自社ECでの成功事例9選を紹介!事例に共通する成功ポイントも解説

自社EC 成功事例

「自社でECサイトを立ち上げても成功できるか不安」
「自社ECサイトで成功した他社の事例が知りたい」

上記のように、自社ECサイトは成功できるかどうか悩んでいる方は少なくないはずです。実際に自社のEC事業を立ち上げるにあたって、自社ECサイトがうまくいかないとどうしようという悩みはどうしても付いてくるものでしょう。

この記事では、自社ECサイトで成功を収めた9つの事例と、その成功事例から共通する成功ポイントをご紹介します。EC事業の中でも、とくに市場規模が大きく参入している企業が多いアパレル業界と食品業界の事例をメインで紹介しています。

導入事例を参考にしていただくことで、自社のEC事業に少しでも活かすことができれば幸いです。


アパレルECの成功事例4選

EC業界の中でも、とくに市場規模が大きいのはアパレルECです。

アパレルECの中でも、自社でECサイトを立ち上げて大きな成果を挙げて成功している4社の事例を挙げながら、各社が実施した取組みや具体的な施策について説明します。

立ち上げ5年で月間UU250万人!福井発メンズファッション「Dcollection」

2009年に創業したDcollectionは、自社ECサイトを中心にメンズファッション事業を展開しています。

Dcollectionの最も特徴となるのが、「オシャレの教科書」というオリジナルコンテンツを自社オウンドメディアにて展開し、多くの潜在的なお客様へアプローチできたことです。

これは、2014年からコンテンツ拡充を進め、現在では月間400万PV以上のメディアにまで成長し、アパレルのECサイトとは思えないほど非常に強大なメディアとして成長をしています。

2019年2月の時点では年商10億円も達成したDcollectionは、独自のオウンドメディア設計からオリジナルコンテンツの制作まで一貫して管理し、ユーザーとのコミュニケーションツールとして展開しつつも、検索上位対策であるSEOや、自分のスタイルをチェックできる診断コンテンツのようなユーザーエクスペリエンス面でも差別化を実現しています。

もちろん、そのコアコンテンツとなるオウンドメディアと同時にSNSやWeb広告もともに駆使したり、近年は動画コンテンツの活用も目立っていることから複数のデジタルコンテンツをマルチ化し、EC事業に活かしています。

参考:福井発メンズファッションEC「Dcollection」はなぜ成功できたのか (1) | TECH+(テックプラス)
   ファッションEC「Dcollection」がfutureshopに戻った理由とは?解約から再契約までの経緯を本音で語る
   まず“相手の立場で考えること”。月間400万PVの福井県のアパレルECサイト「Dcollection」が大切にすることとは?    
   

子供服の常識を覆す!年商100億を目指す「dev!rock(デビロック)」

dev!rock(デビロック)は、2008年に誕生し、当初は韓国から子供服を買い付けたものをECサイトにて販売したことから始まりました。

その後、2013年より自社オリジナルの商品開発・販売を開始したことがきっかけで、事業として急成長しています。

社会的意義や社会的価値を重視していく企業カルチャーで世の中の親と子の幸せな時間をつくるというビジョンを掲げながら、ブランドとして提供できる価値定義と存在意義を常に追求しています。

そのdev!rock(デビロック)は、ブランドのアップデートに励みながら、検索エンジン最適化(SEO)対策を強化しました。具体的には、マーケティング会社と組んでユーザー分析を取り組み、それに合わせてサイズガイドを充実させるなどの施策を行いました。

結果的に、2021年8月期の売上高は、子供服ながらも45億8000万円で前期比11%増加し、自社EC比率も20%近くまで高まっています。

また、よりEC事業のオペレーション体制を強化し、全社横断的に現場効率に課題がある部署間の問題点を整理・解決して、最終的に経費構造の改革と営業利益の改善に活かしたことも、成功した要因と言えます。

参考:子供服EC「デビロック」 売上高100億円目指し「第二の創業」 提供価値や生産、評価制度を刷新 | 繊研新聞
   本当の意味で世の中から1番必要とされるブランドになる|グロウのこだわりと想い Vol.4:取締役編 | READY TO FASHION MAG    

作業着のイメージからもう脱却!9つのブランドを展開する「ワークマン」

ワークマンは、群馬県に本社を置くベイシアグループの一員で、その名が有名になったきっかけとしては現場作業や工場作業向けの作業服および関連用品の専門店でスタートしたことです。

