ウェビナーとは?メリットデメリットと開催方法・成功させるコツを解説

ウェビナーとはインターネット上で行われるオンラインセミナーのことで、語源はウェブ+セミナーを合わせた造語です。

会場に集合して行われるリアルの会場型セミナーとは異なり、参加者は会場に出掛ける必要はありません。自分の会社のオフィスや自宅から、非接触で3密を避けつつ、気軽に参加できるのがウェビナーの特徴です。

近年では、ウェビナーをマーケティングに取り入れるBtoB企業が増えています。リード獲得を目的とした展示会や対面営業の代替手段として、ウェビナーが効果的であるとわかってきたためです。

本記事では、BtoB企業の新しいリード獲得手法として注目の「ウェビナー」について、詳しく解説します。

本記事のポイント
  • ウェビナーの基礎知識が身につく
  • ウェビナーのメリット・デメリットが理解できる
  • ウェビナーの開催用法と成功のコツがわかる

「ウェビナーって何なのか知りたい」
「ウェビナーをマーケティングに活用してみたい」

…という方におすすめの内容となっています。

この解説を最後までお読みいただければ、あなたは「ウェビナーの基礎知識」はもちろん、ウェビナーの実践手順から注意点まで体系的に理解できるようなります。ウェビナーを活用した業績向上が可能になるでしょう。

実際にウェビナーを開催するために必要なツール選びはこちらの記事を参考にしてみてください。(参考:【2021年最新版】ウェビナーツールおすすめ28選。ネットワーク環境・設定方法・外国語対応などを厳選比較

それではさっそくウェビナーを解説します。


目次

ウェビナーとは?

まずはウェビナーの基礎知識から解説します。

ウェビナーとはオンラインセミナーのこと

ウェビナーとは、インターネット上で行われるセミナーのことで、ウェブとセミナーを合わせた造語です。オンラインセミナーやウェブセミナーとも呼ばれます。

ウェビナーは、Zoomなどの動画配信機能を備えたツールを利用して開催されます。受講者はセミナー会場へ行く必要がなく、自分の会社のオフィスや自宅から、パソコン・タブレット・スマホなどで参加できるのが特徴です。

Webイベント全般をウェビナーと呼ぶケースが増えている

「ウェビナー」の辞書的な意味は前述のとおり「オンラインセミナー」ですが、ひとつ注意があります。

近年のウェビナーの広がりに伴い、セミナー(講習会)以外のWebイベントも含めて、ウェビナーと呼ぶケースが増えているのです。

具体的には、オンライン上で行われる企業のWebイベント(展示会・講演会・商品説明会など)も、広義ではウェビナーと呼ばれます。

「うちの会社ではセミナーを開催していないから、ウェビナーは関係ない」と思っていた方もいるかもしれませんが、何らかのWebイベントを実施しているのであれば、それはウェビナーの一環といえます。

ウェビナーと会場開催型セミナーの違い

従来型の会場で開催するセミナーと、オンライン上で行うウェビナーは何が違うのでしょうか。違いをまとめたのが下表です。

▼ウェビナーと会場型セミナーの違い

感染リスク会場コスト集客
会場型×あり×必要×高い×集客しにくい
ウェビナー◎なし◎不要◎安い◎集客しやすい

新型コロナウイルスの影響で感染リスクを下げることの優先順位が高くなった状況では、「ウェビナーは感染リスクがない」ことが大きなアドバンテージとなりました。

実際に、Googleトレンドを見ると、緊急事態宣言が出された2020年3月頃から検索数が急上昇しています。


出典:Google トレンド

加えて、ウェビナーは会場型セミナーと異なり、会場を押さえる必要がない・費用が安い・集客しやすいなどの特徴があります。ウェビナーが普及したきっかけは新型コロナウイルスでしたが、その後ウェビナーのさまざまな利点が認識され、新たなスタンダードとして定着しつつあるのです。


すべてのBtoB企業がウェビナーに積極的に取り組むべき理由

BtoB企業であれば、ウェビナーに積極的に取り組むべきといえます。

なぜなら、新型コロナウイルスの影響により大人数がひとつの会場に集まることが難しい昨今、ウェビナーこそが新規案件獲得の新たな手段となるからです。

ウェビナーの活用方法は、従来実施していた会場型セミナーの代用だけではありません。

例えば、東京ビッグサイトや東京国際フォーラムに代表される大規模な展示会をリード獲得の場としていたBtoB企業においては、新たな新規開拓手段を見つけることが急務です。

