請求書をペーパーレス化するメリット・デメリットと実現するための7ステップ

請求書 ペーパーレス化

請求書のペーパーレス化とは、請求書の発行から送付・受領・保管までの一連のプロセス、または一部のプロセスをデジタル化することです。

紙媒体から電子データに切り替えることによって、コストの削減や業務の効率化など多くのメリットがあります。

2024年1月で宥恕(ゆうじょ)期間が終了する電子帳簿保存法によって、電子取引で得た請求書のデータを印刷して保存することができなくなったことで、ペーパーレス化に乗り出す企業も増えていると増えています。

しかし、ペーパーレス化とはどのようなものかイメージできていない方や、具体的にどのように進めてよいかわからない方、ハンコ文化の自社にも適用できるのか不安という方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、請求書のペーパーレス化についての基本、メリット・デメリット、進め方、注意点などを一挙にご紹介します。請求書のペーパーレス化をご検討中の方は、ぜひご覧ください。

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目次

※本記事はSansan株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。


請求書のペーパーレス化とは、一連の請求業務を電子データで行うこと

請求書のペーパーレス化とは、伝統的な紙ベースの請求書処理に関連する業務をデジタル化するプロセスです。

請求書の発行、送付、受領、確認、保管を電子化することで、ペーパーレス化を実現します。

請求書の電子化

ペーパーレス化は、紙の使用を削減できるだけでなく、郵送ではなくデータをメールなどで送信することで、コストと時間を削減したり、紙ベースの請求書の紛失や誤処理のリスクを減少させたり、業務の透明性を高めることもできます。

ペーパーレス化の目的は、コスト削減や業務効率化など

ペーパーレス化の主な目的は、コストの削減、業務効率の向上、透明性の向上、環境負荷の軽減です。

コスト面では、紙、印刷、郵送、保管に関連する費用を削減できます。

業務効率の面では、電子データの迅速な検索と処理が可能になり、作業時間を短縮できます。

さらに、紙の使用量の削減は環境にやさしい業務プロセスに貢献し、企業のサステナビリティーイニシアティブを支援します。

参考:900時間の請求書スキャン作業をゼロにした「Bill One」

ペーパーレス化が進んでいなかった3つの理由

ペーパーレス化が進まない理由は多岐にわたりますが、日本では文化的な慣習を含む3つの要因が考えられます。

1.日本の根強いハンコ文化

日本では、ハンコがビジネス文書の正式性を保証するために広く使用されています。

この文化は、ペーパーレス化の導入を妨げる大きな障壁となっており、紙ベースの文書への依存や、デジタル化を遅らせている一因となっています。

2.紙媒体は直感的で永続性が高い

紙媒体は直感的であり、使い手を選びません。また、紙は電子媒体に比べて、より確実な永続性を持っていると考えられています。

紙は技術的な障壁が少なく、長期間にわたって情報を安定して保持できるため、重要文書の保存媒体として信頼されているからです。

しかし、これらの要因がペーパーレス化への移行を遅らせている可能性が考えられます。

3.IT関連技術的な制約

ペーパーレス化を行うためには、もちろん電子データを扱うPCなどの設備や、それを利用する技術が求められます。

今日では、PCを全く利用していないという企業は少ないかもしれませんが、その利用頻度は業界や企業によっても大きく異なりますし、積極的な利用に難色を示す人もいるのが現実です。


