D2Cを始めるにあたり成功のヒントを得るため、「D2Cの成功事例を知りたい」という方は多いと思います。
本記事ではD2Cで一定の成功をおさめている事例10選についてまとめています。アパレルや美容ブランド、食品の通販ビジネスなど、複数の業界の成功事例を紹介しています。
成功事例を見ていくと、業種・業界に関わらず、成功する企業には共通点があることがわかりました。今回はその「D2Cを成功させるためのポイント」を3つに絞って解説しています。
目次
- 1.SNSで共感を生み出し新規顧客を集めたアパレルブランド「COHINA」の事例
- 2.来店不要の試着サービスを提供し、リピート率の向上に繋げたアパレルブランド「kay me」の事例
- 3.UGCを活用して2週間でCVを1.5倍に向上させたウェルネスブランド「GREEN SPOON」の事例
- 4.UGCを活用して年間で8,000件以上のレビューを獲得できる仕組みを構築したカメラブランド「GoPro」の事例
- 5.コミュニティを形成して顧客との接点を強化し、顧客単価を39%増加させた完全栄養食ブランド「ベースフード」の事例
- 6.コーヒーの楽しみ方をコンテンツ化して新規顧客を増やしたコーヒー通販サイト「PostCoffee」の事例
- 7.SNS広告を活用して顧客獲得件数を10倍に伸ばした男性向け美容ブランド「バルクオム」の事例
- 8.顧客一人一人に合った商品を提供する仕組みを構築し、2年弱で月商2億円を突破した美容ブランド「FUJIMI」の事例
- 9.「パーソナライズ」を強化して顧客に新たな「おやつ体験」を提供しているおやつのサブスクブランド「snaq.me」の事例
- 10.デジタルマーケティング施策で売上拡大に成功した3rd株式会社とソウルドアウト株式会社の事例
- D2Cを成功させるための3つのポイント
- D2Cに関するよくあるご質問
- まとめ
1.SNSで共感を生み出し新規顧客を集めたアパレルブランド「COHINA」の事例
155cm以下の小柄の女性向けに作られたアパレルブランド「COHINA(コヒナ)」はInstagramで集客・販売する仕組みを作り、立ち上げからわずか3年で月商1億円を達成しています。
同社は経営者自らが抱えていた「低身長の洋服選びの不便さ」を変えるべく、低身長向けのブランドを立ち上げました。
店舗の立ち上げやセレクトショップなどに商品を卸すことなく、Instagramと自社サイトのみで販売を開始しました。「COHINA(コヒナ)」が新規顧客を獲得する上で工夫したポイントは以下の通りです。
- 小柄女子コミュニティの形成
- Instagramでのライブ配信
「COHINA(コヒナ)」ではブランドの認知度を上げるべく、Instagramでの小柄女子の悩みの投稿に加え、ライブ配信を毎日行いました。その結果、「フォローすれば小柄女子に役立つ情報を得られる」という認知を拡大し、フォロワーが増加したと言います。
当初フォロワーは数百人程度でしたが、現在はフォロワーが23万人を超えています。Instagramを有効的に活用した結果、わずか3年という運営期間で売り上げは月商1億円を超えています。
参考:1200日連続インスタライブ COHINAが3年で月商1億円超えの原動力|日経XTREND
2.来店不要の試着サービスを提供し、リピート率の向上に繋げたアパレルブランド「kay me」の事例
洗えるストレッチ素材のスーツなどの衣類を販売する「kay me(ケイミー)」では、「試着便」という独自のサービスを展開し、アパレル業界では脅威のリピート率60%を誇っています。
同社は「女性の 『勝負のとき』や『癒しの時間』に寄り添い、彩り豊かな人生をともにしたい」を目指し、自宅で洗えるストレッチ素材の衣類やアイテムを販売しているアパレルブランドです。
同社では、多忙やコロナ禍などの理由から店舗に来れない方のために向けて「試着便」というサービスを行っています。
試着便は服や靴、鞄などのアイテムが自宅に郵送され、欲しい商品だけ手元に残し、あとは返却できるシステムです。
顧客のニーズに合った商品やサービスを提供したことで顧客のファン化に成功し、アパレル業界で平均より2倍以上高いリピート率60%を維持しています。
参考:コロナ禍の1年で店舗数を200%にした理由〜「D2Cブランドkay me」2021年春、更に3店舗オープン!|PR TIMES
3.UGCを活用して2週間でCVを1.5倍に向上させたウェルネスブランド「GREEN SPOON」の事例
定額制パーソナルフードを提供する「GREEN SPOON」は、UGCをうまく活用してたった2週間でCVRを1.5倍に向上させています。
