環境構築の「ちょっとした違い」で効果1.5倍!現場運用者に聞いたCriteo(クリテオ)広告攻略法

Criteoのロゴ

Criteoは全世界でおよそ20,000の広告主を抱えるリターゲティング型の動的ディスプレイ広告です。

特に2020年から2021年にかけては、生活様式の変化に伴ってECの購買意欲に変化が見られ、これまでECに注力してこなかった事業主も含め多くの期待が寄せられています。

しかし、プログラミングの知識が必要であるという他の広告媒体にない特徴や、ネット上にある情報の少なさから、ハードルが高いのも事実。特に踏み込んだ運用ノウハウや代理店の実力にまつわる情報はかなり限られています。そのため、以下のような疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

  • 多品目EC向けの広告で、自社には関係ないのでは?
  • Cookieの規制が強まる中、効果は落ちているかも?
  • AIで最適化されるので、代理店による運用力では差がつかないんじゃ?

そこで今回はソウルドアウト株式会社のテクノロジーソリューション部でCriteoを担当している坂本惟氏に、Criteoの運用により予算2倍・ROAS1.5倍に改善した事例と、Criteo運用の最新の攻略のポイントについてお話を聞いてきました。

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※本記事はソウルドアウト株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。


代理店変更で予算2倍・ROAS1.5倍になったEC事例


ソウルドアウト株式会社 デジタルテクノロジー本部 テクノロジーソリューション部 坂本 惟 氏

―まずはバックグラウンドや、普段のお仕事について教えてください。

ソウルドアウト株式会社のテクノロジーソリューション部Criteoチームで働いています。Criteoを新しく導入されるクライアント様、運用改善をお求めのクライアント様に対して、運用のご提案からプログラムの実装まで、一気通貫したサポートをご提供しています。

新卒でソウルドアウトに入社し、クリエイティブと広告間、テクノロジーと広告間の橋渡しのような役目を多く担当してきました。そのような経歴を活かし、クリエイティブとテクノロジーと広告の三領域を踏まえたご提案を心がけています。

―坂本さんは非エンジニアでありながらプログラムも書けるんですね。

もともとプログラミングの知識はありませんでしたが、ソウルドアウトが独自で実施しているデジマ研修というスキルアッププログラムに参加することで習得しました。営業スタッフや運用コンサルタントなどを対象に、プログラムを使える人材をゼロから育成するという内容で、複数段階にレベル分けされています。

私は最上ランクの研修に、社内で初めて合格しました。JavaScriptやPHPを使って実際にECサイトを作るなど本格的なプログラミングに挑んでいました。自分で言っちゃうのも気が引けますけど、首席卒業だったんですよ。

参考:ITスキルで企業のデジタルマーケティングを支援できる人材育成を~”デジマ人材”プロジェクト~ | ソウルドアウト

―直近で最も大きな実績が出ているCriteoの事例を教えてください。

社名は控えさせていただきますが、セレクトショップ系ファッションECサイトで導入済みだったCriteoの運用改善の実績がございます。当社が運用を引き継いでから3ヶ月目にROASをを1.5倍に成長させることができました。

移管当初はROAS700%程度で、決して悪い数字ではありませんでしたが、詳しく状況を調べてみると改善できるポイントがいくつかありました。詳しくはのちにご説明させていただきます。2020年10月にはROASが1000%まで上がり、当初600万円程度だったご予算も1000万まで拡大いただきました。


機械学習の最適化にむけたデータフィード構築とセールに合わせたチューニング

―広告予算は2倍に、広告効果も1.5倍ほど成長したのですね。そのケースでは成果を出すまでにどんなことをしたのでしょうか?

改善ポイントは大きく2つで、データフィードの見直しを中心とした環境構築と、ファッション通販特有のセールに対応した運用調整をしました。

―何をどの程度実施されたのか、詳しい内容を教えてください。まずは環境構築についてお願いします!

