マーケティングをまるごとフレームワーク化!押さえるべき8つの枠組み

「考えるのが早い」と言われるような人は、たいてい何らかのフレームワークを持っていると言われています。3C、SWOT、4Pなどの有名なフレームワークがありますが、それらを利用することによって、物事をもれなく、素早く捉えられるようになります(参考:事例で解説!マーケティングミックス(4P)とは)。

しかし、いざ実際のビジネスのシーンで活用しようとするとなかなか自在に使いこなすことは難しく、どこか間違って使っているような気持ちになっている方も多いのではないでしょうか。

今回は、今年こそはフレームワークを自在に活用したい!と思う方に向けて、使用頻度の高いフレームワークを8つに厳選、それぞれを使うことが有効な「タイミング」と、使い方がわかる「具体事例」をまとめてみました。

▼フレームワークの利用ステップ

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これらのフレームワークを活用できれば自身のビジネススピードはアップし、さらに適切な時系列順に利用することができれば、マーケティング全体をフレームワーク化することも可能です。そんなフレームワークをどんどん利用して、どんどん思考時間の短縮化を実現していきましょう!


情報収集のためのフレームワーク3選

4C

▶要約:「顧客視点」で商品・サービスをチェックするフレームワーク
▶使えるタイミング:競合商品のチェックをしたい時、自社商品の課題発見したい時

4Cとは、顧客にとっての価値(Customer value)、顧客が負担するコスト(Cost)、 顧客の利便性(Convenience)、顧客との対話(Communication)の4つの頭文字を取った、企業のマーケティング活動を捉えるためのフレームワークです。この4つのCの中でも「顧客にとっての価値」は最も大切な要素で、分析をする際には顧客の気持ちになりきって考えることが重要です(参考:顧客理解でWebマーケティングの成果を上げる!たった1つの「コツ」とは?)。

■活用事例:競合のサービスをチェックする(オンライン英会話)
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例えば、オンライン英会話を始めたA社のサービスをチェックするために4C分析を行ったとします。上図のようにA社の現状を4つのCによってまとめることができますが、それぞれの現状を「顧客視点」で捉えることが非常に重要です。

例えば「利便性」における「いつでも受講可能」なことは、自由に講義を受けることが出来るため一見強いメリットに見えますが、顧客の見方によっては「きっちりとした学習計画がない」とデメリットに感じるユーザもいることも考えられます。

このように、対象とする顧客によって持つ視点は異なることがあるため、よりフラットな視点で分析が行えるよう「顧客視点」を常に意識して分析することがこのフレームワークでは重要です(参考:顧客視点とお客様の声は違う!?マーケティングの成功9事例)。

参考:杉並区のWEB制作・WEBコンサルティングチームのロジックシミュレータ┃マーケティングの4C分析から「売れる商品とは何か?」を学ぶ
ジェイロ総合コンサルティング┃「マーケティングの4C」

経営資源の5視点

▶要約:「人・モノ・金・時間・情報」から資源の分配状況チェックするフレームワーク
▶使えるタイミング:自社や業界の資源配分状況を見直したいとき

経営資源の5視点では、自社・他社・業界の資源状況を客観的に観察します。従来の「人」「モノ」「金」に代表される経営資源に「情報」「時間」を加えて、より正確に資源の現状を把握します。そして現状を把握するとともに、より適切な資源分配のあり方を見つけます。

■活用例:資源の分配状況をチェック(焼肉チェーン店)
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このフレームワークでは経営資源を5つの視点から資源をまとめていますが、ただ資源の欄を埋めていくのでは意味がありません。最終的な目的は「資源の正しい分配」を達成することであるため、もっている資源の中で強いものは何なのか(「差別化」できる資源)、弱い資源は何なのかを把握して、正しく再分配する方法を考える必要があります。

例えば上記の焼肉チェーン店Aでは「情報」「金」が差別化できる強い資源であることがわかったため、それらの資源を他のものと掛けあわせて(「金」なら「モノ」など)、弱いものを強く、強いものを更に強めるなどの分配が考えられます。

参考:オルタナティブブログ┃人・モノ・金・情報と並んで重要な5番目の経営資源は?
らいおんさんからの贈り物┃周囲にある資源(人、物、金、情報、時間)を使えているだろうか

