クロスメディアマーケティングとは、テレビやインターネットなど様々なメディアを組み合わせ利用することで、広告の相乗効果を促す手法のことです。
クロスメディアマーケティングをうまく活用すれば、メディアの相乗効果が期待できるほか、購入見込み度の高い顧客を獲得できるなどのメリットがあります。
しかし、クロスメディアマーケティングといっても、具体的にどのメディアをどのように活用するものなのか、よくわからないという方も多いと思います。
そこで本記事では、クロスメディアマーケティングの概要や、各メディアの特徴、具体的な展開例などについてわかりやすく解説します。
この記事を読めば、自社でクロスメディアマーケティングを実施するべきかどうか、しっかりと検討することができます。
目次
クロスメディアマーケティングとは、複数のメディアを組み合わせて成果を創出するマーケティング手法
クロスメディアマーケティングとは、インターネット、デジタル(例:テレビ)、アナログ(例:雑誌・新聞)など、独立して利用されているメディアを組み合わせて利用し、広告の相乗効果を狙う手法のことです。
メディアには、テレビやラジオといった「マスメディア」、チラシやダイレクトメールなどの「アナログメディア」、Webサイトなどの「インターネットメディア」の3種類があります。
これらを単に単独したメディアとして活用するのではなく、メディアの特性に応じてメディアを組み合わせることにより、相乗効果を高めることができます。
具体例としては、テレビCMで「続きはWebで」や「◯◯で検索」と打ち出して、Webサイトに誘導するようなものが該当します。
テレビCMのメリットは、不特定多数のユーザーにアピールすることで認知度アップが期待できることです。
対してWebサイトのメリットは、より多く詳細な情報を発信できることです。
これらを組み合わせることで高い相乗効果を生み、単一のメディアでは届きにくい幅広い年代や多様な属性のユーザーにまで情報発信を行うことが可能になります。
クロスメディアマーケティングで使われる代表的な媒体一覧
クロスメディアマーケティングで使われる代表的な媒体としては、大きく分けて3種類あり、それぞれに特徴があります。
以下に一覧でまとめてみました。
種類 | 具体例 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
マスメディア | ・テレビ ・ラジオ ・新聞 ・雑誌 | ・影響力が高い ・認知度アップ ・信頼性が高い | ・広告費が高い |
アナログメディア | ・チラシ ・パンフレット ・ダイレクトメール | ・商品・サービスの詳細を細かく記載できる ・具体的なイメージを伝えやすい | ・興味・関心がないと読まれない |
インターネットメディア | ・Webサイト ・SNS ・メルマガ ・動画 ・ブログ | ・情報伝達量が多い ・広範囲に向けて発信できる ・広告費が抑えられる | ・エリアを限定した宣伝には不向き |
これらをうまく組み合わせることで、それぞれのメリットを生かし、デメリットを補完して結果に繋げやすくなります。
マスメディア
マスメディアは、いわゆる4大メディアのことで、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌が該当します。
メリットとしては、幅広い層にリーチできるため影響力が強いこと、知名度アップや信頼性が高まることが挙げられます。
一方デメリットは、広告費が高いこと、リーチは一過性に留まってしまう点があります。
認知度が上がり、興味を持ってもらったユーザーには、Webサイトへ誘導して資料請求を促すなどの導線を用意すると効果的です。
参考:マス広告とは?デジタル広告との違い・効果を高める併用メソッド
アナログメディア
アナログメディアとは、パンフレットやチラシなど紙媒体や冊子モノのことです。
メリットは、手元に「物」として置いておけるため、繰り返し読むことができます。
写真や文章を工夫することでユーザーに深い理解や共感を促すことができるほか、直接手渡しが可能なことなどが挙げられます。
一方デメリットとしては、ニーズが高まらないと購入や商材の利用といった広告目的を達成しにくく、効果も測りにくい点などがあります。
その点は、ECサイトへの導線を掲載して購買のハードルを下げるなどすれば、効果を高めることが可能です。
インターネットメディア
インターネットメディアには、Webサイトやブログ、メルマガ、動画、SNSというようなメディアがあります。
メリットは、より詳細で膨大な情報の発信が可能であること、インターネット環境下であれば世界中のどこへでも発信できることなどが挙げられます。
デメリットは、継続的な運営が必要で、望む広告効果が出るまでに時間が必要といった点があります。
昨今は、情報収集は「まずWebで」というユーザーが増えており、興味のある商品やサービスを最初に知る場所にもなりつつあります。
より認知を高めていきたい、信頼性を高めたいという場合に他のメディアを組み合わせた流れを検討すると、より高い効果が見込めます。
参考:デジタルマーケティングとは?今さら聞けない基礎知識と代表的な手法を解説
メディアミックスとの違い
よく似た言葉に「メディアミックス」がありますが、クロスメディアとは目的が異なっており、意味が違います。