かつて作業服業界は、ほとんどがBtoBで展開していて個人が気軽に買い付けることは多くありませんでした。そこにワークマンは着目し、法人向けの営業スタイルを捨て、個人向けの営業スタイルに切り替えたことが、のちにEC事業の成長にもつながります。

そのワークマンのEC事業の始まりは、2014年3月期からEC販売を開始し、現在では作業服および関連用品のみならず、アウトドア関連商品や女性アパレルまで、幅広いターゲットに対してアプローチをかけています。

そのワークマンのECだけの売上高は現在だと20億円以上であり、EC事業の成功要因として挙げられるのが動画コマースとアンバサダーマーケティングです。

具体的には、「workman ムービー」という動画コンテンツをリリースし、アンバサダーによる商品紹介動画や、共同開発アイテムをアンバサダー本人が解説する動画コンテンツの発信などを行いました。

その動画コンテンツでは、タップすると概要や動画内で紹介している商品が紐付けされることで、商品ページへリンクし、ECサイトを経由する手間もなく気になる商品をチェックしたり買うことができます。その結果、CVRは通常の約3倍まで成長しました。

参考:【ワークマン仕掛け人・特別講義】頑張らないで4000億円の空白市場が自動的に生まれた!「ワークマン式7つのなぜ」とは? | ワークマン式「しない経営」 | ダイヤモンド・オンライン            
    リアルなビジュアルをフル活用! ワークマンのアンバサダーマーケティングに学ぶECコンテンツ充実術 | 【レポート】デジタルマーケターズサミット2022 Summer | Web担当者Forum
    【3分で理解】ワークマンの経営・差別化戦略を分析!ブルーオーシャンの見つけ方とは | 集客・広告戦略メディア「キャククル」

設立から6年で年商38億円を達成した女性アパレル「Ameri VINTAGE(アメリ ヴィンテージ)」

2014年に誕生したAmeri VINTAGE(アメリ ヴィンテージ)は、かつての女性アパレルブランドとは異なり、特定のブランドやデザインにこだわらず、ジャンルやラインナップに自由な選択をもたらすことによって、顧客の好み幅を広げています。

Ameri VINTAGE(アメリ ヴィンテージ)の主な顧客層は20〜30代の女性となっていて、その顧客層を狙って有名ブランドともコラボレーションを実施しています。Ameri VINTAGE(アメリ ヴィンテージ)は現在国内に4店舗のオフライン店舗も運営していますが、売り上げの7割はEコマース領域となっていて、ネットに慣れているターゲットの顧客層とも相性がよいです。

2014年に誕生し、わずか6年で年商38億円を達成するほど驚異的なスピードで成長できた成功要因としては、SNSのマーケティングが挙げられます。競合他社や他ブランドと比較しても、非常に早い段階でInstagramの施策を実施しました。

ビジュアルに特化した撮影物の掲載、また写真のクオリティを圧倒的に上げることによって、アメリヴィンテージが持つ世界観とリンクさせることで注目を浴び、ユーザーの興味をそそる施策にいち早く転じました。

ただ、SNSマーケティングだけ頑張った結果売上が上がったということは決してなく、ブランドそのものの磨きにしっかり取り組むことが前提にあるそうです。たとえば、「アメリ」という名前の由来も『3文字の法則』を使ったり、ターゲット層に響くコンセプトづくりなどです。

その結果、誕生から6年で年商38億円と早い段階からたくさんの顧客に愛されるブランドとなり、また、新たな挑戦としてコスメブランドのローンチにも積極的です。

参考:大阪進出を果たしたAmeri VINTAGEの現在地とその先。 | ガールフイナム
    貯金30万円から6年で年商38億円。AMERI黒石奈央子が覆したアパレル界の常識 | Business Insider Japan
    黒石奈央子が手がけるAmeri、「泥臭い6年間」と「したたかな戦略」 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
   【AMERI・黒石奈央子1】貯金30万から年商40億円のブランドつくったアパレル社長。定番商品なし、インフルエンサーも起用しない | Business Insider Japan


食品ECの成功事例3選

食品業界では、かつての一昔前と比較するとそのEC展開は飛躍的に上がっています。近年それを後押しした要因の一つとしては新型コロナウイルスの影響や、デジタルデバイスの進化などが考えられます。

