営業目標を確実に達成する営業計画の立て方・書き方・よくある失敗例

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ただやみくもに営業活動を行うだけでは、営業目標を達成することはできません。営業活動において成果を出すためには、適切な営業計画を立てることが重要となります。

しかし、このように悩まれている営業管理職・営業マンの方も多いのではないでしょうか。

「営業計画をどう立てればいいのか分からない」
「営業計画を立ててもどうせそれ通りにいかないのでは…」
「これに従って動けば間違いなく営業目標を達成できる!という達成根拠のある営業計画を立てたい」

そこで本記事では、営業計画書の項目や営業計画の立て方、さらには営業計画書を書くときのポイントについて詳しく解説致します。

本記事を最後までお読みいただくことにより、営業計画書の書き方について正しく理解し、実現可能で説得力のある営業計画を立てられるようになります。

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営業計画の項目

営業目標を達成するために必要な、営業計画の項目は以下が挙げられます。

  • ミッション
  • ターゲット
  • チーム体制
  • 予算
  • ツール
  • 営業KPI
  • アクションプラン

まずいきなり目標を設定するのではなく、そのために必要な、営業活動に関わる内部要因(体制や予算など)・外部要因(ターゲット市場や競合など)を考えます。

それらをベースに目標(KPI)を設定し、続いてその目標を達成するためのアクションプランを設計します。

ミッション

ミッションは企業における経営理念のようなもので、営業を行う上で何を重要視するかということを指します。計画の前提となる情報となるため、しっかりと明確にしておくことが重要です。

<例>
大手企業の新規開拓とアップセル・クロスセル体制の構築


計画内容の根拠となるだけではなく、ミッションを明確にしておくことで社員の目標に対する意識付けができるようになります。

ターゲット

営業を行うターゲットを、事業規模、事業領域、ポジション、年齢、情報ニーズなどの粒度で明確にします。

<ターゲット企業の項目例>

  • 業界・業種
  • 事業規模
  • 地域

<ターゲットペルソナの項目例>

  • 職業:職業、職歴、ポジション など
  • デモグラ:性別、年齢、収入、居住地 など
  • 課題:普段どういうことに課題を感じているか
  • ニーズ:どういう情報があれば課題を解決できるか

ターゲットが曖昧だと営業施策も曖昧なものになってしまいます。そのためペルソナを設定して、ターゲット像を鮮明にすることが重要です。

<例>

  • 業界業種:Web専業代理店
  • 事業規模:☆2つ以上のYahoo!正規代理店
  • 地域:日本全国
  • 職業、職歴、ポジション:営業。マネージャー以上。
  • デモグラ
    • 性別:問わず
    • 年齢:30歳以上
    • 収入:年収600万円
    • 居住地:家族4人で首都圏在住
  • 課題:運用も兼ねているので営業に集中できていない。営業リソースが足りない。
  • ニーズ:運用などの営業以外の業務をなくしたい。

チーム体制

営業計画をどのようなチーム体制で実施していくのかをまとめます。

誰にどのような役割や役目を割り当てるのか、具体的な業務を明記することでより具体性のある営業計画になります。

営業計画でメンバー構成を検討することで、追加人員が必要となるかを前もって整理できるだけではなく、内部要因を考慮した営業計画を立てることができるようになるのです。

<例>

名前役職担当
Aさん 営業マネージャー 全体の進捗管理。大型顧客の対面営業。
Bさん メンバー マーケティング(リード創出)
Cさん メンバー インサイドセールス
Dさん メンバー フィールドセールス。提案・クロージング担当。

予算

あらかじめどのくらいの予算がかかるのかということを把握しておかなければいけません。

予算の項目には、人件費だけでなく接待交際費やツール使用料など、営業活動を行う上でかかる費用を全て明記する必要があります。

目標達成のために必要となる予算を算出した後には、最終的な売上予測と比較して予算の精度を上げられるかどうかを確認することが重要です。

<項目例>

  • 人件費
  • 旅費交通費
  • 交際接待費
  • ツール利用料
  • 消耗品費
  • 広告費
  • コンテンツ制作費
  • イベント費
  • 広報費
  • その他

