オンライン営業とは?成果を最大化する2つのポイントと9つのコツ

オンライン営業とはWeb会議システムやチャットツールを用いてWeb上で実施する、非対面型の営業手法です。

対面での営業が難しくなった昨今において、オンライン営業を取り入れる企業は増えてきています。

ただし対面型の営業とは性質が異なることを意識して商談を進めないと思うように受注がとれません。

決裁者に直接アプローチできるオンライン営業の方法

今回はオンライン営業についてメリット・デメリットを踏まえて解説したうえで、実際にオンライン営業で成果をあげるための鉄則やコツについて解説しています。

この記事を読むことで、オンライン営業を導入すべきか自社の状況踏まえて判断できるようになります。また、オンライン営業で成果を挙げるためのポイントを意識して営業活動が行えるようになります。

目次


オンライン営業とは、Web上で実施する非対面型の営業手法のこと

オンライン営業とは、Web上で実施する非対面型の営業手法のことです。

ネット環境さえあれば実施できるので、場所や環境に左右されずに営業ができます。一般的にはWeb会議システムを使った営業が主流です。

対面型営業が難しくなった近年では多くの企業が取り入れています。


オンライン営業のメリット

オンライン営業には以下のようなメリットが挙げられます。

  • 場所や環境に左右されずに営業ができる
  • 商談~成約までのスピードが速くなる
  • 部下の育成に活用できる

メリット1.場所や環境に左右されない営業が可能になる

オンライン営業の導入で、オフィスや自宅から商談ができるなど、場所や環境問わず営業が可能です。

最近ではリモートワークを導入している企業も多く、対面型の営業では取り次いでもらえないこともあります。

オンライン営業を利用すれば、相手先企業の負担を軽減できるので、営業機会の損失防止にもつながります。

メリット2.スケジューリングが効率化され、商談~成約のスピードが速くなる

オンライン営業を導入すれば、効率的なスケジューリングが可能になり、商談から成約までのスピード向上が期待できます。

訪問営業のような対面型の場合、移動時間をあらかじめ考慮する必要があります。そのため商談日程の調整に時間がかかることも多いです。

オンライン営業の場合であれば移動時間などを考慮せず商談日程を調整できます。

1日に対応できる件数も増えるので、営業効率が改善され、商談の実施から成約まで、時間を浪費することなく進められます。

参考:営業管理の効率を上げるSFAとは?導入メリットや事例、おすすめツール5選を紹介

メリット3.オンライン営業の様子を保存でき、部下の育成に活用できる

オンライン営業の様子を保存しておけば、営業部門の新入社員や部下の育成に活用できます。

オンライン営業では一般的にWeb会議システムを利用します。録画機能がついているツールもあり、営業の様子を録画しておけば育成用の教材として利用可能です。

例えば、ベテラン営業マンの商談の録画を見せることで、テキストだけではわからない営業のポイントや工夫の理解が深まるでしょう。

また自身の商談の様子を録画しておくことで、客観視できるようになるので、改善点を見つけることにも役立ちます。

参考:3分で理解する「Zoom」とは?今日からできる「始め方」「使い方」まで解説
参考:【2021年最新版】失敗しないビデオチャットツールの選び方とおすすめツール厳選10選


オンライン営業のデメリット

オンライン営業の場合、以下のようなデメリットがあります。

  • 通信環境の影響を受けやすい
  • 商談相手の反応がわかりにくい
  • 商材を直接手に取って確認してもらうことができない

1.通信環境の影響を受けやすい

オンライン営業ではWeb会議システムを使うため、パソコンやネット回線の調子が悪いとスムーズに商談を行えません。

カメラやマイクがうまく機能しなかったり不安定な回線で通信にラグが生じたりするとコミュニケーション自体ままなりませんし、パソコンのフリーズなどによって商談自体が中断されてしまうこともあります。

パソコンなどの機器や通信環境の整備は当然のこと、トラブルが起きた時の対処法としても事前の資料・アジェンダ共有は丁寧に行いましょう。

2.商談相手の反応がわかりにくい

オンライン営業では、直接会って話をするよりも商談相手の反応を察しにくいというデメリットがあります。

優秀な営業マンほど相手の反応を伺い、相手の理解度や興味・関心度合を判断してトークの尺を調整しています。しかし、オンライン営業の場合は細かな表情の変化などが読み取りづらいです。

