マス広告とは?デジタル広告との違い・効果を高める併用メソッド

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「マス広告って何?要はテレビCMのこと?」
「マス広告とデジタル広告の違いを知りたい。」
「最近マス広告費が減少しているらしいが、これからはネット広告をやったほうが良いのだろうか?」

こういう悩みをお持ちのマーケターの方も多いのではないでしょうか。

※広告会社向け:テレビCM提案の方法

本記事では、マス広告について必須の基礎知識を網羅的に解説しつつ、デジタル広告との使い分けのポイントや効果的な併用ノウハウについて解説します。

この記事を読むことで、マス広告の種類やその特徴を理解し、自社に合ったマス広告を選び、またデジタル広告を併用したマス広告の活用方法を学ぶことができます。

【e-book】マス広告の効果を最大化するデジタル広告との併用方法


マス広告とは

マス広告とは、「マス=大衆」に対して宣伝が可能な広告のことで、一般的に「新聞広告・テレビCM・ラジオCM・雑誌広告」の4媒体のことを指します。

主な特徴としては、一般大衆の幅広いターゲット層にリーチして認知拡大ができる点があげられます。

選択するマス広告媒体によって料金体系が大きく異なり、また広告代理店を通じて広告出稿するのが基本です。

参考:ネット専業広告代理店によるテレビCM提案のコツと、地方・中小企業の支援にも効果的なワケ


マス広告とデジタル広告の違い

マス広告とデジタル広告の違いを以下にまとめました。

マス広告とデジタル広告の比較表

マス広告デジタル広告
目的 認知拡大 コンバージョン獲得(購入・問い合わせ・申し込みなど)
リーチ 大きい 小~中
ターゲティング 難しい 詳細に可能
効果測定 難しい 可能
費用 高い 低い
掲載までの期間 長い 短い
内容の修正 難しい 可能

マス広告の特徴

テレビCMを始めとしたマス広告は、費用が高い分より多くの人にリーチできるのが最大の特徴です。

また費用面では、数十万円~数千万円規模の高額な料金が掛かることもありますが、CPM(Cost Per Mille:広告が1,000回表示されるごとの費用)の観点でいえば単価が安いのが魅力です。

デジタル広告では難しい規模のユーザーに、費用対効果よくリーチできるのがマス広告の最大のメリットです。

ただし効果測定や細かいターゲティングは難しいという欠点があります。
デジタル広告のように、細かい配信のチューニングはできません。

参考:ネット専業広告代理店、テレビCM提案本格化。DACが仕掛ける統合プランニング支援の全貌

デジタル広告の特徴

デジタル広告(ネット広告)は、詳細なターゲティング機能を活用した広告の運用が可能で、より見込みの高いユーザーに絞って配信が可能です

商品の購入や問い合わせといったコンバージョンを増やすのに向いているのがデジタル広告です。

広告の配信パフォーマンスを常にリアルタイムで可視化できるため、無駄な広告費を抑制しつつ広告運用者の力量次第で如何ようにも優れた結果を出すことが可能です。

欠点としては、テレビCMほどのリーチを出せる媒体はなく(YouTubeくらい)、認知拡大やブランディングには不向きです。

メディア別の長所と短所

メディア(媒体) 長所 短所
マス広告 テレビ ・圧倒的なリーチ量
・伝えられる情報量が多い
・トレンドを形成しやすい
・権威性が強い
・費用が高くかかる
・特定のターゲットに絞ることは難しい
・広告代理店・制作会社など関係者が多く放送開始までに時間が掛かる
・効果計測が難しい
ラジオ ・コアな層に届けられる
・習慣性が強い
・ながら聴きをしてもらいやすい
・聴覚のみなので情報量が少ない
・視聴者層が一定層に限られる
・視聴者数は少ない
新聞 ・信頼性・権威性が高い
・地域に根付いた発信が可能
・4マス媒体の中では回読率が高い
・高齢者に届けやすい
・全体像が把握しやす
・一面広告などタイムリー且つ大々的にPR可能
・情報量が多く埋もれやすい
・白黒ページでは情報の伝達量が少ない
・若年層にリーチしにくい
・新聞に触れたことが無い若年層の増加傾向
・ターゲティング性能が低い
雑誌 ・信頼性・権威性が高い
・特定のターゲットにリーチ可能
・4マス媒体の中では回読率が高い
・伝えられる情報量が多い
・読者の情報感度が比較的高い
・掲載するまでに時間が掛かる
・効果測定が難しい
・読者の趣向によっては見向きされない可能性がある
デジタル(ネット広告) ・相互コミュニケーションが可能
・比較的安価
・効果測定が容易
・情報を発信し続けられる(Web上に残る)
・トレンドを形成しやすい
・バズることでの拡散性
・緻密なターゲティングが可能
・広告メニューや広告媒体が豊富(相乗効果が狙いやすい)
・AIによる配信自動化などでコスパが良い
・信頼性・権威性に欠ける(薬機法・景品表示法違反など)
・競合が多い(単価が高騰しやすい)
・メディアによってリーチ量の差が大きい
・アドブロックブラウザ(広告表示できない)などが増加
・運用に必要な専門スキルの取得難易度が高い
・デジタルマーケティングの知識が求められる(計測ツール・タグの仕組み理解・設定など)