ツール

営業活動を行う上で、どのようなツールを使用するのかを明記する項目です。

営業を行う上で使用するツールにはさまざまな種類がありますが、たとえばSFAやCRMなどが挙げられます。

このようなツールを活用する場合には、ツールの利用目的や利用手順などを営業計画に明記し、社員全員が共通認識を持つことで、営業方法にばらつきが出るということを防げるでしょう。

<ツール例>

  • SFA(営業支援ツール)
  • CRM(顧客管理ツール)
  • MA(マーケティングオートメーションツール)
  • 企業データベース
  • メール配信ツール
  • オンライン商談ツール

参考:営業管理の効率を上げるSFAとは?導入メリットや事例、おすすめツール5選を紹介
   CRMとは?CRMの目的と、成果につなげるための3つの活用ポイント
   マーケティングオートメーション(MA)の4つの機能を徹底解説!

目標(KGI・KPI)

営業活動における内部・外部要因をまとめたら、具体的にどのような目標に向かって、どのようなKGI・KPIに沿って営業活動を行うのかを明確にする必要があります。

営業におけるKGI(目指すべき最終ゴール)は、基本的に売上営業利益になるでしょう。

営業KPI(営業目標を達成するための指標)には、アポ獲得率(商談率)、アポ数、成約率、成約数などさまざまな指標が考えられますが、自社の営業活動にあったKPIを設定することが重要です。

営業KPIは以下のステップで設定すると良いでしょう。

営業KPI

営業KPIの設定方法については、以下で詳しく解説しています。
参考:営業目標達成に直結する営業KPIの設定方法や管理のポイントを紹介

目標設定の際に営業支援ツール(SFA)を活用することで、現状の営業プロセスを可視化することができます。

SFAに蓄積されているデータを基に「1ヵ月に何件受注するためには△△件の提案数が必要」など、仮説を立てることができます。

アクションプラン

営業KPIを設定できたら、その営業KPIを達成するための具体的なアクションプランを決めます。

いわゆる5W1Hに沿って整理するのが良いでしょう。

  • 誰が:担当者名
  • 何を:行動の内容
  • いつ:行動の実施日・期限
  • どこで:行動場所
  • なぜ:必要性・優先度
  • どのように:方法
<例>

  • 誰が:Bさん(リード創出担当)
  • 何を:ウェビナー開催
  • いつ:隔週(月2回)
  • どこで:オンライン(Zoom)
  • なぜ:優先度高(潜在顧客へのアプローチが不足しているため)
  • どのように:プロダクト担当と協力してウェビナー用コンテンツ制作をする

営業計画の立て方

営業計画は、達成したい営業目標から逆算して立てていくことが重要です。

下図のように営業プロセスを分解し、目標の営業売上を達成するために各プロセスでどの程度の実績を残す必要があるのか、どのプロセスが課題となっているのかを洗い出します。

営業プロセス

以下、具体的な進め方を解説します。

ステップ1.事前準備をする

まずは、営業計画を立てる前の事前準備を行います。

ここで言う事前準備とは、前出のミッションやターゲット、チーム体制といった前提条件を洗い出しておくということです。

営業活動を行う上で必要となるリソースや自社がどのようなポジションで戦うのかということを明確にしておくことで、具体的な目標を立てやすくなるため事前準備からしっかりと行うようにしましょう。

ステップ2.目標数値を算出する

事前準備が整ったら、まずは目標数値を定めましょう。

一般的に、営業の目標は売上になるはずです。この売上目標を商品単価で割り、必要な受注数を算出します。

<例>
売上目標:1,000万円
商品単価:5万円

必要受注数:200件


これは非常に簡略化したものであり、実際には新規顧客と既存顧客で顧客単価が違ったりするため、その場合はそれに沿って必要な受注数を算出しましょう。

ステップ3.プロセスごとの転換率を算出する

営業プロセス

上図のように、ターゲットがリード化し、最終的に受注するまでの営業プロセスを洗い出し、各プロセスごとの次プロセスへの転換率を算出しましょう。

例えば商談から受注に至る割合は受注率、コンタクトから商談化する割合は商談化率になります。

自社のこれまでの実績からそれらの数値を算出します。

<例>
ターゲット企業数:10,000

コンタクト数:3,000(コンタクト率:30%)

