デジタルシフトに伴い、店舗事業者においてもデジタル広告を活用した店舗集客に取り組む事業者・代理店が増えています。
店舗集客のデジタル広告施策において重要なのが、広告の効果を測定するための来店コンバージョンの計測です。
しかし、来店コンバージョンについて詳しく理解しておらず、「どういう目的のための指標かわからない」「計測したいけど設定できない」という方も多いのではないでしょうか。
来店コンバージョンを計測することで、
- 広告が来店にどれくらい寄与できているを可視化し、適正な広告予算を算出できる
- 効果を測定することで、効果的な広告運用が可能となる
といったメリットがあります。
本記事ではWeb広告において活用機会が多い、Google広告の来店コンバージョンを解説します。来店コンバージョンの仕組みや、設定方法、計測のための条件、計測の際に対応すべきポイントについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むことで来店コンバージョン計測の目的を理解し、そのうえで実際に計測を始められるようになります。
Google広告による店舗集客を最大化させるGoogleマイビジネスの活用法
来店コンバージョンとは
広告経由で来店したユーザーを計測するための仕組みが来店コンバージョンとなります。
エリアマーケティングにおける広告手法が、折込チラシや新聞広告などの紙中心の広告から、ネット広告への移行が増加しています。そんななかでデジタルの特性を生かして、ネット広告を閲覧・クリックしたユーザーが実来店につながったかを計測する来店コンバージョンに注目が集まっています。
来店コンバージョンの仕組み
来店コンバージョンは、Googleのロケーション履歴より計測されます。 ロケーション履歴はGoogleのアプリ(マップ・Chrome)などでGoogleにログインし、位置情報利用を許可することで計測が可能になります。
来店コンバージョンの流れは以下となります。
1.Google アカウントにログインしているユーザーが店舗の広告を閲覧
2.広告をクリック・閲覧したユーザーが店舗に来店
3.ユーザーによる実店舗への来店と広告の接触履歴が、プライバシーを保護しながら結び付けられます
4.広告をクリックまたは閲覧した後に来店したユーザーの人数に関する現在と過去のデータを使ってGoogle広告で推定値が生成されます
来店コンバージョンは、検索ネットワーク、ディスプレイ ネットワーク、YouTube ネットワークで計測が可能です。
引用:来店コンバージョンについて|Google広告 ヘルプ
計測できるコンバージョン数は推定値
来店コンバージョンの数は、Googleのデータに基づいて推定計測されます。
計測データは推測値とされており、来店の実数とは異なるので注意が必要です。あくまでGoogleデータに基づいた推定計測となりますので注意が必要です。
実来店数ではないことを理解した上でひとつの指標として数値を追いかけるようにしましょう。
来店コンバージョンのメリット
来店コンバージョンを計測することで以下のメリットがあります。
1.広告の費用対効果を可視化し適正な広告予算が把握できる
広告経由の来店数を計測することで、広告がどれくらい来店に寄与できているかを明確にし、必要な広告予算を明確な根拠を元に確保することが可能となります。
2.効果を測定することで、広告運用の改善に活用が可能となる
Googleが発表しているローソンのディスプレイ広告の計測を行った事例では、デバイス毎の来店コンバージョンを計測しています。
スマートフォンで広告をクリックしてから来店した人の割合は15.7%、PC&タブレットからの来店率は 11.5% となり、モバイルが高い費用対効果であることを来店コンバージョンの計測結果から検証しています。
上記のように、広告の効果を測定することで、予算配分やクリエイティブの効果検証などの運用改善に活用することが可能です。
参考:[ブログ記事] Google ディスプレイ ネットワーク(GDN)の「来店コンバージョン」が計測可能になりました|Google広告 ヘルプ
3.広告運用の自動化にも活用が可能
Google広告の「自動入札」の「教師データ」としても活用が可能です。
自動入札は目標値を元に多くのコンバージョンを獲得できるよう、入札価格を自動的に調整するGoogleの仕組みとなります。
教師データとは、Google広告が自動入札を行うための機械学習をする際に、参考とするデータです。教師データの精度が高ければ、機械学習の精度を高めることができるため、実来店に近い来店コンバージョンを教師データとして活用することで、自動入札の精度を高めることが可能となります。
来店コンバージョンを測定できる条件
来店コンバージョンを利用するには一定の要件を満たす必要があります。以下の要件を満たしているか事前に確認するようにしましょう。
Google広告で住所表示オプションが有効になっていること
住所表示オプションとはGoogle広告の広告表示オプションの一つで、広告内に店舗の場所、地図、距離などを追加表示できる機能です。
来店コンバージョンを計測するためには住所表示オプションを設定し、キャンペーンで有効にしておく必要があります。
GoogleマイビジネスとGoogle広告アカウントを連携している
来店コンバージョンを計測するためには、GoogleマイビジネスとGoogle広告アカウントを連携することが必要です。
あらかじめGoogleマイビジネスを登録しておき、住所表示オプションで店舗所在地を設定する際にGoogleマイビジネスアカウントとのリンクを行います。
GoogleマイビジネスとGoogle広告アカウントの連携方法についてはこちらの記事で詳細に解説しています。
またGoogleマイビジネスはGoogleが提供している無料のサービスです。Google検索やGoogleマップで検索された際に、ビジネス情報と呼ばれる店舗の営業時間や写真などの情報を検索結果に表示させることが可能です。
Googleマイビジネスについては以下記事をご覧ください。
参考:Googleマイビジネスとは?活用すべき理由から登録方法まで解説
