働き方改革によって増えた管理職の負担の軽減方法・取るべき対応方法

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働き方改革関連法の改正に伴い、多くの国内企業が積極的に導入を進める働き方改革ですが、従業員の満足度向上に貢献する一方で、導入に伴う管理職への新たな業務負担について問題視されるようになってきています。

特に以下のような悩みをもつ管理職の方が増加しています。

「メンバーの残業は減ったが、それを補うために自分の残業は増えている。どうすればいいのだろう?」」
「働き方改革における管理職の役割・動き方について知りたい」

そこで本記事では、働き方改革で管理職の負担が増えているという実状を踏まえ、管理職の負担の軽減方法や、働き方改革において管理職がどういった役割を果たせば良いのかについて詳しく解説致します。

本記事を最後まで読むことにより、働き方改革の管理職への影響や負担軽減方法について理解し、働き方改革の適切な進め方について正しく理解できるようになります。

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働き方改革で管理職の負担が増えている

「パーソル総合研究所」が公表している調査結果によると、働き方改革が進んでいるものの、人手不足やダイバーシティ、ハラスメント対応などにより、管理職の約46%が業務量が増加していると回答しています

また働き方改革が進んでいる企業の方が管理職の業務量が増えているという皮肉な結果も出ています。

生産性が改善されぬまま、残業時間の規制により部下の労働時間が減ったことで、それをカバーするために管理職の業務量が増えているものと考えられます。

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引用:中間管理職の就業負担に関する定量調査|パーソル総合研究所

管理職本人の負担が増えている中、部下の育成が不十分であることや後任者がいないという課題も抱えており、より厳しい状況であることが伺えます。

また業務負担が多い管理職は、残業の増加や本人の学習時間の不足などにより価値創出につながる業務ができておらず、仕事に対する意欲の低下や転職意向につながっています。

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引用:中間管理職の就業負担に関する定量調査|パーソル総合研究所

さらに、高いストレスや疲労の蓄積など心身の健康状態が悪化している傾向が見られています。

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引用:中間管理職の就業負担に関する定量調査|パーソル総合研究所

管理職には労働基準法の労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されない

働き方改革によって管理職の負担が増えているそもそもの原因として、労働基準法の労働時間・休憩・休日に関する規定が管理職には適用されないことが関係しています。

労働基準法の規定管理監督者
第32条/労働時間(1週40時間、1日8時間) ×(適用されない)
第32条の2/一箇月単位の変形労働時間制
第32条の3/フレックスタイム制
第32条の4/一年単位の変形労働時間制
第32条の5/一週間単位の非定型変形労働時間制
×(適用されない)
第33条/災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等 ×(適用されない)
第34条/休憩 ×(適用されない)
第35条/休日 ×(適用されない)
第36条/時間外及び休日の労働 ×(適用されない)
第37条/時間外、休日及び深夜の割増賃金 時間外・休日の割増賃金は×(適用されない)
深夜の割増賃金は〇(適用される)
第38条/時間計算 ×(適用されない)
第38条の2/事業場外のみなし労働制
第38条の3/専門業務型裁量労働制
第38条の4/企画業務型裁量労働制
×(適用されない)
第39条/年次有給休暇 深夜の割増賃金は〇(適用される)
第40条/労働時間及び休憩の特例 ×(適用されない)