イノベーター理論

▶要約:ユーザへの商品の普及度から、今後の浸透の流れを推測するフレームワーク
▶使えるタイミング: 広告・プロモーションを強化するタイミングを知りたい時

イノベーター理論とは、消費者を商品購入態度から新商品購入の早い順番に五つのグループへと分類した枠組みです。一般的に、商品が世の中に普及する過程では、「イノベーター」と「アーリーマジョリティー」を足した16%を超えると一気に広がると言われています。よって、イノベーター理論を理解することで、どのタイミングでプロモーションなどの強化を行えば良いのかがつかみやすくなります(参考:イノベーションの意味と身近なイノベーション事例7選)。

■活用例:プロモーション強化の時期を見極める(電子書籍)
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有料電子書籍を利用する人は 2014年5月時点で、10.4%であるそうです(電子書籍ビジネス調査報告書2014より)。この数値をイノベーター理論に当てはめてみると、電子書籍を有料で利用する人の属性は「ア―リーアダプター」止まりとなっており、一気に広がると言われている16%まで達していません。

よって今後普及率を高めてゆくための方法論をこの理論からから考えてみると、残り5,6%のアーリーアダプターをどのように獲得するのかが目標点となり、現代から宣伝活動やキャンペーンの強化をしていくことが考えられます(参考:アーリーアダプターの重要性が5分で理解できる!【シリコンバレーの成功企業の3事例】)。

参考:私はこう見る コンサルタント生の本音情報┃ヒット商品を最初に買う人たち【イノベーター理論-サルにもわかる基礎マーケティング3】
ソーシャルメディアマーケティングラボ┃「イノベーター理論」とは?~今さら人に聞けないマーケティング用語をおさらい!


課題発見のためのフレームワーク2選

PEST分析

▶要約:4つの視点から外部環境の分析を行うフレームワーク
▶使えるタイミング: 世の中的な流れをしっかり抑えたい時

PEST分析では、事業を取り巻く外部環境を、政治的・経済的・社会的・技術的の4つの視点で分析します。この分析によって、自社分析だけではなかなか気づくことができない、外部の環境をまとめて把握することができます。

■活用例:学習塾業界の外部環境をチェック
学習塾のpest分析
学習塾業界では、顧客である学生の数が減っていっている「少子化」などの事象はもちろん抑えておく必要がありますが、映像授業などの形態が進む中で「ICT技術」に対する政府の助成金の発布などの状況などを見落としてしまうことは重大な機会損失につながりかねません。
こうした見落としを防ぐためにもPEST分析のフレームワークを活用することにより、主要4つの外的環境の視点からもれずに整理することが出来るようになります。

参考:ALLAbout┃マクロ環境を調査する『PEST分析』

3C分析

▶要約:3つの視点から自社の課題や現状を把握するフレームワーク
▶使えるタイミング:既存商品の課題を発見したい時

3C分析 では顧客・競合・自社のビジネスに関わる代表的な3者の分析をそれぞれ行い、自社の課題発見に活用します。この3者の中でも「顧客」は最も重要な視点であり、顧客がどんな不満や不安を感じているかを整理したうえで、ニーズとしては何があるのかを導き出すかが重要です(参考:顧客理解でWebマーケティングの成果を上げる!たった1つの「コツ」とは?)。

■活用例:ネット保険会社の課題を発見する
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3C分析でも、冒頭の4C分析と同様に「顧客の立場」に立つことが重要でした。そこで従来の保険サービスに対して、仮に顧客は日頃から「サービスのわかりづらさ」や「必要のないサービス」に不満を感じていた状況があったとすれば、それはもっとも重視すべき観点になります。さらに、その状況に対して競合は十分な対策をとっていないことがわかれば、自社の強みである「低価格な保証サービス」を活かして「必要最低限」の保証を「安価」で提供していく戦略を考えることができます。

例はあくまでも仮定ですが、重要なのは顧客のニーズ中心に考えることであり、自社や他社の分析ばかりにこってしまわないことがこのフレームワークでは重要です。

【参考】
ferret┃Webマーケティングの基礎~3C分析を使ってみよう


アイデアを着想するためのフレームワーク2選

MECE

▶要約:発想に「もれ」や「重なり」がないか確認するフレームワーク
▶使えるタイミング:新しいアイデアを改めて出したいとき、欠けている視点を確認したいとき

MECE(メーシー)とは、Mutually Exclusive Collectivery Echausiveの頭文字を表したもので、「もれなく」「重なりなく」を意味します。MECEを使うことによって、自分のアイデアや考えにもれや重複がないかを確認することができます。

