DX推進とは?推進を成功させるための10ステップと乗り越えるべき課題

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進とは、言葉通り企業が社内でDXを推進していくことを意味します。DXの推進はこれから予想される「2025年の崖」の対策として不可欠であることから注目が集まっています。

しかし社内のDXを推進したいと思っていても、そもそも何から始めたらいいのかわからない方も多いでしょう。また、実際に着手してはいるものの、軌道に乗っていないと悩む方もいらっしゃると思います。

DXの推進は業務プロセスや既存システムの課題の洗い出しを行い、社内におけるDXのビジョン・目標を明確化させたうえで進行していきます。経営層によるバックアップが必要なので、チームを編成する際は経営層からリーダーを確保するようにしましょう。DXに必要な人材の育成・確保やツール・システムを導入していき、PDCAを回しながら少しずつスケールさせていくことが重要です。

本記事では、おさらいの意味を込めてDXの意味やメリット、注目が集まる背景について説明したうえで、DX推進の流れやありがちな課題、具体的なコツを解説します。この記事を最後まで読めば、DX推進の進め方や成功に欠かせないポイントが理解できます。


目次

DX推進とはDXを社内で推進していくこと

DX推進とは、DX(データやデジタルなどを用いて組織に変革をもたらすこと)を社内で推進していくことを意味する言葉です。

DXとは、デジタル部門を社内に設置しIT化を進めていくだけではありません。顧客や社会のニーズを踏まえ、製品やサービスのビジネスモデルを変革させるだけでなく、文化や制度、社風など、企業全体に関わるポイントで変革を進め、企業そのものの変化を目指します。

DXの推進は日本だけでなく世界的に進められている取り組みです。日本では、2019年に経済産業省が「DX推進指標とそのガイダンス」を発表しており、日本企業が直面している課題解決を中心に構成されています。

参考:デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?基本から取り組み方までわかる保存版 | LISKUL
   『DX推進指標』とそのガイダンス│経済産業省


DX推進の5つのメリット

DX推進には次のメリットがあります。

  1. BCPの幅が広がる
  2. 業務効率化
  3. コスト削減
  4. 顧客ニーズの把握
  5. レガシーシステムの刷新

それぞれについて、見ていきましょう。

1.BCPの幅が広がる

DX化を推進した場合、BCPの幅が広がります。BCPとは「事業継続計画」で、地震や台風などの自然災害やテロ、感染症拡大などの非常時にどのように業務を継続するのか予め定めておくことを指します。

例えば、DX推進の結果テレワーク業務が可能になっている場合、事務所が自然災害で利用できなくなっても従業員は自宅から業務に取り組むことで事業の継続が可能になります。予め、顧客対応にチャットボットを導入していれば、非常時にも余裕を持って対応できるでしょう。

このように、DXの推進で、非常時に取れる行動の幅が広がる点がメリットです。

参考:どこよりもわかりやすいBCP対策とは?策定までの手順から、代替策として使えるツールもご紹介

2.業務の効率化が図れる

DX推進により業務の効率化が図れます。DXの推進前に、一度全ての現状の業務プロセスを見直さなければなりません。デジタル化に適した業務は何か、不要な業務がないかなどを洗い出す必要が生じます。

不要な業務は廃止し、単純作業や反復作業などデジタル化が適した業務は移行します。結果として、業務の大幅な効率化が期待できる点がメリットです。

参考:業務効率化のアイデア11選と、成果を最大化させるポイントを紹介│LISKUL

3.コストが削減できる

DXの推進がコスト削減につながります。例えば、単純作業は反復作業をデジタル化した結果、人件費のカットにつながるケースもあるでしょう。書類のデータ化を進めれば、これまで書類を置いていた倉庫などのスペースが不要になり、賃料が浮くケースも見られます。

テレワークを進めれば、通勤費やオフィス賃料を大幅な削減も可能になるでしょう。このように、DX化が進めば様々な方向からコスト削減が可能になります。

参考:コスト削減とは?実施手順と成功させるための3つのポイント│LISKUL

4.顧客のニーズが把握しやすくなる

DX推進により顧客情報の収集や分析が今以上に進むため、顧客のニーズを把握しやすくなる点がメリットです。例えば、SNSなどのデータ収集や分析によって、自社商品に対する評判や反応、人気をスピーディーに可視化できます。