簡単に言うと、クロスメディアは「線」を作ってゴールへ誘導するのに対し、メディアミックスは「面」を作って認知度拡大を図るものです。
メディアの連動性を重視し、相乗効果を促進
メディアミックス=「面」
複数のメディアに露出し、認知を拡大
クロスメディアの目的は、様々なメディアの特性を生かして情報を補完し、より多くのユーザーがあるメディアから別のメディアに移行してもらうことで相乗効果を高めることです。
対して、メディアミックスの目的は、複数のメディアを使ってより多くのユーザーに商品やサービスを知ってもらうことになります。
具体的には「ポケットモンスター(ポケモン)」の例がわかりやすいでしょう。
メディアミックスの成功例として有名で、ゲーム、アニメ、映画など様々なメディアで認知を拡大し、国籍や年齢・性別を超えた多様なユーザーから人気を獲得しています。
クロスメディアマーケティングの4つのメリット
クロスメディアマーケティングを行うメリットは、以下の4つあります。
- 見込み度の高い顧客を獲得できる
- 媒体ごとの相乗効果が狙える
- ユーザーのニーズを引き出しやすい
- 獲得できる顧客層の幅が広い
順に解説していきます。
見込み度の高いユーザーを獲得できる
クロスメディアマーケティングのメリットのひとつに、購入見込み度が高いユーザーを獲得できることが挙げられます。
複数のメディアを活用することによって、広告戦略のスタートから商品やサービス購入といった一連の行動の流れを作り購入意欲の高いユーザーを絞り込んでいくことができるからです。
例えば、テレビCMから自社ホームページへという流れを想定した場合、テレビCMで不特定多数の幅広い層にアプローチして認知を獲得し、それを見て興味を持ったユーザーだけが自社のホームページを訪問することになります。
また、活用したどのメディアで、どれだけのユーザーがアクションを起こしたのか、効果測定も行っていけば、さらに質の高いユーザー獲得に役立ちます。
例えば、チラシや雑誌といった紙媒体は効果検証が難しくなりがちですが、チラシ経由でサイト来訪履歴がわかるQRコードなどをつけてWeb広告に誘導すれば、訪問数が把握できます。
その結果、チラシは特典をつければサイト来訪が増える傾向があるとか、Web広告はリピート獲得に向いているといった分析が可能になります。
メディアごとの相乗効果が狙える
クロスメディアマーケティングは、それぞれのメディアのメリットを生かし、デメリットはカバーすることが可能で、メディアごとの相乗効果が狙えます。
例えば、テレビやラジオなどは幅広い層に認知拡大できますが、広告費用も高く、時間枠が限られているため、詳細情報の提供や購入促進はしにくくなっています。
しかし、これらに新聞広告を組み合わせれば、写真やテキストで詳細情報を伝えられますし、さらにインターネット展開でECサイトに誘導すれば、より購入しやすくできるのです。
このように、設計次第ではそれぞれのメディアの「いいとこ取り」ができますし、より多くのユーザーに、より多くの情報を提供しやすくなります。
ユーザーの購入意欲を引き出しやすい
もうひとつは、ユーザーのニーズや購入意欲を引き出しやすいことです。
クロスメディアマーケティングの導線にうまく乗ってもらえれば、認知、理解、購入のステップをスムーズに踏み、購買行動を起こしてもらいやすくなります。
例えば、テレビCMを見て商品やサービスについて興味を持ったユーザーが、Webサイトを訪問するとします。
最初は興味本位程度だったものが、商品やサービスに対する理解や共感が深まり「欲しい」という意欲が高まりやすくなるのです。
意欲が高まったところで、ボタンを用意したり、ECサイトに繋げたりなど購入しやすい工夫をすると良いです。
獲得できるユーザー層の幅が広い
クロスメディアマーケティングを行うことでユーザーとの接点を広げ、幅広いユーザー層を獲得できる可能性を高められます。
単一のメディアだけでは獲得できなかった顧客層に対して段階を踏んで訴求することができるためです。
インターネットに接触することの多い若年層と、新聞やテレビに接触することの多い中高年層の双方を活用することで、ターゲット層を拡大することができます。
参考:クロスメディアマーケティングとは?4つのメリット・成功事例を紹介|Marketing Map
クロスメディアの展開例
では、クロスメディアは具体的にどのように展開すればよいのでしょうか。
クロスメディアの代表的なパターン例として3つ挙げ、詳しく解説していきます。
- テレビCM+Webサイト
- テレビCM+Webサイト
- チラシ+Webサイト
なお、実際の成功事例が知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
参考:成功事例に学ぶ、クロスメディアの広告のコツと注意点 | LISKUL
テレビCM+Webサイト
まず挙げられるのが、テレビCM+Webサイトというパターンです。
最初にテレビCMで不特定多数に認知を広げ、詳細はWebサイトへと誘導することで、購入へのハードルを一段と下げやすくなります。
例えば、テレビCMで興味を持ってもらったユーザーに対して、Webサイトへ誘導するようし、キャンペーンの告知や詳しい情報を知ってもらいたい時に活用します。