マス広告の種類

マス広告は以下の4つの媒体(メディア)が該当します。これらのマス広告について、前述の比較表を補足しつつ解説します。

  • テレビCM
  • ラジオ広告
  • 雑誌広告
  • 新聞広告

テレビCM

テレビCMの強みは何と言っても圧倒的なリーチ力です。

他の広告媒体と比較しても、特に認知拡大やブランディングに優位性があります。

昨今では「テレビ離れ」が進み、逆にYouTubeなどのWebでの動画視聴が伸びています。
しかしそれでもテレビCMのリーチ量は未だに一番ですし、テレビCMと同等のCPMで同じだけのリーチができるメディアはありません。

参考:データ・事例に見るテレビCMの広告効果|測定の方法・成功のポイント

最近ではテレビCMの効果を可視化して分析可能なツールも登場してきていますので、今後集客手段としての重要性が改めて見直されることでしょう。

また既に実施しているデジタル広告とテレビCMを組み合わせることで、デジタル広告の成果が改善した事例もあります。
デジタル広告の伸び悩みが見え始めていたら、まずは委託で始めてみるのも手です。
広告会社様必見!デジタル広告のお悩みをTVCMで改善するには?

テレビCMの費用については、以下にて詳細に解説しています。
参考:テレビCMの費用(料金)はいくらかかるのか?費用対効果についても解説 | LISKUL

ラジオ広告

ラジオ広告の強みは、コアな特定の層に届けられることと、習慣性が強く同じ人に繰り返し訴求しやすい点にあります。

また運転中や家事などの、ながら聴きのユーザーが多いことも特徴です。

ながら聴きで無意識に認知した商品を店頭などで目にした際に、情報を想起して商品選択の決定要素になるといったことも考えられます。

視聴者が減少傾向といわれている昨今ですが、クリエイティブ次第ではコアな層にピンポイントで広告をリーチさせることができるのがラジオ広告です。

雑誌広告

雑誌広告の強みは、ブランドイメージの向上や興味関心を掻き立て購買意欲を促進しやすい点と言えるでしょう。

情報感度の高いターゲット層に十分な大きさの紙面を活用して、読者に伝えたいことを伝えられる点が大きなメリットになります。

またその他のマス広告媒体と比較して「回読率」が高い点も特徴です。

テレビCMやラジオ広告は受動的なのに対し、雑誌広告は主体的に読むことになるので、読んでもらえさえすれば情報をきちんと伝えることができます。

雑誌広告は広告が掲載されるページや色数、掲載雑誌によって大きく料金体系が異なります。
以下の記事にて料金相場などを詳細に解説してますのでご参照下さい。

参考:【ジャンル・掲載場所別】雑誌広告の料金相場・料金を抑える方法 | LISKUL

新聞広告

新聞広告の強みは、信頼性・権威性の高さを利用したブランドイメージのアップや、幅広い年齢層に一度にリーチできる点です。なかでも高齢者の比率が高いのが新聞広告です。

新聞に広告を掲載するには審査が必要になり、また新聞の権威性の高さから、一定以上の信頼を広告に対しても持ちえます。

また、インターネットをあまり活用しない高齢者にも新聞広告であればリーチしやすいため、高齢者向けの商材などには新聞広告の活用がおすすめと言えるでしょう。

広告掲載費は雑誌広告同様に掲載面・サイズ・新聞社などによって大きく異なります。

以下の記事にて詳細を解説してますのでご参照下さい。
参考:新聞広告の料金相場、サイズ・デザイン別、全国・地方紙による違い | LISKUL


マス広告の費用相場

媒体種類費用
テレビCM 制作費 30万円~1,000万円以上
放映費 5万円~100万円
ラジオ広告 スポットCM(20秒)1回あたり
1万円~8万円
雑誌広告 50万円~250万円
新聞広告 50万円~4,000万円