別の代理店が構築した状態からの引き継ぎからスタートしました。内容を確認いたしましたところ、データフィードにもったいない点がいくつか。

まず、2年前ほど前にEC向けのフォーマットが提供されるなどのアップデートがあったのですが、アップデート前の状態から更新されていませんでした。具体的には、価格帯情報やカテゴリー、カラーバリエーションなど、機械学習をさせるべき項目が足りていなかったんです。その最適化のために、まずはEC向けのデータフィードフォーマットを適用しました。

計測面の環境では、クライアント様がGoogle Analyticsをお使いだったので、そちらも整備させていただきました。開けてみると、ロゴ部分にパラメーターの振り漏れがありました。ショップ名が入っていたりする部分ですね。パラメーターを仕込めていなかったことで、ロゴのクリックを全て計測できなかったのです。

初歩的ではありますが、計測ができていないと正しい判断もできませんので、早急に解決すべき問題でした。

環境構築では、このような設定の漏れやアップデートが遅れている部分を埋めていった具合です。

―セールに対応した運用調整ではどのようなことを実施したのでしょう?

セールが開催されるタイミングに合わせ、入札の調整やクリエイティブの変更を実施しています。

クライアント様は月3〜4回の頻度でセールを開催しているのですが、その都度、割引率や金額などのセール情報をご共有いただきました。それをもとに、バナー上でアイコンをオーバーレイさせる機能を使い、クーポン表示やセールであることを明示させています。

この施策は前任の代理店も行なっていたようでした。当社では更なる取り組みとして、分析に基づいた入札の調整を実施いたしました。

Criteoの管理画面では、目標COS(コスト・オブ・セールス)を設定することができます。『売上÷広告費用』、すなわち売上原価をCOSとして算出し、自動エンジンによって最適化されるという機能です。

当社では、ユーザー数や広告の出具合など、セール直前の推移状況をもとに、目標COSを何%するべきか分析しております。

これを怠ると、広告をたくさん出したいタイミングで少量しか出せなかったり、抑制したいタイミングで出すぎてしまったりなど、コントロールがうまくいかないんですよね。ユーザー数や競合の入札は大変流動的です。日毎に変わる状況を観測し、指標を見たうえで目標値COSを変更するという、マメな作業が求められているのです。

―細かな分析や調整によって導かれた成果だったのですね。

はい。これらを実施するだけでも倍近い成果を出せるのです。すべては運用次第だと思っているので、今後もいろいろな施策を追加していく予定です。


元エンジニアが率いる専門チームの「1人完結」が圧倒的な効果の差を生む

―そもそもCriteoとはどのようなものなのでしょう?

一般的にダイナミック広告として知られています。噛み砕いていえば、過去サイトに訪れたユーザーに対して、「興味のあるもの」「似たようなユーザーが購入したもの」を自動的にレコメンドしてくれるツールです。店頭に置き換えて考えれば、スタッフや店員さんの役割を与えるようなバナーというニュアンスです。

参考:CV爆増のCriteo(クリテオ)広告とは?特徴、効果、導入方法を代理店運用者が徹底解説

―すごくわかりやすいです…!

Criteoは高度な機械学習によって、クリエイティブの生成から配信までのすべてが決定されます。ですから、より効率良い学習ができるように、私たち運用者が必要なものを取り揃えてあげる必要があるのです。

そのための基礎となるのが、タグとフィードの設計です。ダグには、「トップページタグ」「商品タグ」など全5つのタグがありますが、より良い学習のためには正しく設置しなくてはなりません。

それからデータフィードの作り込みも重要です。Criteoではクリエイティブの自動生成をデータフィードにある情報をもとに実施します。できるだけ多くの情報を用意してあげましょう!

また、タグやフィードの設計時にプログラミングのスキルが必要とされるのも特徴です。

―初期設定をしたらあとは自動で学習が進むということは、代理店による成果の差はつかないイメージもあります。

昔はその傾向にありました。ですが今はやれることが増えてきたので、代理店による差が大きいんじゃないかと思っています。

常に数字を見て、適宜対策をとっていうというマメさが重要です。

Criteoは基本的には最初の設定が肝心ですが、リスティング広告の調整ほどではないにしろ、運用中もいくつか調整事項があります。1ヶ月に一回、あるいはサイトのリニューアルなどのタイミングで、環境の見直しが必要です。

