの疑問点も解消できます。

このように、ユーザーコミュニティを通じて得たユーザーの生の声を、商品開発やマーケティングなどさまざまな分野に活かすことができます。
  

メリット3.ユーザーサポートの負担を軽減できる

ユーザーコミュニティの3つ目のメリットは「ユーザーサポートの負担を軽減できること」です。

ユーザーコミュニティがあることで、顧客同士でコミュニケーションをとり、疑問点を解消してくれます。
また、過去の質問やそのやり取りを検索することで、ユーザーがサポートに相談せずとも自分自身で解決することが可能になります。

それにより、顧客からのお問い合わせ数が減少し、社内のサポートの負担やCSコストを軽減できます。

例えばGoogleでは、Google検索やGoogle広告など各プロダクトごとにコミュニティサイトが存在しており、そこでユーザー同士で疑問点を解消し合っています。Googleにはプロダクトエキスパートといわれるヘビーユーザーがおり、難しい質問でも彼らが解決してくれています。

このようにユーザーコミュニティ内で疑問点を解消してくれることで、社内のサポートの負担が減れば、その分別の業務にリソースを集中できたり、一つのお問い合わせにより多く時間をかけて丁寧に行えるようになります。
結果として、顧客ロイヤリティの向上にもつながるでしょう。


ユーザーコミュニティのデメリット

ユーザーコミュニティのデメリットは、以下の3つです。

  • 効果が出るまでに時間が掛かる
  • 効果の可視化が難しい
  • ユーザートラブルのリスクがある

デメリット1.効果が出るまでに時間が掛かる

ユーザーコミュニティの1つ目のデメリットは「効果が出るまでに時間が掛かること」です。

ユーザーコミュニティを活用すれば、顧客ニーズに沿った商品の改善や顧客ロイヤリティの上昇といったメリットがありますが、軌道に乗せるためには一定の時間を要します。

例えば2,3ヶ月に一度勉強会などのイベントを開催するとしても、年に開催できるのは数回です。
そのイベントも、ミートアップや数十人程度の小規模イベントから始めることになるので、最初の1年間にコミュニティに参加してくれる人は、せいぜい数百人くらいでしょう。

その限られたメンバーから、製品に対する熱が徐々に波及していくのがコミュニティマーケティングの強みですが、やはりそれにはどうしても時間が掛かります。
手っ取り早く顕在化しているユーザーを獲得できる広告とは、全く違ったアプローチ方法であることを理解する必要があります。

ユーザーコミュニティを行う目的を明確にしつつ、どのようなメリットがあるか、軌道に乗せるためには時間がかかることを経営陣に伝えて理解してもらうことが大切です。

デメリット2.効果の可視化が難しい

ユーザーコミュニティの2つ目のデメリットは「効果の可視化が難しいこと」です。

Web広告のように効果が可視化しやすい施策とは違い、ユーザーコミュニティがどれだけ売上に貢献しているかを可視化するのは非常に難しいです。
コミュニティのユーザーが周囲の人にどれだけ宣伝効果をもたらしたのかを可視化するのは、工数的にも技術的にも不可能と言っていいと思います。

またユーザーコミュニティを作るには、新たにサイトを立ち上げたり、コミュニティの管理・維持の工数など、さまざまな面でコストが発生します。

コミュニティ内の人数やコミュニティ自体が増加すれば、対応するスタッフの増員やシステムの導入を検討する必要があり、その分のコストもかかります。

無理にコスト削減を図ると、対応が遅れたり、サポートできない部分が発生したりする恐れがあります。その結果、ユーザーが企業に不信感を覚え、顧客ロイヤリティが低下するケースも起こりえます。

目標を明確にし、それに対しどの程度のコストがかかるのかを計算したうえで、ユーザーコミュニティを立ち上げる必要があります。

デメリット3.ユーザートラブルのリスクがある

ユーザーコミュニティの3つ目のデメリットは「ユーザートラブルのリスクがあること」です。

ユーザーコミュニティは、ユーザーであれば基本的に誰でも自由に参加できます。

コミュニティに参加した人の中には、製品やサービスに対してネガティブな印象を抱いているユーザーもいるでしょう。そのため、ユーザー同士で意見がぶつかってしまい、コミュニティ内で思わぬ炎上やトラブルが起きる恐れがあります。

トラブルを未然に防ぐためにも、あらかじめユーザーコミュニティ内のルールを決めておくようにしましょう。

オンラインコミュニティのよくあるトラブルとその対処法については、こちらで詳しく解説しています。
参考:オンラインコミュニティとは?種類やおすすめのプラットフォームを紹介