請求書をペーパーレス化するには電子帳簿保存法を守る必要がある

日本において請求書のペーパーレス化を進めるにあたり、電子帳簿保存法の遵守は重要です。

これは、デジタル化された商業文書の法的有効性と信頼性を確保するために不可欠な法律です。

特に、近年の改正電帳法(改正電子帳簿保存法)は、電子化された文書の取り扱いに関してより詳細な規定を設けています。

参考:電子帳簿保存法をわかりやすく解説!活用メリットと申請の流れ│LISKUL
   電子帳簿保存法に対応した請求書の取り扱い方について徹底解説│LISKUL

要件1.データの完全性と不変性の確保

デジタル化された請求書が改ざんされることなく、原本としての価値を保持することが重要です。これにより、文書の真正性と法的有効性が確保されます。

主な対策としては以下のようなものがあります。

  • 電子署名の利用
  • タイムスタンプの付与
  • データの暗号化

可読性の確保

保存された請求書がいつでも正確に読み取られ、必要に応じて物理的な形式に変換できることが必要です。これは、文書のアクセシビリティと実用性を保証するためです。

対策例は以下のとおりです。

  • 汎用フォーマット(例:PDF)の使用
  • 高解像度での保存

管理システムの適切な設定

電子文書のセキュリティとアクセス制御を確保することが重要です。これにより、文書の不正使用や漏洩を防ぎ、企業の情報保護を強化します。

主な対策例は以下です。

  • アクセス制御の強化
  • 定期的なバックアップ
  • 監査証跡の維持

ペーパーレス化にかかる費用の一例

ペーパーレス化にはさまざまな初期投資が必要です。これには電子文書管理システムの導入や、サーバ費用やソフトウェア購入費、従業員へのトレーニングなどが含まれます。

コストは、システムの規模や複雑さ、企業の規模によっても大きく異なります。

また、これらのシステムの維持には、継続的な技術サポートやアップデートに関連するコストも考慮する必要があります。


請求書をペーパーレス化するための2つの方法

請求書のペーパーレス化には、「紙の請求書をスキャン保存する方法」と「電子データでの受領・保存」の2つの主要な方法があります。

電子帳簿保存法の要件を遵守する点で考慮した場合、「電子データでの受領・保存」の方が優れていると言えます。データの完全性と不変性を確保しやすく、法的要件への適合がスムーズであるためです。また、電子データはその性質上、保存や管理が効率的であり、法的な文書としての信頼性を維持しやすい点が大きな利点となります。

紙の請求書をスキャン保存

紙の請求書をスキャンしてデジタルフォーマットに変換し保存する方法です。

この方法のメリットは、物理的な保存スペースを節約できることと、既存の紙ベースのシステムと容易に統合できることです。

しかし、スキャンする手間とコストがかかり、文書の品質や可読性がスキャンの質に依存するというデメリットもあります。

電子データでの受領・保存

請求書を電子的に受け取り、デジタルで保存する方法です。

この方法は、効率的なデータ管理と処理が可能であり、データの不変性と完全性の確保が容易というメリットがあります。

一方で、電子請求書システムの導入と整合性が必要であり、法的要件や標準の理解と適用が求められるというデメリットが存在します。


ペーパーレス化を実現する7ステップ

ペーパーレス化を成功させるためには、計画的で段階的なアプローチが必要です。

以下は、ペーパーレス化を実現するための主要なステップです。

1.ペーパーレス化の目標を設定する

ペーパーレス化の実行が決まったら、まずはペーパーレス化の目標を設定しましょう。

ここでは、具体的に何を達成したいか(コスト削減、効率向上、リアルタイム分析など)を明確にすることが重要です。

この目標に応じて、導入するソリューションが変わる可能性があります。

2.適切な請求書管理システムを選定する

目標が決まったら、適切な請求書管理システムを選定しましょう。

基本的には、機能と企業の規模の両面から絞り込みを行います。

請求書管理システムの種類や具体的な比較については以下の記事をご確認ください。

参考:【2023年最新版】請求管理システム比較40選と選び方の3つのポイント

請求書管理システムは、主に以下の3種類にわかれます。

  • 請求書の受領がメインのシステム
  • 請求書の発行がメインのシステム
  • 請求書の受領と発行の両方に対応した機能を搭載しているシステム

機能の一例

請求書管理システムと呼ばれるシステムには以下のような機能が搭載されているので、目的と照らし合わせながら、必要な機能を含むシステムを選定しましょう。

  • 請求書作成、発行、Web発行
  • 定期発行、作成予約
  • メール送付、FAX送信
  • PDF出力、ダウンロード
  • 独自テンプレート作成(ロゴ、印影など)
  • 入金消込
  • 売上レポート
  • 開封状況確認
  • 督促機能
  • 請求書の受領代行
  • 保管・経理対応機能
  • セキュリティ機能
  • スキャン代行
  • 請求書の検索

など

電子帳簿保存法は2024年1月で宥恕期間が終了し、要件を満たした形で請求書を電子保存しなければならないため、まずは請求書受領をペーパーレス化することを考えるのがよいでしょう。

