成功事例に学ぶ、クロスメディアの広告のコツと注意点

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テレビや新聞、ラジオ、雑誌などのマス広告を取り扱っているが、それらをWebにどう展開すれば良いか分からない、とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

※広告会社向け:テレビCM提案の方法

複数のメディア(媒体)を絡めて宣伝活動を行うことを、クロスメディアマーケティングといいます。

本記事では、マス広告に代表されるオフライン広告を、Webにうまく展開した成功事例から、クロスメディアマーケティングの成功の秘訣を探っていきたいと思います。

またその際の注意点についてもあわせて解説します。

ご紹介する内容を足掛かりに、貴社に合ったクロスメディア戦略を打ち立ててください。

この記事のご覧の方には代理店で二次代行を探している方もいるのではないでしょうか。
代理店なら、運用やレポート・シミュレーション作成などを委託できます。積極的に活用し戦略立案・設計にリソースを寄せることをお勧めします。

複数の媒体を組み合わせて相乗効果を狙う!クロスメディア戦略ガイド


クロスメディアマーケティングの成功事例

まずはクロスメディアマーケティングの成功事例を見ていきましょう。

事例1:テレビCM素材を二次利用しYoutube広告に出稿

テレビCMの動画素材を、Youtube用に編集して出稿する方法です。

テレビCMの動画素材を転用することで、動画制作の工数や費用を抑えることが可能です。

アットホーム

不動産情報を提供する「アットホーム」では、テレビCMを中心に認知拡大を図ってきましたが、その動画素材をYoutubeに最適化して配信することで、「アットホーム」という検索ワードの検索増加率を従来の3.2倍に増やすことに成功しました。

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引用:段階的な YouTube 広告活用でマーケティングをデジタル化──タウンワーク、アットホーム、 WOWOW|Think with Google

ただし、素材そのままではなく、各媒体に合わせたフォーマットに編集する必要があります。

例えば下記のような点に注意しましょう。

  • ブランドやサービスを早めに明示する
  • テキストを有効活用する
  • アスペクト比はモバイル向けに合わせる
  • 権利の問題は事前にクリアにする

参考:【初心者向け】Web動画広告の提案、制作、配信までの方法を解説します

WOWOW

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引用:WOWOWofficial|Youtube

テレビ放送局である「WOWOW」は、テレビCMの予算をYoutube広告に寄せていき、新規顧客の獲得に成功しています。

F20〜39(20 歳〜 39 歳の女性層)の平均加入者数が前年比12.2倍に成長するなど、大きな成功を受けて、2018年に0.7%だったYouTube広告の予算を、2019年には8.1%まで増やしています。

また最初はテレビCMの編集版からスタートし、実績と知見を蓄積した上でWeb専用動画の制作も開始しています。

いきなりYoutube広告を始めるのはハードルが高いと感じるかもしれませんが、まずは既存のテレビCM素材を活用することから始めると良いでしょう。

テレビCMをYouTube広告に二次利用したクロスメディアマーケティングについては、長期的に認知拡大効果を実感できる!テレビCM×YouTube広告の組み合わせ施策で解説しています。

参考:段階的な YouTube 広告活用でマーケティングをデジタル化──タウンワーク、アットホーム、 WOWOW|Think with Google

事例2:SNSでバズる新聞広告

新聞広告でメッセージを発信し、SNSでバズった事例です。

新聞を購読する若年層の読者は年々減少していますが、バズらせることができれば新聞を読まないWebユーザーにも届けることが可能です。

LUX

「LUX(ユニリーバ・ジャパン)」は、「採用の履歴書から顔写真をなくします。」という容姿重視の価値観に対するアンチメッセージを新聞広告で発信し、SNSで大きな反響を呼びました。

LUX

引用:共感を呼ぶ新聞広告 ~ SNSで爆発的に拡散した事例紹介|NIKKEI Marketing Portal

新聞を購読する若年層の読者は年々減少していますが、バズらせることができれば新聞を読まないWebユーザーにも届けることが可能です。

日本経済新聞社によると、他の広告と比較して非常に高いリアクション数となったこと、またメッセージに対して好意的な反応が81%に上ったとのことです。

また、掲載から1週間でインプレッション(ユーザーがこの投稿を見た回数)が約1,800万と、驚異的な数値になっています。

クリエイティブ次第で、新聞広告は大きなポテンシャルを有しています。

キンチョー

キンチョー

引用:KINCHO 新聞広告|KINCHO

「キンチョー」は、「インターネット広告とは大違い!」という、インターネット広告を貶すような衝撃的な内容の新聞広告を出しました。

ただし広告の下部を見ると、「ぜひ、ホームページへ」とWebサイトへ誘導する文面があったり、URLが「internet/daisuki」となっていて、本気で貶しているわけではありません。

新聞を読まないWebユーザーをターゲットとして、あえて上記のメッセージを載せて訴求していることがうかがえます。

実際、Twitterを中心にWebで強い反響を呼びました。

「続きはWebで」をうまく実施した好例といえます。

事例3:折込チラシにあわせてリスティング広告・ディスプレイ広告

折込チラシにあわせて、リスティング広告やディスプレイ広告を出稿する方法です。

リスティング広告については下記をご参照ください。
参考:初心者でもわかるリスティング広告とは?費用から運用のやり方まで徹底解説!

