法人登記とは?手続きの流れや必要な書類、注意点まで丁寧に解説

会社を設立する際には様々な手続きや書類が必要になりますが、その中でも最も重要なのが、法務局にて登録を行う「法人登記」です

法人登記は法務局に申請書を提出することで、自分の会社を法人として登録し、会社設立ができますが、申請時に必要な書類が多いため、手続きが煩雑になります。

また、法人登記を行う際に、「どのような形態で会社を設立するか」により、会社設立費用もかかります。

そこで本記事では、法人登記の基本内容から、法人登記の流れや会社設立にかかる費用、法人登記後にやっておくべきことをご紹介します。

本記事を読むことでスムーズに法人登記を行えるだけでなく、法人登記後にやっておくべきことも理解できるため、法人登記については本記事1つで理解できるはずです。


法人登記とは法務局に法人として認めてもらうための登録のこと

法人登記とは、法務局に法人として認めてもらうための登録のことで、株式会社や合同会社と名の付く会社はすべて法人登記を経て名乗ることができます

法人登記は会社概要を社外に公開し法人として認めてもらうために、法務局で登録を行わなければなりません。

法人登記自体は会社法で義務付けられており、会社を設立するためには必ず法人登記が必要になります。

法人登記には「会社登記」や「商業登記」と呼ばれることもありますが、会社登記は法人登記と同義であるものの、商業登記は「会社の設立と本店の移転や役員の変更、商号や事業目的の変更」があった場合に必要な登記のことを言います。

法人登記は会社を設立するだけでなく、以下の事項が発生した場合にも法務局で申請を行わなければなりません。

  • 設立
  • 商号(会社名)の変更時
  • 事業目的の変更時
  • 事務所や本店の移転時
  • 役員の変更時
  • 資本金や株式数の変更時
  • 会社の解散・清算時


法人登記の流れ

法人登記の流れは以下の通りです。
画像説明

法人登記を行う際、まずは会社の形態や社名、事業目的などの会社の概要を決定します。

会社の法律とも呼ばれる「定款」を作成し、公証役場にて「公証人による定款の認証」を受けます。

その後、あらかじめ決定した資本金を法人用の口座に振り込み、振り込んだ証明である払込証明書を作成します。その書類を用意したうえで法人登記申請書を作成し、法務局に提出すれば法人登記を行うことができます。

法人登記は必要書類の作成や定款の作成・認証にかかる時間によって異なりますが、株式会社の場合は3週間程度、合同会社の場合は2週間程度かかります

設立時期に1週間ほどの違いがある理由は、株式会社の場合は定款の認証が必要ですが、合同会社では不要なためです。


法人登記をするために必要な手続き

ここからは法人登記のための具体的な手続きについて解説します。

法人登記に必要な手続きは以下の通りです。

  • 会社の概要決定
  • 法人用の会社印を準備する
  • 定款の作成・認証を行う
  • 資本金(出資金)の払込を行う
  • 登記申請書を作成後、法務局に申請

会社の概要決定

まずは、会社設立に欠かせない商号名や資本金の決定、定款に記載する会社概要を決める必要があります

主に以下の項目を決定する必要があります。

定款作成に必要な基礎項目内容
会社形態会社の形態を「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4つの中から会社形態を決める。
会社名(商号)会社名を決める。会社名を決める際は他企業の商標に気をつける。
事業目的会社の事業内容を決定する。事業内容に記載のない事業は行えないため注意。事業目的は複数記入が可能だが多すぎると、融資や法人口座を作る際に不利になるので10項目以内に抑える。
本店所在地会社の拠点住所を決める。事務所以外に自宅やシェアオフィス、バーチャルオフィスを設定することも可能。事業所を変更する場合は再度登記(法人申請)が必要になるため、引っ越しを予定している場合は、引っ越し後に登記を行う。
資本金創業時の運転資金である資本金を決める。資本金は1円から登録可能だが、資本金が少なすぎると事業活動に支障が出たり、法人口座の開設や融資を受けにくくなるので注意。
会社設立日会社設立日は会社設立の際の法人登記申請を行った日が会社設立日になる。土日・祝日は法務局が営業していないため、会社設立日は平日のみ設定可能。
会計年度会社の会計年度を決める。会計年度は自由に決められるが、一般的には4月1日から翌年3月31日が設定される。会計時期には税務が増えるため、会社の繁忙期を避けるのが無難。
役員・株主構成株式会社を設立する場合は役員・株主構成を設定する。最低でも1名以上の取締役を選定する必要があるため、自身を取締役に設定する。株式会社の場合は「だれが」「どのくらい」株を持っているかを示す株主名簿も必要。