例えば、タグで送っているIDと掲載されているフィードのIDがマッチしているかというマッチ率を定期的に確認しています。Criteoはいかに効率よく学習させるかが鍵なので、できるだけマッチ率を100%に近づけるよう、仮説ベースでの調整をおこなっていきます。今のままでいけないポイントを考え検証をする、その繰り返しです。

あとは、先程話題にさせていただいたセレクトショップ系ファッションECサイトの事例のように、セール開催時期に合わせて入札を調整するのも効果的です。

そのほか代理店が補うべきポイントは、外部環境の学習ができない点です。外部環境とは、競合の入札率や、セールなどのシーズナリティーのこと。

例えばECサイトの場合、ZOZOやAmazon、楽天など複数のプラットフォーム上でそれぞれ動きがありますよね。それらがいつセールを実施していたかという外部環境を注視し、変化に合わせて入札を変えていく必要があります。

―初期設定のセンスに加えて、運用の調整やと外部環境に対するアンテナを張っておくというマメさが必要なのですね。

そうですね。あとは、純粋な経験値も必要だと思っています。実践の中でしか得られないノウハウがありますからね。手前味噌ですが、弊社はCriteoの全代理店でアカウント数1位(2020年11月時点)なんですよ。

クライアント数が多ければ、より多くの業種について理解が深まります。それに、1つのアカウントで実施した新規施策を他のアカウント横展にできたりするのも有利なポイントかなと。

アカウント数以外のアドバンテージですと、当社は少額のアカウントも多数運用してきています。少額だと学習データも少なくなりますから、成果を出す難易度が上がるんです。だからCriteoは少額の運用にあまり向いていないツールなのですが、そういった側面を補うためのテクニックを持っているのも当社の強みかなと思っています。

当社がお引き受けしているアカウント数は全代理店平均社数のおよそ2倍、平均単価だと他社に対して1/2の額となっています。

―単価は低いけれど、誰よりも多くのアカウントをお抱えなのですね。なんだか頼もしい!そのほかにソウルドアウトならではの魅力はありますか?

ソウルドアウトのCriteoチームは、全員がプログラムを書けるということ、それによって、Criteoの全工程をひとりの担当者が一気通貫して行えるという特徴があります。

多くの代理店にはフェーズごとにそれぞれ担当者がいます。クライアントとコミュニケーションをとるフロント担当者、コンサルティングを担う運用、タグやフィードの調整を行うシステム担当者、クリエイティブの制作をする人、と細かく分けたら4カテゴリーになりますね。

このような複数の部署が連携を取りながら進めていく体制に比べ、一人の担当者がつく体制の方が全体最適化を図やすいと考えています。フロントマンがフィードやタグについての知識と運用経験を持ち合わせていれば、コミュニケーションロスやクライアント様のストレスは軽減されるでしょう。

また異常が発生した時に即座にプログラムを見れるので、何が問題なのかを発見し解消するスピードも速いと思います。実際に、「こんな代理店は他にいない」という評価をよくいただきます。

複数の部署が存在してしまう最難関は、プログラムを書ける人材が不足しているところにあると思います。当社の場合は冒頭でもご紹介したデジマ研修をはじめとした教育を実施することで、ネックを解消しました。

参考:ソウルドアウトの元エンジニア率いる専門チームが施した「成果を実感できる」Criteo運用改善 (1/3):MarkeZine(マーケジン)


ユーザー視点で購買に近い行動データを選別し、効率よく学習させる

―Criteoで成果を出す上でのポイントは何でしょうか?

一言でいうなれば…ユーザー視点で本物に近い行動データを選別して効率よく学習させること、ではないでしょうか。そのために攻略しなければならない関門が、タグ、フィード、クリエイティブ、運用、リカバリー。これら5つの枠組みに捉えていただければと思います。それぞれ抑えるべきポイントがあるので、ひとつずつご説明できればと思います。

―まずはタグ設計で注意すべきことを教えてください。

抽象的かもしれませんがエラーを出さないことです。まずはしっかりと値がとれるというか。ちゃんと欲しいデータを取って、それを値として返せるようにしておくのが最低条件ですね。そして成果を最大化するために必要なのは、見込み度の高いユーザーを見極めたタグ設計です。