折込チラシは、店舗ビジネスなどの地域に根付いたビジネスでは、今でも非常に有効な広告です。

折込チラシではエリアを指定してチラシを配布しますが、そのエリアに絞ってリスティング広告を配信すると相乗効果が得られます。

例えばセールのチラシを配った場合には、そのセールの目玉商品の商品名に対しリスティング広告を実施する。
あるいは店舗名(”AA電機 横浜店”など)に対しリスティング広告を実施し、広告文を通常のものではなくセールについての文面にする。

そうすることで、チラシを見て興味を持ち検索したユーザーを、自社サイトに誘導することができます。

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引用:【反響事例】折り込み+インターネット施策で獲得!「平屋」プロモーションの広告効果|株式会社 アド・コミュニケーションズ

こちらは折込チラシにあわせてバナー広告を配信した事例です。

折込チラシを見てそのまま来場までしてくれるユーザーは多くなく、複数回広告を配信することで少しずつ認知と興味を喚起する必要があります。

またバナー広告は、新築物件に興味を持っていると思われるユーザーや、実際にサイトに来訪したことのあるユーザーに限定して配信することが可能です。

エリアに住む人に幅広く配布する折込チラシに対し、確度の高い人に限定して費用を抑えて宣伝することができます。


成功事例に見るクロスメディアマーケティングのコツ

前章では、クロスメディアマーケティングの成功事例を見てきました。

いずれもオフライン→オンラインに展開した事例になっています。

クロスメディアマーケティングは、広義にはオンライン→オフラインや、オフライン同士での展開も含みます。
ですが、Webの普及でWebへの対応の必要性が叫ばれるなかで、オフラインからオンラインへの展開という文脈で語られることが多くなっています。

さて、これらの事例から、クロスメディアマーケティングを成功させるためには、下記の共通点があることが見えてきます。

  • 5W1Hを明確にする
  • それぞれのメディアの特性を理解する

コツ1:5W1Hを明確にする

どのメディアを活用するにしても、どのターゲットに何を訴求したいかを明確にする必要があります。

「5W1H」というフレームワークがあります。
下記の頭文字をとった略称です。

  • What:なにを
  • Where:どこで
  • Who:だれが
  • Why:なぜ
  • When:いつ
  • How:どのように

このうち、どのメディアを活用するかは「Where:どこで」に該当します。

事例1の、テレビCMをYoutubeに二次利用したケースでいえば、What(内容)はそのままにWhereを変えた形になります(テレビからYoutubeへ)。

事例2や3も同様です。

まずは既存の広告の5W1Hを明確にしたうえで、Whereを変更したときにその他の要素はそのままで良いのかを検討しましょう。

Where(媒体)を変えた時に、それ以外の5要素をどう考えるべきか、簡単に解説します。

What:製品・サービス

訴求したい製品・サービスの内容だけでなく、その製品・サービスが提供する価値も含めたものになります。

Whereが変わっても、Whatを変える必要はなく、むしろあまりブラさないようにすべきです。

ターゲットにどんな価値を提供したいのかを出発点とし、そのために最適なメディアが何かを考える、という順番になります。

Who:ターゲット

企業が製品・サービスを届けたい人は誰なのかを考えます。

こちらもWhereに応じてWhoを変えるよりも、Who=届けたい相手を明確にしたうえで、どのメディアが適しているかを考えるのが正しい順番です。

例えば事例1のアットホームでいえば、物件を購入する可能性の高い30代以上の年齢層にアプローチしたいと考えた時に、若年層に強いTikTokよりも、YoutubeやFacebookで動画広告を配信したほうが届けやすい、と考えられます。

