ネット広告の商談のよくある失敗例とその対策

eyecatch

ネット広告の商談でなかなか発注がいただけない…。また新型コロナウイルスの影響でオンライン商談がメインになり、まだうまく適応できていないとお悩みの方も多いのではないのではないでしょうか。

そんなお悩みをお持ちの広告代理店の方向けに、ネット広告の商談で失敗するパターンと、そこから学ぶ気を付けるべきことを解説します。
また2021年現在主流になりつつあるオンライン商談での注意点もあわせて解説します。

これからネット広告を扱うという方も、本記事を参考に、ネット広告の商談を成功させるにはどうすれば良いかを考えていきましょう。

※本記事はデジタルマーケティングのeラーニングサービス「ジッセン!オンライン」の講座を参考に執筆しております。

この記事のご覧の方には代理店で二次代行を探している方もいるのではないでしょうか。
代理店なら、運用やレポート・シミュレーション作成などを委託できます。積極的に活用し戦略立案・設計にリソースを寄せることをお勧めします。

失敗しない!新規案件獲得のための“正しい”営業提案メソッド


ネット広告の商談が失敗する、よくある7つのケース

ネット広告の商談が失敗する理由は数多くありますが、特に注意すべきは以下の7つのケースです。

  • キーマンに接触できていない
  • コミュニケーションのずれ
  • 決定の基準が曖昧で買い手が判断できない
  • 専門用語によるコミュニケーションミス
  • 相手の情報を鵜呑みにしてしまう
  • 意思決定の基準があいまいで決断できない
  • 難しいと思われてしまう

ケース1.キーマンに接触できていない

意思決定をしてもらうためのキーマンに接触できていないケースです。

ネット広告の提案をした際に、その提案を経営層に推薦してくれるキーマンが誰か把握する必要があります。

注意すべきなのは、役職と影響力は必ずしも一致するとは限らないということです。

例えばリスティング広告を既に運用しているお客様に新たにSNS広告の提案をする場合、先方内に広告を担当している人がいるはずです。

実はその人が社内に大きな影響を持っていて、その上長である役職者の意見はあまり重視されていない、ということはよくあります。
特にネット広告は専門性が高い領域なので、より詳しい現場の人の意見が通りやすい傾向にあります。

上記のケースでは、商談をした部門長には好感触だったが、社内の現場のキーマンには自社の強みやメリットが伝わらずに翻意されてしまった、ということになったりします。

商談の場で誰がキーマンなのかを把握して、その人を前向きにするためにはどうすればいいのかを考えてアプローチする必要があります。

また逆のパターンで、現場のメンバーには価値を伝えられているが、予算を管理している部門長にはコストがネックで承認してもらえない、ということもあります。

この場合には、自社サービスの導入で高い費用対効果が得られることを示す必要がありますし、場合によっては値引きも検討する必要があるかもしれません。

このように、誰がキーマンで、その人に対してどういうアプローチをする必要があるかをセットで考えましょう。

ケース2.経営層に会えていない

経営に関与している方に会えていないケースです。

正しい商談相手に会うというのはどんな商談でも必要なことですが、特にネット広告の場合は重要になってきます。

ネット広告の商談では単に広告分野の話にとどまらず、プロモーションからマーケティング領域全般まで話が広がったり、企業やサービスのWebサイトの話になったり、ビジネスモデルの話にまで発展することもあります。

そのため経営に関与している方と話をできないと、事業に関する情報に乏しくて提案を理解していただけなかったり、重要性を理解していただけない可能性があります。

現場だけでなく経営層の理解も得る必要があり、そのため経営に関与している人に接触できているかは重要です。

ケース3.決裁権者に会えていない

決裁権を持った人に会えていないケースです。

広告を担当している部署と、予算を持っている部署が異なっているケースはよくあります。

せっかく現場に提案が通っても、その後予算を管轄している部署にNoと言われてしまったり、予算を減額されてしまったりします。

決裁権者は誰なのか、また先方社内の承認のプロセスがどうなっているのか(最終承認者が誰か)を把握しておかないと、商談が延びてしまったり最悪破談になるかもしれません。