■活用例:MECEでターゲットの抜け漏れを防ぐ(女性向け商品)
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女性向けの商品販売を考えた時に、図1では全ての年齢の女性がカバーされているため、漏れも重複もなく、全ての対象を見ることができています。一方で図2では「OL」と「主婦」しか考慮していないため、それ以外の「学生」や「フリーター」を見ることができていません。

このような状況ではターゲット全体を見ることができないため、浮かぶアイデアも限定的なものとなってしまいます。新たなアイデアを生み出すためには、改めて全体を見ることができているか、MECEを使って確認することが効果的です。

参考:NAVERまとめ┃ロジカルシンキングの基本「ピラミッド構造」と「MECE」をおさえて論理的に話そう

SWOT分析

▶要約:内部要因と外部要因から自社の戦略を考察するフレームワーク
▶使えるタイミング:自社の強みを再検討したい時、新しく戦略を練りたい時

SWOT分析では、「自社の強み・弱み」の内的環境と「機会・脅威」の外部環境を明らかにし、それらを組み合わせて経営戦略を考えるフレームワークです。更に洗い出されたそれぞれの要素を「強み×機会」「弱み×脅威」の要領で掛けあわせ、新たな戦略を導き出します(参考:SWOT分析とは?|定義から方法までわかりやすく解説)。

■活用例:商店街の戦略を考える
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シャッター街が活気ある商店街に生まれ変わるための戦略も、SWOT分析で探ってみることが可能です。例えば「空き店舗が多い寂れた雰囲気」の弱みも、機会としてある「他の商店街から共同の提案」と組み合わせれば、「空き店舗を保育施設などに転用」などの新たな戦略を生み出すことができます。

このようにSWOT分析のフレームワークを利用すれば、内的・外的環境の分析だけでなく、今後どのように戦っていくのか、その戦略まで導き出すことが可能です。

参考:創業手帳Web┃起業家必見(予備軍も見てね)!実例で学ぶカンタンSWOT分析


アイデアを実行・修正するためのフレームワーク

PDCA

▶要約:アイデア・計画を更に進化させるためのサイクルを作る
▶使えるタイミング:アイデア・計画を更にブラッシュアップさせたい時

PDCAとは、企業が行う計画や事業などを「Plan→Do→Check→Action」の4つのステップで管理する方法です。この4ステップが一度回ったからといって完了ではなく、何度も何度も繰り返し実行と修正を行い、 アイデアのブラッシュアップを行います(参考:PDCAを効果的に回して仕事の成果を上げる3つのポイント)。

■活用例:プロジェクトのPDCAサイクルを繰り返し回し続ける
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プロジェクトのPDCAサイクルでは、一定の期間にどれだけ早く、どれだけの回数を回したかが重要です。このプロセスを回せば回すほど、良い結果を残すことが出来ると言われています。
また、このPDCAのサイクルは一つずつ確実にこなしてゆくことが重要であり、一つでも欠けたり、不十分であると全体の成果が半減してしまう可能性があります。

しかし、プロジェクトに関わるデータは複雑で、PDCAを正しく回す自信がないという人も少なくないでしょう。AIを用いれば、複雑なデータを機械的に分析し、適切なPlan・Actionを提案してくれるため、高いマーケティング効果が期待できます。

MAツールの活用でPDCAを高速回転

マーケティングオートメーションツール(MAツール)というマーケティング活動を自動化するツールを活用することでPDCAの回転速度を上げることができます。
MAツールを用いることで、具体的には以下のようなことができます。

  • サイト上で特定のアクションを行った顧客に自動でメールを送信
  • 入力フォームを施策ごとに量産
  • ユーザ情報や状況を一元管理など

参考:マーケティングオートメーションツールの一覧 ≫


まとめ

いかがでしたでしょうか。以上8つの代表的なフレームワークを紹介しましたが、これ以外にも多数の枠組みが存在しています。まずは上記であげた基本的な枠組みを抑えつつ、あとはどんどん色々な枠組みにチャレンジをしてみて、最終的には自分がいちばん使いやすいフレームワークをオリジナルで作りあげてみましょう!

【参考書籍】
『コンサルタントが使っているフレームワーク思考法』 高橋健三
『新人コンサルタントが最初に学ぶ厳選フレームワーク20』 並木裕太 井上裕太
『ビジュアルビジネスフレームワーク』 堀公俊