自社ECサイトで食品ECを展開し、大きく成長につながった2社の事例を挙げながら、各社が実施した取組みや具体的な施策について説明します。

また、事例のほかにも食品ECを成功に導く戦略についても把握しておくことが重要です。

SEO対策でアクセス1.5倍増!福岡定番のお土産「もち吉」

もち吉は福岡県直方市に本社を置く米菓子の製造と販売を行う企業で1929年創業の約100年続いている伝統のある企業です。

そのもち吉は、「米よし・水よし・技もよし」のキャッチフレーズで地元では長く広く愛されていて、特にお祝いや贈り物として大変人気で定番となっています。

もち吉が自社ECサイトを立ち上げたのは2014年で、会社の売上規模としては226億円(令和5年2月)です。通販売上は約25億円で全体の売上の約10%を占めていて年々成長しています。

成功要因となった施策の1つに顧客の電話番号とひも付けた「LINE」のターゲティング広告の活用があります。過去に注文したことがある顧客に対して広告配信をし、結果的にメインターゲット層からのリピート購入につなげることができました。

また、地元企業とのSNSプロモーションを積極的に実施したことも成功した理由です。たとえば、地元の不動産屋や理髪店とコラボし、Twitter先企業のアカウントをフォロー・リツイートすることで、抽選で賞品が当たるという企画を実施しました。結果的に6,000以上リツイートがされ、認知拡大につなげることができました。

もち吉の自社ECサイトでは、新型コロナウイルスの影響により、「巣ごもり需要」が拡大し、2020年の4月から8月までのEC売上は前年同期間比40%増となったなど、食品業界のECでも時代の変遷にともないしっかりとその需要が伸びて成功につながっていることも読み取れます。

参考:もち吉 22年2月期/通販売上は25億円/SNS活用の販促が奏功(2022年5月12日号) | 通販 | 日本流通産業新聞 | 日流ウェブ
   米菓EC「もち吉ネット本店」、検索対策でアクセス1.5倍に【リニューアルのポイント】 | 日本ネット経済新聞|新聞×ウェブでEC&流通のデジタル化をリード
    もち吉、通販売上は5%増の25億円 SNSプロモーションが奏功 | 日本ネット経済新聞|新聞×ウェブでEC&流通のデジタル化をリード

モール脱却5年で売上1.7倍アップ!北海道をお届けする「最北の海鮮市場」

最北の海鮮市場は、北海道で採れた農産物や海産物、畜産物を自社ECサイトで販売しています。1999年にEC事業を立ち上げた当初は、ECモールを主な舞台として売上高の約70%をECモールが占めていました。

そのECモール中心の最北の海鮮市場が、自由度が高い自社ECサイトにリソースを集中し自社ECサイトに専念するために2013年まですべてのECモールから撤退し、現在は自社ECサイトのみで経営を続けています。

自社ECサイトに専念した理由は、ECモールのランキングのロジックやアルゴリズムに囚われすぎてしまい、お客様に向き合えていないことに危機感を感じてしまったことです。そのため、満足できる店舗運営を実現するために、自社ECサイトに専念することが決まりました。

自社ECサイトに完全にシフトチェンジした2014年以降は、自社ECサイトのコンテンツとしてトウモロコシやジャガイモなどが育っていく過程を記事にした「生育日記」などのオリジナルコンテンツを自社メディア「北海道へ行こう」に掲載して大きな反響を得ています。

その結果トウモロコシなどをそのコンテンツから購入、予約に転じさせる施策を成功に、自社ECサイトの売り上げは5年間で約1.7倍にまで成長しています。

面白い点としては、その「生育日記」で購入したり予約したものの成長過程をコンテンツ化し、メルマガなどで通知することによって実際に手元に届くまでの期間を楽しめるのがこの施策の魅力です。

参考:自社EC成功事例|最北の海鮮市場が売上を伸ばし続ける理由 | E-Commerce Magazine

ローンチから5年で累計150万食を突破した宅食事業「Muscle Deli(マッスルデリ)」

マッスルデリ:ファーストビュー引用:Muscle Deli マッスルデリ | ボディメイクを食でサポート

「Muscle Deli(マッスルデリ)」は株式会社Muscle Deliが手がけるサブスクリプション型の宅食サービスです。2017年から始まったサービスですが、2022年には累計で150万食を突破しています。