細かいテクニックですが、ユーザー数の多いサイトなら発火条件にバリエーションをつけるといいかもしれません。本来ページビューが発生した時に発火させるところを、5秒滞在で発火させるように設定するなどです。似たようなものですが、スクロール発火も有効でしょう。

特定のポイントまでスクロールした場合のみ発火させます。こうして見込み度の高いユーザーを絞ることで効果を最大化させることができます。

逆に発火させない条件を設定することもあって、例えばカートページは注意が必要です。カートページに設置するタグで、商品のIDと価格と数量を取得するカートタグというものがあります。

このタグは、カートの中身が0でも、1でも、10でも、平等に発火してしまいます。カートが空の場合に発火した場合、タグは0で返ってきてしまいます。そういうIDに対して発火させても効果が期待できないため、発火させないように設定します。

―フィードの設計ではどのようなことに注意すべきですか?

データフィードの設計では、なるべくデータ量を多くすることがポイントです。先の事例でもお話ししましたが、サイトの特性にあったデータフィードのテンプレートを使用するといいでしょう。

学習項目の選定では、ユーザー視点を最も大切にしています。Criteoの学習項目は3つしか選べないので、いかに正しく決めるかで差がつくんです。

自分がユーザーだったら何を基準に選ぶのかを考えることも大切ですし、同じ業界でもアカウントによって適切な項目が違っていたりするので、日頃からユーザーの声に耳を傾けるクライアント様の目線を重んじるべきでもあります。

例えば不動産業界だと、間取りを入れるのか、駅からの距離を入れるのか、場所入れるのか。場所といっても県や市など分け方は様々。いろいろなデータある中で、どの3つを選ぶのかがとても大事なんです。

これは経験上の話ですが、学習項目を1つしか入れていない他の代理店さんをよく見かけるんですよね。スピード優先でとりあえず1つだけ入れているのか、担当者が複数いるために全体最適化が図れていないのか、理由はいろいろあると思うのですが…。

ただ私は、3項目に設定するのがマストだと考えています。担当しているクライアント様でも、3項目にしたことでCriteoが自動生成するクリエイティブの精度が上がったという経験がありました。

―クリエイティブや運用・リカバリで気をつけるべきことも教えてください。

クリエイティブでできることはごく限られていますが、だからこそマメな変更が大切になります。例えばエクストラバッジと呼ばれるオーバーレイ機能の活用。「送料無料」「セール」などの訴求を商品画像の左上に乗せたりするものですね。これをタイミングに合わせて投下すること。

画像処理も丁寧にやりたいところですね。商品の画像は縦横比1対1で800ピクセル以上の大きいものを用意しています。

それから、タイトルと金額の表記にも気を配っています。タイトル部分に関しては、先頭にわかりやすいメリットを入れてみたり、商品名単体で投下してみたり、いくつか検証する必要があります。金額に関しては、割引率を入れてみるなどが有効ですね。

運用では状況に合った入札方法を選ぶことが大切です。まず、Criteoエンジンには大きく4つの種類があります。

  • CPA自動最適化で自動入札する「ACOエンジン」
  • ROAS自動最適化で自動入札する「AROエンジン」
  • CVR最適化で手動入札する「COエンジン」
  • ROAS最適化で手動入札する「ROエンジン」

自動化エンジンは管理画面上の獲得数が月100件以上ある場合に使用できます。まずは自動化エンジンを使い、最適なタイミングを見計って入札を上げていくのがいいでしょう。

サイトのユーザー数に対してどのくらいバナーを出せたかの指標であるリーチ率も注視しています。40%を超えると見込みの低いユーザーにも配信されてしまう傾向にあるので、およそ30%とし、40%を超えないように設定します。

仮に40%に達してしまうようであれば、10%分の費用は類似オーディエンスなど新規ユーザーを獲得するための施策に回すべきですね。もしくは他の媒体で新規ユーザーを集客してもらうのもいいかもしれません。

それから先の事例でもお話した話題ですが、競合の入札率やシーズナリティーを意識した運用も大切です。

リカバリでは学習効率をいかによくするかが鍵となります。Criteoに限った特徴ではありませんが、広告媒体は停止が長くなっていたり獲得が少ないと鈍化しやすいほか、IDの入れ替えをしたあとは学習がやり直されてしまうということが起こります。

効果が落ちてきたら都度、原因の仮説を立て検証を繰り返し改善していきます。

―その他に成果出す上で、注意すべきことはありますか?