参考:Googleマイビジネス攻略ガイドブック【多店鋪・チェーン店向け】
連携するGoogleマイビジネスアカウントのオーナー認証が行われている
住所表示オプションでリンクを行うGoogleマイビジネスのアカウントについては、全ての店舗でオーナー認証が行われている必要があります。
オーナー認証とは、Googleマイビジネスの管理者であることをGoogle側に申請を行い、承認されればGoogleマイビジネスの管理を行えるようになる仕組みを指します。
認証に時間を要する場合も多いため、予めGoogleマイビジネスのオーナー認証ができているかを確認しておき、認証ができていなければ対応するようにしましょう。
参考:【初心者必見】Google mapの店舗登録の手順と登録後に設定しておくべきこと
広告のクリック数やインプレッション数と実店舗への来店数が十分にある
来店コンバージョンの数は、Googleの持つ匿名のデータに基づいて推定計測されるため、プライバシー基準に準拠できるよう、広告クリック・インプレッション数と来店数のボリュームが一定の基準を満たしていることが必要です。
必要なデータのボリュームは広告主ごとによって異なるため、自店舗の来店計測ができない可能性がある点は予め注意しておきましょう。
来店コンバージョン計測を行うべき企業
来店コンバージョンのメリットや利用できる条件をふまえて、来店コンバージョン計測を行うべき企業の例として以下が考えられます。
以下に該当する企業はぜひ、来店コンバージョン計測の検討を頂くと良いと思います。
店舗数が複数ある店舗
広告の反応データのボリュームが一定基準以上必要なため、店舗数が複数あるチェーン展開をしている企業とは相性が良いと考えられます。
複数店舗を展開している飲食店や、複数店舗を運営されている自動車ディーラー、フランチャイズで展開をされている店舗は相性がよいといえるでしょう。
ローカル検索と相性が良い業種
検索数が多い業種である自動車ディーラーやエンターテイメント施設、飲食店・学習塾なども相性が良いと考えられます。
広告表示機会が多いため、来店計測による改善の幅も高く、データ量が多いため、来店コンバージョンが計測できる可能性が高いと考えられます。
広告予算が大きい企業
広告予算が大きければ、その分だけ運用の改善インパクトが大きくなります。来店コンバージョンを計測することで広告予算の中でも成果につながっている施策を維持拡大し、成果につながりにくい施策の予算を削減することで広告の費用対効果の向上が見込めます。
来店コンバージョン計測の際に対応すべきポイント
来店コンバージョン計測の際に以下要素も満たすことで、より効果を高めることが可能です。
レポートで来店コンバージョンの項目を追加する
来店コンバージョンは、自動ではレポートの列に追加をされません。
レポートで来店数が適切な列に表示されるよう設定し、コンバージョン数を確認できるようにしておくことが必要です。
来店コンバージョンに関連する指標の例
- 実店舗への来店
- 費用/来店
- 来店率(来店/インタラクション)
- ビュースルーの来店
実施している広告から適切な項目を設定し、レポートで確認できるようにしましょう。
来店コンバージョンをスマート自動入札に活用する
スマート自動入札とはGoogle広告のコンバージョン データを使用して、広告の費用対効果を高めるための機能です。
Google側で広告オークションごとに広告掲載を最適化して自動で効果を高めることが可能です。来店コンバージョンをスマート自動入札の学習データを活用することで、店舗ビジネスでの広告展開における費用対効果の向上が可能です。
※2021年5月現在、来店計測のスマート自動入札は、ディスプレイキャンペーン・動画キャンペーンには適応されていません。詳細や最新情報はGoogleヘルプをご確認ください。
参考:来店重視のスマート自動入札について|Google広告 ヘルプ
来店コンバージョンの計測期間を設定する
広告をクリックして、来店につながったと見なされる計測期間は 1~30 日間の範囲で設定が可能です。
スマート自動入札を利用する場合は、来店コンバージョンの計測期間を 7 日間にすることが推奨されています。
Googleマイビジネスの整備
来店コンバージョンを計測する際には、来店につながるためのユーザー動線を整備していくことが必要です。特に、Google検索やGoogleマップで表示されるローカル検索広告に掲載されるビジネス情報に関して、正確で魅力的な情報を掲載するためにはGoogleマイビジネスの整備が必要です。
Googleマイビジネスを整備することで、広告に反応したユーザーの来店する確率を高めることが可能です。
参考:Googleマイビジネスとは?活用すべき理由から登録方法まで解説
参考:Googleマイビジネス攻略ガイドブック【多店鋪・チェーン店向け】
Googleビジネスプロフィールの基本設定や活用法を店舗集客のためのGoogle広告を活用した提案メソッドでご紹介しています。
まとめ
店舗事業者にとってもデジタル広告が集客に欠かせない施策となった昨今、Google広告の競争は激化し、費用対効果が悪化していくことが想定されます。
Google広告の費用対効果を高めるためには、来店コンバージョンを計測し、成果につながっている広告を可視化し、チューニングしていくことが必要です。
複数の店舗でGoogleビジネスプロフィールを運用するなら「ライクルGMB」(PR)
ライクルは多店舗事業者に特化した、運用店舗数60,000店舗以上の支援実績があるGoogleビジネスプロフィール運用支援サービスです。
日本に4社のGoogleビジネスプロフィールAPI公式推奨パートナーとなっており以下のサービスを提供しています。
・店舗情報の一括管理
・投稿、商品の一括投稿
・GBPパフォーマンスレポート、クチコミ、順位、検索キーワードなどのレポーティング
・店舗からの写真、紹介文の収集機能
・GBPに精通したコンサル担当による定例会支援
・店舗向け研修
など
多数店舗を管理したい担当者のニーズに特化して対応する機能をそなえています。興味がある方は、以下のフォームから資料をダウンロードできるので、ぜひご覧ください。