顧客ニーズを把握すれば、これまで想定していなかった利用方法・活用方法が見いだせるケースも少なくありません。顧客ニーズの把握により、新たな商品やサービスの開発にもつながるでしょう。

参考:顧客ニーズを分析し売上をアップ!時短で市場の動向に対応しよう|LISKUL

5.レガシーシステムを刷新できる

DXの推進によって、レガシーシステムの刷新が可能になる点がメリットです。古い技術や仕組みを用いた、長年使い続けているシステムを、レガシーシステムと言います。

レガシーシステムは新技術に対応できず、メンテナンスや保守のためにコストを支払い続けているケースも少なくありません。今後も利用を継続した場合、トラブルに対応できない、拡張できないなどのリスクをはらんでいます。大きな企業では部署ごとに違うシステムを採用しているため、互換性がなく無駄な手間やコストをかけ続けているケースもあるでしょう。

DXを推進する際はこのレガシーシステムも見直すこととなります。老朽化したシステムから脱却し、現在よりも使いやすく安全度の高いシステムに変更できる点がメリットです。


DXを推進は「2025年の崖」への有効な対策となる

DXの推進に注目が集まった背景には、経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」という言葉が関連しています。2025年の崖とは、日本企業の多くで使われている基幹システムの老朽化に起因するリスクを表した言葉で、DXの推進はこのリスク回避に有効です。

2025年の崖とは、経済産業省が2018年に発表した資料『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』の中で提示された概念です。

日本の多くの企業で使用されている基幹システムは老朽化が進んでおり、2025年までにこれらのシステムが更新・置換されない場合、効率性の低下、セキュリティリスクの増加などの問題に直面し、競争力を低下させる恐れがあります。

これらの問題に対し、ITシステムの刷新や、システムを使いこなせるIT人材の育成・確保などをはじめとした、DXの推進が必要です。


DXを推進させる10ステップ

DX推進の進め方をステップ形式で以下にまとめました。

  1. 業務プロセス・既存システムの課題を洗い出す
  2. DXのビジョンと目標を明確に設定する
  3. DX戦略を設定する
  4. 経営層からリーダーを確保する
  5. デジタル人材の育成・引き入れを行う
  6. 課題を解決するツール・システムを最小単位から導入する
  7. 実行改善を繰り返す
  8. 組織文化の変革を進める
  9. 成果をモニタリングし、KPIとのギャップを分析する
  10. スケールアップの戦略を構築する

1. 業務プロセスとシステムの課題を洗い出す

業務プロセスとシステムの課題を洗い出すことは、DXの第一歩となります。現状の問題点を把握し、改善の方向性を定めるためです。

具体的には、各部門からフィードバックを集め、業務フローにおけるボトルネックや、システムにおける改善点をリストアップします。

例えば、営業部門では顧客データの入力プロセスに時間がかかりすぎる、といった具体的な課題を把握し、これをDXの改善ポイントとして取り入れることで、効果的なDX推進が可能となります。

2. DXのビジョンと目標を明示する

DXのビジョンと目標を明示することは、全社が一丸となって取り組むための基盤を作ります。目標が明確でないと、具体的なアクションに結びつきにくいからです。

「2023年までにオンライン売上を20%増加させる」といった具体的な数値目標を設定し、それを達成するためのDXの方針を全社で共有することで、具体的かつ方向性のある取り組みが可能となります。

3. DX戦略を策定する

DX戦略を策定することは、目標達成のためのロードマップを作成する重要なステップです。どのような技術をどのタイミングで導入し、どのプロセスを最優先で改善するかを明確にするためです。

例えば、最初にCRMシステムを導入して顧客管理を改善し、次にRPAを利用して業務自動化を進める、といった段階的な戦略を立てることで、計画的なDX推進が実現します。

参考:5つの事例から学ぶ「DX戦略」の立て方と、成功のための3つのコツ | LISKUL

4. 経営層からのリーダーを確保する

経営層からのリーダーを確保することは、DX推進を加速させます。経営層の強いバックアップがあることで、リソースの確保や組織の動きがスムーズになるからです。

例えば、CDO(Chief Digital Officer)を任命し、DX推進チームを組織することで、各部門と連携しながらDXを進める体制を整えることができます。