GREEN SPOONは野菜を簡単に取り入れられるサブスクリプションサービスです。顧客への質問から身体や生活習慣に適した栄養素を特定し、スープやスムーズ、ホットサラダにして自宅に届けるサービスを展開しています。
同社ではリスティング広告やSNS広告を使って新規顧客の獲得を行っていました。しかし、広告単価の高騰などから、従来のようなデジタル広告の大量出稿では新規顧客の獲得が難しくなったといいます。
そんな従来のデジタル広告依存からの脱却を目的に、ユーザーの「購入の決め手」になりやすいUGCの活用を開始しています。
新規顧客獲得向けのLPにUGCを活用し、スピーディに効果検証・改善を行ったところ、掲載わずか2週間でCVRを1.5倍向上させることに成功しました。
参考:ウェルネスブランド「GREEN SPOON」がLetroを導入開始、専任コンサルタントの導入サポートにより、導入わずか2週間でCVR1.5倍を実現|PR TIMES
4.UGCを活用して年間で8,000件以上のレビューを獲得できる仕組みを構築したカメラブランド「GoPro」の事例
カメラブランドである「GoPro」はUGCが発生する仕組みを構築し、年間で8,000件以上のレビューを獲得することに成功しています。
GoProではユーザーの投稿した動画を公式のYouTubeアカウントに掲載したり、Instagramアカウントでシェアを行っています。
また、GoProではユーザーの投稿を表彰する「GoPro Awards」というキャンペーンを定期的に行っています。受賞者は最新モデルのGoProカメラや賞金を獲得できます。
このように「GoPro を購入して写真や動画を投稿するメリット」を提示することで、自然とUGCやレビューが集まる仕組みを構築しています。
参考:GoPro Expands Its Niche With Yotpo|Yotpo.
5.コミュニティを形成して顧客との接点を強化し、顧客単価を39%増加させた完全栄養食ブランド「ベースフード」の事例
完全栄養食を製造・販売する「ベースフード」は、同社のスタッフと利用者が情報を交換できるコミュニティの運営を開始。顧客の声をリアルタイムで聞き取り、反映できる仕組みを構築し、顧客単価を39%増加させることに成功しました。
同社では継続コース会員であれば参加できる「BASE FOOD Labo」というコミュニティを運営しています。コミュニティでは、商品の改善点や管理栄養士による食事に関するアドバイス、ユーザーのアレンジレシピや商品に対するアイデア出しなどが行われています。
ベースフードはコミュニティに参加する顧客から吸い上げたベースフードに対する意見を元に新商品の開発や商品の改善を行っています。
その姿勢が顧客のファン化に繋がり、同社の顧客単価は39%も増加しました。
参考:顧客1万人が開発に参加するベースフード 1000万食突破の原動力|日経XTREND
6.コーヒーの楽しみ方をコンテンツ化して新規顧客を増やしたコーヒー通販サイト「PostCoffee」の事例
コーヒーのサブスクリプションを提供している「PostCoffee」では、コーヒーの楽しみ方をコンテンツ化することで認知アップや利用を促したことにより会員数を着実に伸ばしています。2020年2月のサービスローンチから2022年10月の約2年半で会員登録者数が5万人を突破しました。
同社が会員を増やすために行っていることは以下の通りです。
- 自分好みのコーヒーを選ぶことができるパーソナル性
- どんなコーヒーが届くかわからないサプライズ要素
- マーケティング面ではUGCを積極的に活用
「PostCoffee」ではコーヒー診断を行い、好みに合わせたコーヒーが届くというコーヒー好きにはたまらないサブスクリプションモデルを提供しています。
また、どんな豆かは届くまでわからないというサプライズ要素があるのも顧客をファン化して逃さない戦略といえます。
新規顧客の獲得には積極的にUGCを活用し、広告だけに頼らず自社商品を利用してもらったお客様の自然な投稿を見て購入してもらえる仕組み作りを行いました。
その結果、PostCoffeeの会員登録者数は5万人を突破し、現在も会員数は増加しています。
参考:日本最大級のコーヒー専門通販「PostCoffee」が総額4.3億円の資金調達を実施|PR TIMES
7.SNS広告を活用して顧客獲得件数を10倍に伸ばした男性向け美容ブランド「バルクオム」の事例
男性向けのスキンケア商品を販売している「バルクオム」は新規顧客の獲得にSNS広告を活用し、獲得件数を10倍に伸ばしました。
同社が行った施策は以下の通りです。
- UGCを増やす仕組み作り
- UGCを活用したLP作り
バルクオムではInstagramで「#バルクオム」という独自のハッシュタグを設定し、UGCを生み出す仕組みを作りました。