あるいは、対面での訪問営業が案件獲得の主なルートだったBtoB企業では、訪問営業ができなくなって業績不振に陥る企業も出ています。

そこで、展示会や営業活動の代替として活用すべき手段が「ウェビナー」なのです。あなたの会社が、新型コロナ後のニューノーマルにおける新規獲得に悩んでいるとしたら、ウェビナーが強力な突破口になる可能性が高いでしょう。

さらに今後、ウェビナーがビジネスシーンに定着し当たり前のものとなったら、そのとき高い競争力を持つのは「優れたウェビナーを開催するノウハウやスキルを持つ企業」です。

市場での競争力を維持するという意味でも、いち早くウェビナーに取り組んで、自社にノウハウやスキルを蓄積していくべきといえるでしょう。


ウェビナーの3つのメリット

ウェビナーには、どんなメリットがあるのでしょうか。3つのメリットをご紹介しましょう。

メリット1:非接触でセミナーが開催できる

1つめのメリットは「非接触でセミナーが開催できる」ことです。

インターネット回線を利用してオンライン上で行うウェビナーは、非接触型のコミュニケーションに分類されます。

感染リスクがないことはもちろんですが、感染予防のための労力が省けることも、大きなメリットです。例えば、会場のテーブルや椅子の消毒作業、参加者の入場時の検温と手指の消毒、マスクの着用、室内の換気、ソーシャルディスタンスの確保……と、会場型セミナーではやるべきことが数多くあります。

そういった対策を行わずとも3密を避けてセミナー開催できることは、ウェビナーの最大の利点です。

メリット2:格安のコストで実施できる

2つめのメリットは「格安のコストで実施できる」ことです。

会場型セミナーでは、会場の確保や参加者に配布する資料の印刷、ドリンクや手土産の準備など、コストがかかります。特に、会場をレンタルする場合には、満席にならなければロスが発生するため、集客のプレッシャーがのしかかります。

ウェビナーは、コストがほとんどかからないことがメリットです。極端な話、手持ちのカメラやマイクと無料の配信ツールを利用すれば、コスト0円で実施することも可能です。

初期投資として最初にWebカメラ・マイク・ライトなどの機材を購入したとしても、数万円前後でそろえられます。2回目以降は同じ機材を利用すれば、費用は発生しません。

メリット3:従来アプローチできなかった層を集客できる

3つめのメリットは「従来アプローチできなかった層を集客できる」ことです。

「参加者側から見たウェビナーのメリットは何か?」といえば、「会場型のセミナーよりも圧倒的に気楽に参加できること」といえます。

わざわざ会場に出向く必要がなく、自分の会社のオフィスや自宅から、気軽に参加できます。かつ、たとえ参加してみてつまらない内容だったとしても、ウェビナーなら途中退席することも、ほかの作業をしながら流し見することも簡単です。

これは、開催者側からみると「従来アプローチできなかった層を集客できる」ことになります。

例えば、今までなら、
「興味はあるけど、会場が遠いからやめておこう」
「情報収集という意味では参加してみたいけど、時間のムダになったら嫌だからやめておこう」
と参加に至らなかった人たちが、ウェビナーなら集客できるのです。

日本全国・世界各国の遠方にいて距離という障壁があった見込み顧客から、まだ成約には遠いけれど関心を持っている潜在顧客まで、ウェビナーなら幅広い層を集客できます。


ウェビナーの3つのデメリット

一方、ウェビナーにはデメリットもあります。3つのデメリットを解説します。

デメリット1:案件化率が低い

1つめのデメリットは「案件化率が低い」ことです。

先ほどメリットとして「従来アプローチできなかった層を集客できる」ことをお伝えしました。裾野が広がれば、その分、案件化率が下がるのは当然のことなので、ある程度は仕方ないことといえます。

ただ、会場型のセミナーと違い、「セミナー終了後、すぐ名刺交換して商談に入ることができない」のはウェビナーの弱点です。

ウェビナーの弱点を知ったうえで、代替となるフォローの仕組みを構築することが、重要になります。

デメリット2:配信トラブルが起きやすい

2つめのデメリットは「配信トラブルが起きやすい」ことです。

「ウェビナーに配信トラブルはつきもの」といえるくらい、多くの企業が配信トラブルを経験しています。

「配信が始まらない」といった明らかなトラブルだけでなく、「マイクの音が割れている」「雑音が入ってうるさい」「画面がチラついて見づらい」といった不具合も、参加者にとっては大きなストレスとなります。