そのため、オンライン営業を実施する際は対面型の営業よりも細かく相手に質問を投げかけて反応をみることが大切です。

3.商材を直接手に取って確認してもらうことができない

対面型の営業のように、商品のサンプルを直接相手に触ってもらったり、利用してもらったりすることができないのがデメリットです。

味や手触りなど、五感に訴求するような魅力を持つ商材の場合だと影響が大きく、サービス資料や説明動画だけでは商品の魅力・メリットを伝えきれないです。

実際に手にしてもらう必要がある場合、事前にサンプルを送るなどのコミュニケーションを行いましょう。


成功企業から学ぶ、オンライン営業で成果をあげるための2つのポイント

オンライン営業を強みとする企業は、以下の2点を特に重要視しています。

オンライン営業で成果を高めるポイント

1.商談相手の状況を細かくヒアリングする

オンライン営業実施にあたって、いきなり営業トークを繰り広げるのではなく、商談相手の検討度合いをはかるためにもヒアリングを行いましょう。

「必ずしも検討度合いの高い見込み客との商談とは限らない」というのは対面営業でも同様のことが言えますが、オンライン営業の場合は特にその傾向が強いです。

近年ではオフラインの展示会などの開催が難しく、ウェビナーやオンライン展示会など「気軽に参加できるイベント」が増えています。そのため、検討度合いの低い見込み客が含まれやすくなっています。

見込み客の現状を踏まえずに売り込みを行った場合、顧客の本質的な課題解決につながる提案ができません。

たとえ受注につながっても、最低契約期間での解約など、長期的な関係構築ができないパターンが多いです。

そのため、オンライン営業では売り込みを行う際には細かなヒアリングを通して、正しく相手先企業の課題・ニーズを見極め、自社の商材を提案すべきタイミングなのか否かを判断することが先決です。

2.顧客との関係を維持する

製品が必要になったタイミングがきたとき、競合ではなく自社のことを真っ先に思い出してくれるよう、顧客との良質な関係の構築・維持することを念頭に置いてください。

これは実際に成約した企業はもちろん、タイミングが合わずに失注となった企業も同様です。

たとえ失注になった企業でも、定期的に状況確認の連絡やお役立ち情報の共有を意識的に行いましょう。


オンライン営業を行う前の準備段階に使えるコツ5選

オンライン営業を行う前は円滑に商談を進められるよう準備しておくことが大切です。

オンライン営業を始める前にできることはたくさんありますが、その中でも特に重要なのは以下の5つです。

オンライン営業の準備のコツ

大前提として、そもそも”商談数”は足りているか

大前提として十分な商談数が足りているかはチェックしましょう。

営業のコツについては後述しますが、「興味が薄い」「興味が0に近い」状態などから商談化させることは難易度が高く、営業活動においてボトルネックになりやすいです。

もし「商談数・商談化率」に課題を感じているなら、電話営業やインサイドセールスの架電時からテコ入れをしたほうが良いかもしれません。

コツ1:プレゼン用の資料を作成しておく

オンライン営業を行う前にプレゼン用の資料を作っておきましょう。

Web会議システムを利用すれば事前に作成しておいた資料の共有だけでなく、画面共有で自分の端末画面を顧客に見てもらうことも可能です。

ただし、画面共有だと解像度が粗くなり、見えづらくなることも多いので、オンライン営業時でも見やすいプレゼン資料を作っておきましょう。

  • 文字を大きくする
  • 文字と背景色は「白と黒」などはっきりと分かれさせて見やすくする
  • 余白を十分に空ける

上記の方法を活用しながら、オンライン営業に使うプレゼン資料を作成しましょう。

参考:伝わりやすい資料を作成するためにおさえておくべき28のコツ

コツ2:トークスクリプト(台本)を作っておく

オンライン営業を行う前に進行の流れや話の内容をまとめ、トークスクリプトを作っておきましょう。

オンライン営業では、対面型営業とは異なり、トークスクリプトを見ながら営業できるという強みがあります。

事前にトークスクリプトを作っておくことで、営業経験の浅い営業マンでもスムーズに営業できます。

ただし資料などを画面共有する際には、トークスクリプトまで相手に見えてしまわないよう注意しましょう。

ツールの中には、トークスクリプトを自分だけに見えるよう表示するツールもあります。

コツ3:オンライン営業前に画面を整理しておく

オンライン営業を始める前に、デスクトップの整理をしておきましょう。

顧客に見せる資料や商品イメージなどはすぐに取り出せるようデスクトップに配置しておき、不要なウィンドウを閉じ、必要なものだけデスクトップにある状態を作るのが理想です。