参考:労働基準法の「管理監督者」とは?|日本労働組合総連合会

管理職は労働時間や休憩、休日等に関する規制の枠を超えて、活動せざるを得ない重要な職務に従事している、というのが根本的な考え方になっています。

そのため上記のような規制はほとんどが適用されないのですが、現実には心身の健康状態の悪化やモチベーションの低下など、さまざまなネガティブな影響が出ています。


働き方改革における管理職の負担軽減方法

働き方改革により社員の業務環境は改善されつつありますが、一方の管理職は負担が増加しています。

ここでは、管理職の負担軽減方法について解説します。

  • 管理職の裁量権を拡大
  • 業務棚卸しと必要業務の選定
  • アウトソーシングの活用
  • ITツールの導入

管理職の裁量権を拡大

会社の上層部と連携し、管理職の裁量権を拡大するという方法です。

無駄な業務を無くす、業務の外注可否、人員の追加など管理職の裁量権を拡大し、不足するリソースへの対処を現場主導で可能にします。

意思決定時やトラブル発生時などにも管理職が迅速に対応でき、負担軽減や時間削減につながります。

業務棚卸しと必要業務の選定

次に、業務を棚卸しして必要な業務を選定する方法です。

業務の要否を判断し、不要な業務をなくすことで工数削減につながります。

特に人事労務系の業務など、管理職のメイン業務ではない付随業務については、人事・労務がサポートして業務負荷を軽減することが重要です。

また、必要な業務と判断されたものについても作業プロセスを改善することで、より工数を減らすことが可能です。

アウトソーシングの活用

アウトソーシングを活用することで、不足するリソースや知見の補填が可能です。

プロパー社員が注力すべき業務と、外注したほうが良い作業系の業務を分けた上で、後者をアウトソーシングすると良いでしょう。

一般的にアウトソーシングを活用するメリット・デメリットは以下の通りです。これらを認識した上で、アウトソーシングを検討するようにしましょう。

<メリット>

  • 業務負担を軽減して高付加価値の業務に集中できる
  • 業務の属人化を防止できる
  • 自社にない専門知識・ノウハウを得られる

<デメリット>

  • 業務整理ができていないと機能しない
  • ノウハウを社内に残しにくい

ITツールの導入

ITツールの導入は、管理職の負担軽減には欠かせない手段です。

たとえばコミュニケーションツールの導入が挙げられます。現在は多くのビジネスチャットツールや社内SNSがあり、導入することで円滑なコミュニケーションが可能となります。

もちろんメールや電話でもコミュニケーションはとれますが、複数人の部下が存在する場合には一対一だと難しい場面もあります。

その点、ビジネスチャットツールや社内SNSだと複数人と同時に連絡を取り合えるので、より効率の良い連絡体制を取ることが可能です。

参考:働き方改革に向けてテレワークを導入すべき理由と、導入までの6ステップ


働き方改革関連法の管理職の変更点

2019年4月に改定された働き方改革関連法によって、管理職に関する部分も変更されました。3つの変更点について、詳細を見ていきましょう。

上限を超えた残業は罰則対象

上限を超えた残業には罰則が課せられるように定められました

労働基準法では、労働時間は「1日8時間、週40時間まで」、休日は「週に1日、または4週間のうち4日の休日」と定められています。

この時間を超えた労働をさせる場合には、事業者と社員の間であらかじめ36協定(労使協定)を結ぶことが必要となります。

36協定では「月45時間、年360時間」を超える労働は禁止されており、上限を超えてしまうと事業者に対して罰則が課されてしまいます。

やむを得ない事情により月45時間を超えてしまう場合でも、「年720時間以内・月100時間未満・複数月の月平均80時間以内」の時間外及び休日労働に抑える必要があります。

原則例外(臨時的に特別な事情がある場合)
・月45時間
・年360時間
・年720時間以内
・月100時間未満(休日労働を含む)
・2~6ヵ月平均80時間(休日労働を含む)
※違反した場合、事業者に「懲役6ヵ月以下、30万円以下の罰金」が課される

参考:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省

有給休暇を取得する時期の指定義務

有給休暇取得率の向上を図り、事業者が有給休暇の時期指定をするよう義務づけられました

管理職についても、年10日以上の有給休暇がある場合は同様の消化義務があります。

これによりm年次有給休暇の日数のうち年5日については、事業者が時季を指定して取得させることが必要になりました。

対象となる社員は、以下を満たしている者です。

  • 半年間継続的に雇われていること
  • 全労働日のうち8割以上出勤していることを満たしている

参考:参考:年次有給休暇の時季指定義務|厚生労働省

労働時間把握の義務化

割増賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題に対処するため、社員の労働時間を適正に把握することが義務化されました

従来は、残業月100時間を超えた社員から申し出があった場合、医師による面接指導実施が義務づけされていました。

この労働時間の把握について、任意から義務へと変更されました

新しいルールでは、勤務時間が月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内に変更され、対象外となっていた管理職や裁量労働者も対象として含まれるように変更されています。

参考:労働時間の適正な把握のために|厚生労働省


働き方改革における管理職の役割

働き方改革により、管理職には以下の役割が求められています。

  • 部下の労働状況把握
  • 部下の有給取得状況把握
  • 業務効率化の推進
  • チームの内労働意識改革

部下の労働状況把握

まずは、労働時間を含めた部下の労働状況の把握が必要です。

先述した通り、定められた労働時間を超過してしまうと事業者側に罰則が科されてしまうためです。
具体的には、各従業員の労働日ごとの始業・終業時刻を記録し、3年間保存する必要があります。