会社概要を決定する際には「すでに使用され、他の者の利用を禁止する商標登録」がされていないか確認しておきましょう。

自社の商号が他人の商号と同一、もしくは類似しており、先に設立されていた会社に不利益が生じた場合、不正競争防止法に基づいて罰則を受ける可能性があります

そのため、商号を決める際には必ず「特許情報プラットホーム」等から商標登録状況を確認しておきましょう。

参考:会社設立時の商号調査の方法!法務局・ネット検索など4つ紹介・必要な理由とは | 恵比寿駅前の相続に強い|司法書士法人・行政書士事務所ネクストリーガル

定款の作成・認証を行う

法人登記に欠かせない定款の作成・認証を進めましょう。定款とは、会社の決まりごとをまとめた書類です。

定款を作成する際は以下の3種類の項目が抜けていないか確認する必要があります。

ア 絶対的記載事項
   絶対的記載事項とは、会社法上必ず記載しなければならない事項をいいます。
  (ア) 目的
  (イ) 商号
  (ウ) 本店の所在地
  (エ) 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  (オ) 発起人の氏名又は名称及び住所

 イ 相対的記載事項
   相対的記載事項とは、会社法の規定により定款に定めがなければその効力を生じない事項をいいます。
  (ア) 変態設立事項(会社法第28条により定款の定めが必要とされる事項のこと)
   (ⅰ) 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数
   (ⅱ) 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
   (ⅲ) 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
   (ⅳ) 株式会社の負担する設立に関する費用

  (イ) (ア)以外
   ・ 株式の譲渡制限(会社法第107条第2項第1号)
   ・ 取締役会、監査役等を置くことができる旨(会社法第326条第2項)
   ・ 存続期間又は解散の事由(会社法第471条第1号、第2号)
   ・ 公告方法(会社法第939条第1項) 等

 ウ 任意的記載事項
   任意的記載事項とは、定款の記載事項のうち、絶対的記載事項及び相対的記載事項以外の事項で会社法の規定に違反しないものをいいます。
   ・ 定時株主総会の招集時期
   ・ 株主総会の議長
   ・ 取締役や監査役の員数
   ・ 事業年度 等

引用元:法務省:合同会社の設立手続について

定款を作成する際「絶対的記載事項」は必ず明記する必要がありますが、それ以外の項目については会社自身で自由に決めて構いません。

定款を作成する際には「事業内容を明瞭に記載する」ことを心掛けてください

事業内容や複雑かつ数が多いと、「事業の実態が確認しづらい」ことから、法人口座の開設や融資を受ける際に不利になる可能性があります。

そのため、定款に記載する事業の内容は多くても10個以内で、誰が見ても分かりやすい事業内容を記載しましょう。

以下の定款のフォーマットを参考に、必要な項目を記載した定款を作成しましょう。

株式会社を作成する場合の定款フォーマット
参考:【株式会社の定款記載例2(中小規模の会社)】

合同会社を作成する場合の定款フォーマット
参考:定款

合名会社を作成する場合の定款フォーマット
参考:○○商事合名会社 定款

合資会社を作成する場合の定款フォーマット
参考:○○商事合資会社 定款

なお、定款の作成はどの会社形態でも必要ですが、公証役場による公証人の認証が必要なのは「株式会社」を設立する場合のみになります

参考:法人登記(会社設立登記)とは?申請方法や変更手続きのやり方 – 起業・開業お役立ち情報 – 弥生株式会社【公式】

法人用の会社印鑑を準備する

次に法人用の会社印鑑を作成しましょう。

法人を設立する場合は個人の印鑑ではなく、会社の印鑑が必要になります。

会社の印鑑はお近くの判子売り場で作成できるほか、オンラインで判子を作成できるサービスもあります

この際に作成しておく判子は以下の通りです。

  • 会社の実印
  • 法人口座開設時に必要な銀行印
  • 請求書、納品書等の書類手続きに必要な角印(社判)