最初の商談の場で、誰が決裁権を持っているのかは確認したほうが良いでしょう。

ケース4.専門用語によるコミュニケーションミス

専門用語の使い過ぎや使い方が悪くコミュニケーションミスが起きてしまうケースです。

CPAやROASといった指標や、リターゲティングやカスタムインテントといった配信手法など、ネット広告には専門用語が非常にたくさん存在します。

共通言語だと思っていても、必ずしも相手が理解しているとは限りません。文字では認識できても、会話の中で耳にすると理解できないということもあります。

言語がずれてしまえば共通の認識を持つことはできないので、当然商談も失敗する危険性が高くなります。

また一見話が伝わっているように見えても、実は理解できていないということもあります。

分からないことを商談の場で質問することは心理的に恥ずかしいと思ってしまいますし、相手より優位に立ちたい(あるいは対等でいたい)という考えから、その場では理解できているように振る舞ってしまうものです。

相手がどの程度その分野に明るいのかは分からないので、どんな相手でも理解してもらえるように平易な言葉や表現を使うように心がけましょう。

ケース5.相手の情報を鵜呑みにしてしまう

商談相手がもっている情報や考えを鵜呑みにして話を進めてしまうケースです。

例えば相手が認識している課題が、実は解決すべき本質的な課題でない可能性があります。

そうしたときに相手の考えを鵜呑みにして施策を立ててしまうと、競合他社が本質的な課題とそれに対する提案をしてきて、そちらを採用されてしまう、ということにもなりかねません。

広告主が代理店に求めている価値として、自分たちには持っていない情報や視点を提示してくれることがあります。
ただの御用聞きでは、中長期的に取引を続けていくのは難しいでしょう。

相手がもっている情報や考えは非常に貴重なものですが、それを鵜呑みにせずに、一度フラットな視点で問い直す姿勢が重要です。

ケース6.意思決定の基準があいまいで決断できない

提案を採用するかどうか意思決定するための基準があいまいで決断できないケースです。

例えば新たにFacebook広告をやりましょうと提案した場合に、先方は以下のような疑問や不安を抱くかもしれません。

  • 他の媒体ではダメなのだろうか?違いは?
  • Facebook広告のデメリットはなんだろうか?
  • なぜ今やらなければならないのだろうか?
  • 提案者(あなた)に依頼しなければならない理由は?

こうした不安を抱かせないためにも、判断するための情報は正しくもれなく伝える必要があります。

Facebook広告のメリットだけでなくデメリットも伝える。
他媒体と比較して長所と短所は何で、なぜFacebook広告を選択したのか。
また今やるべき理由や提案者(あなた)が担当すべき理由をしっかりとお伝えしましょう。

他にもプランを複数用意することも有効です。

絶対に実施したほうが良いというスモールプラン、できればやるべきというスタンダードプラン、可能であればやると更に売上アップしますというビッグプランの3つを用意できると、いったんスモールプランからと意思決定がしやすくなります。

例えば新規でネット広告を実施する場合は、まずはリスティング広告の指名ワードやリターゲティング広告から始めて、できれば顕在層向けのワードへの配信やディスプレイ広告での新規誘導配信も一緒に行う、余裕があればSNS広告や動画広告も活用する、といった具合です。

どうすれば相手が意思決定しやすくなるか、また相手が上長や決裁者に話を進めやすくするために必要な情報が何かを考えて用意するようにしましょう。

ケース7.難しいと思われてしまう

提案内容を難しいと思われてしまうケースです。

特に、初めてネット広告を実施する方や、ネット広告に詳しくない方に提案する場合によくあります。

現時点でネット広告を実施していないということは、何かしらネット広告に対してネガティブな印象をいただいている可能性が高いです。

特に多いのが、ネット広告は難しくてよく分からない、というものです。

そういう方々に提案する際は、聞き慣れない用語や難しい表現は極力避けるようにしましょう
ケース4.専門用語によるコミュニケーションミスでもお伝えしたように、専門用語は基本的に使用しないようにすべきです。