ユーザーコミュニティの成功事例

ユーザーコミュニティの成功事例を3つご紹介します。

ヒット商品やロングセラー商品を生み出した「良品計画」

無印良品でお馴染みの「良品計画」は、2000年代に顧客ニーズに沿った商品を提供できなかったことやブランド力の低下などが原因で、経営業績が悪化していました。

業績の回復を目指した良品計画は、顧客が求める商品の開発と改善をおこなうために、Webサイト「ものづくりコミュニティ(現IDEA PARK)」を開設しました。

ものづくりコミュニティは、ユーザーが商品アイデアを投稿し、投稿されたアイデアに投票ができるサイトです。良品計画は、投票の多かったアイデアの商品化プロジェクトを立ち上げて、プロジェクトの進捗状況をユーザーに伝えます。

そして、プロジェクト中に一定数の購入予約者が募ったタイミングで、商品化する仕組みとなっています。

ものづくりコミュニティを活用したことで、数々のヒット商品やロングセラー商品を生み出し、良品計画は顧客ニーズに沿った商品の開発に成功しました。

その結果、良品計画の業績はV字回復。2007年には、売上高が1,620億円、経常利益が186億円となりました。

参考:無印良品を展開する良品計画のマーケティング3.0|株式会社クリエイションコンサルティング

ユーザー同士の課題解決の場を作った「Salesforce」

Salesforceは、ユーザーコミュニティサイト「Trailblazer Community」を運営しています。世界中のユーザーと交流できる「オンラインコミュニティ」と、特定のユーザーと交流できる「オフラインコミュニティ」の2種類が用意されています。

これらのコミュニティで質問やノウハウを共有したり、ビジネスに役立つコンテンツを定期的に投稿したりできます。

Salesforceに関する疑問点や業務の課題解決方法をTrailblazer Communityに投稿することで、ユーザー間で課題解決を行われます。投稿された内容と回答はいつでも検索できるため、Q&Aの役割も担っています。

それにより、Salesforceは最高のパフォーマンスを発揮し、顧客ロイヤリティの向上に成功。今では、世界最大シェア数を誇る顧客管理ソフトウェアとなりました。また、社内のサポートの負担やCSコストの軽減も実現しています。

参考:【超・実践編】Salesforce 坂内本部長に聞くユーザーコミュニティの立ち上げから継承まで|MarkeZine

オフラインのイベントを成功させた「スノーピーク」

アウトドア製品の開発・販売を行っている「スノーピーク」では、全国のキャンプ場で「Snow Peak Way」を行っています。

Snow Peak Wayとは、スノーピークとユーザーが、そしてユーザー同士でつながれるオフラインのミートアップイベントです。Snow Peak Wayを通じて、ユーザーの生の声を引き出したりユーザーとの関係性をより良くしたりしています。

このイベントにより、スノーピークは顧客ニーズに沿った商品の開発に活かせ、顧客ロイヤリティも向上しました。
また他のユーザーが利用しているスノーピーク商品の宣伝にもなり、商品購入意欲の促進につながっています。

1998年に開始してから徐々に参加者も増えて、20年以上続く人気イベントになっています。

参考:ユーザーが求めているのは「人との関わり」―スノーピークに学ぶ、コミュニティの本質|FLOAT


ユーザーコミュニティの作り方

ユーザーコミュニティを作る場合は、以下の手順で進めましょう。

  1. コミュニティの目的やコンセプトを決める
  2. ターゲットを設定する
  3. コミュニティサイトを作る

1.コミュニティの目的やコンセプトを決める

まずは、ユーザーコミュニティを作る目的やコミュニティのコンセプトを定めます。

なんのためにコミュニティを運営するのか。どういう人たちに集まってほしいのか。将来的にどういうコミュニティにしたいのか。

そうしたことを社内で話し合ったり、最初にコミュニティに参加してくれそうな熱意のあるユーザーにヒアリングをして、方向性を定めていきます。

日本を代表するユーザーコミュニティである、Amazon Web Services(AWS)のユーザーコミュニティ「JAWS-UG」は、立ち上げ時にAWSに関する情報が日本語でほとんど出回っていなかったことから、AWSをもっとうまく活用したいと考えていた人たちが集まって始まりました。

JAWS-UGでは規模が拡大するにつれ、AWSに限らずクラウド全般について話し合いたいという声も出てきましたが、あくまでAWSについては話す場として、それ以外のテーマはJAWS-UG外でやり取りすることにしています。

参考:JAWS-UGとは|JAWS-UG

そうした共通項があるからこそ、コミュニティの方向性がぶれることなく長く続くコミュニティになっていきます。
共通の関心軸があるからこそ、同じ関心軸を持った人たちが集まってきますし、ユーザー間のやり取りが活発になるのです。