例えば、請求書をオンラインで受領・保存できるシステム「Bill One」を使えば、電子帳簿保存法の要件を満たした請求書受領が可能になります。

「Bill One」について以下の記事で詳しくまとめてありますので、詳細を知りたい方はぜひご一読ください。

参考:インボイス管理サービス「Bill One(ビルワン)」とは。特徴・主要機能まとめ

基幹システムへの統合についてはベンダーに確認する

企業の規模が小さく、利用者が少ない場合には、発行から受領まで包括されているクラウドサービスを導入してしまうのが簡単です。

逆に大規模で既存の基幹システムとの統合をお考えの場合には、各ツールのベンダーに互換性があるか確認する必要があります。

3.実行計画を策定する

ペーパーレス化はシステムを導入したら完了とはいきません。

業務や取引先へのトラブルを避けるためには、段階的に実行したり、従業員のトレーニング期間を考慮したりする必要があります。

実行によるリスクは、規模や選定する方法やツールによっても異なるため、ツール選定時にベンダーに確認しましょう。

4.操作のトレーニングをする

実行計画の策定が完了したら、本番の請求業務に移行する前にテスト環境で試し、関係者が操作方法を覚えましょう。

システム導入時のサービスやサポート内容は、システムやプランによっても大きく異なるので、大規模な移行が必要な場合には詳しく確認しましょう。

5.社内のヘルプデスクを設ける

移行の際には利用者から多くの質問が飛び交うことが予想されます。

導入までに、社内のサポートデスクを設けておくことも重要なので、忘れないようにしましょう。

6.システムの導入と実装をする

テストで操作方法も覚え、ヘルプデスクも設けたら、いよいよ本番に導入しましょう。

はじめは既存のフローと並行して実行し、段階的に新たなシステムに移行することをおすすめします。

7.評価と機能を活用する

発行や受領といった基本的なシステムが機能していることを確認できたら、定期的な評価を行い、業務が改善されたかどうかを確認しましょう。

また、システムに含まれる分析機能などを活用することで、さらなる業務の改善を試みましょう。


ペーパーレス化4つの注意点

ペーパーレス化を進める際には、4つの重要な注意点があります。

1.セキュリティーとプライバシーの保護

電子データを扱う際に最も重要なことは、セキュリティーとプライバシーの保護です。

専用の管理ツールを利用しないでペーパーレス化を検討中の方は、保管する重要な文書への不正アクセスやデータ漏洩を防ぐためのセキュリティ対策にも気を付けましょう。

また、クラウドサービスを利用する場合、セキュリティ面は心配ないかもしれませんが、部署ごとに見られる書類を制限したいといった場合には、権限設定に注意しましょう。

2.データは必ずバックアップをとる

電子データは必ずバックアップをとるようにしましょう。

一般的にはクラウド上のサーバに保存することが増えてきましたが、クラウド上のサーバが必ず安全とは限りません。

不測の事態に備えて重要な文書はバックアップをとったり、災害などのトラブルを想定したリカバリープランを準備しておきましょう。

3.従業員への説明とトレーニングを怠らない

ペーパーレス化への移行は、少なからず従業員からの抵抗を生み出すことが多いです。

これを最小限に抑えるためには、ペーパーレス化の必要性を説明したり、十分なトレーニングとサポートを用意する必要があります。

4.スキャンして終わりではない

ペーパーレス化をスキャンするだけと考えている方もいますが、電子帳簿保存法の改正によって、そういう訳にはいかなくなりました。

電子帳簿保存法には、スキャナ保存にもタイムスタンプなどの要件があり、そのルールに則った形で保存する必要があります。

スキャナ保存の要件について詳しく知りたい方は、国税庁のパンフレットをご覧ください。

参考:【令和6年1⽉以降用】はじめませんか、書類のスキャナ保存|国税庁


ペーパーレス化の5つのメリット

おさらいとして、ペーパーレス化による代表的なメリットを5つご紹介します。

1.コスト削減

ペーパーレス化の代表的な利点の一つはコスト削減です。

紙、インク、プリンターなどの物理的な資材や設備にかかるコストが削減され、企業の運営コストを削減できます。

加えて、紙媒体の物理的な保管スペースが不要になることで、オフィスのスペースをより効率的に活用できるようになります。

特に、オフィス賃料が高い都市部の企業にとっては大きなメリットの一つと言えます。

紙の使用量を減らすことで、企業は紙の購入コストを削減できます。

これは業務上、書類の発行量が多い企業や、大規模な企業にとっては侮れません。

印刷

印刷コストには、インク購入費用、プリンター購入またはリース費用、メンテナンス費用、修理費用などが含まれます。

これらのコストを、ペーパーレス化によって大幅に削減できる可能性があります。

保管スペース

紙の請求書には物理的な保管スペースが必要ですが、電子請求書には必要ありません。

スペースを開放することで、デスクや会議室を増やすなど、必要に応じて他の目的に転用することが可能となります。

2.業務効率の向上

ペーパーレス化は業務効率の向上にも寄与します。

電子請求書は迅速にアクセスでき、管理も容易です。また、複数の部署や個人間での情報共有も簡単になります。

検索性の向上