利益率を最大化するための顧客理解が大切だと考えています。一辺倒にROASを追いすぎると、本来売るべき商品が売れず、売れなくてもいい商品を売ってしまうことがあるんです。

例えば、ROAS300%のお客さんがいたとします。パーセンテージだけ見れば決して悪い成績ではないかもしれませんが、重要なのは「何が売れているのか」という点。私は、ROASが300%から250%に下がったとしても、利益率の高い商品を売れるようなコントロールが必要だと考えています。

アパレル業界では、別注アイテムのようなレア度の高い商品は、プロモーションをかけなくても自然と売れていったりしますよね。むしろ品薄になっちゃうくらい。あるいは、転売ヤーがこぞって買い占めるような商品も、放っておいても売れていく。そういう商品の販売によって目標を達成したとしても、本質的な成果はあげられていません。

それから、セールを実施すれば販売数が伸びますよね。しかし利益率は下がってしまうという課題があります。セールのかかっていない商品群をまとめて別のキャンペーンを打ち出すなどの対策をしました。

このような対策はクライアント様と逐一話し合いの上実施しています。利益率に課題がないかのヒヤリングから、こちらが積極的に働きかけていますね。

―ビジネスの全体感を捉えた上でCriteoの運用方針を考えていかなくてはならないのですね。

そういう意味で顧客理解が大切だと思っています。それから、Criteoの効果を最大化するために組み合わせるべき施策も私たちからご提案させていただいています。Criteoの本領はリターゲティング広告ですが、その特性上、良質な新規ユーザを増やす施策を別で立てる必要があります。

―優良な新規ユーザーはCriteoを使って集めることができるのですか?

Criteoでも類似への配信はできるのですが、より質の高いユーザーを求めて他のツールを組み合わせることが多いです。

最近はGoogleショッピング広告は自然検索に近い良質なユーザーを集めることができるのでよく使っていますね。少し前までは記事LPを使った刈り取りがトレンドでした。低CPCで新規ユーザーを集め、タグの発火条件を使って購買につながりそうなユーザーかを見極める感じです。


CPC20円という強みを生かし、少品目ECで効果を発揮するテクニック

―Criteoは商品点数が多いECの広告主に有利なイメージがありますが、他の業種でも効果は出るのでしょうか?

多品目でなくても効果は出ます。商品数が少ない業態の例として、英会話教室を手掛けるクライアント様ご紹介させてください。その英会話教室は講座が3つくらいしかありませんでしたが、2つの要因によってパフォーマンスを発揮いたしました。

1つ目は、Criteoが他のディスプレイ広告よりCPCが低いということ。CriteoのCPCは20円からなのですが、そんな媒体、他にはありませんよね。

2つ目が自動生成のクリエイティブが高い精度で出ているということです。ABテストのような感じで複数のパターンを生成・配信、その中で効果の高いものが残っていくという仕組みで最適化が掛かっていきます。

画像違いパターンはもちろん、CPAボタンもカスタマイズされます。組み合わせパターンの数で言うと250以上あるんですけど、他の媒体と比べてもかなり多いと思っています。


ITPやCookie規制による効果の悪化は見られない

―近年、個人情報に対する考え方がアップデートされ、Intelligent Tracking Prevention(以下、ITP)が各ブラウザに実装されました。それによってCriteoの効果が落ちていうという話題もありますが、どのように考えていますか?

ディスプレイ広告全体でいうと落ちているネットワークもあるそうですが、Criteoは落ちていませんね。現場の肌感覚としてもそうですが、Criteo自体も対策をとっています。ITPはCookieの情報を個人情報とみなしトラッキングを制限するものでした。

そこでCriteoが一時期提供していたのがCNAMEトラッキング。ですがCNAMEも撤廃へ向かっていったので、プライバシーを保護を踏まえた新しい取り組みがはじまっています。11月に新たな識別子であるUnified ID開発への参加が発表されました。

これまでの計測の質を落とさぬよう、常に対策はとっているようです。代理店の立場としては、Criteo公式からの情報を注視し都度キャッチアップしていくよう心がけています。

―リターゲティング広告中心なので、コンバージョンの計測が他の手法で重複している懸念もありますが、いかがでしょう?