デジタルリテラシーの高いスタッフがいなければトラブルは起きやすくなりますし、トラブル発生時に修復対応ができません。

ウェビナーは、インターネット上で簡単に開催できて便利に見える反面、実はさまざまなトラブル対応が必要になることは、デメリットとして押さえておきましょう。

デメリット3:主催者および参加者同士の親睦は深めにくい

3つめのデメリットは「主催者および参加者同士の親睦は深めにくい」ことです。

ウェビナーでは、セミナー後の名刺交換や、親睦会と呼ばれる食事会や飲み会の開催はできません。主催者および参加者同士でつながりを持ち人脈を広げることは、ウェビナーは不得手です。

もしウェビナーの主催者や参加者同士の親睦を深めたいのであれば、ウェビナーとは別に、交流の場を設ける必要があります。例えば、ウェビナー参加者限定のFacebookグループを作る方法は、採用している企業も多い方法です。


ウェビナーの種類

ウェビナーの種類は、大きく分けて「ライブ配信 or 録画配信」と「一方向配信 or 双方向配信」があります。

ライブ配信/録画配信

ライブ配信は、テレビでいえば「生放送」にあたり、リアルタイムのライブ映像を配信する方法です。録画配信は、あらかじめ録画しておいた映像を配信する方法です。

それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。

▼ライブ配信と録画配信のメリット・デメリット

種類メリットデメリット
ライブ配信◎ライブならではの魅力がある
◎参加者が集中しやすい
◎双方向配信ができる
×ライブ 配信中のトラブルリスクがある
×時間超過が起きることがある
録画配信◎質の高い動画を事前準備できる
◎言い間違いなどのミスが起きない
◎必ず予定時間内に終了できる
×ライブ感の魅力がない
×双方向配信ができない

ライブ配信には、「いまここで同じ時間を共有している」というライブならではの魅力があります。参加者は集中しやすく、参加者とリアルタイムでやり取りする双方向配信できるのもメリットです。一方、ライブ配信中のトラブルリスクや時間超過の可能性は、デメリットといえます。

録画配信は、事前に撮影した動画を流すため、言い間違いなどのミスなく高品質な内容を配信できるのがメリットです。必ず予定時間内に終了するのも、利点といえるでしょう。デメリットは、ライブ感の魅力がないこと、双方向配信ができないことです。双方向配信については、次項で詳しく解説します。

一方向配信/双方向配信

一方向配信は、主催者から参加者に向けて一方的に配信を行う方法です。対して双方向配信は、参加者から主催者に対しても、ビデオ通話での発言やチャットなどでコミュニケーションを取ります。

一方向配信と双方向配信の特徴は以下のとおりです。

▼一方向配信と双方向配信のメリット・デメリット

メリットデメリット
一方向配信◎参加者に対応するスキルが必要ない
◎予定通りにウェビナーを進めやすい
×参加者の様子がわからない
×参加者の注意力が散漫になりやすい
×ライブ感が感じにくい
双方向配信◎参加者の様子に合わせて臨機応変に対応できる
◎参加者の集中力が持続する
◎ウェビナーが盛り上がりやすい
◎登壇者の熱量が上がりやすい
×予定外のハプニングが起きることがある
×時間超過が起きやすい
×参加者に適切なレスポンスを返すスキルが必要

一方向配信では、主催者は参加者からの発言に反応する必要がないので、比較的落ち着いてマイペースでウェビナーを進めることができます。しかし、参加者の様子がわかりづらいことや、参加者の注意力が散漫になりやすいデメリットがあります。

双方向配信はいわば「参加型」といえるものです。参加型のほうがウェビナーは盛り上がり、参加者の集中力も持続しやすくなります。デメリットとしては、予定外のハプニングや時間超過が起きやすい点が挙げられます。

おすすめはライブ配信 × 双方向配信

以上がウェビナーの種類となりますが、BtoB企業の案件獲得を目指すウェビナーでは、「ライブ配信 × 双方向配信」がおすすめです。案件化率が高くなります。

その理由は、ウェビナーの種類のなかでも「ライブ配信 × 双方向配信」は、案件化率の高いリアルの会場型セミナーに近いやり方だからです。よりリアルセミナーに近いコミュニケーションが可能になり、結果として案件化率が高まります。