オンライン営業では時折、自分のパソコンの画面を共有してプレゼンをすることがあります。その際、営業と関係のない資料や社内の機密情報を誤って表示させた場合、トラブルにつながる可能性があります。

社内外に迷惑をかけないため、オンライン営業をスムーズに進めるためにも事前に画面を整理しておきましょう。

コツ4:マイクチェックや周辺機器の動作チェックを行う

オンライン営業を始める前にマイクチェックやカメラなどの周辺機器の動作チェックを行っておきましょう。

特にマイクとカメラは顧客と話す上で最重要です。「声が聞こえない」「カメラが映らない」などは必ずチェックしておきましょう。

Web会議システムではマイクチェックとカメラチェックの機能があるので、営業を始める15分前には必ずチェックしておくべきです。

コツ5:リマインドメールを送る

オンライン営業を行う前には必ずリマインドメールを送りましょう。

オンライン営業は訪問営業と違い気軽に商談ができる分、直前でスケジュール調整される可能性もあるため、前もって参加可否の確認を行うほうが良いでしょう。

例えば、前日には「明日はよろしくお願いします」と一言連絡を入れておきましょう。

当日にも「Web会議システムの参加URLを送付させていただきますので、お時間になりましたらご参加お願いします」というように、確認の連絡を入れておきましょう。


オンライン営業中に意識すべきコツ

自分の話に集中するのではなく、顧客に質問を投げかけ、相手の話を「聞く」ことに重点を置いて進めるようにしましょう。

オンライン営業の場合、対面型よりも顧客の反応がわかりづらく、顧客側も質問のタイミングなどがつかみづらいので、一方的に営業トークを展開してしまうことがあります。

また万が一商談中にメールやチャットの通知があり、顧客の注意がそれてしまったとしても、非対面では気づきづらいでしょう。

オンライン営業時には、これらのような状態を避けるために、非対面型よりも顧客への質問の回数を増やすよう意識しましょう。

「御社のご状況や課題などをお聞かせいただけますか?」「ここまでで何か不明点はありましたか?」などの簡単な質問でも、相手が注意を向けて話しやすいきっかけづくりが重要です。


オンライン営業後のフォローのコツ3選

オンライン営業はプレゼンをしたらそれで終わりではなく、営業後のサンクスメールやチャットなどでコミュニケーションをとることが重要です。

営業直後は成約の見込みが高いと思っていても、営業後のフォローをおろそかにしたせいで失注してしまうことがあります。

ここでは、オンライン営業後に実施すべきフォローのコツを紹介します。

フォロー時のコツは以下の3つです。

オンライン営業後のフォローのコツ

コツ1:営業後すぐに「振り返り」を行う

今後のオンライン営業での質を高めるためにも、オンライン営業が終わったあとは、すぐに今回の営業の振り返りを行いましょう。

オンライン営業に参加していたメンバーで振り返りのMTGを実施し、MTG内容や振り返りレポートを社内共有しましょう。

次回営業の成約率アップのため、受注と失注の営業トークを分類・分析する

今後の成約率アップのため、受注・失注時の営業トークを分類し、原因を分析しましょう。

オンライン営業は営業時の録画・録音が容易にできるので、これらのデータを収集・分析することができます。(※録音・録画時には、必ず相手の同意を得たうえで実施しましょう)

受注・失注に至った営業トークをそれぞれ分析し、セールストークを磨くことが可能です。

分析する際には以下の点を重点的にチェックしましょう。

  • トーク比率
  • 話す速度
  • 話しているキーワード

実際の成功例を分析していくことで「どのぐらいのスピードで話すと良いのか」「顧客にインパクトを与えるキーワードは何か」などが見えてきます。

コツ2:当日中にサンクスメールを出して相手の反応を伺う

オンライン営業後は、当日中に、商談のための時間をとってもらったお礼としてサンクスメールを送りましょう。

サンクスメールには「サービス資料の送付」「議事録の送付」などを合わせて送っておくと良いでしょう。

また、「持ち帰った項目(宿題事項)」「今後のスケジュール」などを明記しておくと、ネクストアクションがわかりやすいです。

コツ3:関係性を維持するため、営業後も継続的にお役立ち情報などを配信する

すぐに成約につながらなかった場合でも、顧客との関係性を維持するために、定期的にお役立ち情報を配信すると良いでしょう。

営業後は顧客の課題を把握できているので、課題にマッチした資料・コンテンツを配布しやすいです。

オンライン営業を始めるにあたり、「温度感が高かった顧客に対して、どのような形で関係性を維持するか」をあらかじめ決めておくと、営業後のフォローがスムーズに行えます。