2.ターゲットを設定する

次に、コミュニティに参加してほしいユーザーターゲットを設定します。

これは実際には1のコンセプトとセットで考えるべき内容です。

例えば1で例に挙げたJAWS-UGの場合は、AWSをもっとうまく使いたいと思っている人、AWSに関する情報を積極的に手に入れたいと思っている人になります。

ターゲットを考える際には、サービスを普段からよく使ってくれていて愛着を持ってくれている熱心なファンに協力してもらうのが良いでしょう。
というより彼らこそがコミュニティに参加してもらうべき一番のユーザーです。

彼らにヒアリングをし、どういう年齢や性別で、どういう風にサービスを利用しているのか、共通点を見つけていきましょう。

3.コミュニティサイトを作る

目的やターゲットが決まったら、実際にコミュニティを立ち上げます。

コミュニティを構築する要素としては、大きく「イベント」と「コンテンツ」の2つに分かれます。

イベントには小規模で参加者同士で交流をするミートアップや、登壇者が特定のテーマについて話すトークセッション、チームに分かれて共通の目的に対し協力し合って作業するワークショップなどさまざま存在します。

またイベントの内容を対外的に発信したり、普段ユーザー同士でやり取りしあう場としてのコンテンツも必要になります。

例えば先ほどご紹介した無印良品のIDEA PARKであったり、各種Facebookグループがそれにあたります。

こうしたコミュニティサイトを作り始める際は、自社と似たようなコミュニティサイトがあるかどうかを確認しておきましょう。

他社のコミュニティサイトがあれば、良い部分を取り入れつつ、他社との差別化を図りやすくなります。また、デザインやUIなどの類似率の高さによって生じる顧客ロイヤリティの低下も未然に防げます。

コミュニティサイトを作る方法は、大きく以下の2つに分かれます。

  • 自社サイトを構築する
  • 既存サービスを活用する

自社サイトを構築する

自社サイトを構築する場合は、デザイン・UIの作成やサイト構築、サイトの運営・維持など、相当な手間とコストがかかります。
また、知識やノウハウを持っている人材がいないと、自社サイトの構築は難しいです。

その分、ユーザーコミュニティサイトを作ったあとのコントロールがしやすく、運用の自由度も高いメリットがあります。また、ユーザーコミュニティサイトに関するノウハウの蓄積も見込めます。

ユーザーコミュニティサイトにオリジナリティを出したい場合や、自由に運営をしたい企業は、自社サイトの構築をおすすめします。

既存サービスを活用する

SNSやオンラインコミュニティのプラットフォームといった既存サービスを活用する方法もあります。

お手軽かつ利用者も多いものだとFacebookグループが挙げられます。

既存サービスを活用することで、ユーザーコミュニティサイトを簡単に作成できます。すでにサービスの利用者が多い場合は、コミュニティサイトへの集客を行う手間を省けます。また、無料で利用できるサービスが多い点も魅力的です。

ただし、自社サイトのようにかゆいところに手が届かず、競合他社との差別化も図りにくいデメリットがあります。提供できる情報量も少なくなります。

手間やコストをかけず、すぐにでもユーザーコミュニティサイトを作りたい企業は、既存サービスの利用をおすすめします。

オンラインコミュニティの種類やプラットフォームの選び方を知りたい人は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。

参考:オンラインコミュニティとは?種類やおすすめのプラットフォームを紹介


ユーザーコミュニティを成功させるコツ

ユーザーコミュニティを成功させるためには、以下のコツを押さえたうえで運営することが大切です。

  • KPIを明確にする
  • やり取りを活発化させる仕掛けを設ける
  • ユーザーランクを設計する
  • コミュニティのルールを設計してユーザートラブルを防止する

KPIを明確にする

ユーザーコミュニティを成功させるには、KPIを明確にすることが大切です。

ユーザーコミュニティは軌道に乗るまでに時間がかかり、すぐに成果が出るわけではありません。成果がなかなか出ないことで、社内の理解が得られず、閉鎖になる恐れもあるでしょう。

これは、社内のコミュニティマーケティングへの理解不足が原因で発生します。そのため、ユーザーコミュニティの特徴や成功事例などを認知してもらいつつ、KPIを明確にすることが成功するための一要素となります。

たとえば、名刺管理サービスを提供している「Sansan」の場合、「ユーザーとの/ユーザー同士のコミュニケーションから成功体験をつくる、ファンをつくる」という目的をもとに、工数削減やユーザー数などをKPIに設定してしています。

ユーザーからのコメント総数や紹介数、新規メンバー増加率などをKPIに立てて、ユーザーコミュニティを運用しましょう。

デメリット2.効果の可視化が難しい」でも触れた通り、売上に直結するKPIを設けると、可視化が難しいので失敗に終わりやすいので注意しましょう。

やり取りを活発化させる仕掛けを設ける

ユーザーコミュニティを成功させるには、コミュニティ内の活発化も重要です。

仮にユーザーコミュニティを作成したとしても、コミュニティ内のやり取りが少ないと、肝心のユーザーが増えない、ユーザー間のコミュニケーションが少なくて盛り上がりに欠けるといったことが起こります。