Why:目的、存在価値

その製品・サービスを提供する目的、更にいえば市場に存在する価値のことです。

マーケティング戦略を立てる上で根幹をなす要素であり、これを媒体によってブラしてはいけません。

Whyを明確にすればするほど、メッセージが明確になりユーザーに強く届きます。

When:販売期間、配信期間

製品・サービスの販売期間、あるいはマーケティングの観点でいえば訴求する期間や時間のことです。

ターゲットに届けやすい時間帯はいつかを考えて広告を配信します。

例えば事例3のリスティング広告の配信の場合、ターゲットが寝静まった深夜・早朝の時間帯は配信しない、などが考えられます。

How:プロモーションの手段

各メディアに合わせた最適なプロモーションの手段を選択する必要があります。

これはWhereと密接に連動しており、媒体に合わせた手段を選択するようにしましょう。

例えば、事例1のYoutubeに合わせた動画の再編集であったり、事例3のバナー広告用にチラシを編集する、などの方法が例として挙げられます。

上記5要素のなかでは、最も変動させる必要のある要素です。

コツ2:それぞれのメディアの特性を理解する

適切に5W1Hを設計するためには、それぞれのメディアの特性を正しく理解する必要があります。

メディア(媒体)長所短所
テレビ圧倒的なリーチ量
伝えられる情報量が多い
トレンドを形成しやすい
費用が高くかかる
特定のターゲットに絞ることは難しい
広告代理店・制作会社など関係者が多く放送開始までに時間が掛かる
ラジオコアな層に届けられる
習慣性が強い
ながら聴きをしてもらいやすい
聴覚のみなので情報量が少ない
視聴者層が一定層に限られる
視聴者数は少ない
新聞信頼性・権威性が高い
地域に根付いた発信が可能
4マス媒体の中では回読率が高い
高齢者に届けやすい
情報量が多く埋もれやすい
白黒ページでは情報の伝達量が少ない
若年層にリーチしにくい
雑誌信頼性・権威性が高い
特定のターゲットにリーチ可能
4マス媒体の中では回読率が高い
伝えられる情報量が多い
掲載するまでに時間が掛かる
効果測定が難しい
Web相互コミュニケーションが可能
比較的安価
効果測定が容易
情報を発信し続けられる(Web上に残る)
トレンドを形成しやすい
信頼性・権威性に欠ける
競合が多い
メディアによってリーチ量の差が大きい

またひとくちにWebといっても、Webサイト・SNS・動画サイト・アプリなど多岐にわたっており、そのなかでも更に細かく分かれます。

例えば動画広告を実施したい場合には、若年層向けであればInstagramやTikTok、ビジネスマン向けであればFacebook、広く訴求するならYoutube、などそれぞれの特性を踏まえて選択する必要があります。

クロスメディアマーケティングを成功させるためには幅広い知識と経験が求められます。

参考:【初心者向け】Web動画広告の提案、制作、配信までの方法を解説します


クロスメディアマーケティングの注意点

最後に、クロスメディアマーケティングを行う際の注意点を解説します。

注意点1:効果測定のフローを事前に設計する

従来のマスメディア広告では、細かい効果測定が難しいという特性があります。

例えば折込チラシを配った際に、折込チラシを見て来場や購買に至った数はアンケートで計測可能ですが、どういう層がどれだけチラシを見たのかを正確に測ることは難しいです。

一方Web広告は、表示回数やクリック数、購入に至った数など細かい数値の測定が可能です。

そのWebの特性を踏まえて、配信して終わりではなく、効果を測定するフローを事前に設計する必要があります。

またその際には、KGI・KPIという評価指標を設けると良いでしょう。

参考:KPIとKGIの違いとは?目標達成のために覚えておきたい正しい設定方法

注意点2:炎上のリスクに備える

Webのメリットの一つに拡散力の高さが挙げられますが、その分マイナスの風評も広まりやすいことになります。

いわゆる「炎上」のリスクは、どの企業・組織にもあります。

ひとたび炎上してしまえば、その対応に莫大な人的リソースや金銭が費やされ、また中朝機関にわたりブランドイメージが毀損されることになります。

炎上をしないように防止策を施すことはもちろんですが、万が一炎上してしまった際のガイドラインを事前に設計しておきましょう。

参考:炎上を最小限に抑えるSNS対策とは?緊急時の対応から防止策まで

注意点3:代理店の活用も視野に入れる

専門外の領域にトライする際には、代理店に依頼することも選択肢に入れておきましょう。

Web広告の世界では、Web専業代理店と呼ばれるWeb広告を専門に扱っている広告代理店が数多く存在しています。

日々新しいプロダクトが生まれている世界であり、それらを常にキャッチアップするにはなかなか難しく、また代理店に最新情報が集まりやすいということもあり、代理店に依頼することも多くなっています。

初めてWeb広告を実施する際には、Web専業代理店への依頼も検討してみましょう。

参考:リスティング広告は運用代行すべき?メリットや費用相場を詳しく解説

また既存のマス広告代理店でも、Webを活用した様々なプランが作られています。
自社のニーズに合わせて、最適なマス広告代理店を選んでください。

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引用:折込チラシ屋さん

こちらは事例3の折込チラシとリスティング広告を絡めたプランの例です。
各社がこうしたプランを用意していますので、ぜひ比較してみて下さい。


まとめ

本記事では、クロスメディアマーケティングの特に広告での成功事例をご紹介し、それらに共通する成功のコツや注意点を探ってまいりました。

クロスメディアマーケティングは、各メディアの特性を踏まえて最適なメディア選定をする必要があります。

そのためには幅広い知識と経験が求められるので、プロである代理店への依頼も検討してみましょう。


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