さらにECサイトがあれば、購入ハードルを一段と下げることができます。
予算に余裕がある場合は、ぜひ検討すると良いでしょう。
SNS+オウンドメディア
もうひとつは、SNS+オウンデメディアのパターンです。
TwitterやFacebookなどのSNSを入り口として認知度を高め、自社が運営するホームページなどのオウンドメディアに誘導することが可能です。
理由は、検索によるリーチとは違い、普段接触しているSNSの口コミを使って情報収集するユーザーは、接触頻度が上がったり、ユーザー間でシェアしたりすることで情報に対する信頼性や親和性が高まるからです。
これをステップに、オウンドメディアへの誘導をはかります。
自社でSNSやホームページなどのオウンドメディアを運用している場合は、比較的取り組みやすいパターンですので、ぜひやってみてください。
チラシ+Webサイト
3つ目は、チラシ+Webサイトというパターンです。
チラシでユーザーの興味を喚起し、購入見込みの高いユーザーのみをWebサイトへ集客することができます。
具体的には、ポスターやチラシといった紙媒体に、QRコードやURLを掲載してWebサイトに誘導し、より詳しい情報を伝えることができます。
資料請求やチケットの購入などがしやすいように、リンクを掲載するとスムーズです。
費用は比較的リーズナブルに抑えることができるため、飲食店やイベントなどの集客に向いています。
参考:クロスメディアとは?メリットや事例、成功ポイントをわかりやすく解説|Insta Lab
クロスメディアマーケティングを成功させるポイント
クロスメディアマーケティングを成功させるポイントは3つあります。
- ターゲットのプロファイリングを徹底的に行う
- CVまでのプロセスを設計する
- コンテンツ制作に注力する
ターゲットのプロファイリングを徹底的に行う
まずは、アプローチしたいターゲットの性年代・ライフスタイル・居住エリア・志向性・購買行動などなるべく詳細に調査することです。
自社が想定するターゲットのインサイトや潜在ニーズを考え抜くことで、ターゲットがどんな行動をとるか、どんなメディアに触れるかを先回りして施策を実施することができます。
参考:ペルソナマーケティングが5分で理解できる!【日本企業の厳選事例6選】 | LISKUL
消費者インサイトとは?3つの活用事例と今すぐできる調査方法を解説 | LISKUL
5分でわかる「潜在ニーズ」とは?売上をアップする潜在ニーズの引き出し方も解説 | LISKUL
CVまでのプロセスを設計する
2つ目はCV(コンバージョン)までのプロセスをしっかりと設計することです。
クロスメディアマーケティングでは、様々なメディアを連動させていくことで、目指す目的にユーザーを導く戦略を立てることが重要です。
各メディアの長所と短所を把握し、どのメディアを皮切りにアプローチし、どのような流れで誘導していき、ゴールを達成するのか明確化してください。
そのためには、5W1Hの明確化を意識すると良いです。
プロモーションを実施する目的(Why)を明確にすることはもちろん、クロスメディアマーケティングにおいては、特に「How(手段)」の部分と「Where(場所)」の部分の要素に着目し、連動をはかります。
5W1H | クロスメディアマーケティングの5W1H | |
---|---|---|
When | いつ(時間) | 配信時間・期間 |
Where | どこで(場所) | どのメディアで |
Who | 何を(物) | 商品・サービス |
Why | なぜ(理由) | 目的・価値 |
How | どのように(手段) | 宣伝・プロモーションの手段 |
5W1Hの詳細については、以下の記事にも詳しく解説があるので、参考にしてみてください。
参考:成功事例に学ぶ、クロスメディアの広告のコツと注意点 | LISKUL
コンテンツ制作に注力する
クロスメディアマーケティングを成功させるための3つめのポイントは、コンテンツ制作に注力することです。
ユーザーが最初に接触するメディアでしっかりと興味喚起できなければ、次のメディアへ誘導することができません。
例えば、チラシを見たユーザーに対し「QRコードからWebサイトに移動する」などのアクションを促すためには、興味や関心を持ってもらうことが必要です。
そのため、コンテンツのキャッチコピーやデザインなどで魅力を感じてもらうことがポイントになります。
ユーザーが「もっと知りたい」と思うような、質の高いコンテンツを制作することが重要です。
なお、コンテンツの質を高めるためのコピーの作成方法については、以下の記事に詳細の解説がありますので、ぜひ参考にしてみてください。
参考:誰でも上手いキャッチコピーが作れる!ノウハウ記事17選とテクニック集 | LISKUL
効果が3倍あがる! コピーライティングのテクニック【完全保存版】 | LISKUL
キャッチコピーの作り方|もう失敗しないための7大テクニック! | LISKUL
チラシで効果は挙げられる!効果的な集客方法・事例・作成のポイント | LISKUL
クロスメディアマーケティングに関するよくあるご質問
クロスメディアマーケティングを検討中の方に役立つQ&Aをまとめています。
Q.クロスメディアキャンペーンでの効果測定方法は?