確かに、Criteoの管理画面に出る計測結果とGoogle Analyticsの結果がずれることはあります。ただこれは他のあらゆる媒体でもおこることなので、そこまで問題視はしていません。ズレの度合いも、感覚としては、他の媒体よりも少ないんじゃないかなと思います。

もし乖離の大きさが気になるなら、タグとパラメーターがついている状態で発火させることで解消できます。ある程度ボリュームのあるアカウントに向けた対処法のため、CVが管理画面上で200件以上つくのであればこのような設定もおすすめしてます。


月間UU4万以上、月額20万円を配分する余地があるなら業種問わずCriteoは絶対やるべき!

―改めて、まだクリテオをやっていない、一度やったけどやめてしまった企業向けに注意すべき点を教えてください

月間UU4万以上で、月額20万以上のご予算があるなら、業種問わずやるべきだと考えています。

―逆に言うとCriteoはUU数が少ないと、効果が出づらいということですか?

効果が出づらいのは確かです。そもそも、一部メニューを除き、4万UUない状態では運用開始できない媒体でもありますしね。もし本格的にCriteoを使っていきたいのなら、10万UUほどあった方がいいと思います。

ですが、CPCが高い領域だとUUが少なくても効果が出ることもあります。例えばカードローンみたいな、CPCが2000円になるような商材でも、Criteoなら20円で出せますから、安くたくさんのユーザーを集めることができるんです。ですから単価が高い商材は、Criteoの力が発揮できる領域だと思います。

ご予算面では、最低20万円程度から最適化がかかりますので3ヶ月で60万くらいが投入できればいいかなと思います。しっかり売り上げを立てていくには、3ヶ月かけて100万を投入していくくらいのスケール感で考えていただくのが理想です。

一度Criteoを試してみたものの費用対効果が合わなかったという経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ですが効果が出るでないは代理店の力量によるところが大きいと考えています。環境構築を見直し改善すれば、必ず成果が変わってくるはずです。

ですからCriteoを検討している方々には、ぜひ代理店の見極めを慎重におこなっていただきたいですね。

―その他に注意点はありますか?

Criteoはエリアでのセグメントができません。ですから不動産など、エリアに関わる業種のクライアント様は、他の媒体を選ぶことが結構あります。

―クリテオ以外のダイナミック広告も一緒にやるべきでしょうか?

そうですね。Criteoを主軸とする場合でも、主な広告媒体であるGoogle、Yahoo!、Facebook、LINEの4つから、Criteoでできない部分を補っていく手段を探していくのがいいと思います。

Yahoo!広告なら、フィード面の配信在庫が豊富かつ多いという特徴があります。CPCでいえばCriteoの方が優秀ですが、Criteoで出づらい面を補ってくれるので、必要に応じて使いたいですね。Google広告はECに強い印象です。LINEは商材との相性が良ければやってもいいでしょう。

ご新規のクライアント様で、ある程度予算をお持ちのアカウントは、Criteoを含む5つの媒体すべてを一気にスタートさせることが多いです。それが難しい場合は、Criteo、Google、Yahoo!の3つを選択、さらにミニマムで実施する場合はCriteoのみを選ぶことになります。

各媒体への予算配分は、たいていCriteoが優先されています。ECの場合はGoogleが多めになることが多いですね。

ちなみにデータフィードやタグ設定は、他の媒体、例えばGoogleのダイナミック広告などに流用することができるので、うまく活用したいところです。


Criteoの進化はまだまだ止まらない。代理店のキャッチアップ力で広がる差

―現在、特に注力して攻略しているポイントはどのあたりでしょうか?