そのため、やり取りを活発化させる仕掛けを設けることが、ユーザーコミュニティを成功するために必要です。

たとえば、運営者が積極的に発言してコミュニティ内でのやり取りを気軽にできるような環境を作ったり、使いやすいようにチャット機能を整備したりと、さまざまな工夫ができます。

「Sansan」の場合、話題が途絶えない仕組みを作るために「Sansanイノベーションストーリーズ」という施策に取り組んでいます。

Sansanイノベーションストーリーズとは、ユーザーのインタビューを成功事例として記事にする施策です。ユーザー個人にフォーカスした事例を作って定期的に投稿することで、コミュニティ内の盛り上がりを維持しました。

このように、ユーザーコミュニティを作ったあとは、やり取りが活性化するように盛り上げるための工夫を凝らすことが重要でしょう。

参考:ユーザー活用事例 – Sansan Innovation Navi|Sansan

ユーザーランクを設計する

ユーザーランクを設計することも、ユーザーコミュニティを成功させるための一要素です。

ユーザーコミュニティ内で活発に活動していてもメリットがないと、ユーザーのモチベーション低下を招きかねません。モチベーションが低下すれば、ユーザーの発言量が少なくなり、コミュニティが沈静化する原因となります。場合によっては、コミュニティを離れてしまうことも。

そのため、ユーザーランクを設計して活発に活動しているユーザーに対して、限定コミュニティの参加権限を与えたりベータテストの招待状を優先的に送ったりなど、何からのメリットを与えることが大切です。

たとえば「Google」の場合は、コミュニティの貢献度に合わせてランク付けをする「Googleプロダクトエキスパート」を実施しています。

最初はブロンズのランクから始まり、コミュニティ内で貢献すればするほど、シルバー、ゴールドと、ランクが上がっていく仕組みです。最終ランクのプラチナになると、Googleでの活動やGoogleとつながれる機会が増えます。

ユーザーのモチベーション維持やコミュニティ離れを防ぐためにも、ユーザーランクを設計しましょう。

コミュニティのルールを設計してユーザートラブルを防止する

ユーザーコミュニティを快適に使用してもらうには、コミュニティのルールを設計することが大切です。

ユーザーコミュニティは、ネットさえ使えれば基本的に誰でも自由に利用できます。だからこそ、暴言や誹謗中傷の投稿などで、ユーザートラブルに発展する可能性があります。
実際に、SNS内のコミュニティグループでは、荒らし・誹謗中傷といった悪質な投稿が起きたケースもあります。

ユーザートラブルに発展すると、他のユーザーにも影響を及ぼし、コミュニティ離れの限定となる恐れがあります。そのため、コミュニティのルールやガイドラインを設計して、ユーザートラブルを防止することが大切です。

ただ、コミュニティのルールを設計しても、投稿するのは自由なため、トラブルがなくなるとは限りません。コメントのトラブルに対して有効なのが、コメント監視です。

企業側がコメントを監視すれば、悪質なユーザーを退会させたり、トラブルの火種となりそうなコメントを削除できたりします。ユーザートラブルを未然に回避するために有効です。

ユーザーコミュニティを安心して快適に利用してもらうためにも、コミュニティ内の「参加ルール」や社内の「監視基準」を設定することも肝心です。


まとめ

ユーザーコミュニティとは、サービスのユーザー間や企業・ユーザー間で、ノウハウを共有したり課題解決をするための場です。

ユーザーコミュニティのメリットとデメリットは、以下の通りです。

メリットデメリット
・熱狂的なファンを育てられる
・ユーザーの生の声を聞くことでニーズや不満を把握できる
・ユーザーサポートの負担を軽減できる
・効果が出るまで時間がかかる
・効果の可視化が難しい
・ユーザートラブルのリスクがある

ユーザーコミュニティを魅力的に感じた企業は多く、実際に良品計画やSalesforceなどの企業がユーザーコミュニティを作って成功しています。

ユーザーコミュニティを作るときは、以下の手順で進めましょう。

1.コミュニティの目的やコンセプトを決める
2.ターゲットを設定する
3.コミュニティサイトを作る

また、ユーザーコミュニティ作ったあとも、以下の成功させるコツを踏まえて運営することが大切です。

・KPIを明確にする
・やり取りを活発化させる仕掛けを設ける
・ユーザーランクを設計する
・コミュニティのルールを設計してユーザートラブルを防止する

本記事を参考にして、自社のユーザーコミュニティを作るどうかの検討や、実際にユーザーコミュニケーションを作成してみてください。