ウェビナー開催方法 7ステップの手順

ウェビナーにチャレンジしてみたいと思ったら、具体的に何をすれば良いのでしょうか。ウェビナー開催のやり方を7ステップで解説します。

▼ウェビナーを開催する手順

  1. 企画を立てる
  2. 集客する
  3. 配信ツールを選び操作に慣れる
  4. 配信環境・機材を準備する
  5. リハーサルを行う
  6. 参加希望者に開催URLを送信する
  7. 当日ウェビナーを実施する

ステップ1:企画を立てる

1つめのステップは「企画を立てる」です。どんなターゲットに向けて、何を目的としてウェビナーを開催するのか、企画を立てましょう。

ウェビナーの企画を立てるうえで押さえておきたいのは「会場型のリアルセミナーとの違い」です。

会場型のリアルセミナーでは、成約に近い見込み顧客が多く来場します。リアルセミナー開催の目的は「セミナー後にできるだけ多くの案件を獲得すること」となり、セミナー内容はセールス色が強くなりがちです。

しかしウェビナーでは、「成約よりも、ずっと手前」の人たちの集客が多くなることを認識しておきましょう。ウェビナー開催後すぐに顧客化することは珍しく、参加者もそこは求めていません。

それよりも、参加者にとって価値のある情報や、あなたの会社が提供している商品・サービスを活用するうえで必要な知識を提供することを通して、「まずは少しでも商品・サービスに興味を持っていただくこと」を目的としてウェビナーの企画を立てましょう。

ステップ2:集客する

2つめのステップは「集客する」です。ウェビナーを企画したら、早めに告知を行い、集客をスタートしましょう。

公式サイトに掲載するだけでなく、自社のTwitterやFacebookなどのSNSを活用して、できるだけ広い層にリーチすることが大切です。

会社として特に注力したいウェビナーの場合には、広告出稿も行いましょう。開催するウェビナーのテーマと関連性の高いワードでのリスティング広告や、ビジネスパーソンが多く利用しているFacebookの広告は、ウェビナーと相性の良い広告です。

以下の記事も参考にしながら、集客を行ってください。

なお、集客は1ヶ月前にはスタートしたいところです。直前の告知では、参加者がスケジュール確保するのが難しく、集客率が悪くなります。

ステップ3:配信ツールを選び操作に慣れる

3つめのステップは「配信ツールを選び操作に慣れる」です。集客と並行して、配信に向けた具体的な準備を行います。

まずは、配信に使うツールを選び、その操作に慣れておく必要があります。

配信ツールの選択肢は後ほど「ウェビナーに利用できるツール(プラットフォーム)」にて解説しますが、多くの企業で採用されている配信ツールの例としては「Zoom」があります。

普段からZoomをWeb会議に利用している企業であれば、操作に慣れているZoomから試してみるのがおすすめです。

ステップ4:配信環境・機材を準備する

4つめのステップは「配信環境・機材を準備する」です。

Zoomなどの配信ツール(ソフト面)の準備と同時に、配信環境や機材といったハード面の準備も進めていきましょう。

具体的には、以下のとおりです。

▼最低限準備すべきもの

  • 配信用の会議室(静かで画面に映ったときの見栄えが良い部屋)
  • 高速で安定したインターネット回線
  • カメラ
  • マイク
  • ライト(照明)

カメラやマイクは、パソコンやスマホに内蔵しているものでも代用できますが、画質・音質という意味ではクオリティが劣ります。できれば別途、カメラとマイクを準備しましょう。

カメラもマイクも高品質を求めれば数十万円以上の機種もあります。取っ掛かりとしては、カメラは1〜2万円のWebカメラ、マイクは5,000円〜1万円の単一指向性マイク(※)があれば、必要最低限のクオリティは確保できるでしょう。