これらを作成しておきましょう。

ただし、2021年から法人登記をオンラインで申請する場合は判子を押す必要が無くなったため、オンラインで手続きを行う場合は急いで会社の印鑑を作成する必要はありません

本章の内容をまとめると以下の通りになります。

  • 法務局で直接申請するなら印鑑を用意
  • オンラインで法人登記を行うなら印鑑は任意

参考:法人登記(会社設立登記)とは?申請方法や変更手続きのやり方 – 起業・開業お役立ち情報 – 弥生株式会社【公式】

資本金(出資金)の払込を行う

次に、発起人が資本金(出資金ともいう)を法人口座に振り込みます。

ただし、資本金が確定した時点では、法人登記が済んでいないため、法人口座自体を作ることはできません。そのため、資本金は発起人の個人口座に振り込みます。

この時に注意したいのは「誰が振り込んだか」がわかるように、発起人の銀行口座に振込を行うという点です

ただし、発起人口座に「振込」を行うのは発起人が複数人いる場合のみです。発起人が1人の場合は個人口座への「預入」でも問題ありません

例えば、会社の代表者一人が事業を行うマイクロ法人を設立する場合は、発起人が代表者一人となるため、該当者の口座に資本金額を預け入れても問題ありません。

資本金の払込み後は、その証明である「払込証明書」が必要になります。

「払込証明書」には以下の書類が必要になります。

  • 銀行通帳の表紙
  • 銀行通帳の1ページ目
  • 資本金が振り込まれたことがわかるページ

これらのコピーを取得し、払込証明書を作成します。作成の仕方については下記の参考リンクのPDF、P11をご参照ください。

参考:添付書面の記載例
【株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)】

払込証明書を作成後に法人印を押印しますが、その際にあらかじめ捨印を押印しておけば、記入ミスがあった場合に修正がしやすくなります。

なお、資本金を現金以外の資産で出資する現物出資を行う場合は、定款にて現物出資を行い、会社の所有とする旨を記載したうえで、「財産引継書(14p参照)」や「調査報告書(12P参照)」を作成すれば、資本金の払い込みがなくても所有している不動産や車を資本金として登録することができます。

参考:法人登記とは?流れ、必要な書類、費用をわかりやすく解説

登記申請書を作成後、法務局に申請

法人登記を完了させるためには、法務局に登記申請書を提出し、登記申請を行う必要があります

登記申請は原則として前項の「資本金の払い込み」から2週間以内に申請を済ませる必要があります

申請書類や提出書類に不備がない場合は、1週間~10日ほどで手続きが完了となります。

登記に関する準備から法人登記手続き完了までは、定款認証が必要な株式会社の場合は3週間前後、認証が不要な合同会社、合名会社、合資会社の場合は2週間前後になります。

なお、会社の設立日は登記申請を行った日になります。そのため、縁起がいいとされている「一粒万倍日」や「天赦日」、「大安」に会社設立を行いたい場合は、縁起のいい日にあわせて法人登記を行うようにしましょう