A.クロスメディアキャンペーンの効果測定には、各メディアごとのKPIを設定し、オンラインとオフラインの反応を追跡します。例えば、ウェブサイトのトラフィック、ソーシャルメディアのエンゲージメント、売上の変化などを総合的に評価します。
Q.クロスメディアマーケティングでターゲティングの精度を高める方法は?
A.ターゲティングの精度を高めるためには、顧客データの統合と分析が重要です。CRMシステムやデータマイニングツールを活用し、顧客の行動パターンや嗜好に基づいて、最適なメディアとメッセージを選定します。
ターゲティングについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
参考:ターゲティングとは?基礎や種類から近年のトレンドまで一挙解説!
Q.クロスメディアマーケティングでSNSを活用する方法は?
A.SNSは、クロスメディアキャンペーンの一部として重要な役割を果たします。若年層ならTikTokなど、ターゲットが活発に活動するプラットフォームを選び、エンゲージメントを高めるコンテンツを提供することがポイントです。
Q.クロスメディアマーケティングのキャンペーンでの法的注意点は?
A.クロスメディアキャンペーンでは、各メディアでの広告表現やデータの取り扱いに関する法律や規制を遵守する必要があります。例えば、著作権や個人情報保護に関する法令を確認し、違反を避けるための対策を講じます。
Q.クロスメディアマーケティングにおけるブランドの重要性は?
A.クロスメディアマーケティングでは、複数のメディアを活用するため、ブランドの一貫性が重要です。全てのメディアで同じブランドメッセージとビジュアルスタイルを維持することで、顧客に強い印象を残すことができます。
まとめ
クロスメディアマーケティングとは、インターネットメディア、デジタルメディア、アナログメディアを組み合わせて利用し、広告の相乗効果を狙う手法のことです。
それぞれのメディアを組み合わせることで単一のメディアでは届きにくい幅広いユーザーに情報発信することが可能になります。
クロスメディアマーケティングは、メディアの種類は大きく分けて、テレビに代表される「マスメディア」、「インターネット」、雑誌やチラシといった「アナログ」の3つがあり、それぞれのメリットとデメリットを理解しておくことが重要です。
また似た言葉の「メディアミックス」とは、目的が異なりますので注意しましょう。
メディアミックスの目的は認知拡大、クロスメディアの目的は相乗効果を高めることです。
クロスメディアマーケティングを行うメリットは、以下の4つあるのでおさえておいてください。
- 見込み度の高い顧客を獲得できる
- 媒体ごとの相乗効果が狙える
- ユーザーのニーズを引き出しやすい
- 獲得できる顧客層の幅が広い
クロスメディアを具体的に展開する場合、代表的なパターンとしては以下があります。
- テレビCM+Webサイト
- SNS+オウンドメディア
- チラシ+Webサイト
以上を踏まえ、クロスメディアマーケティングを成功させるポイントは2つ挙げられます。
- CVまでのプロセスを設計する
- コンテンツ制作に注力する
クロスメディアマーケティングを成功させるためには、自社が目指す最終的なゴールに向けて、ユーザーをうまく誘導できる導線を設計することが重要です。
そのためには、各メディアの特性を理解し、ユーザーに興味を持ってもらえるクリエイティブで行動を喚起することが大切です。
メディアの中でも特にインパクトの大きい「テレビCM」の効率を最大化したい方は下記資料もあわせてご覧ください。
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