※単一指向性マイクとは、マイクを向けている一方向の音のみ拾うタイプのマイクです。周囲の雑音が入りにくくなります。

ステップ5:リハーサルを行う

5つめのステップは「リハーサルを行う」です。ぶっつけ本番でウェビナーを開催すると、大きな失敗の原因となりますので必ずリハーサルを行いましょう。

リハーサルまでに、台本や画面に映して参加者に見せる資料を準備します。会場や機材は、できる限り本番と同じ環境を準備して、本番さながらの状態でリハーサルを行います。

実際に配信ツールで配信テストを行い、参加者と同じ環境で視聴したときに「マイクの音は聞こえやすいか」「画面は見やすいか」「資料の文字の大きさは適切か」など、具体的にチェックしてください。

もちろん、セミナーの内容が参加者にとって理解しやすく面白いと感じられるものになっているかなど、セミナー自体の質も確認していきます。

リハーサルで気付いた問題点は改善を行い、参加者が十分に満足できるクオリティになるまで、何度でも繰り返しリハーサルを行いましょう。

ステップ6:参加希望者に開催URLを送信する

6つめのステップは「参加希望者に開催URLを送信する」です。

ウェビナーの開催日時が近づいてきたら、ウェビナーの開催場所にアクセスするためのURLを参加希望者に送信します。具体的には、開催の1週間前にメールを送り、さらに前日と当日にもリマインドメールを送ると良いでしょう。

ウェビナーは、気楽に参加できる反面、うっかり忘れられやすい傾向にあります。積極的にリマインドを行い、確実に参加してもらえるよう働きかけましょう。

加えて、当日になってから参加者が「ウェビナーが見られない」という状況に陥らないように、ウェビナーを視聴するために必要な環境の案内も、丁寧に行いましょう。

デジタルリテラシーの低い人にもわかりやすく、必要なデバイスやブラウザのバージョン、インターネット回線などの環境を伝え、スムーズに事前準備してもらえるように配慮します。

ステップ7:当日ウェビナーを実施する

7つめのステップは「当日ウェビナーを実施する」です。

直前の配信トラブルを回避するために、実際のウェビナー開催時刻の30分〜5分前までに配信をスタートしておくと安心です。ウェビナーの開催時刻になったら、セミナーを開始します。

本番では、思わぬトラブルが発生することもありますが、落ち着いて対処していきましょう。カメラの前で話をする登壇者以外のスタッフの役割分担をしっかりしておくと、スムーズな連携につながります。

ウェビナー終了後は、必要に応じて参加者との質疑応答などを行い、将来の案件化につながるようにフォローアップを行っていきましょう。

参考:ウェビナーアンケートを取る方法と、回答率を100%に近づける4つのコツ


ウェビナーに利用できるツール(プラットフォーム)

ここでは、実際にウェビナーに利用できるツール(プラットフォーム)を3つ、ご紹介します。

Zoom


出典:Zoom

Zoomは、オンライン会議やミーティングに多く利用されているサービスですが、ウェビナーへの利用も盛んに行われています。

Zoom以外にもウェビナーが開催できるツールはありますが、まずはZoomから試してみることをおすすめします。

ZoomはWeb会議システムのトップシェアですから、主催者も参加者も操作に慣れていて、扱いやすいことがその理由です。


出典:MM総研「SaaS・コラボレーションツール利用動向調査」

Zoomでウェビナーを開催する主催者が多い分、Zoomでのウェビナー開催を解説した書籍や記事などの情報が豊富なことも、ウェビナー初心者にとっては助かるポイントです。

Zoomでウェビナーを開催する際には、0円から利用できるZoomミーティング機能を利用する方法と、年額53,800円から利用できるZoomビデオウェビナー機能を利用する方法があります。

違いは以下のとおりです。

▼ZoomミーティングとZoomビデオウェビナーの違い

ミーティングビデオウェビナー
料金無料プランあり
※無料プランでは3人以上の利用時間が40分までに制限
有料プランのみ(53,800円 /年/ライセンス〜)
参加者数無料ライセンスでは最大100人、ライセンスに応じて最大1,000人ライセンスに応じて最大100人〜10,000人
特徴参加者全員がインタラクティブ(双方向)に行うコミュニケーションに適している参加者は視聴専用モードで参加できる
参加者同士がやり取りすることはない

ミーティングの機能でも短時間のウェビナーであれば十分活用できますが、より本格的にウェビナーに取り組むのであれば、有料のビデオウェビナーがおすすめです。自社の状況に合わせて選びましょう。