参考:法人登記(会社設立登記)とは?申請方法や変更手続きのやり方


法人登記に必要な書類一覧

法人登記の申請時に必要なのは、「法人登記申請書」以外にも事業内容を証明するための必要書類があります。

下記に、法人登記申請時に必要な書類を表にしてまとめました。   

必要書類内容
登記申請書会社の商号や本所在地、登録免許税の金額や添付書類の一覧を記載する書類。
登録免許税納付用台紙登録免許税を支払ったことを証明する書類。A4サイズの台紙に登録免許税の収入印紙を台紙に貼り付けて提出する。
定款作成した定款の謄本を用意する(株式会社の場合)
発起人の決定書発起人の合意により、法人登記にかかわる決定事項を決めたことを証明する書類。発起人の決定書の他に「発起人決定書」「発起人議事録」という呼び名もある。
設立時取締役の就任承諾書取締役就任を承諾したことを証明する書類。取締役が1人の場合は1枚、2人以上いる場合は人数分の書類作成が必要。
設立時代表取締役の就任承諾書代表取締役就任を承諾したことを証明する書類。ただし、取締役が一人で代表取締役を兼務する場合は不要。
設立時取締役の印鑑証明書取締役の印鑑証明書を取得する。取締役が2人以上いる場合は全員分の印鑑証明書が必要。
払込証明書資本金の払込みがあったことを証明する書類。
印鑑届出書会社の実印を法務局に届け出るための書類。
登記すべき事項を記録・保存した書面または、内容を保存したCD-R定款に記載されていない情報を補足する書類。登記すべき事項は法人の種類によって異なるが、基本的には書面(OCR)で提出する。

基本的には上記の書類を準備しておけば法人登記申請をスムーズに進められます

ただし、登記すべき事項のように会社形態や事業内容によって、記入項目が異なる場合があります。

ご自身で法人登記申請をされる際には、一度法務局や司法書士などの専門家に相談しましょう。

参考:法人登記とは?流れ、必要な書類、費用をわかりやすく解説
   会社設立に必要な書類は全部で10種類! 書き方や提出方法についてわかりやすく解説 | 経営者から担当者にまで役立つバックオフィス基礎知識 | クラウド会計ソフト freee


法人登記の申請方法3つ

法人登記の申請方法は以下の3つの通りです。

  • 直接法務局で申請
  • 郵送
  • オンライン

参考:法人登記(会社設立登記)とは?申請方法や変更手続きのやり方 – 起業・開業お役立ち情報 – 弥生株式会社【公式】

直接法務局で申請

会社を設立する本所在地の管轄の法務局で直接登記申請を行う方法です

直接法務局に出向く手間はかかりますが、書類提出時に不備を確認してもらえたり、不備の修正方法を提示してくれるため、登記申請に不安がある方におすすめの方法です。

管轄の法務局は法務局のHPから確認できます。

参考:管轄のご案内:法務局

郵送

管轄の法務局宛に登記申請に必要な書類一式を郵送で送付する方法です

郵送方法に決まりはないものの、以下の方法での郵送がおすすめです。

  • 配送状況のリアルタイム確認ができる簡易書留
  • 差し出した記録を残す特定記録郵便

登記申請は資本金の払込みの後2週間以内に申請を行う必要があります。

郵送の場合は配送状況に遅れが出る可能性があるため、「リアルタイムで配送確認ができる」「郵送した事実を記録に残すことができる」ような配送方法を選ぶと安心です。

参考:法人登記(会社設立登記)とは?申請方法や変更手続きのやり方 – 起業・開業お役立ち情報 – 弥生株式会社【公式】
   特定記録郵便って?メリット・デメリットや配達日数について解説! | DX-Sign | シンプルで使いやすい電子契約

オンライン

登記申請は法務局が提供する供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」から、オンラインで登記申請を行うことも可能です

オンラインでできる申請は以下の通りです。

  • 法人登記の申請
  • 登記事項証明書の交付請求
  • 印鑑証明書の交付請求
  • 登記事項の提出

ただし、オンラインで登記申請の書類を提出する場合は、申請用のソフトをダウンロードする必要があります。

「登記ねっと 供託ねっと」では、商標確認や法人登記の申請状況も確認できるため、商号を決める際の商標チェックや書類の手続き状況の確認なども行えます。

参考:登記ねっと | 登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと


法人登記にかかる費用

法人登記にかかる費用は、設立する会社の形態や方法によって異なります

下記に法人登記にかかる費用を表にまとめました。

費用項目/会社形態株式会社合同会社
定款の収入印紙0~40,000円(電子定款の場合は収入印紙不要)0~40,000円(電子定款の場合は収入印紙不要)
定款認証の手続き費用30,000~50,000円(資本金額によって変動)0円
定款の謄本作成費用2,000円前後0円
登録免許税150,000円、もしくは資本金額の0.7%(金額が高い方を採用)60,000円、もしくは資本金額の0.7%(金額が高い方を採用)
資本金1円~1円~
会社印鑑1,000~10,000円1,000~10,000円
印鑑証明書100~1,000円100~1,000円
合計183,100円~61,100円~