これらを確認・記録しておく方法として、次のようなものが有効です。

  • 勤怠管理システム
  • タイムカード
  • ICカード
  • パソコン起動時間の記録

また、適正に申告されているかどうかを管理することも管理職の役割といえるでしょう。

部下の有給取得状況把握

部下の労働状況に加え、有給取得状況についても把握する必要があります

先述した通り、2019年から管理職も含めて社員の有給休暇取得が義務化されました。

具体的には従業員ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間の保存が義務付けられています。

年次有給休暇管理簿

引用:年次有給休暇管理簿を作成しましょう!川崎北労働基準監督署

記載が必要なのは、以下の項目です。

  • 有給休暇を労働者が自在に取得した日
  • 有給休暇の日数(申請日数ではなく、取得日数)
  • 有給休暇の基準日

これらの記録は、労働者名簿や賃金台帳と合わせて作成することもできるので、社内の状況に合わせて準備しましょう。

業務効率化の推進

労働時間の規制強化により全体の労働時間は短縮することになるので、業績を維持・向上するために管理職には業務効率化を推進することが求められます。

業務効率化の方法としてはさまざま考えられますが、たとえば以下が挙げられます。

  • スキルマップやマニュアルの作成
  • 福利厚生制度の充実、フレキシブルなワークスタイルの導入

スキルアップやマニュアルの作成については、ITの導入や外注を利用することで、業務をより効率的にできます。

また、福利厚生の充実やワーキングスタイルについては、従業員の満足度向上や優秀な人材の確保につながる効果があります。

チーム内の労働意識改革

限られた労働時間の中で効率よく業績を上げるためには、社員の労働意識を高めていくことが重要です。

勉強会やコミュニケーションの充実により部下の意識改革を行うことが必要となるでしょう。

また定期的に労働時間・残業時間の共有を行い、当月の残りの稼働時間がどれくらいで、残りの業務をどうやって進めるのかを考えさせることが求められます。


働き方改革の事例

ここでは実際に働き方改革を実施し、効果が表れている事例を解説します。自社の取組に生かせる部分があれば、積極的に取り入れてみましょう。

事例1: 残業代を社員へ返還する取り組み(SCSK株式会社)

SCSK株式会社はシステム開発やITインフラ構築をする企業で、「働きやすい、やりがいのある会社」を目指しています。

目標を達成するための方法として、残業代として支給予定だった金額をインセンティブとして支給する「スマートワーク・チャレンジ20」(以下、スマチャレ)という取組を実施しています。
インセンティブとは、個々の成績に応じて支払われる報奨金ややる気を起こす動機付けのことです。

スマチャレでは残業を20%削減し、有給休暇20日を完全取得した社員にインセンティブが支給されます。

結果として、残業削減と有給取得の両方を改善することができました。

  • 月間平均残業時間を35時間から18時間に削減
  • 有給取得日数を13日から19日に増加

事例2: 全社員の約94%が1週間連続休暇を取得(日本システムウエア株式会社)

日本システムウエア株式会社は、ITソリューションとソフト・ハードの設計や開発技術を営む企業です。

全社員に対して、年1回5日間連続で取得する特別休暇「NSWホリデイ」という取組を実施しています。

「休みたいときの休暇が質の高い休暇となる」という考えのもと、従来の夏季一斉休暇を廃止して作られた休暇です。

また、マネージャーは特別休暇の取得を部下に推進することが義務化されています。

その甲斐があり、2011年度の実績で93.6%の取得率を記録し、例外的なケース以外ではほとんどの社員がNSWホリデイを利用している結果となりました。


まとめ

働き方改革により社員の労働環境は改善傾向にある一方、管理職の負担は増加しています。

管理職の負担を軽減するためには、例えば以下を実施すると良いでしょう。

  • 管理職の裁量権を拡大
  • 業務棚卸しと必要業務の選定
  • アウトソーシングの活用
  • ITツールの導入

そもそもですが、働き方改革関連法により管理職に関して以下の変更が適用されています。

  • 上限を超えた残業は罰則対象
  • 有給休暇を取得の時期指定義務
  • 労働時間把握の義務化

多忙な中でも部下の労働時間や有給取得、業務の様子について把握する義務があるため、効率よくできる方法を採用していかなければなりません。

また働き方改革において、管理職には以下の役割が求められています。

  • 部下の労働状況把握
  • 部下の有給取得状況把握
  • 業務効率化の推進
  • チームの内労働意識改革

本記事を参考に、管理職の皆様が働き方改革に正しく対応して、業績の向上と労働時間の削減の両立を実現していただければ幸いです。

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