デジタル化された請求書は、キーワードや日付などで簡単に検索できます。

これにより、必要な情報を素早く見つけることができるようになり、時間の節約につながります。

管理しやすい

デジタル請求書は、紙の書類よりも簡単に整理できます。

これにより、請求書管理の業務にかかる時間と労力を削減できます。

シェアしやすい

電子データは簡単に共有できるため、ペーパーレス会議などでの活用が可能です。

また、電子請求書の共有は、遠隔でのやりとりを前提としたリモートワークとの相性も抜群です。

3.透明性の向上

ペーパーレス化によって、ビジネスプロセスの透明性の向上も期待できます。

情報が機械的に記録される

電子的な記録管理システムを使用することで、請求書の作成、配布、承認のプロセスを行った担当者を、タイムスタンプを機械的に記録したり、追跡したりすることができます。

状態や履歴をリアルタイムで確認できる

ペーパーレス化によって、企業は各文書の状態や履歴をリアルタイムで確認できるようになります。

これにより、内部の監査や追跡のプロセスが容易になります。

関与者間でのオープンな共有

電子請求書は、取引の各段階で権限に応じた関係者がいつでもアクセスできます。

これにより、内部コミュニケーションの向上が期待できます。

取引先への信頼性の向上

機械的な記録は信頼性が高く、不正や誤りのリスクを低減する効果があります。

顧客や取引先との関係においても信頼性の向上が期待できます。

4.分析の容易さ

デジタル化された情報をデータ分析ツールと組み合わせることで、洞察を得たり、意思決定の支援に活用できます。

リアルタイムの分析

デジタル化されたデータは、いつでも容易に分析できます。

業務上のボトルネックを発見しプロセスの最適化を図ったり、さらなるコスト削減の機会を発見したりと、紙媒体では手間がかかる分析も容易になります。

5.環境への悪影響低減

ペーパーレス化は、環境に対する悪影響を減らすことができます。

紙の生産と廃棄は、森林破壊や廃棄物の増加に関連しており、電子請求書の使用によって、これらの環境問題を軽減できます。

SDGsへの貢献

ペーパーレス化は、持続可能な開発目標(SDGs)の「責任ある消費と生産」(目標12)や「気候変動への対策」(目標13)といった目標の達成に貢献できます。


ペーパーレス化3つのデメリット

前述のとおり、ペーパーレス化には多くのメリットがありますが、デメリットや課題も存在します。

これらは主に、文化的な慣習、初期投資の必要性、技術的な制約に関連しています。

1.紙と比べると直感的ではない

紙の文書は、多くの人にとって直感的で使いやすいと感じられます。

特に、デジタル技術に不慣れな人や、紙の文書を好む文化を持つ職場では、ペーパーレス化への移行は強い抵抗感を生んでしまう可能性があります。

2.準備に見えない費用がかかる

ペーパーレス化に当たって、ツールを利用する費用やサーバの費用はもちろん必要ですが、こういった管理システムの導入だけでなく従業員への教育や、それが定着するまでの業務効率の悪さは、一次的に業績に悪影響をもたらす可能性もあります。

しかし、長期的には業務効率の向上や紙のコスト削減によって相殺されると考えられます。

3.ハンコ文化の企業では抵抗を生む可能性がある

特にハンコ文化が根強い企業や、紙ベースで業務が行われている企業では、ペーパーレス化によって従業員からの大きな抵抗を生む可能性があります。

紙ベースの請求書対応に不満を感じていない人にとっては、新たな方法や手順を覚えることが面倒に思えたり、移行時のトラブルに不安を抱いているためです。

このような事態を避けるためにも、移行は計画的に実行する必要があり、他にも従業員への十分な説明や、適切なトレーニングなども必要となります。


まとめ

本記事では請求書のペーパーレス化の基礎についてご紹介しました。

請求書のペーパーレス化の実現には、初期投資や組織文化の変化、従業員のトレーニングという課題も伴うため、計画的に実行する必要があります。

特に、紙文化が根強い企業では、従業員の抵抗を生む可能性もあるので、慎重に説明を行う必要があります。

しかし中長期的には、メリットで紹介したような多くの改善が期待できる投資であり、適切に管理できれば大きな利益をもたらす可能性があります。

そして請求書のペーパーレス化にチャレンジする際には、本記事で紹介した情報が一助となれば幸いです。

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請求書のペーパーレス化は、単にスキャンするだけというわけにはいきません。

2024年1月から、電子取引で受領した請求書は電子帳簿保存法の要件に対応した形式で電子保存することが義務付けられました。

電子帳簿保存法の宥恕期間は2023年末で終了となり、2024年以降は対応しないと罰金や重加算税のペナルティが課せられる可能性があります。電子保存対応がまだの場合は早急に対応を進めましょう。

電子保存は専用のシステムを導入することでミスなくスムーズに対応できます。

例えば、請求書をオンラインで受領・保存できるシステム「Bill One」を使えば、電子帳簿保存法の要件を満たして紙の請求書を自動で電子化・保存することができます。

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