提案を「難しい」と思った時点で、相手は行動を起こしてくれなくなります。

どれだけ「意外と簡単だな」と思ってもらえるかが重要です。
ネット広告を難解で面倒と思っているからこそ、そこを解消してあげられれば、ではあなたに一度任してみようと思ってくれるはずです。

誰もに理解してもらえるような提案書の作成方法はこちらで詳しく解説しています。
参考:Web広告代理店10年の営業マンに聞いた!Web広告営業を成功に導く事前準備


オンライン商談が失敗する、よくある6つのケース

前章ではネット広告の商談でよくある失敗例をご紹介しました。

そちらを踏まえて、どうすればネット広告の商談で成功できるのかについては、下記の記事で解説しています。
成功するインターネット広告商談術!抑えるべきポイントを徹底解説

本章では、オンライン商談のよくある失敗のケースと、その解決策について解説します。

新型コロナウイルスの流行でオンライン商談が主流となり、そこへの対応は必須となりました。
オフラインでの商談と同じ取り組み方ではいけません。

参考:オンライン営業を導入すべき5つの理由と、成功に導くコツを時系列ごとに紹介

ケース1.提案資料が見づらい

相手にお見せする提案資料が見づらいケースです。

オフライン商談では、紙で印刷してお渡ししたり、相手のオフィスの商談部屋にある大きなモニターに映して商談するケースが多いでしょう。

しかしオンライン商談では、相手がリモートワークでモニターを持っておらず、ノートパソコンの小さな画面で見るということも十分考えられます。

そうしたケースを想定して、文字量を減らして文字を大きくしたり、図や表を中心の資料作りをすると良いでしょう。

ケース2.提案資料を共有していない

事前に提案資料を共有していないケースです。

そもそも資料は事前にお渡ししてしまったほうが、説明の時間も短縮できますし当日の話も進めやすくなるでしょう。提案資料は自社の財産だからデータでは渡したくないと考える方もいるかもしれませんが、オンライン商談の時代には考えを改めるべきです。

またオンライン商談では、画面を共有して話をすることになると思いますが、この場合相手は自分で操作して前のページに戻したりすることができません。

話をしていて疑問に思ったことが出てきたので先ほどのページを確認したいとなったときに、オフラインであれば紙をめくって確認ができますが、画面共有ではそうはいけません。

そうした観点からも、事前に資料を共有しておくほうが良いでしょう。

ケース3.相手のリアクションを見ていない

話しているときに相手のリアクションを見ていないケースです。

画面を共有して話す際に、自分のパソコン画面に資料を映していて、Zoomなどのミーティングツールの画面が見えていないということがあります。

しかし、自分の話に対して相手がどういうリアクションをしているのかを見ることは、言うまでもなく非常に重要です。

どんな表情をしているのか、こちらの話に頷いているのか、ちゃんと話を聞いているのか、などを確認して感触を見ながら話を展開する必要があります。

特にオンライン商談では話を聞きながら無関係の作業をすることができますし、やろうと思えばスマートフォンを見ることもできてしまいます。
オフライン商談以上に、相手のリアクションに常に目を光らせる必要があります。

またケース1.キーマンに接触できていないでお伝えしたように、誰がキーマンかを商談中に把握することが大事ですが、商談中の反応からそれが分かることがあります。

例えば現場の担当者がキーマンだった場合に、部門長が話しているときに「そうじゃないんだよなぁ」といった表情をしていたり、部門長から同意を求められてあいまいな返事をする、といった反応が見られたりします。