株式会社か合同会社を作る場合で、手続きにかかる費用が10万円前後変わります。

というのも、株式会社は定款の認証が必要なうえに登録免許税が合同会社に比べて費用が掛かるためです。合同会社の場合は定款の認証が不要なため、費用を抑えられるだけでなく、手続きも短縮できます。

そのため、できるだけ費用を抑えてスムーズに会社を設立したい場合は合同会社での設立がおすすめです。

ただし、合同会社は株式の発行による資金調達ができないため、事業規模の拡大を検討している企業は株式会社を選びましょう


法人登記後に必要な手続き

法人登記が無事完了した後に行う必要がある手続きは以下の通りです。

  • 各種証明書の取得
  • 各種関係機関への手続き

必要書類の取得

法人登記が完了したら、後に必要になる証明書を入手しましょう。

入手する必要がある書類は以下の通りです。

書類入手場所
登記簿謄本管轄の法務局の窓口
登記事項証明書法務局(オンラインで取得可能)
印鑑証明書法務局(オンラインで取得可能)

これらの書類はのちに解説する「各種関係期間への手続き」で必要になります。

また、金融機関での借り入れや法人名義での車両の購入時にも登記簿謄本が必要になるため、最低でも3~5枚は取得しておくと今後の手続きがスムーズです。

登記事項証明書と印鑑証明書については前述した法務局が提供する供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」からダウンロードできます。

登記簿謄本については管轄の法務局窓口での手続きが必要です。

各種関係機関への手続き

法人登記後は税務署や年金事務所、ハローワーク等で手続きが必要になります。

各種関係機関への手続きは以下の通りです。

           

提出場所手続き提出期限
税務署法人設立届出書(必須)
参考:[手続名]内国普通法人等の設立の届出|国税庁
会社設立から2ヶ月以内
青色申告の承認申請書(任意)
参考:[手続名]青色申告書の承認の申請|国税庁
会社設立から3ヶ月以内、もしくは、で初年度事業終了日のいずれか早い方の前日まで
給与支払事務所等の開設届出書(給与支払いがある場合のみ)
参考:[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁
会社設立から1ヶ月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(任意)
参考:[手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請|国税庁
なし
都道府県税事務所市町村役場法人設立届出書(必須)
参考:[手続名]内国普通法人等の設立の届出|国税庁
都道県ごとに違いあり(東京23区内では提出不要)
年金事務所健康保険・厚生年金保険新規適用届(必須)
参考:新規適用の手続き|日本年金機構
会社設立から5日以内
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届(従業員がいる場合のみ)
参考:健康保険・厚生年金保険 適用関係届書・申請書一覧|日本年金機構
被保険者資格取得から5日以内
健康保険被扶養者(異動)届(被保険者に扶養者がいる場合のみ)
参考:家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき|日本年金機構
被保険者資格取得から5日以内
労働基準監督署労働保険の保険関係成立届(従業員を雇用する際に必要)
参考:厚生労働省:労働保険の成立手続
従業員雇用の翌日から10日以内
労働保険の概算保険料申告書(従業員を雇用する際に必要)
参考:厚生労働省:概算保険料申告書の記入見本
従業員雇用の翌日から50日以内
就業規則(変更)届(従業員を雇用する際に必要)
参考:就業規則変更届
常時10人以上の従業員を雇っている場合は期間は定められていないもののできるだけ早く届け出る
適用事業報告書(従業員を雇用する際に必要)
参考:適用事業報告書
期間は定められていないもののできるだけ早く届け出る
ハローワーク雇用保険適用事務所設置届(役員以外の従業員を雇用する場合に必要)
参考:ハローワークインターネットサービス – 利用上の注意
適用事業所になった翌日から10日以内
雇用保険被保険者資格届(従業員を雇用する際に必要)
参考:ハローワークインターネットサービス – 利用上の注意
雇用日の翌月10日まで