オンライン営業の実施に欠かせない2つのコミュニケーションツール

オンライン営業の際には「営業先とのコミュニケーション」を行うためのツールが必要です。

最低限「ビジネスチャットツール」「Web会議システム」の2つは用意しておきましょう。

ビジネスチャットツール

ビジネスチャットツールはオンライン営業を始める前のリマインド、商談の日程調整などに使えるツールです。テキストだけでなくビデオ通話やタスクの設定、絵文字なども送付できます。

「予定した日時に通知を送る」などの業務サポートにも利用でき、通信性やセキュリティも安定していることから多くの企業で活用されています。

商談時以外での顧客とのコミュニケーションに利用できます。近年では導入企業も増えており、メールよりもレスポンスが早いので、導入することをおすすめします。

参考:5大ビジネスチャットツールを徹底比較!本当に選ぶべきツールはどれ?

Web会議システム

Web会議システムはオンライン営業を実施するうえで欠かせないツールです。

オンライン上でパソコンやスマホを用いて、ビデオや音声を用いた商談、会議を実施することができます。

Web会議システムには「資料送付」「録画機能」などオンライン商談をアシストするサービスが実装されています。

参考:【2021年最新版】人気のWeb会議システム43選を厳選比較!選び方のポイントも伝授
参考:3分で理解する「Zoom」とは?今日からできる「始め方」「使い方」まで解説
参考:【2021年最新版】失敗しないビデオチャットツールの選び方とおすすめツール厳選10選


オンライン営業の成功事例

オンライン営業を導入し、成果を上げた事例は実際にあります。

以下では実際に成果を上げた事例を2つ紹介します。

オンライン営業の導入により営業活動を効率化し、月100時間の営業工数を削減した事例

インターネット広告代理店の株式会社フルスピードでは、オンライン営業を導入したことで営業活動が効率化され、月100時間の工数の削減に成功しました。

同社は顧客先に訪問して会議や商談を行っており、1社あたり1~2時間ほど交通時間がかかっていました。訪問の伴う営業には移動時間を要するため、訪問件数についても限界を感じていました。

そこでオンライン営業を導入し、社内外の会議・打ち合わせなどを全てオンラインに移行しました。

結果、顧客先への訪問時間を部内全体で100時間近くの工数削減に成功しました。

会議・打ち合わせを対面で行っている企業は、オンライン営業を導入することで、業務工数・コストの削減が見込めます。

参考:株式会社フルスピード | Calling[コーリング]

8ヶ月かかっていた新人研修期間を3ヶ月に大幅短縮した事例

デジタルマーケティングを推進するパーソルプロセス&テクノロジー株式会社は、オンライン営業を録音し教材として使うことで、新人営業マンの研修期間を8ヶ月から3ヶ月に短縮しました。

同社はキャリアの浅いメンバーや新入社員の営業力をアップさせることに課題を感じていました。

そこでオンライン営業を導入し、商談がよく取れるメンバーの通話を記録し、トーク内容を社内で共有、自分でアレンジして利用する仕組みを作りました。

その結果、これまで8ヶ月もかかっていた研修期間を3ヶ月と大幅短縮に成功しました。

参考:新人教育が大幅に効率化 8カ月かかっていた新人育成期間を3カ月に短縮


まとめ

オンライン営業とはテレビ電話やWeb会議システムを活用し、オンライン上で顔を合わせて商談などを行う営業手法です。

自宅やオフィスにいながら営業業務ができるので、昨今のテレワーク需要と相性の良い営業手法として知られており、近年多くの企業が導入しています。

オンライン営業を導入することで、環境に左右されない営業が可能になることはもちろん、営業スピードや効率改善、経費削減につながります。

また、営業シーンを録画することで、後輩や部下の育成にも効果的です。

オンライン営業を実施する際は意識すべきポイントが訪問営業の時と異なります。準備段階・トーク・アフターフォローの観点でコツをまとめたので、ぜひ確認してみてください。

参考:オンラインセールスを導入するための5つのステップとメリット・コツを解説!