「1か月の広告配信で、媒体は〇〇で予算30万円で運用代行をしてほしい」
このようなご依頼をよくいただきますが、こうしたスポットでの広告配信を、そのままスポットで終わらせてしまってはいないでしょうか。
筆者の経験上、最初の会話や配信結果次第で、スポットではなく配信を継続させることは可能ですし、実際にスポットからそのまま継続して発注いただいたケースもございます。
本記事では、Web広告業界に10年間身を置き営業を続けてきた筆者が、元々スポット配信の予定だった案件を継続配信につなげていく方法について解説します。
継続配信につなげられれば大きく売上に貢献させることができます。
目次
Web広告のスポット配信とは
Web広告のスポット配信とは、イベントなどにあわせて一定の期間のみ広告を配信することを指します。
実際のスポット配信としては、以下のようなケースが挙げられます。
- イベント、催事の告知
- 期間限定のキャンペーンの告知
- 店舗の新規オープンの告知
- 季節性のあるサービスの訴求(成人式用の着付け等)
- 新規のサービス、商品の販売告知
イベントのように、期間が限られていてスポットにならざるを得ないケースと、季節性のあるサービスのためにあえて期間を限定しているケースとに分かれます。
広告代理店が抱えるスポット配信の課題点
スポット配信は案件としてよくご相談いただくものになりますが、運用する広告代理店の視点では以下の課題があります。
- 予算金額が少ないと費用対効果が悪い
- 経営が不安定になる
- 運用改善が難しい
予算金額が少ないと費用対効果が悪い
スポット案件の予算金額が少ない場合、設定工数がかさみ結果として費用対効果が悪くなりがちです。
継続配信の場合は、タグの設置やレポートの設定などを最初に実施したあとは、その設定のままで続けられますが、スポット配信の場合は案件が発生するたびに設定が必要になります。
少額のスポット案件が多くなると、その分工数が掛かることになり、結果として収益性の悪化を招きます。
経営が不安定になる
広告代理店の売上が大型のスポット案件頼みというのは、経営としては非常に不安定です。
継続案件の比重を多くし、安定的な経営を図ったうえでスポット案件が来たら売上を積んでいく、というのが広告代理店の理想像になります。
またスポット案件は、社内に運用の知見を溜めにくいこともあり、その点でも中長期的な経営においてはマイナス要素です。
パチンコ店のイベントをスポットで定期的に配信、などのケースであれば知見を溜められますが、単発のスポット配信ではなかなか難しいでしょう。
運用改善が難しい
配信期間の短いスポット配信では、運用改善する期間がなく、初動に失敗するとそのまま終わってしまう可能性があります。
運用型広告においては、広告の運用力が代理店の差別化を図る重要な要素ですが、この運用力を発揮しにくいのがスポット配信です。
また機械学習による自動入札が主流になりつつある運用型広告ですが、スポット配信ではそのための実績がなく自動入札を有効に使うことができません。
そのため手動での入札をする必要が出て、その分運用の工数が掛かることになります。
これらの理由から、代理店は厳しい目標設定を避け、Webサイトへの来訪数など比較的難易度の低いKPIを設定するように、顧客と交渉する必要があります。
スポット配信から継続配信につながった事例
実際に、元々スポット配信だった案件を継続配信につなげられた事例を2つご紹介します。
前章の背景から、できればスポット配信を継続配信につなげたいと考えると思いますが、予算が元々決まっていたりしてなかなか難しいのも事実です。
しかし、本事例のように提案次第では可能性は十分あります。
事例1:年間のプランニングを実施して継続配信に(大学)
元々は夏のオープンキャンパスにあわせたスポット配信のご相談でしたが、入試の訴求や学部・学科の年間での訴求も一緒にご提案し、結果として年間のご予算を組んでいただいた事例です。
夏のオープンキャンパスは開催時期が夏季だけのため、オープンキャンパス終了後の秋や冬までずっと広告配信を続けるという提案は難しいでしょう。
しかし大学への入試を検討している人は幅広く、オールシーズンで誰かしらが受験先を検討しているので、オープンキャンパスに合わせて夏季に予算を多く投下しつつも、その他のシーズンも広告は配信すべきです。
そこで、下記のような年間のスケジュールと予算配分を記した表を作成し、年間を通してWebサイトやイベントへ誘導するご提案をしました。
特に、ほかの大学があまり出稿していない時期に出稿することで、差別化を図ることができるという点が受け入れられ、ご発注いただきました。
このように、提案先の立場になって、ご相談いただいた案件以外でもご提案ができないか検討することは重要です。
事例2:成果をあげて継続配信に(美容関係)
スポットで成果を出して、継続配信につなげた事例です。
こちらも元々スポット配信の予定でしたが、結果が出たらそのまま継続的に配信しませんか、と実施前にご提案をしました。
具体的には、動画やバナーを効果検証しながら差し替えていくことで、これくらいの改善効果が見込める、という提案です。
結果として、獲得率が3.2倍、獲得単価も60%削減と大きく改善したことで、そのまま継続配信につながりました。
ポイントは事前に提案をしておいたことです。