マス広告の費用は、全国に実施するのか地域を限定するのか、また各広告のなかでもどの程度露出されるかによって大きく費用が変わってきます。

4媒体のなかでは、多くの人にリーチできるテレビCMと新聞広告の費用が比較的高くなっています。

以下の記事で詳細の費用を解説していますので参考にしてください。

テレビCMの費用:テレビCMの費用(料金)はいくらかかるのか?費用対効果についても解説
新聞広告の費用:新聞広告の料金相場、サイズ・デザイン別、全国・地方紙による違い
雑誌広告の費用:【ジャンル・掲載場所別】雑誌広告の料金相場・料金を抑える方法


マス広告の現状と変化

デジタル広告に押されて、広告費の減少が続いているのがマス広告です。

そんなマス広告の現状と、起こりつつある変化について解説します。

マス広告の現状

電通社の調べによれば、2021年に遂に、デジタル広告費がマス広告4媒体の広告費合計を抜きました。

単位:億円2019年2020年2021年
マス4媒体広告費合計26,09422,53624,538
インターネット広告費合計21,04822,29027,052

また媒体別では、2019年に既にデジタル広告がテレビCMを抜いて一位になっています。

広告費

引用:佐藤精一@売れるネット広告社COO|twitter

データ参照元::2021年 日本の広告費|電通ウェブサイト

マス広告の出稿量・費用の低下、またデジタル広告の出稿量・費用増のトレンドは今後も続くものと思われます。

マス広告の変化

昨今のデジタルシフトの流れを受けて、マス広告もデジタル化に対応するために変化しつつあります。

以下、一例をご紹介します。

テレビCMのデジタルシフト化

運用型のデジタル広告の手法を取り入れた、運用型のテレビCMの活用が進んでいます。

運用型のテレビCMでは、従来のテレビCMでは実現が難しかった、以下のことができるようになってきています。

  • リアルタイムでの効果の可視化
  • クリエイティブ素材の最適化
  • 放映枠の最適化

企画から制作、放映までワンストップで実施してくれるサービスも数多く出てきており、今後さらに伸びていくと予想されます。

新聞の電子版化

旧来の新聞を電子化することで、ユーザビリティの向上やユーザーの行動データ取得など、広告媒体としての効果計測が可能になってきています。

日本の新聞は電子版への切り替えがあまり進んでいない状況ですが、世界的な新聞社であるニューヨークタイムズ紙は、すでに電子版の有料読者数が紙を超えて3分の2ほどを占めています。

日本においても、同様に電子版の比率が増えてくると思われます。

参考:米新聞大手NYタイムズ、総有料読者750万人突破|日本経済新聞

雑誌の電子書籍化

Amazon社のKindleストアをはじめとして、雑誌を電子書籍化することで、広告に記載したリンクからその場でランディングページに推移させられるようになったりと、雑誌広告の効果計測ができるようになってきています。

有料会員制のKindleUnlimitedで電子書籍化された雑誌を無料で読めたりもするため、古い雑誌に掲載した雑誌広告の再露出も期待できます。

電子書籍の市場は、毎年前年比で20%以上の成長を続けており、今後もまだまだ伸びていくものと思われます。

参考:電子書籍ビジネス調査報告書2021|インプレス総合研究所


マス広告とデジタル広告の併用のススメ

デジタル広告の利用が進み、マス広告をやめてデジタル広告に移行する動きが加速しています。

しかし両者は、前述したように得手不得手に違いがあるため、それぞれの長所・短所を補完するクロスメディア戦略が重要になります。

そこでマス広告とデジタル広告を併用する具体的な方法を3つご紹介します。

方法1.テレビCM × YouTube広告

テレビCMの素材を流用・活用し、YouTube広告に実施する方法です。
素材を流用することで、追加の動画制作費をかけずに広告配信できます。

テレビCMとYouTube広告を併用すべき理由として、以下の4つが挙げられます。

  • 理由1.テレビを観ない層にリーチできる
  • 理由2.テレビCMの素材を流用できる
  • 理由3.細かいターゲティングができる
  • 理由4.Youtube広告で効果を分析できる
  • 理由5.コネクテッドTVの利用者が増えている