商談数:300(商談化率:10%)

受注数:60(受注率:20%)

ステップ4.注力すべきプロセスを特定する

ステップ3で営業プロセスを分解したら、どのプロセスに注力すべきかを特定します。

例えば受注率が低い場合、受注率に関係する提案やクロージングに課題がある可能性があります。

あるいは営業対象となるコンタクト(リード)が少ない場合は、マーケティング活動を強化して新規リード数を増やす必要があるでしょう。

コンタクトは十分にあるが、その後の商談数が少ない場合は、テレアポや営業メールを見直して商談化率を改善しなくてはなりません。

このように、各プロセスのなかでどのプロセスに課題があるのか、あるいはどのプロセスを強化すると改善効果が大きいのかを特定します。

ステップ5.プロセスごとの目標値・アクションプランを設定する

注力すべきプロセスを特定したら、そのプロセスをどの程度改善するかという目標値と、どのようなアクションプランを取って達成するのかを決めます。

例えば受注率が10%と低く改善が必要な場合、受注率を期内に20%まで改善することを目標とします。

続いて、そのために必要なアクションを考えられるだけ洗い出します。

<例:提案の場合>

  • 提案書の見直し(必要な提案が盛り込まれているか?競合他社に劣っている点はないか?)
  • 提案書のテンプレート化(提案の質の平準化・作成工数の削減)
  • シミュレーションの精度の向上
  • 事例の見直し
  • ヒアリングの見直し
  • トークスクリプトの見直し

<例:クロージングの場合>

  • テストクロージングの実施
  • 意思確認時期の見直し
  • 意思確認方法の見直し


挙がったアクションのなかから、優先的に実施すべきアクションを選定します。
実現したときに得られるリターン、実施の難易度、完了までの期間などを考慮して選んでいきます。

アクションを選定したら、誰がどう実行していくのかの具体的なプランを決めていきましょう。

このように、漠然とアクションを考えるのではなく、プロセスを細分化した上で考えるとアクションプランは立てやすいです。

ステップ6.予算を設定する

アクションプランが決まったら、そのために必要な予算を設定します。

予算には、人件費だけではなくツール使用料や接待交際費、出張費など必要と考えられる経費も含めて予算を割り出すようにしましょう。

営業活動を行っていくうちに予算調整が必要となることもあるため、予算管理が適切にできるように、何にどのくらいの予算が必要となるかをしっかりと整理しておくことが重要です。


営業計画のよくある失敗例と対応策

本章では、営業計画のよくある失敗例をいくつかご紹介します。あらかじめどのような失敗例があるのかを理解しておき、またどのような対応策を取るべきかを把握しておきましょう。

アクションの目標が定量的でない

アクションの目標が定量的でない場合、営業活動が具体性のないものになり目標を達成することができません。

たとえば「テレアポ数を増やす」という目標では、テレアポ数をどの程度増やす必要があるのか、そのために何をどれだけ実施する必要があるのかが決められません。

対応策:最終的な目標から逆算して目標を立てる

ここまでご紹介したように、最終的な目標(多くは売上)から逆算して各プロセスの目標値を割り出し、それに必要なアクションプランを立てるという方法であれば、各アクションにも定量的な目標を立てられます。

