オンライン接客とは?メリット・デメリットや事例、成果を上げるコツ

オンライン接客とは、ウェブサイトやアプリなどのデジタルプラットフォームを通じて顧客に接客することを指します。

場所の制約がないため、来店していない顧客にもアプローチができるだけではなく、スタッフがリモートで対応できる点がメリットです。

そこで本記事ではオンライン接客の成功事例を集め、実際の事例から成功のコツや活用できるツールを見つけるために必要なノウハウを解説します。単にオンライン化するのではなく、成功事例からオンライン接客ならではのコツをつかみ、自社の集客力・成約率増加にお役立てください。


オンライン接客とは

オンライン接客とは、ウェブサイトやアプリなどのデジタルプラットフォームを通じて、顧客に接客する方法です。

今まで商品販売や受付はオフライン上が一般的でしたが、接客の対象が来店客に限定される点や、混雑によってスタッフが思うように接客できない点など、様々な課題がありました。

しかし、オンライン接客を導入することで、オフラインと同様に対面でのやり取りができ、顧客一人ひとりに接する時間を確保できるようになりました。

顧客にとっても好きな場所で接客を受けられるため、顧客の満足度や売上向上につながっています。

類似用語「Web接客」との違い

オンライン接客とWeb接客では明確に区分されておらず、広義ではオンライン上で接客することを「オンライン接客」とひと括りにすることが多いです。

一方、「顧客満足度の向上」と「業務効率の改善・自動化」とで役割を分けて、以下のように定義している場合もあります。

  • オンライン接客:Web会議ツールなどを用いてリアルタイムで双方向的なコミュニケーションが実現できる接客
  • Web接客:Webサイトやアプリ上でチャットやポップアップを通じて自動で行われる接客

参考:【2022年最新】Web接客ツール38種類を比較!自社に合うツールを見極める | LISKUL


オンライン接客のメリット

オンライン接客のメリットは、場所や時間の制約がなく、顧客側の心理的ハードルが下がるため1対1でより親密な接客ができることです。さらに、ライブコマースのような1対多数(数の制限がほぼない)もできます。

ライフネット生命が行ったオンライン接客の調査によると、「店頭の接客と変わらない」「コロナ感染の心配もなく安心して説明が聞けた」などポジティブな声も多かったと言います。同調査のアンケート結果をもとに、それぞれ詳しく解説します。

参考:News Release (リサーチ結果報告)

場所の制約がない

場所の制約がないため、遠方の顧客を取り込めることは企業側にとって大きなメリットです。これまでは実際に足を運んでもらえる範囲が商圏エリアでしたが、より広範囲になることで新たな顧客獲得が見込めます。

さらに調査の結果、オンライン接客を受けようと思ったきっかけ(理由)でもっとも多かった回答は「家でも接客を受けられるのが便利だから」が42.6%で1位となっています。企業側だけでなく顧客側にとっても、オンライン接客にはメリットがあるとわかるでしょう。

顧客のニーズに合わせられる選択肢が増えるので、導入すれば集客面での高い効果が期待できるでしょう。

時間の制約も超えられる

場所の制約と同じく、時間の制約も少なくなれば接客チャンスがより増えるので集客増につながります。オンライン接客であれば忙しくて店舗に行く時間がない場合でも、合間を縫って接客を受けられるからです。

例えば、仕事のお昼休憩の時間を30分だけ使って接客を受けることもできます。

心理的なハードルが低い

自宅など顧客が安心していられる場所で接客が受けられるので、心理的ハードルが下がります。オンライン接客であれば「実際の店舗に行くのはハードルが高い」と思っている層との接点ができるため、接客数の増加が見込めるでしょう。

例えば、高単価の商品を扱う店舗や高級ブランド店、慣れない店舗は人によっては心理的にハードルが高いと感じます。調査の結果でも、便利だからという理由に次いで「電話や対面よりもオンラインの方が気軽に相談しやすいから」が38.5%と続いています。

より気軽に相談ができるオンライン接客であれば、心理的ハードルが下がり接客時の警戒感も下がるため商談もスムーズに進む可能性が高まるでしょう。

双方向の対話で、ECサイト上では伝えきれない情報を補完できる

アパレル企業であれば、コーディネートの相談や商品を比較したサイズ感の確認、週末の旅行先の温度に合わせた最適なアウターの提案など、通常店舗で双方向の対話がなければ得ることの難しい情報を、オンライン接客であればお手軽にお客様に提供することができます。