最近はリーセンシーの変更が自由におこなえるようになったので、それの活用に注力しています。

従来だと、キャンペーンのリマケリストは2種類のみでした。サイト来訪60日以内のリストに配信する「Convert」、サイト来訪61日以上400日未満のリストに配信する「Aquire(61~400日)」でしか、コントロールできなかったのです。

ですが最近アップデートがあり、両方のリストのリーセンシー期間を自由に変更できるようになりました。これは成果にインパクトをもたらす変更でした。Convertでリーセンシーを伸ばすことで、対象のユーザー数を増やしながら最適化がかけられるようになったのです。

というのも、Convertキャンペーンはサイト来訪からの日数が短いため購入意欲が高いユーザに対して配信するため元々成果が良いんです。そこに自動エンジンを組み合わせた上で、リーセンシーを伸ばしたことで、最適化できるユーザが増えたということです。

この変更があったことにより、リーセンシーの見極めが一層重要な攻略ポイントとなりました。これまでは60日というレバーしかなかったのが、任意の日数に設定できる。1日、2日、3日と、その差異によってどう変わるのかを把握しなくてはなりません。

いろいろな設定を作って試したいところですが、CriteoではConvertキャンペーンを複数つくることはでません。1個しか作れないキャンペーンをどのように設定するか、とても大事な論点になっています。

Aquireの場合はスタート時が手動入札で、コンバージョンが100件つくまで自動エンジンがつかないんです。特に予算少ないと100件に達することは難しく、自動化に至りません。なので使うことが減ってきました。

―これからのCriteoはどうなっていくと思いますか?

止まることなく進化していくのではないでしょうか。最近の大きな進化ですと、2020年の1月から、これまでCriteo社が担っていた管理画面の設定を代理店や広告主がやるようになりました。

従来、代理店が管理画面で見ることのできる項目は、クリエイティブや日々のレポートに関する一部のみでした。しかし現在はクーポンの出る頻度や、先ほそのリーセンシーもそうですし、自分たちで設定できる項目がいろいろと増えたんですよね。

設定できる項目についてどれほど詳しく知っているか、代理店による力量差が広がっていきます。

2019年には、日予算機能がつきました。日予算がかけられなかった時代は、予算使いのペースが暴発してしまうケースがあったんですよ。特にUUが多いサイトだと、1日に20万円使い切ってしまうということも。

最近は日予算機能と自動入札機能を使ってその問題を払拭しています。CPCを下げつつパフォーマンスを維持して、予算を使いすぎることも無くなったんです。

―現場で課題になりがちな部分がどんどんアップデートされているんですね。

はい。直近では、ネット上の個人情報保護が取り沙汰され、潮流はCookieレスへと向かっています。この問題についてはCriteo社としても死活問題ですから、新しい技術や機能を以て次々と対応して来るはずです。現に効果は落ちていませんし、これからもそうじゃないかなと。

私たち代理店としては、Criteoの進化を一生懸命キャッチアップして、クライアント様のビジネスに対して常に最適解をお出しできるよう対応していきたいです。


まとめ

今回は坂本 惟氏に、Criteoの運用事例をはじめ、成果を上げるためのポイントについてお伺いしてきました。

Criteoは機械学習の精度が高く、運用側はこの学習に必要なタグ・フィードなどを正しく設定する必要があります。初期設定後は常に数字を見つめながら適宜対策をとったり、運用中に定期的に環境調整の実施を行っていきます。

またCriteoはセール時期などの外部環境の変化を学習することができないので、常に外部環境を注視し、変化に合わせて入札を調整するなどが代理店の役割です。

運用するうえでのポイントとしては、「どれだけ効率よく学習させるか」です。タグ・フィード・クリエイティブ・運用・リカバリーにおいて、それぞれ個別のポイントがあります。

そのうえで、利益率を最大化するための顧客理解が重要です。そのため、一概にROASばかりを追わず、ビジネスの全体感をとらえながら対策を打ち出していきます。

Criteoは常に進化を続けており、代理店側・広告主側でできることも増えてきました。Criteoの進化に置いて行かれないようキャッチアップを心掛けて、クライアント様のビジネスを助けていくことが代理店に求められています。

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話を聞いた人

坂本 惟(さかもと ゆい)

2015年新卒入社。クリエイティブソリューション部にてLP制作・SEO・アドテクツールの運用改善を担当。その後、メディアソリューション部でデータフィード広告の環境構築・運用改善をおこなう。集客から接客までの配信設計と運用に従事し、200社以上のお客様を支援。

※本記事はソウルドアウト株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。