例えば月間のテレアポ数を300から500に増やす必要があると分かれば、そのために必要なアクションも自ずと決まってきます。

  • トークスクリプトを見直して1回あたりの時間を削減する
  • 商談化の見込みが低い顧客セグメントを対象から除外する
  • 新たに人員を採用する など

達成可能な目標になっていない

営業計画で設定した目標の達成が現実的でなければ、実際に営業を行う社員のモチベーションも下がってしまいます。

そのため、目標数値は達成できる現実的な目標にする必要があります。

対応策:事前に掛かる費用・工数・人数を算出する

達成可能な目標を立てるためには、アクションプランを決める際に、掛かる費用・工数・人数を算出することで達成可能かの判断材料とすることができます。

  • 費用が足りなくてアクションが実行できない
  • 全て実行すると工数が掛かりすぎて期間内に実施できない
  • 実行に必要な人的リソースが用意できなくて実行できない

このようなことにならないように、事前にアクションに必要なリソースを算出することが重要です。

また目標設定時には、SMARTというフレームワークがおすすめです。

SMARTとは次の頭文字をとった言葉で、目標設定に役立つフレームワークの一つです。

  • Specific(具体的に):誰が読んでもわかるような具体的な目標か。
  • Measurable(測定可能な):達成度を数値化して測れるか。
  • Achievable(達成可能な):達成のできる現実的な目標か。
  • Relevant(関連性):企業や部署全体の目標と関連しているか。
  • Time-bound(期限が明確な):いつまでに達成するか期限設定ができているか。


達成可能かどうかもSMARTの一要素です。

この5つを満たしているかを確認することで、良い目標が立てられるようになります。

計画を立てた後にPDCAが行われていない

営業計画の作成に多くの労力を使い、その後のPDCAを回せていないという失敗はよくあります。

計画を立てて終わりではなく、設定した目標数値に対する営業活動の進捗を常に観察する必要があります。

実際に営業活動をしてみると、営業計画の内容と乖離が発生する場合も当然あります。その際にすぐに軌道修正ができるように、必ずPDCAを行い改善に努めることが大切です。

対応策1:営業KPIのモニタリングをする

営業計画のPDCAをしっかり回すためには、以下の2点を順守することがまずは大切です。

  • 営業KPIの定点観測を行う
  • 設定した営業KPIが達成できなかった場合の対策を事前に検討しておく

毎日なのか週に一度なのか、いつ営業KPIの進捗をモニタリングするかを事前に決めておきましょう。

また設定した営業KPIが達成できなかった場合に、どのような対策を取るのかを事前に決めておきましょう。

蓋を開けてみたら目標の50%しか進捗できていませんでした、もう巻き返しは無理です、では話になりません。

1ヶ月経過時点で目標の何%の進捗であれば、このようなアクションを実施するという対応策を考えておきましょう(リソースを追加する・アクション自体を見直す等)。

営業KPIのモニタリングにはSFAを活用することがおすすめです。エクセルやスプレッドシートなどでも管理することはできますが、「入力の負荷が大きい」、「時系列でプロセスを把握することが難しい」、「他ツールとの連携が難しい」などの課題があります。


まとめ

営業計画は達成したい営業目標から逆算して立てていくことが重要です。

営業プロセスを分解し、最終的な目標から逆算して各プロセスの目標値を決め、それに必要なアクションプランを立てていくと、より目標達成しやすい営業計画が立てられます。

営業計画に必要な項目は以下の通りです。

  • ミッション
  • ターゲット
  • チーム体制
  • 予算
  • ツール
  • 営業KPI
  • アクションプラン

これらの項目を設定するためには、以下のステップで進めていきましょう。

  • ステップ1.事前準備をする
  • ステップ2.目標数値を算出する
  • ステップ3.プロセスごとの転換率を算出する
  • ステップ4.注力すべきプロセスを特定する
  • ステップ5.プロセスごとの目標値・アクションプランを設定する
  • ステップ6.予算を設定する

また、営業計画の作成・運用に失敗しないためにも、以下のよくある失敗例はしっかりと押さえるようにしましょう。

  • 目的・目標が不明瞭になっている
  • 達成可能な目標になっていない
  • 計画を立てた後にPDCAが行われていない

本記事を参考に、実施すべきことが明確で、かつ実現可能で、見直しもできる営業計画を立てていただければ幸いです。

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