同社では「ユーザー視点に立ったサービス展開」を重視したEC運営を行っているのが特徴です。ユーザーに良質なサービスを届けることで、良い口コミが広がり、新規顧客獲得につながっていくという考えが根底にあります。

ユーザー視点でのサービス展開を実現させた施策の一例が、ECサイトシステムのリプレイスです。

同社では当時、カスタマーサポートの面で、以下のような複数の課題を抱えていました。

  • カスタマーサポートのオペレーションが整備されておらず工数がかかっていた
  • 解約フローが複雑でユーザーの負担が大きかった
  • 解約時に深いヒアリングをしてユーザーからの印象を悪化させていた

業務工数の圧縮と解約に伴うユーザー負担を軽減させるため、ECサイトシステムをこれまで使っていたシステムから「ecforce」へと移行しました。

移行とともにチャットボット機能「ecforce chat」を導入し、3か月間で以下の成果を創出しています。

  • カスタマーサポートの工数を52.2%削減
  • 解約改善率7.5%

ecforce chatではサービスを利用してほしいユーザーや、長期的に継続してくれるユーザーをecforceのサポートチームと一緒に考えてシナリオの設計をしていったといいます。

ノーコードで使えるわかりやすいUIであるため、設定業務やシナリオ修正がスムーズだったことも3か月という短い期間で工数を大きく圧縮できた要因です。

また、ecforce chatを導入したことで、解約理由に合わせてサービスを一度スキップする提案や、プラン変更などの提案が可能になりました。これはカスタマーサポートの工数が圧縮されたことで実現できたことです。

シーズンごとに再開されるユーザーに対して、解約以外の提案を実施し、手続きの負担を軽減できるようになったため、ユーザーからのポジティブな声を集められるようになっています。

同社ではMuscle Deli以外にも、ユーザーにパーソナライズされた食事を提供する宅食サービス「YOUR MEAL(ユアミール)」を展開していますが、こちらでもecforceを導入して、パーソナライズ販売を実現させています。

参考:カスタマーサポートの工数52.2%削減&解約改善率7.5%。ユーザーと共にサービス進化をする「Muscle Deli」がecforceを使う理由。 | 企業様のecforce導入事例をご紹介

ecforce chat

本事例は「ecforce chat」というチャット機能を用いた成功事例です。チャットボットがユーザーからの問い合わせを自動で応答するので、本事例のようにカスタマーサポートの工数肥大に対して有効です。Webサイト上でユーザーが疑問や懸念点を電話をせずに解消できるので、成約率や顧客体験が向上します。

「ecforce chat」はECサイト構築サービス「ecforce」のオプション機能のため、「ecforce」を導入することで利用できます。

「ecforce」にはチャット機能だけでなく、LP作成や顧客データ分析、かご落ち対策など、EC運用に役立つ機能が備わっています。

EC運用担当者なら誰もがいずれはやりたいと思う施策に対応でき、ECサイトのフェーズに合わせてコストをコントロールしながら展開できます。


その他ECの成功事例2選

その他の業界から自社ECサイトを立ち上げて成功した2つの事例について説明していきます。

3億円赤字を自社ECサイト構築によって1年で黒字化!福岡からインテリア「LOWYA」

LOWYA
引用:LOWYA

LOWYAは福岡市に本社を置く株式会社ベガコーポレーションが運営する家具専門のECサイトとなります。そのLOWYAは、トレンド性の高い商品を低価格で販売するビジネスモデルを採っていて、2004年ECモールからEC事業をスタートしました。

2006年にLOWYAは自社のECサイトを立ち上げ、オムニチャネル化を推進しました。現在では、その自社ECサイトからの売上比率が50%以上まで成長しています。

ここまで自社ECサイトを成長させ、事業全体を成功へ導いたポイントとしては、徹底したLOWYAというブランドの磨きと、SNS活用や検索エンジン最適化のSEO対策、また商品ページ内に充実したコンテンツを設ける施策となります。

2015年当時の自社ECサイトにおけるユニークユーザー(UU)数は月15万UU、月商は2,000万円を達成し、2020年3月期の売上高は前期比1.9%増の135億700万円、営業損益は1億1600万円へと成長させ、前期の営業赤字から、1年で黒字転換を果たすことができました。