その結果、Instagram上でUGCが増えただけでなく、顧客とのコミュニケーションも増加したと言います。
投稿されたUGCをSNS広告で使用していたLPに組み込んだところ、これまでの運用結果と比べて10倍以上の成果が出たと言います。
参考:顧客が創るコンテンツでD2Cブランドが大成功 獲得単価が3分の1|日経XTREND
8.顧客一人一人に合った商品を提供する仕組みを構築し、2年弱で月商2億円を突破した美容ブランド「FUJIMI」の事例
美容サプリメントやフェイスパックなどを販売するスキンケアブランド「FUJIMI(フジミ)」は、リリースからわずか2年弱で月商2億円の事業規模に成長しています。
「消費者の多くが、自分に合った商品を選択できていない」ということから、
同社では、リリース直後から以下のような施策に取り組んでいます。
- 肌診断から導き出した顧客に合った商品の提供
- インフルエンサーの活用
- SNS広告の活用
FUJIMIはリリース直後からインフルエンサーや広告を活用したマーケティングを実施しており、大量の認知を短期間で集めたことで新規顧客を獲得できたと言います。
参考:2年弱で月商2億規模──化粧品大手のポーラがパーソナライズスキンケアのD2Cを買収した狙い|DIAMOND SIGNAL
9.「パーソナライズ」を強化して顧客に新たな「おやつ体験」を提供しているおやつのサブスクブランド「snaq.me」の事例
おやつのサブスクビジネスを展開している「snaq.me(スナックミー)では、商品を届けるだけではなく、「おやつを楽しむ」というユーザー体験を提供しています。
ユーザーによるサービス利用前のアンケートの回答や過去のリクエスト、おやつに対するフィードバックをもとにパーソナライズが進んでいき、ユーザーごとに全く異なるおやつが届くようになっています。
また、電話やイベントなどで直接顧客とコミュニケーションをとり、生の声を得ることで商品開発や施策立案に活用しています。
参考:食品D2Cとして注目のおやつ体験BOX「snaq.me(スナックミー)」 なぜsnaq.meに夢中になる人が増えているのか – 日本食糧新聞電子版
10.デジタルマーケティング施策で売上拡大に成功した3rd株式会社とソウルドアウト株式会社の事例
引用:課題解決型のD2Cアパレルブランド「Réonie」。ブランドを成功させ、売上を拡大し続ける秘訣に迫る!|ソウルドアウト株式会社
骨格ストレートに特化したアパレルブランド「Réonie(レオニー)」では、デジタルマーケティング施策でブランドの認知拡大に成功させています。
同社ではSNS広告運用を実施しており、商品選定を広告展開軸で決めるのが多いとのことです。
また、ブログのSEO対策も実施しており、どのようなユーザーがどのキーワードで検索をしているか考えた上で設計しております。
その結果、公式サイトへのアクセスユーザーのうち、ブログからの流入を3~4割まで増やしています。
オーガニック検索流入が多い分、広告費を削減して別の施策に費用をかけることに成功しております。
参考:課題解決型のD2Cアパレルブランド「Réonie」。ブランドを成功させ、売上を拡大し続ける秘訣に迫る!|ソウルドアウト株式会社
D2Cを成功させるための3つのポイント
前述した事例から読み解くD2Cブランドを成功させるための3つのポイントは以下の通りです。
- UGC(ユーザーの生の声)を活用する
- 顧客とのコミュニケーションを重視する
- 顧客が自分にあった商品を選べる仕組みを作る
参考:ECサイトの売上を飛躍的に伸ばす3大施策「集客・接客・追客」の全手法
1.UGC(ユーザーの生の声)を活用する
D2Cではユーザーのクチコミ・レビューなどのUGCを活用することが成功のカギを握ります。
現代の消費者の購買スタイルは変化していて、UGCを元に購入を決める方が増えてきています。
特にD2Cの場合はオンラインで商品を販売するのが基本で実際に手にとってもらうことが難しいです。だからこそ、利用者が実際に試した「使用感」や「サイズ感」など顧客の生の声であるUGCが効果的です。
UGCを増やすためには以下の方法が挙げられます。
- ハッシュタグなど独自のキーワードを決める
- SNS投稿をしたユーザーに対してプレゼント企画を行う
- UGCをブランドの運営元がシェアする仕組みを作る
UGCの形成で参考になるのがアクションカメラブランドの前述した「GoPro」の事例です。
GoProを使った投稿を行うことで「プレゼントがもらえる可能性がある」というメリットを提示するだけでなく、素敵な写真はGoProの公式アカウントで紹介する流れをつくり、自然とUGCが集まるような仕組みを構築しています。