最近では、テレビでYouTubeを見るコネクテッドTVの利用者が増えています。

テレビでYouTube広告を見ることになるので、手直ししないでテレビCM素材そのままでも効果を挙げることができます。

以下の記事でテレビCMとYouTube広告の併用については詳しく解説しています。
参考:事例から学ぶテレビCMとYoutube広告の併用のメリット・コツ

方法2.雑誌広告 × 記事広告

雑誌広告により、商品に対するブランドイメージを高め、記載したQRコードやURL情報から、記事広告に誘導して購入意欲を高めるといった運用が効果的です。

雑誌購読者はその分野に対する情報感度が高い傾向にあるため、雑誌広告と読者の親和性が高ければ、記事広告誘導後の態度変容が比較的容易になりやすい傾向があります。

そのためには、雑誌広告ではあくまで商品購入後のベネフィット(購入後のユーザーにとって嬉しい未来)をイメージさせ、売り込み臭くしないことが重要です。

記事広告(購買意欲向上)と雑誌広告(ブランドイメージ向上)とランディングページ(刈り取り)の目的を明確に分けることがポイントになります。

方法3.新聞広告 × 純広告

新聞広告で信頼性と公共性を商品に付与し、興味を持った読者がデジタル広告を繰り返し目にすることで、商品・ブランドに対する安心感と購買意欲を高めることができます。

例えば新聞の一面に広告を出した日に、Yahoo!JAPANのブランドパネル(トップページ)などの純広告に出稿して、興味を持ったユーザーをそのまま自社サイトやランディングページに誘導します。

更にリターゲティング広告やリスティング広告を実施して、ユーザーを漏れなくサイトに誘導すると良いでしょう。


マス広告の効果測定方法

マス広告は以下の方法で効果計測することができます。

  • 特定の指標を測定し検証する
  • 自社で測定できるデータの変化を見る
  • 分析ツールを活用する

特定の指標を測定し検証する

媒体ごとの特定の指標を測定する方法です。

テレビ・ラジオ:GRPやGRPで検証する

テレビCMとラジオCMの効果測定は、リサーチにより特定の指標を測定し検証することで数値化できます。

主にGRP(Gross Rating Point:延べ視聴率)とGAP(Gross Attention Point:延べ注視量)という指標で大まかに測定できます。

以下の記事にてわかりやすく詳細に解説してますので是非ご参照下さい。
参考:データ・事例に見るテレビCMの効果|成功のポイント・効果測定の方法 | LISKUL

新聞・雑誌:QRコードや電話反響数で検証する

新聞・雑誌広告の場合は、広告枠に効果計測用の専用電話番号やQRコードなどを記載することで、広告経由での効果計測が可能です。

Googleアナリティクス計測用のパラメータをQRコードに設定すれば、QRコード経由のみのサイトの訪問数も計測できます。

雑誌広告実施前後のPV数やCV数の推移などを検証すれば、マス広告の効果的な活用の知見を高めることも出来るでしょう。

自社で測定できるデータの変化を見る

Googleアナリティクスを始めとした計測ツールを活用することで、マス広告実施前後の商品売上状況の変化、自社サイトのPV数などの計測可能な指標の変化を確認することもできます。

特にテレビCM放送前後など、自社サイトのPV数などに大きな変動が生じることが想定される場合には、事前に効果計測環境を整備しておくといいでしょう。

分析ツールを活用する

ノバセルのようなテレビCM効果を可視化できるツール・サービスもあるので、そういったツール・サービスも利用するといいでしょう。

博報堂グループを始めとした大手広告代理店各社でも、様々なツール・サービスがリリースされていますので、自社のKPIに即したパートナーを探してみるといいでしょう。


まとめ

マス広告とは、「マス=大衆」に向けて宣伝が可能な広告のことで、「テレビCM・ラジオCM・雑誌広告・新聞広告」の4媒体のことを指します。

マス広告とデジタル広告は以下の違いがあります。

  • マス広告:費用が高いが多くの人にリーチできる。効果測定や詳細なターゲティングはできない。認知拡大・ブランディングに向いている。
  • デジタル広告:詳細な運用が可能だが、リーチではマス広告に劣る。コンバージョン獲得に向いている。

マス広告は広告費が減少傾向にあり、2021年にはデジタル広告に抜かれてしまっています。

しかしマス広告が不要になったわけではなく、デジタル広告とは得手不得手に違いあるため、両者を使い分けることが重要です。

またマス広告とデジタル広告を併用することで、両者の効果をさらに高めることができます。
本記事ではテレビCM・雑誌広告・新聞広告とデジタル広告を併用する方法をご紹介しました。

本記事の内容をもとに、実施中のデジタル広告との併用施策の構築など、他社に一歩先んじるクロスメディア戦略を検討してみていただければ幸いです。

【e-book】マス広告の効果を最大化するデジタル広告との併用方法

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