特に家具業界だと、ほとんどの場合が購入までには実物を見て触っての確認作業を経て購入まで至るケースが主流ですが、これをいかにデジタル上で疑似体験とイメージが持てるかに焦点をあてることで自社ECサイトの成功へつながるポイントとなるでしょう。

参考:モール依存から自社EC売上比率5割のカギは「ブランディング」。家具EC「LOWYA」の自社ECシフト&SNS活用などの大改革事例 | ネットショップ担当者フォーラム
   LOWYAから学ぶ!家具D2Cで成功するポイントやブランド戦略を紹介 | ShopifyECサイト制作・アプリ・運用・越境EC等の情報をお届け|Shopify experts-Shopi Lab(ショピラボ)   

SNS施策でリーチが300万以上にも!お花を全国へ!「日比谷花壇」

日比谷花壇は、東京都港区に本社を置く草花小売企業です。

リテールショップと同様に、人と人との想いをフラワーギフトに託しビジネスの展開をし、その歴史は非常に長く、1872年から続く日比谷花壇は、生花ながらもEC事業へ参入は非常に早いものでした。

オンラインでの商品販売開始したのは1980年代のキャプテンシステムへの出店が始まりであり、今では、会社の売上規模174億円(2021年9月期)からEC事業が占める割合として、直近では年間約20億円の売上を確立しています。

生花を扱う特殊なEC業界ながら、自社ECサイトを展開して成功となった要因としては、顧客に愛されるための仕組み化を実現した運営方針にあります。

日比谷花壇の自社ECサイトでは、顧客一人ひとりの行動情報をAIで分析してレコメンドを出せる、「アイジェント・レコメンダー」を導入し、よりリアルタイム性を強化することによって、「どのシーンで」、「どのような花がよいのか」を提案してくれる技術があります。

具体的には、顧客がサイト内で行った数クリックからニーズを分析をし、適切な商品をレコメンドします。過去の行動履歴からではなく、リアルタイムの行動から分析を行うことで、顧客の今の気持ちに寄り添った花探しができるようになりました。

これらによって、レコメンドが顧客の商品探索の主要導線となったことは、サイト離脱率の減少やCVR、LTV向上にもつながり、顧客との関係性はもちろん売上拡大へとなったのではないでしょうか。

その他、ユーザー参加型のSNS施策にも積極的で、ハッシュタグを付けて投稿してもらうユーザーへのキャンペーンなど、その新規顧客獲得にも励んでいます。

参考:EC成功事例:日比谷花壇の挑む、花のパーソナライズ戦略 | SILVER EGG TECHNOLOGY
   “やるべきことはやりつくした” 生花ECのパイオニア 日比谷花壇が次に仕掛ける戦略とは | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
   日比谷花壇 | Web広告のPDCA最適化でCPA圧縮とCV120%改善を実現!大型施策実施では300万リーチを達成 


事例から学ぶ自社ECで成功するためのポイント4つ

紹介した各ジャンルごとの各企業の自社ECサイトのように、成功した自社ECサイトの成功事例から見えてくるのは、それぞれが確固としたデジタル戦略と顧客とのコミュニケーション設計、また独自のブランド力アップに取り組むなどを行っていたという共通点ではないでしょうか。

その具体的なポイントについて、以下で説明していきます。

自社アイテムをどう売るか戦略を立てる

商品やサービスの魅力だけでなく、それをどのように顧客に伝え、売り込むかという戦略は非常に重要です。ターゲットに合わせたマーケティングはもちろん、自社の商品や名前のブランディングなど、商品がより売れるための戦略を立てることが必要です。

実際にアメリヴィンテージの成功事例でも、ノーカテゴリー戦略をもって幅広い顧客にアプローチをかけながらも、ターゲットと市場を絞りあえて定番アイテムを置かない戦略を用いています。

また、最北の海鮮市場では、ECモールでの販売を徐々に脱却していき、そこから自社ECサイトで収益化アップを目指すべくオリジナルコンテンツを量産していく施策に積極的に取り組んでいます。

競合と比較しての自社の強みや周辺環境を踏まえた時の魅力を把握していくためには、3C分析を取り入れると客観的評価ができるでしょう。

また、どのようなマーケティング施策を展開するかという点については、4P分析を取り入れながらサービスの届け方にしっかり向き合い、SEOやSNS、広告を顧客層に合わせていくと効果的といえます。