2.顧客とのコミュニケーションを重視する
D2Cブランドを成功させるためには、一方通行な情報発信よりも、顧客との双方向的な顧客とのコミュニケーションを重視しましょう。
先に上げた「UGCの活用」にも繋がる話ですが、顧客との距離が近いD2Cこそ、顧客の声・ニーズを吸い上げて、企画・サービス改善を進めることが大切です。
実際の事例ではコミュニティを構築したり、SNSを活用して顧客とのコミュニケーションをはかっています。
例えば「ベースフード」の事例では優良顧客をコミュニティーに招待し、メンバーを「研究員」と呼ぶなどして企業と顧客が商品を協力して作る体制を構築しています。
また「COHINA」の事例からわかる通り、顧客とコミュニケーションを取ることは企業の成長や売り上げアップに直結します。特にSNSは登録やコンテンツ発信自体は無料で行うことができます。
参考:【成功事例あり】売上アップにつながる企業のSNS活用方法を徹底解説
SNSキャンペーンで失敗したくないあなたへ!7つの事例に学ぶ成功のコツ
SNSマーケティングとは?6つの事例から学ぶ始め方と成功させるコツ
3.顧客が自分にあった商品を選べる仕組みを作る
D2Cでは商品をただ販売するだけでなく、「顧客にあった商品を提供する仕組み」「顧客が商品をカスタマイズできる仕組み」を構築することが大切です。
近年、消費者の消費傾向は大きく変化しており、これまでは大量消費を狙う販売方法でしたが、物があふれる現代では「消費者のライフスタイル」に合わせた商品やサービスが好まれているからです。
消費者自身が自分に合った商品を選べるようにするには診断結果によりパーソナライズされた商品を提供する「FUJIMI」や、試着したい服を注文し、欲しい商品だけ手元に残し購入できる「kay me」のように商品をカスタマイズして自分の思い通りの商品を手に入れるD2Cブランドが企業を成長させることに成功しています。
このように、顧客自身が本当に欲しい商品を提供できる仕組みを作ることがD2Cの成功の鍵となります。
パーソナライズやカスタマイズ性を行う場合は顧客理解を先に行う必要があります。
以下の記事では顧客理解や分析について紹介しているので参考にしてみてください。
参考:ユーザーインサイトとは?隠れた本音を見抜くの3つの手法とたった1つのコツ│LISKUL
売上アップに重要な「顧客分析」6種の方法と最新トレンドを解説│LISKUL
購買データとは?分析するメリットや導入しやすい代表的な購買データを紹介│LISKUL
アンケート調査の5つのステップ【アンケート作成のテンプレ付き】│LISKUL
アンケートの活用事例8選から学ぶ、成果を最大化させる6つのポイント│LISKUL
D2Cに関するよくあるご質問
D2Cでお悩みの方に役立つQ&Aをまとめています。
Q.D2Cとはなんですか?
A.D2CはDirect to Consumerの略で、「商品のメーカーが直接消費者と取り引きをする」という意味の言葉です。製造者が自社ECサイトで商品を消費者に直接販売するため、販売業者を介さない点が特徴です。
Q.D2Cのメリットはなんですか?
A.仲介がないため収益性が高い点や、売り方の自由度が高い点がメリットとして挙げられます。メーカーが顧客データを収集できる点も魅力的で、蓄積されたニーズなどから新しいプロダクトの開発へ繋げられます。
Q.D2Cのデメリットはなんですか?
A.販路の開拓にコストがかかる点がデメリットとして挙げられます。販売ノウハウがない場合はいちから構築していかなければならないため、D2Cビジネスが軌道にのるまでに時間がかかることも考慮しておく必要があるでしょう。
Q.D2Cブランドがマーケティング戦略を構築する際の考慮点は?
A.D2Cブランドのマーケティングでは、ターゲットオーディエンスに合わせたパーソナライズドなメッセージングが重要です。また、オンライン広告、SEO、コンテンツマーケティングなど、デジタルチャネルを中心に戦略を展開することが多いです。
Q.D2Cブランドが価格設定を行う際の戦略は?
A.価格設定では、ブランドの価値提案、競合分析、顧客層の購買力を考慮する必要があります。D2Cでは、直接販売のため中間マージンが削減される分、品質を保ちつつ競争力のある価格を設定することが可能です。
まとめ
この記事では、D2Cブランドの成功事例や成功させるためのコツについて解説しました。
D2Cビジネスで成功をおさめている企業は、どの企業も「ユーザーの声(UGC)」を上手く活用しています。
D2Cは製造者である企業と消費者である顧客が直接つながることのできるビジネスモデルです。こうした「顧客とのコミュニケーションのとりやすさ」を生かすことがD2Cを成功させるポイントです。