スポット配信をしてみて、結果が良かったから続けましょう、では遅く、事前に合意しておくことで、スムーズに継続できます。
継続となると予算を調整していただく必要があるかもしれないので、こういった交渉は事前に完了させておきましょう。
スポット配信から継続配信につなげるためにすべきこと
スポット配信から継続配信につなげていくためにすべきことについて解説していきます。
必ずこの取り組みをすれば、継続配信になるというものではないのですが、筆者が実施してきたなかでおさえるべきポイントを、3つに分けて紹介します。
1.ヒアリング
スポット配信の与件が発生したら、まずは顧客にヒアリングを行いましょう。
スポット案件に限らず、一般的なヒアリング項目は以下の通りです。
- 顧客課題
- プロモーションの目的
- 予算金額、掲載期間
- 広告のリンク先URL
- 商圏、ターゲティング
- SNSアカウント環境
スポット案件を継続してもらうという観点でいえば、顧客課題とプロモーションの目的が特に重要になります。
本当にスポットでの訴求だけで良いのか、顧客課題の解決のためにできる提案はないのかを考えるための貴重な材料になります。
これらに加えて、スポット案件では以下の2点も確認しておきましょう。
- リターゲティング広告のタグ設置の有無
- 継続するための条件の確認
リターゲティング広告のタグ設置の有無
リターゲティング広告を実施するためのタグがWebサイト上に設置できているかを確認しましょう。
リターゲティング広告は、過去にWebサイトに来訪したことのあるユーザーに対し広告を配信する手法です。
タグをWebサイトのソース上に設置をすることで、サイト来訪者へcookieを付与し、ターゲティングすることが可能になります。
仮に継続配信になった場合に、事前にタグを設置しておかないと、広告を配信した期間のデータが溜められないことになります。
もしスポット案件ではリターゲティング広告を実施せず、タグの設置が不要であったとしても、今後のためにもリターゲティング広告用のタグは設置させてもらうべきです。
いざ継続配信になってリターゲティング広告を実施したいというときに、タグを設置していなくてターゲットリストが0、ということがないように注意しましょう。
継続するための条件
継続するためには何が必要か、素直に聞いてしまうことも有効です。
担当者の目標があり、そこを達成することで会社の承認が得られやすい、などの貴重な回答がいただける可能性もあります。
もちろん一定の関係性を築いていることが条件ですが、確認できるようであれば、そのままストレートに聞いてみましょう。
2.提案
ヒアリングした内容をもとに、実際に提案を行います。
その際には、下記の3点を意識してみましょう。
- 継続プランもシミュレーション付きで提案
- 継続プランで成果が出た事例を入れる
- 継続プランに特典を付与する
継続プランもシミュレーション付きで提案
スポット案件に加えて、継続プランもシミュレーション付きで提案しましょう。
事例2のように、一定の結果が出た場合に継続させてほしいと、その場合のプランを提示します。
できればシミュレーションも提示できると、先方もイメージしやすいので良いでしょう。
シミュレーションの作成方法については下記をご参考にしてください。
参考:広告運用者必見!意外と簡単な広告シミュレーションの考え方・作り方
継続プランで成果が出た事例を入れる
継続をしたことで、実際に成果がでた事例を紹介しましょう。
広告主の業態や業種に近いもの、あるいは今回提案している媒体での実績など、先方が興味を引きやすいものが用意できると良いでしょう。
継続プランに特典を付与する
直接的に、継続していただいた場合に特典を付けるというのも一つの手です。
例えば継続プランにしていただいたら値引きをする、バナー広告の制作を無料で請け負う、などです。
継続プランを実施することで、先方が社内で上申しやすくなったり、特典として嬉しい特典を検討してみましょう。
3.配信後の振り返り
Web広告を配信した後に、レポートを提出して結果を振り返ります。
スポットの場合、配信したら終わりという意識が強くなりがちですが、ここでどういう考察を持って結果を報告できるかが重要です。
以下がWeb広告の報告の際には必須ですが、スポット案件でも同様です。
- 結果(数値)
- 施策の振り返り
- 課題
- 改善案
結果が振るわなくても、嘘偽りなく、真摯に報告することが大切です。
参考:【無料テンプレート配布】広告レポートの作成方法&効率化ガイド
まとめ
本記事では、スポット配信の課題から、スポットから継続につながった実際の事例、また継続配信にもっていくためにすべきことを解説しました。
スポット案件が来たら、先方にヒアリングを実施し、継続できる可能性はないのかを考えてみましょう。
過去にWeb広告を実施したが、結果が出なかったのでもう実施していない、という方々は多くいらっしゃいます。
スポット配信の結果が振るわなかったとしても、何が問題でどういう改善策があるのかを提示することで、再度チャレンジしてみようと意思決定をしていただけるかもしれません。
広告主の方のためにも、継続配信への提案は重要な意味を持っています。
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