また、サイト上で購入手続きまで行うことができるので、ECサイトの便利さとプロによる接客の良いところを両取りできるところが最大のメリットと言えるでしょう。

対面よりも多くの人を接客できる

ライブコマースやYouTubeなどを活用した場合、1対多人数の接客が可能です。

オンライン接客であれば100人~1000人でも同じ情報を格差なく届けることができます。

しっかりと自社が認知を得て集客ができれば、大きく接客効率を上げることができるでしょう。


オンライン接客のデメリット

オンライン接客で考えられるデメリットについても詳しく見ていきましょう。対処することでデメリットを軽減することができます。

対面よりも伝えられる情報が少ないケースがある

オンライン接客ではその場で嗅覚・触覚・味覚に関する情報を伝えることができません。また視覚や聴覚に関しても、オンラインを通じてとなると見え方や聞こえ方が実際と違うことも考えられます。

そのため、どのような言葉で表現するか、相手のオンライン環境や端末環境がどのような状況にあるのかなど詳細を確認して情報を伝えるようにしましょう。

他にも伝え方として意識することは「○○のような感じ」「○○くらいの大きさ」など抽象的な表現は気をつけることです。例えば、明確に「サイズは1mです」など、誤解のない伝え方を意識しましょう。

顧客が通信環境を整える必要がある

ネットの通信環境によって遅延が発生しやりとりに支障がでる場合や、使用するツールによってはパソコンやスマートフォンに関連するソフトをインストールする必要があります。

特に通信環境が整っていない場合は、まともな接客ができずに終わってしまう可能性があるため、必ずWi-Fi環境下で接続をお願いするなど事前にできる対応をしておきましょう。

スタッフの教育が必要

実際の接客と違い、オンライン接客に必要な接客スキル・ノウハウがあるため、スタッフにはそれらを身につけてもらうための教育・研修が必要になります。

例えば、商品を画面越しに見せる際にしっかりとピントを合わせる方法や、通信トラブルが発生した際に自分で復旧できるスキルや知識は身につけておかなければなりません。

話し方も対面時と違って、声にノイズが入ってしまい聞き取りにくいことも考えられます。ゆっくり話をする、相手の表情を見て確認を取るなど、普段の接客とは違うことに気をつけられるようにしましょう。


オンライン接客の成功事例6選

実際のオンライン接客の成功事例やサービス活用例をご紹介していきます。

顧客の文脈を捉えたオンライン接客を実現する「ゴールドウイン」

株式会社ゴールドウインは、ザ・ノース・フェイス キッズ 原宿等の店舗でオンライン接客を実施。

例えば、スマートフォンでECを眺める顧客が気になる商品を見つけ、その素材と肌触りについて知りたいと思ったとします。画面に表示されたアイコンをタップするだけで店舗スタッフとつながり、その商品について気軽に質問できます。

店舗スタッフは、その人の過去の商品閲覧や購入履歴などを知ったうえで接客できます。顧客は場所も時間も自由に、自分の好みや文脈に合ったオンライン接客を継続的に受けることが可能になります。

参考:データで店舗スタッフの能力を引き出し、顧客の文脈を捉えたオンライン接客を実現できるスマートフォン版「KARTE GATHER」を開発。ザ・ノース・フェイス キッズ 原宿はじめゴールドウインが展開する全国13店舗で活用開始

お家でショップスタッフに相談できる「ベイクルーズ」の「Online Styling Service」

アパレル会社のベイクルーズはオンラインショップの運営と並行して、オンラインスタイリングサービスを展開。Zoomを通して店舗のファッションアドバイザーに直接相談できるオンライン接客を実施しています。

顧客が気になった商品のサイズや素材の質感なども質問できるため、リアルと同様のコミュニケーションを取ることが可能です。

また、事前予約制にすることで、スタッフの時間を有効活用できる仕組みを作っています。

参考:お家でショップスタッフに相談ができる!Online Styling Service|BAYCREW’S STORE

オンライン接客のコンテストを開催している「Hanayume」

結婚式場情報サイト「Hanayume」では2020年3月からオンラインデスクを開始。リリースから数年経った後も、気軽に相談のできることが評価され、毎月30~40%の顧客がサービスを利用していると言います。

ウェディングプランニングでは何よりもヒアリングが大事です。安心して大切なウェディングの相談ができたことが功を奏したのではないでしょうか。顧客の心理的安全性の高さが求められる業界と、オンライン接客との相性が良かった事例です。

参考:『Hanayume(ハナユメ)』が第8回「BEST WEDDING ADVISER AWARD」をオンライン開催:時事ドットコム

内覧から重説まで提供している「アパマンショップ」

不動産のアパマンショップでもオンライン接客を取り入れています。同社では専用の基幹システム「AOS」を活用し、お部屋の内見から契約までオンラインで完結できる仕組みを整えています。

本来は、不動産屋や気になる物件に足を運ばないと部屋探しができませんでした。

何かしらの都合によって直接行けないという方でも部屋探しができるよう、アパマンショップでは内見や契約前の重要事項説明を受けられるオンラインサービスを提供しています。