参考:【会社設立後の手続き】法人登記で終わりじゃない!事業開始までにやるべきこととは? | 経営者から担当者にまで役立つバックオフィス基礎知識 | クラウド会計ソフト freee

法人設立届出書には定款のコピーが必要になりますが、税務署・都道府県事務所・市町村役場にそれぞれ提出する必要があるため、あらかじめ3枚ほどコピーを取っておくと手続きがスムーズです。

法人登記後に期限が定められている手続きもありますので、上記の表内を確認の上、各種機関への手続きを行いましょう。

参考:【会社設立後の手続き】法人登記で終わりじゃない!事業開始までにやるべきこととは? | 経営者から担当者にまで役立つバックオフィス基礎知識 | クラウド会計ソフト freee
    会社設立後の手続きとは?やること・必要書類・提出期限まとめ | マネーフォワード クラウド会社設立  


法人登記の前後で注意すべき点

法人登記の前後で注意すべき点は以下の2点です。

  • 会社の所在地の管轄法務局で手続きを行わなければ申請が却下される
  • 登記事項に変更が生じた場合は2週間以内に手続きをしなければ罰金が課せられる

会社の本所在地の管轄法務局で手続きを行わなければ申請が却下される

法人登記の申請は会社の本所在地の管轄の法務局で手続きを行わなければ申請が却下されてしまいます

法務局には全国8箇所にしかない「管区法務局」と47都道府県にある「地方法務局」があります。

さらに各地方の地域ごとに「出張所」が設けられており、一部の市は管轄の出張所で手続きをしなければならないなど、地域ごとに管轄法務局が細かく決められています。

管轄外の法務局で手続きをしないよう、今一度法務局のHPから会社の管轄の法務局を探しておきましょう。

参考:管轄のご案内:法務局
   登記の申請先はどこ?管轄法務局の調べ方 – リーガルメディア

登記事項に変更が生じた場合は2週間以内に手続きをしなければ罰金が課せられる

もしも登記事項に変更が生じた場合、2週間以内に変更手続きを行わなければ100万円以下の罰金が課せられます

2週間の計算例としては、2023年4月1日(土)の10:00に株主総会を開催し、取締役を選任(+即時就任)したときは、起算日が2023年4月2日(日)となり、満了日は4月15日(土)となります。

2週間という短い期間の間に、変更登記に必要な書類を準備した上で法務局にて変更申請を行わなければなりません。

変更登記で必要な書類や手続きは法務局のHPで確認できます。

参考:株式会社:法務局
   持分会社(合同会社・合名会社・合資会社):法務局
   会社登記(法人登記)の手続きと必要な書類とは?会社設立の手順も解説|法人のお客さま|NTT東日本


法人登記の前後にやったほうがいいこと

法人登記の前後で対応しておいた方がいいことは以下の通りです。

  • 司法書士に相談する
  • 法人口座を開設する

司法書士に相談する

法人登記に関する疑問は司法書士に相談すれば全て解決できるため、初めて法人登記を行う場合は司法書士へ相談・代行依頼がおすすめです

法人登記の手続きは専門的な知識は必要なく、手続きや書類の作成等はすべてご自身で対応できるものの、書類の準備や書類に不備が無いように細かくチェックする必要があり、かなりの時間と労力がかかります。

そのため、法人登記における手続きの代行まで対応できる司法書士に法人登記の代行依頼をすれば書類作成から法人登記までを一貫して依頼できるため、煩雑な法人登記をスムーズに行えます。