5. デジタル人材を育成し、引き入れる

デジタル人材の育成と引き入れは、DXの実行力を高める要素です。これは、新しいテクノロジーを理解し、活用できる人材が不可欠であるためです。

具体的には、社内でのスキルアッププログラムを提供したり、外部から専門家を招いたりします。例えば、データ分析スキルを持つ人材を社内育成するプログラムを実施し、AIを活用したデータ分析を強化するなど、戦略に合った人材開発を進めます。

参考:DX時代に求められるデジタル人材とその採用・育成のポイント

6. 最小単位でシステムを導入し、改善を繰り返す

最小単位でシステムを導入し、改善を繰り返すアプローチは、リスクを抑えながらDXを進める戦略です。大規模なシステム導入はコストも高く、失敗した場合のリスクも大きいからです。

一部の業務プロセスだけを対象にシステムを導入し、その効果を検証した上で、次のステップに進むという方法を取ります。

7. 実行と改善を継続的に行う

実行と改善を継続的に行うことは、DXを持続可能なものにするために必要です。テクノロジーの進化は絶えず、一度の取り組みで終わりではありません。

例えば、導入したシステムの利用状況をモニタリングし、ユーザーフィードバックをもとに機能改善を行うなど、継続的な改善活動を進めます。

8. 組織文化を変革する

組織文化の変革は、DXを根付かせるうえで欠かせない要素です。新しいテクノロジーや方法論を受け入れ、活用するためのマインドセットが必要だからです。

具体的には、失敗を恐れず、新しい取り組みを試すことを奨励し、フィードバックを積極的に取り入れる文化を作り上げることが重要です。

新しいツールの導入や新しい業務フローの試行を通じて、スタッフが改善点や新しいアイデアを自由に発信できる環境を整えることで、DXが組織全体に浸透しやすくなります。

9. 成果を定期的にモニタリングし、KPIとのギャップを分析する

成果のモニタリングとKPIとのギャップ分析は、DXの取り組みが目標に対して効果的であるかを評価し、必要な調整を行う基盤となります。

目標に対する進捗を可視化し、次のアクションを計画するためです。例えば、新しいシステム導入による業務効率化の影響を定量的に把握し、その数値を目標KPIと比較することで、どの部分が予想以上に成果を上げ、どの部分が改善が必要かを明確にします。

10. スケールアップ戦略を構築し、展開を進める

スケールアップ戦略の構築と展開は、初期の成功を組織全体に広げ、DXを次のレベルへと引き上げるステップです。

局所的な成功を全社規模で享受するためには、戦略的なスケールアップが必要だからです。例えば、一部門でのシステム導入が成功した場合、そのノウハウやシステムを他の部門にも展開し、全社での効果を最大化させるアプローチを取ります。これには、成功事例の内部共有や、導入部門と他部門との連携強化がキーとなります。


DX推進が進まない企業の5つの課題

DX推進が進まない企業が抱えている主な課題は次の3つです。

  1. DXを推進するビジョンが明確に定まっていない
  2. 経営層のリーダーシップとコミットメントが不足している
  3. DX推進に必要なリソースが不足している
  4. 適切な技術選定とシステム整合性に課題がある
  5. データ管理とセキュリティの強化ができていない

1. DXを推進するビジョンが明確に定まっていない

ビジョンの不明確さはDXの推進を阻む大きな要因となります。企業側が明確なビジョンが持たないと、企業全体での目標がぼやけ、何を目指して活動を進めるべきかが不鮮明になるためです。

例えば「デジタル化による業務効率化」をDXの目標とした場合、それが業務の自動化を意味するのか、ペーパーレス化を意味するのかが明確でなければ、各部署が異なる方向に取り組む可能性があります。

DXを成功させるためには、ビジョンを明確に定め、それをもとに具体的な行動計画を立てることが不可欠です。

ビジョンがイメージしづらい場合、まずは他社事例を見て、イメージを具体化していくとよいでしょう。

参考:事例で学ぶ「ペーパーレス化」働き方改革に失敗しないための方法、ツールとは

電子帳簿保存法など、必要に迫られている電子化もあるので、こちらも参考にしてみるとよいでしょう。

参考:請求書をペーパーレス化するメリット・デメリットと実現するための7ステップ

2. 経営層のリーダーシップとコミットメントが不足している

経営層のリーダーシップとコミットメントの不足は、DXの推進を大きく遅らせる要因となります。

経営層がリーダーシップを発揮しないと、DXの方針や戦略が明確にならず、組織全体が一つの方向に進むことができないからです。

例えば、経営層がDXに対する理解が不足している企業では、新しいテクノロジーの導入やデジタルトランスフォーメーションに必要な投資が行われず、結果的にDXプロジェクトは停滞します。