そうしたシグナルを検知するためには、事前に資料を渡して画面共有はせずに話を進めたり、モニターを用意してモニターにはミーティングツールの画面を映し、ノートパソコンには資料を映す、などの対応をすると良いでしょう。

ケース4.環境を整えていない

商談する際の環境を整えていないケースです。

具体的には以下のケースが挙げられます。

  • マイクの音質が悪い
  • 騒音でうるさい
  • 照明が暗い
  • 回線が悪い
  • 見た目に気を遣っていない
  • 商談に適していない背景画像

これらに共通しているのは、日常の延長線上のまま商談に臨んでしまっているということです。

いずれもオフラインで実際に会う場合は、問題にならないか気を遣うはずのことですが、移動を挟まないオンライン商談では切り替えができず、つい軽視しがちです。

すべて問題がないかは事前に確認するようにしましょう。

特に「商談に適していない背景画像」は忘れがちです。その前のMTGで使用していた背景画像のまま商談に臨んでしまう、ということはやってしまう方も少なくないのではないでしょうか。

背景画像が多少変だからといって商談が破談になるということはあまりないですが、背景画像は商談に活かせる有用な材料です。

何かアイスブレイクに使えそうな内容を盛り込んだり、ぜひ見てほしいページをQRコードで貼っておくなど、使い方は様々考えられます。

背景画像を作成できるサービスも増えてきていますので、ぜひ活用してみてください。

ケース5.見せてはいけない情報を見せてしまう

画面共有で見せてはいけない情報を見せてしまうケースです。

画面共有をした際に、メールやチャットツール、あるいはデスクトップのファイルなどから、見せてはいけない情報を見せてしまう可能性があります。

例えば取引中の他社名などです。

守るべき機密情報を意図的ではないにしろ見せてしまうというのは、相手からすれば信用するのがかなり難しくなります。

なにか別の形でも、自社の情報が他社に流出してしまうのではないか、と考えてしまうのが普通でしょう。

そうならないためにも、ブラウザは余計なタブは開かない、デスクトップは整理する、開く可能性のあるフォルダには余計なファイルは入れない、などの対応をしておきましょう。

ケース6.商談後の連絡が遅い

商談終了後の連絡が遅いケースです。

商談後に御礼メールや議事録をお送りすると思いますが、商談がオンライン化したことで終了後すぐにお送りすることが可能になりました。

オフラインのときには移動があるのですぐに送れないのもやむなしでしたが、オンラインではそうはいきません。

商談が終わって相手の熱が高まっているうちにお送りできれば、相手にもより良い印象を持っていただけるはずです。

そのためには、商談後に連絡をするための時間を設けておいたり、同席する仲間に議事録を取っておいてもらう、1人で参加する場合はミーティングを録画しておく、などの対策が考えられます。

なおミーティングは無断で録画するのではなく、先方の了承を得た上でミーティングツールの録画機能を使用して録画すると良いでしょう。


まとめ

ネット広告の商談で失敗するケースとして、よくある7つの例を挙げました。

1.キーマンに接触できていない
2.コミュニケーションのずれ
3.決定の基準が曖昧で買い手が判断できない
4.専門用語によるコミュニケーションミス
5.相手の情報を鵜呑みにしてしまう
6.意思決定の基準があいまいで決断できない
7.難しいと思われてしまう

またオンライン商談のよくある失敗例として、以下の6つを挙げました

1.提案資料が見づらい
2.提案資料を共有していない
3.相手のリアクションを見ていない
4.環境を整えていない
5.見せてはいけない情報を見せてしまう
6.商談後の連絡が遅い

過去のうまくいかなかった商談が上記のいずれかに該当していないかを確認し、もし当てはまっていたら本記事を参考に改善に取り掛かってください。

よくある失敗例を認識しておくことで、同じ失敗を犯さないようにしましょう。

【少額・スポット可】ネット広告運用の2次代行サービス『AG-Boost』