プライベートDMPとは?活用事例と3つのステップで分かる始め方

プライベートDMPとは、自社の持つ膨大なデータ(情報資産)を蓄積し、ビジネスに活用するためのプラットフォーム(基盤)を指します。

この記事を読みにきた方も、どこかでDMPを活用したマーケティングの事例を読み、「プライベートDMP」がどのようなものか気になったのではないでしょうか。

今回は、プライベートDMPを活用して、マーケティングをおこなうための最低限の知識と、活用事例を簡単にご説明します。

・自社サイトを利用するユーザ像を把握したい
・顧客単価の高いユーザ層に効果的なアプローチをおこないたい
・蓄積したデータをもとにマーケティングをおこないたい

など、中長期的にユーザとのコミュニケーションを最適化し、Web上の売り上げを最大化していきたいという要望をお持ちの方はぜひともご一読ください。


プライベートDMPとは?

プライベートDMPとは、自社の持つ膨大なデータ(情報資産)を蓄積し、ビジネスに活用するためのプラットフォーム(基盤)を指します。

プライベートDMP

自社の持つ膨大なデータとは、
・自社サービスの会員データ
・自社商品購入者のデータ
・自社サイト訪問者のデータ

などの情報が該当します。プライベートDMPを活用することで、これらの情報をもとにユーザ毎に異なるメールを配信する、Webサイト上の商品やキャンペーンバナーを出し分ける、という施策を実施できるようになりました。

そもそもDMPとは?

DMPとは、データマネジメントプラットフォーム(Data Management Platform)の略称で、膨大なデータを蓄積するプラットフォームです。

会員情報、商品購入者情報、自社サイト来訪者などの情報を保存する箱のようなイメージです。

「情報を保存する箱」という点ではデータベースに近いですが、単なるデータベースと比べて蓄積したデータを活用しやすいという特徴があります。

主な活用方法としては、ユーザ行動を分析し、ユーザ層ごとにWebサイト上の情報の出しわけたり、異なる広告を配信したりすることができます。

例)通販サイト上でおすすめ商品を出しわける

■分析結果
・商品Aを購入する女性ユーザは、商品Bを同時に購入する傾向がある
・商品Aを購入する男性ユーザは、商品Cを同時に購入する傾向がある

■施策案
・女性ユーザが商品Aを購入する際に、商品Bもおすすめする
・男性ユーザが商品Aを購入する際に、商品Cもおすすめする

DMPには2つの種類が存在する

DMPには、自社の持つデータ(資産)が蓄積されたプライベートDMPと、第三者が集めたデータを提供しているパブリックDMPの2種類が存在します。

プライベートDMPとパブリックDMPの違い

プライベートDMPパブリックDMP
蓄積されている情報自社の持つ情報他社の持つ情報
データの種類・自社の会員情報
・商品購入者情報、
・自社サイト来訪者などの情報
他社が持つ、他社サービス利用者の情報
(性別、年齢、関心のあるコンテンツ情報など)
目的LTVの改善やCRMなど新規顧客の獲得など
施策・自社の顧客層ごとに異なるメールを送付する
・Webサイトやアプリ上で出し分けを行うなど
・自社の顧客層ごとに異なるメールを送付する
・Webサイトやアプリ上で出し分けを行う
・自社顧客に類似したユーザ層や、自社サービスに関心を持ちうる
ユーザ層に対してWeb広告配信を行うなど

プライベートDMPの活用事例とできることまとめ

事例1.神立高原スキー場:集客方法を一新、データを活用したコミュニケーション設計、O2O施策により売上を1.3倍に向上

神立高原スキー場は、プライベートDMPを導入し、旧来の集客手法を一新したO2O(Online to Offline)施策を展開することで、売上高が1.3倍に向上しました。

ウィンタースポーツ人口の減少により、多くのスキー上は来場者増加につながる施策展開を課題としています。

神立高原スキー場では、オンライン上でおこなった会員施策や、アンケートによって取得したユーザーインサイトと、実際のスキー場での取得データを活用しました。

それぞれの顧客に合わせたコミュニケーションを取ることで、来場者のリピート向上、売上の増加を実現しました。

参考:ブレインパッド、プライベートDMP「Rtoaster」で神立高原スキー場の集客手法を一新、データを活用したコミュニケーション設計、O2O施策により売上を1.3倍に向上

事例2.化粧品会社:店舗で行っている接客をWebでも再現し通販サイトの売上向上

ある化粧品会社では、店舗での接客をWebでも実現することが売上向上につながるのではないかと考えていました。しかしこれまではWebでの接客を実現する手段がなく、旧来通りの全ての人に単一の表示(接客)をおこなっていました。