顧客が用意するのはカメラがついたインターネット接続端末を用意するだけ、専用アプリなどは必要ありません。

参考:来店しないお部屋探しアパマンショップオンライン【アパマンショップ】

自宅でカウンセリングが受けられる「オルビス」

化粧品会社のオルビスのオンライン接客はビデオ通話によるカウンセリングとチャットによるカウンセリングが選択できます。

じっくり相談を受けたい場合や、ちょっとした相談をしたい場合など顧客の要望にあわせて選択できる点が良いと言えます。

店頭では相談しにくい悩み事でも、オンライン接客であれば安心して相談できる点が利用者からの高評価を得ています。

参考:いつでもどこでもORBISオンラインカウンセリング|化粧品・スキンケア・基礎化粧品の通販|オルビス公式オンラインショップ

自宅で枕選びの相談ができる「ロフテー」

枕専門会社のロフテーはリモートコンシェルジュサービスという名称で、専門家のオンライン接客が受けられるサービスを展開。

無料で土日も営業しているため、平日利用しづらいビジネスパーソンも含め誰でも使いやすいのが特徴です。

ホームページにも接続手順が記載されているので、接客に専念できるように工夫している点も良いです。

参考:リモートコンシェルジュサービス | LOFTY(ロフテー)公式|枕(まくら)・抱き枕・オーダーメイド枕の専門店


成果につながるオンライン接客の5つのコツ

オンライン接客を成功させるコツは、「どれだけ相手に伝わりやすくできるか」と「接客以外のことに時間を使わないでいいようにする」ことです。

そのためのポイントをいくつか解説していきます。

視認性の高い資料や動画を用意する

まずは画面越しでも視認性の高い資料を用意しましょう。

対面と比較して、パソコンやスマホでは見せられる情報量には限りがあります。特にスマホの場合は画面も小さいため、より注意が必要です。

どのような環境でも理解しやすい資料にするためには、情報量を抑えた視認性の高いスキャナブルな資料を用意することが大前提です。もしくは、画像やテキストなどの静止画ではなく動画を活用することも有効です。

ツールの設定、操作方法を事前に案内しておく

当日接客に専念するため、ツールの接続方法で時間が取られないようにしましょう。例えば、先ほどロフテーの事例でも紹介したように、ツールの操作手順をあらかじめホームページに記載しておくのも良いでしょう。

もしくは多くの人が使い慣れているであろうツールを用いるのも効果的です。ZoomやGoogleMeat、他にはLINEのビデオ通話などでもいいかもしれません。ただし、LINEのようなコミュニケーションツールの場合、使い勝手は良くても資料の共有といったビジネス的な使い方には不向きな場合があるので用途によって使い分けが必要です。

通信回線トラブル時の対応策を用意する

通信状況はいくら気をつけていてもトラブルが起こらないとはかぎりません。必ず、トラブルシューティングを用意しておきましょう。例えば、あるツールが繋がりにくい場合はすぐに別のツールに切り替えができる、顧客側の接続状況を正しく把握できるような質問マニュアルを作っておくなどです。

また、実際に何かトラブルが発生した時は、その時の状況や解決策を記録しておき、社内でも共有することでナレッジが蓄積されていきます。

予約システムを整備する

オンライン接客は事前予約制で行うことがほとんどであるため、予約受付から当日のリマインドなど、決まった業務フローはなるべく効率化しましょう。

実際に接客をするスタッフは、空いた時間を資料の作成や接客のロープレにあてる、顧客理解の時間にするなど、接客の質を高めることに時間が使えます。そうすることで、成果に結びつきやすくなります。

参考:【2022年版】予約システム46選を比較!選び方や導入時の注意点も紹介

接客の最後にアンケートをお願いして改善サイクルを回す

オンライン接客に限らず、良い接客を提供するには社内で相談し合って改善するには限界があります。

そのため、相手がどのように感じているのか、なぜ良い返事がもらえなかったのかなど、実際に接客を受けた本人に確認することが大切です。

オンラインであれば接客後にメールを送付し、簡単なアンケートに回答してもらうなどフィードバックが得られる機会を積極的に作りましょう。

参考:【2022年版】即日使えるアンケート調査ツール15種を徹底比較!


まとめ

今回はオンライン接客について解説しました。

オンライン接客のメリットは場所や時間の制約がなく、顧客側にとっても心理的ハードルが低くなるためリアルな接客よりも集客力が拡大するところです。ただし、事前の準備をしておかないと接客に専念できないので、デメリットになりえるところを把握した上で対策をしてください。

事例をご覧いただいた通り、業種や規模関係なくオンライン接客は有用です。そんなオンライン接客で成果を出すためには、「どれだけ相手に伝わりやすくできるか」と「接客以外のことに時間を使わないでいいようにする」ことを徹底しましょう。

その上で、自社に合ったツールを導入し効果的なオンライン接客を実現してください。

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