▼Zoomでのウェビナー開催がおすすめな人

  • オンライン会議やミーティングにZoomを利用していて操作に慣れている人
  • 一番メジャーなウェビナーツールを選びたい人

なお、Zoomについて詳しくは、以下の記事もご覧ください。

コクリポ


出典:
コクリポ

Zoom以外の選択肢を考えるのであれば「ウェビナー専用に開発されたサービス」を利用するという方法があります。

コクリポは、ウェビナー専用に開発されたツールです。ウェビナー以外の機能はなく「とにかく簡単にウェビナーを行えること」に特化しているため、パソコンやWebに詳しくない人にとっても扱いやすいでしょう。

参加者はURLをクリックするだけの簡単操作で参加することでき、参加者の顔出しなしの安心設計となっています。料金プランはフリー・ビジネス・エンタープライズの3つに分かれています。

▼コクリポの料金プラン

プランフリービジネスエンタープライズ
料金0円30,000円/月70,000円/月
参加者数3人100人300人
特徴使用感の確認・ウェビナー練習向け100名までの中規模ウェビナー向け300名までの大規模ウェビナー向け

▼コクリポでのウェビナー開催がおすすめな人

  • パソコンやWebに詳しくなくできるだけ簡単な操作でウェビナーを開催したい人

ネクプロ


出典:ネクプロ

ネクプロは、単にウェビナーを開催するだけでなく、ウェビナー開催後のリード獲得から商談に至るプロセスまで一元管理できるツールです。

リード管理、申込みフォームを設置したランディングページ、アンケート、各種分析など、ウェビナーを利用して本格的にマーケティングに取り組むために必要な機能がそろっています。

▼ネクプロの料金プラン

料金要問い合わせ
参加者数要問い合わせ
特徴リード管理・ランディングページ制作・アンケート・分析などのマーケティング機能が豊富

▼ネクプロでのウェビナー開催がおすすめな人

  • ウェビナーを利用したマーケティングを積極的に展開したい人


ウェビナー後の案件獲得を成功させるためのコツ

BtoB企業が案件獲得を目的としてウェビナーを実施する場合、成功させるためにはコツがあります。3つのコツをご紹介しましょう。

アンケートを活用して案件化に結び付ける

1つめのコツは「アンケートを活用して案件化に結び付ける」です。

「案件化率を左右するのは、ウェビナーの内容ではなくウェビナー後のフォローである」といっても過言ではありません。的確なフォローを行うための貴重な情報源となるのが、「ウェビナー後に回答してもらうアンケート」です。

それぞれの参加者の状況やフェーズをアンケートによって把握し、最適なフォローができる体制を整えましょう。

アンケートの回収率が悪い場合には、資料ダウンロードなどのインセンティブを付けて回収率を高めるのもひとつの手です。

参考:ウェビナーアンケートを取る方法と、回答率を100%に近づける4つのコツ

成約に近い見込み顧客も集客できる仕組みを作る

2つめのコツは「成約に近い見込み顧客も集客できる仕組みを作る」です。

ウェビナーの“気楽に参加できる”という特性を活かすと「今までにアプローチできなかった層までリーチを広げられる」ことは、先に述べたとおりです。

一方で、成約に近い見込み顧客をウェビナーに集客できる仕組みを作ることができれば、よりダイレクトに案件化率が高まります。

例えば、過去に名刺交換をしたことのある企業や休眠顧客化している企業は、成約に近い顧客といえます。さらに、リスティング広告で成約に近いニーズを示すワードで検索しているユーザーにリーチすることも、有益です。

ウェビナーを分析し質を高める

3つめのコツは「ウェビナーを分析し質を高める」です。

インターネット上で実施されるウェビナーは、配信数、入退退出場履歴、チャット履歴などの配信ログが残ります。ウェビナー実施後に必ず振り返りを行い、内容を分析して課題を抽出しましょう。

ウェビナー後の案件化率の追跡も行い、案件化率が高かったウェビナー/低かったウェビナーを比較して、成功ポイントを発見していきます。

ウェビナーの実施を繰り返すごとに分析し、クオリティを高めることで、案件化率を高めることができます。


ウェビナーを開催する際の注意点

最後に、ウェビナーを開催する際の注意点を2つ、お伝えします。

リアルセミナーで人気の登壇者がウェビナーでも人気とは限らない

1つめの注意点は「リアルセミナーで人気の登壇者がウェビナーでも人気とは限らない」です。

ウェビナーに登壇者を迎える際、会場型のリアルセミナーでベテランの登壇者なら、何の問題もないと思いがちです。しかし、実際に体験してみるとわかるのですが、リアルセミナーとウェブセミナーは、別モノといって良いほど違いがあります。