参考:営業戦略とは?売上目標を最大化する戦略の立て方と活用すべきフレームワーク

ユーザーの視点やニーズを分析

自社ECサイトの成功には、顧客となるユーザーの視点やニーズを深く理解し、それに基づいたサービス提供が必要です。ユーザーの行動パターンをデータ分析し、彼らが何を求めているのかを見極めることが重要です。

ワークマンの成功事例では、かつての法人向けから個人向けに切り替え、また個々の個性やライフスタイルを支えるニーズに答えるべく、発想や常識を覆す女性ユーザーを伸ばしたり、動画コンテンツが伸びてくるトレンドに合わせたユーザーインサイトの追求する施策があります。

また、もち吉では、40代から60代のコア顧客層に親しまれるSNSであるLINEに施策媒体として積極的に取組み、また、検索してくるユーザーによりリーチできるようなSEO対策やECサイトのリニューアルがありました。

ユーザーのニーズや購入までの行動パターンを分析し、細かいシーンにおける施策は自社ECサイトを展開するうえだと必要不可欠です。自社ECサイトでのユーザーの購入までのストーリーを設計し、アプローチ方針を客観化するとよいでしょう。

参考:顧客インサイトを見抜くための基本と、すぐに実践できる調査方法のまとめ
  5分でわかるカスタマージャーニーとは?取り入れ方や分析のコツを事例とともに解説

使いやすさと購入率アップを狙うためのページ設計

自社ECサイトにユーザーが流入してきて、ECサイトそのものをスムーズに利用でき、また簡単に購入に至れるページ設計は、購入率を向上させるための重要な要素です。サイトの使いやすさを追求し、UXを向上させることで、購入率のアップが期待できます。

メンズECサイトのDcollectionのようなオウンドメディアに積極的に取組み、そこから流入してくるユーザーに疑似体験のできるコンテンツを設けることによって実際に購入までの導線やECそのものに使いやすさが生まれる効果があるでしょう。

また、LOWYAでは商品ページにSNSの投稿状況や動画コンテンツをもって、実際の家具イメージを持ってもらうページ設計となっていてよりイメージしやすく、また購入に後押しするコンテンツが設計されています。

自社のECサイトでは、TOPページよりも各々の商品ページが重要であり、商品の詳細情報はもちろん、ビジュアルや文字の見やすさ、デザインは購入率を左右します。また、そこからカートに入れたり購入までの複雑な操作がないことは、顧客の離脱防止にもつながりますので、必ず意識していきたいポイントとなります。

新規顧客とリピーターに親しまれる運営体制を構築

自社ECサイトの運営では新規顧客を獲得するだけでなく、リピーターを増やすために、顧客サービスやアフターサポートなどの運営体制が重要です。顧客が安心して購入でき、また購入したいと思えるような運営体制を構築することです。

子供服のデビロックのようなオペレーション体制を強化することによる経費構造の改革と営業利益の改善や、自社の社会的意義と価値をブランドとして育てながら顧客とのコミュニケーション設計の体制を大切にし強化していくことは、顧客にとっては信頼できるECというイメージへつながるでしょう。

また、顧客に最適な購入を促すためのAI技術を導入したり、リアルタイムで満足度を保つための体験コンテンツの強化はリピーターにつながる施策ともいえます。

せっかく良い戦略と施策を展開していっても、そのマーケティングやオペレーションの管理体制が甘いと事業再現性が低くなり、ECの運営に効率が生まれないでしょう。

運営主体が自社ではなく、専門業者に外部委託する場合でも定期的にECサイト全体の数値の推移におけるレポートや施策の効果検証を残していく体制は、より成長への近道となります。


まとめ

本記事では、自社ECサイトで成功を収めた9つの事例と、その共通の成功ポイントを解説しました。自社ECサイトを立ち上げゼロから成功への道のりは決して容易ではありません。

各ジャンルの自社ECサイト事例からわかった、以下のポイントを参考にして、自社のECサイト運営に役立ててみてください。

自社ECサイトを成功させるためのポイント4つは以下の通りです。

  • 自社アイテムをどう売るか戦略を立てる
  • ユーザーの視点やニーズを分析
  • 使いやすさと購入率アップを狙うためのページ設計
  • 新規顧客とリピーターに親しまれる運営体制を構築

ユーザーの視点を理解し、適切な戦略を立て、使いやすいページ設計をすることで、あなたのビジネスも大きな飛躍を遂げることができるでしょう。