経営層がDXの重要性を理解し、積極的にリソースを投入することが、DX推進の成功には必要不可欠です。

3. DX推進に必要なリソースが不足している

リソースの不足は、DXの取り組みを停滞させる大きな障壁となります。適切な人材や予算がなければ、新しいテクノロジーやシステムを導入し、運用することができないためです。

例えば、クラウドコンピューティングやAIを活用したデータ分析を進めるプロジェクトでは、専門的なスキルを持ったIT人材や十分な予算が必要となります。従って、DXをスムーズに進めるためには、必要なリソースを確保し、適切に配分することが重要です。

4. 適切な技術選定とシステム整合性に課題がある

技術選定とシステム整合性の課題は、DXの効果を半減させる可能性があります。

適切な技術やシステムが選定・整合されないと、業務プロセスにおいて非効率やエラーが発生し、結果的に業績に悪影響をもたらすためです。

新しいCRMシステムを導入するものの、既存のERPシステムとのデータ連携がうまくいかない場合、顧客情報の一元管理ができず、業務効率が低下します。

技術選定とシステム整合性を確保することが、DXの成功には欠かせません。

5. データ管理とセキュリティの強化ができていない

データ管理とセキュリティの不備は、企業の信頼を損ない、ビジネスに大きな打撃を与える可能性があります。

データが不正アクセスや漏洩のリスクにさらされ、顧客やパートナー企業からの信頼を失う可能性があるためです。

例えば、クラウドストレージに顧客データを保管する際、セキュリティ対策が不足していると、データ漏洩の危険があり、それが原因で顧客を失う可能性があります。従って、データ管理とセキュリティを強化し、関係者の信頼を守ることが、DX推進において重要な要素となります。


DXの推進に成功した象徴的な事例

うまくDXを推進して成果につなげた企業事例を2つご紹介します。事例からわかる「DX推進の学び」も合わせてご紹介します。

伝票起票業務の全自動化に成功したブリヂストン社の事例

ブリヂストンファイナンス株式会社は、DX Suite とRPAを導入し、伝票起票業務の全自動化を実現しました。その結果として、以下のような成果につながっています。

  • 月間150件の伝票起票業務を全自動化
  • 業務の繁閑差の解消
  • 他業務へのリソース配分の最適化

2. DXの推進にうまくいった要因

成功の要因として挙げられるのは、DX Suite の高い読取精度とシステムとの連携のしやすさです。また、同社は、AI-OCRで読み込む前に独自で「スタンプを押す」という工夫をしました。

  • スタンプの枠内に管理番号を記入してからAI-OCRに読み込ませることで、管理会計情報との突き合わせが不要
  • AI inside とUiPathのAPI連携キットの利用によるシステムの安定稼働

3. 事例からの学び

この事例から得られる学びは、DXの成功には単に技術を導入するだけでなく、その技術を最大限に活かすための業務プロセスの工夫や、組織文化、体制の整備が不可欠であるという点です。

  • 業務プロセスの最適化: 技術導入前に業務プロセス自体を見直し、技術が最大限に活かされるプロセスを設計する重要性。
  • 技術とプロセスの一体最適化: 技術と業務プロセスが密に連携し、一体となって業務効率化を実現するアプローチの必要性。
  • 連携技術の活用: 複数の技術(この場合、AI-OCRとRPA)を連携させることで、各技術のメリットを最大化し、更なる効率化を図るアプローチ。
  • 実践とフィードバックのサイクル: 新しい取り組みを実践し、その結果をフィードバックとして次のアクションに活かす重要性。

これらのポイントは、他の企業がDXを進める際に、技術選定だけでなく、それをどのように業務に組み込むか、どのようにスタッフと連携させるかという視点も持つべきであることを示しています。