また、司法書士への代行依頼が結果として登記申請にかかる費用の節約につながる可能性もあります。

というのも、法人登記に必要な定款を電子的なファイルで作成する「電子定款」であれば収入印紙が不要なため、印紙代の4万円を節約できます。

しかし、電子定款を作成する際にはPDFを加工するファイルや電子署名ソフトが必要なため、結果的に費用がかかる場合があります。

電子定款の作成に対応している司法書士に依頼すれば、収入印紙代の4万円を節約できるだけでなく、登記申請まで対応してもらえるため、司法書士に依頼した方が節約できる可能性もあります

法人登記申請後の手続き(税務署や年金事務所への申請等)については、それぞれ専門の税理士や社会保険労務士等に依頼する必要がありますが、法人化の第一歩である法人登記においては司法書士に相談するのがベストです。

参考:法人化(法人成り)は誰に相談する?会社設立の相談先と費用相場を解説 – 税理士相談お役立ち情報 – 弥生株式会社【公式】
   会社設立の相談は誰にする?司法書士・行政書士・社労士・税理士を徹底比較 | 起業・創業・資金調達の創業手帳

法人用銀行口座の開設

法人登記が完了したら法人用銀行口座を開設しましょう。

法人口座を開設することで「社会的な信用が高くなる」「個人口座に比べて金融機関からの融資難易度や融資金額が高くなる可能性がある」「会社全体のお金の流れを把握しやすい」ためです

特に事業運営をする中で資金繰りが悪化した場合は銀行や公的機関からの融資を検討することもあるでしょう。

その際、法人口座を持っていると社会的信用が高くなりやすいため、融資を受けやすく、かつ融資金額が上がる可能性があります。

法人口座の開設が可能な銀行については、以下の記事にまとめてあります。比較検討中の方はぜひご一読ください。

参考:【2024年最新版】法人口座を開設できる銀行おすすめ15選を比較!選び方も紹介│LISKUL

ただし、法人口座はどんな企業でも開設できるとは限らず、設立後間もない企業だと銀行側の審査が通りづらいことが実情です。

以下の記事では、法人口座を開設するための注意点とポイントをまとめていますので、ぜひご参考ください。

参考:法人口座が作れない原因7つと対処法!審査落ちを回避する方法も紹介


まとめ

本記事では、法人登記の流れや実際にかかる費用、法人登記の手続きや注意点について解説しました。

法人登記は登記前の申請から登記後の申請まで準備書類や手続きが膨大にあります。会社設立が初めての方は司法書士へ相談しながら手続きを進めるのがベストです。

また、法人登記後も社会保険の加入や税務署への手続き・申請等が必要になります。

登記申請後も社会保険労務士や税理士に協力してもらいながら手続きや申請漏れが無いように注意しましょう。


法人登記に関するよくあるご質問

法人登記を検討中の方に役立つQ&Aをまとめています。

Q.法人登記を行う際、オンラインでの申請は可能ですか?

A.はい、法務局の「登記ねっと 供託ねっと」を利用してオンラインで法人登記の申請が可能です。登記事項証明書や印鑑証明書の交付請求もオンラインで行えますが、専用のソフトウェアをダウンロードする必要があります。

Q.法人登記後に行うべき税務署への手続きは何ですか?

A.法人設立届出書を会社設立から2ヶ月以内に提出する必要があります。また、給与支払事務所等の開設届出書や青色申告の承認申請書も状況に応じて提出が求められます。

Q.法人登記を完了したら、次に行うべき重要な手続きは何ですか?

A.法人登記完了後は、登記簿謄本や印鑑証明書の取得が必要です。これらは法人口座の開設や税務署などの各種関係機関への手続きで使用されます。

Q.法人登記をする際にかかる費用を抑える方法はありますか?

A.電子定款を利用すると、収入印紙代4万円が不要になるため費用を抑えられます。電子定款の作成には専用ソフトが必要ですが、司法書士に依頼することで手続きが簡略化される場合もあります。

Q.法人登記を行うための定款作成時に注意すべきポイントは何ですか?

A.定款に記載する事業目的は、必要以上に多く記載せず、10項目以内に抑えるのが望ましいです。事業内容が複雑すぎると、法人口座の開設や融資の際に不利になる可能性があります。