しかし、プライベートDMPの導入により、顧客毎の膨大なデータ(肌の悩みや好みの色など)を蓄積・活用することで、店舗でおこなっていたきめ細やかな対応をWebサイトでも実現し、通販サイト上での売上向上と、満足度の向上を実現しています。

その他DMPでできること一覧

自社で蓄積していても活用ができなかったデータを活用できる

通常、Webサイト上のユーザの行動はサーバに蓄積されているものの、マーケティングに活用できません。DMPを導入することで、簡単にユーザの行動をマーケティングに活用できるようになりました。

オンライン・オフライン・別デバイスの行動を統合できる

同一のユーザでも、オンラインとオフライン、あるいは別のデバイスを使っていると、通常は別人として扱ってしまいますが、DMPはそれらを統合することができます。

広告やWebサイト、メルマガなど個別管理の施策を統合管理が可能

通常、各チャネル(広告・Web・メルマガ等)でおこなっている施策は別々に管理され、個別に最適化されています。DMPを活用することで、それらを一元管理し、全体最適を目指すことができます。


プライベートDMPを活用する3つのメリット

DMPは様々なツールと連携することで非常に多くのことができるのですが、下記の3つのメリットは特に重要です。

1.データに基づいたマーケティングを実施できる

DMPを活用することで、直観的な施策をがむしゃらに繰り返すのではなく、データに基づいた施策を立案・実施可能になります。

2.持て余していたデータを一元管理することで分析の効率があがる

様々なデータを別々に蓄積していると、それらをかけ合わせた分析を行うことや、Webマーケティングに活用することは一苦労です。

しかし、DMPにより多くの異なる情報を一元管理することで、分析を容易に行うことができます。

3.データをWebマーケティングに利用しやすくなる

DMPを活用することで、蓄積したデータを「サイト上の情報を出しわける」、「広告を出しわける」などの形でWebマーケティングに利用しやすくなります。


DMPを活用したマーケティングの始め方

ステップ1:まずは目的を明確にする

まずは、「新規顧客を獲得する」「LTVを高める」など、目的を明確にしましょう。

「特定のユーザに対してWebサイト上の情報を出しわける」「特定のユーザにだけ広告を配信する」などはほんの一部で、DMPでできることは多岐にわたります。

DMPでできることはサービスによっても異なるので、いくつかのサービス資料を取り寄せたり問い合わせたりして確認しましょう。

ステップ2:目的の施策が実施できるサービスかを確認する

DMPを活用したマーケティングを始める際には、目的や解決したい課題を明確にし、DMPを提供している企業に一度相談してみることをおすすめします。

DMPサービスにはプライベート・パブリックのどちらにも対応しているDMP以外にも、プライベートに特化しているものも存在するため、目的を実現できるかどうかを確認してください。

ステップ3:実施の難易度とサポート体制を確認する

DMPは上手に活用することで相当な種類の施策を実施することができます。

しかし施策の実施難易度はまちまちで、素人でも簡単にできる施策もあれば、ある程度ソースコードを触れないと実施できない難易度の高い施策もあります。

目的の施策を実施するためには、htmlの簡単な知識が必要なのか、JavaScriptを触れる必要があるのか、知識がなくてもできるのか、どのようなサポートを受けられるのかなどを確認してみましょう。


注意点:必ず利用の目的を明確にしましょう

繰り返しになりますが、DMPは「多くの施策を実現できるプラットフォーム」である反面、目的が不明確なまま導入しても、結局何がしたいのかが定まらずに迷走してしまうケースも少なくありません。

そこで重要になるのがやはり「DMPを導入する目的」です。DMPサービスを提供しているほとんどの企業は導入や運用の支援もおこなっているため、技術的な問題であればいくらでも解消の余地はあります(一部、目的や実施施策を一緒に考えてくれる企業もあります)。

しかし目的がわからなければどうしようもなくなってしまうので、まずは自社データや他社データを活用して何をしたいのかを明確にしましょう。


まとめ

DMPは使い方によって非常に強力な武器となります。LTVを高めたり、新規顧客を獲得したりと、使い方によって様々な施策を実施することができます。

その反面、施策を設計すること、運用・改善をし続け、成果を向上し自社の中に知見を溜めることは決して簡単な道程ではありません。

しかし目的さえはっきりしていれば、DMPは多くのマーケティング施策を実現できるツールであることは間違いありません。DMPでできることと、自社の解決したい課題が何なのかを明確にしたうえで、それが実現できる自社にあったDMPサービスを探してみましょう。

コメント