参考:ブリヂストンファイナンス株式会社|AI-OCR市場シェアNO.1のDX Suite

自社工場の生産リードタイムを半減させた日立製作所の事例

日立製作所は、自社開発のIoTプラットフォーム「Lumada」を中心に、社会イノベーション事業を展開し、多岐にわたる成果を上げています。「Lumada」は、物理的な世界(OT)とデジタルな世界(IT)を融合させ、データを活用して新しい価値を生み出すプラットフォームです。

具体的な成果は以下です。

  • 自社の工場(大みか事業所)でのDXによるリードタイムの50%短縮
  • Lumadaを用いた1,000件を超えるユースケースの実現
  • 「Lumadaアライアンスプログラム」による業界を越えたエコシステムの構築

DXの推進にうまくいった要因

日立製作所は、社会イノベーション事業をDXのドライバーと位置づけ、OTとITの融合を実現するLumadaをDXのエンジンとして活用し、多くの成功を収めています。

  • 社会イノベーション事業をDXのドライバーと位置づけ、社会課題の解決を目指した
  • LumadaをDXのエンジンとし、OTとITのノウハウを組み合わせた取り組みを行った
  • 自社工場でのDX実践とその成果を外部にも展開した
  • エコシステム構築の一環として、パートナー企業との連携プログラムを展開した

事例からの学び

日立製作所の事例からは、企業理念を基盤に社会課題解決をビジネスの中心に据え、自社でのDX実践を外部にも展開することで、ブランド価値を高め、新たなビジネスチャンスを創出する重要性が学べます。

  • 企業理念を基盤に、社会課題解決をビジネスの中心に据える重要性
  • 自社でのDX実践とそのノウハウの外部展開がブランド価値を高める
  • 業界を超えたエコシステムの構築が新たな価値創出に寄与する
  • DX人財の育成と活用が企業変革を加速する

参考:【第2回】「DX銘柄2021」グランプリ選定の日立製作所、DXへの取り組みが評価された理由とは?:株式会社日立システムズ


DX推進の3つのコツ

DXを推進する時のコツは以下の通りです。

  • データ活用を徹底する
  • 継続的に取り組む
  • デジタル技術だけに焦点を置かない

1.データ活用を徹底する

データの収集と分析は、DXの中核をなす要素です。データを活用することで、顧客ニーズの把握や業務効率化、新しいビジネスモデルの創出が可能となります。具体例として、製造業であれば、工場のIoTデータを分析し、生産効率の向上や品質管理の最適化を図る取り組みが考えられます。

2.継続的に取り組む

DXは一度のプロジェクトではなく、継続的な取り組みが必要です。テクノロジーの進化や市場の変動に柔軟に対応し、常に最適な方向に進むことを意識することが大切です。

具体例として、定期的な技術の見直しや、市場調査を行い、DXの方針を更新していくアプローチがあります。

3.デジタル技術だけに焦点を置かない

DXはテクノロジーの導入だけではなく、ビジネスモデルや組織の変革も含む包括的な取り組みです。したがって、デジタル技術だけに偏らず、全体最適を目指す視点を持つことが重要です。例えば、新しいシステムを導入する際、そのシステムが組織の他の部分とどのように連携し、全体として価値を生むかを考慮することがポイントとなります。


まとめ

DX推進とは、データやデジタル、IT技術などを活用し組織に変革をもたらすことを意味します。2025年ごろに起こると予測されている「2025年の崖」という危機への対策として、DX推進に注目が集まっています。

DX推進の流れは以下の10ステップです。

  1. 業務プロセス・既存システムの課題を洗い出す
  2. DXのビジョンと目標を明確に設定する
  3. DX戦略を設定する
  4. 経営層からリーダーを確保する
  5. デジタル人材の育成・引き入れを行う
  6. 課題を解決するツール・システムを最小単位から導入する
  7. 実行改善を繰り返す
  8. 組織文化の変革を進める
  9. 成果をモニタリングし、KPIとのギャップを分析する
  10. スケールアップの戦略を構築する

実際にDXの推進に取り組んでいるものの、思うように進まないという場合は以下のような課題が想定されるので、自社の状況と照らし合わせて対策を進めましょう。

  1. DXを推進するビジョンが明確に定まっていない
  2. 経営層のリーダーシップとコミットメントが不足している
  3. DX推進に必要なリソースが不足している
  4. 適切な技術選定とシステム整合性に課題がある
  5. データ管理とセキュリティの強化ができていない