リアルセミナーでは、目の前にいる参加者の反応を見ながら話を進めることができますが、ウェビナーではカメラに向かって話します。カメラへの視線の配り方、配信に適したスピード感の話し方、参加者とのコミュニケーションの取り方など、ウェビナー特有のプレゼンスキルが必要です。

リアルセミナーではベテランの登壇者でも、「ウェビナーは苦手」と言う方もいますので、注意しましょう。リアルセミナーで人気の登壇者だったとしても、ウェビナーへの登壇前には念入りなリハーサルが必須です。

ウェビナー開催後のアフターフォローなしに売上は上がらない

2つめの注意点は「ウェビナー開催後のアフターフォローなしに売上は上がらない」です。

BtoB企業で開催されるウェビナーにおいては、ウェビナー自体でセールスするというよりは、「ウェビナーをきっかけとして、その後のフォローでいかに案件化率を上げるか」という視点が重要です。

先にも述べたとおり、ただウェビナーを開催するだけで売上が上がる類のものではないことを、念頭におきましょう。

ウェビナーを実施する際には、アフターフォロー体制まで含めて設計することが大切です。


まとめ

ウェビナーとは、ウェブ+セミナーを合わせた造語で、オンラインセミナーのことです。近年ではセミナーだけでなく、展示会や商品説明会なども含めた広い意味でのWebイベントをウェビナーと呼ぶことが増えています。

ウェビナーは、非接触で3密を避けつつ、効果的なリード獲得ができるBtoB企業のマーケティング手法として注目されています。

ウェビナーの3つのメリットは以下のとおりです。

  1. 非接触でセミナーが開催できる
  2. 格安のコストで実施できる
  3. 従来アプローチできなかった層を集客できる

ウェビナーの3つのデメリットは以下のとおりです。

  1. 案件化率が低い
  2. 配信トラブルが起きやすい
  3. 主催者および参加者同士の親睦は深めにくい

ライブ配信と録画配信のメリット・デメリットは以下のとおりです。

種類メリットデメリット
ライブ配信◎ライブならではの魅力がある
◎参加者が集中しやすい
◎双方向配信ができる
×ライブ 配信中のトラブルリスクがある
×時間超過が起きることがある
録画配信◎質の高い動画を事前準備できる
◎言い間違いなどのミスが起きない
◎必ず予定時間内に終了できる
×ライブ感の魅力がない
×双方向配信ができない

一方向配信と双方向配信のメリットデメリットは以下のとおりです。

メリットデメリット
一方向配信◎参加者に対応するスキルが必要ない
◎予定通りにウェビナーを進めやすい
×参加者の様子がわからない
×参加者の注意力が散漫になりやすい
×ライブ感が感じにくい
双方向配信◎参加者の様子に合わせて臨機応変に対応できる
◎参加者の集中力が持続する
◎ウェビナーが盛り上がりやすい
◎登壇者の熱量が上がりやすい
×予定外のハプニングが起きることがある
×時間超過が起きやすい
×参加者に適切なレスポンスを返すスキルが必要

おすすめは「ライブ配信 × 双方向配信」で行うウェビナーです。

ウェビナー開催方法・手順は以下のとおりです。

  • 企画を立てる
  • 集客する
  • 配信ツールを選び操作に慣れる
  • 配信環境・機材を準備する
  • リハーサルを行う
  • 参加希望者に開催URLを送信する
  • 当日ウェビナーを実施する

ウェビナー後の案件獲得を成功させるためには、以下のポイントを意識しましょう。

  • アンケートを活用して案件化に結び付ける
  • 成約に近い見込み顧客も集客できる仕組みを作る
  • ウェビナーを分析し質を高める

ウェビナーを開催する際の注意点として、リアルセミナーで人気の登壇者がウェビナーでも人気とは限らないこと、ウェビナー開催後のアフターフォローなしに売上は上がらないことに留意してください。

ウェビナーへの取り組みを早期にスタートして、社内にノウハウを蓄積していくことは、自社の競争力を高めることにつながります。まずはウェビナーの企画を立てるところから、さっそく着手してみましょう。