「特定の人しかわからない業務があって、チーム内で連携が取れていない」「業務の担当が偏っていて、一部のメンバーの業務負担がかかっている」などの属人化に関して悩みを持つ方が多いのではないでしょうか。
特定の人にしか業務の進め方や情報が伝わらないと、その人が不在の時や退職した場合に業務に支障をきたす可能性が高いです。
また、一部のメンバーに過度な負担がかかっていると、チームワークが悪化して、組織のパフォーマンスが下がることもあり得ます。
属人化を解消するためには、組織が一丸となって解決に向かうことが必要です。
本記事では、属人化を解消するための具体的な流れや方法、原因、そして効果的なツールを紹介します。
記事を参考にすることで、まず属人化解消に向けて何をするべきか明確になり、すぐに実践できるようになります。
目次
組織の属人化を解消するためには、まず要因を特定する
組織における属人化の解消を目指すにあたり、まず初めにその要因を特定することが重要です。
属人化になる原因は組織によって異なります。たとえば組織内で情報共有が上手くできていなかったり、業務の専門性が高くてノウハウを共有するのが難しいなど、様々な要因が挙げられます。
原因が不明な状態でむやみに対策をしようとしても、思うように成果が出なかったり、そもそも成果が出ているのかどうかすらわかりません。
また、原因がはっきりすることで、組織内のメンバーが属人化問題に対して共通の認識を持ち、その解決に向けた取り組みにメンバー全員が参画できるようになります。
そのため、属人化解消に向けて実践する前に、「なぜ属人化が起きているのか」理由を明確にしましょう。
属人化になる3つの要因とそれぞれの解消方法
属人化になる要因は主に3つあり、それぞれの要因に合った解消方法があります。
属人化になる要因 | 解消方法 |
---|---|
多忙による情報の共有不足 | 1.社内SNSやコミュニティを活用したナレッジ共有 2.業務フローの改善 |
業務の専門性の高さで、流れや手順が不明確 | 3.標準化されたマニュアルの策定 4.クロストレーニングの導入 |
従業員が業務の標準化に対して消極的 | 5.チーム全体で掲げる目標の設定 6.リーダーシップとサポート体制の強化 |
属人化の要因を特定して、それに合った方法を実践していきましょう。
多忙による情報の共有不足
多忙が原因で情報共有が不十分になることが、属人化の一因です。
従業員がタスクに追われ、情報やノウハウの共有が後回しになることで、他のメンバーが業務を遂行する際に必要な情報が得られず、属人化が進行してしまいます。
この問題を解決するためには、情報共有がしやすい環境を整備したり、そもそものフローの見直しが必要です。
具体的には、以下の2つの方法を実施するといいでしょう。
方法1.社内SNSやコミュニティを活用したナレッジ共有
社内SNSやコミュニティを活用したナレッジ共有は、属人化の解消に大きく貢献する手段です。
これらのツールを使って情報や知識を簡単に共有できるようになると、業務に関する情報が一部の従業員だけのものでなく、組織全体で共有されることになります。
その結果、誰もが必要な情報にアクセスでき、業務の進め方や問題解決方法について学ぶことができるようになります。
また、社内SNSやコミュニティを活用することで、チームメンバー間のコミュニケーションが活発になり、互いのスキルや経験を理解し合いやすくなるでしょう。
これにより、情報が共有されやすくなり、結果的に組織内の連携の強化につながります。
参考:【2022年版】社内SNSツール42選を徹底比較!導入に失敗しないためのポイントも解説
方法2.業務フローの改善
業務フローの改善は、属人化を解消するための重要な手段です。
業務フローを見直して整備することで、従業員が業務の目的や進め方を把握しやすくなり、同じチームのメンバーや異動してきたメンバーが迅速に業務を習得できるようになります。
具体的な方法として、現状の業務フローを洗い出し、不必要な作業が含まれていないか、もしくは他の方法で効率よく行えないかなどを確認をしましょう。
確認をもとに、試しに作業を省略したり、方法を変えて効率化したりなどを行い、問題が生じないか調べましょう。
参考:ルーティンワークとは?効率化の方法や生産性向上のコツなどを徹底解説!
業務の専門性の高さで、流れや手順が不明確
業務の専門性が高い場合、流れや手順が不明確になることがあり、これが属人化の原因となります。
専門知識を持つ従業員が業務を独占してしまうと、他のメンバーが業務を理解しにくくなります。
標準化されたマニュアルの策定や研修を通じて、業務の知識を広めることが重要です。
解消するためには以下の2つの方法を実施するといいでしょう。
方法3.標準化されたマニュアルの策定
標準化されたマニュアルの策定は、属人化を解消し、業務効率を向上させる重要な手法となります。
マニュアルが標準化されることで、業務手順が明確になり、従業員が同じ手順に従って作業を進めることが可能になるためです。
この結果、個人の作業スタイルや独自のノウハウに依存することが減り、組織全体での情報共有が促進されるでしょう。
マニュアルが存在することで、担当者がいない状況や誰かが業務を代行する必要がある際にも、円滑に業務の引き継ぎが行えます。
具体的なマニュアルの作成方法については、以下の記事を参考にしてください。
参考:マニュアルの作り方でおさえておきたい5つのポイント|作成ツール厳選5選
新人教育マニュアルの内容と作成・運用ポイント3つを徹底解説
わかりやすい動画マニュアルの作り方と参考になる事例、注意点を解説
方法4.クロストレーニングの導入
クロストレーニングの導入は、従業員間のスキルや知識の共有を促進する効果的な方法です。
クロストレーニングとは、従業員が他の部署や役割の業務を学んで相互理解を深め、業務の連携を強化する取り組みです。
このようなトレーニングを行うことで、従業員は互いの業務内容や責任範囲を理解し、状況に応じて協力して業務を遂行できるようになります。
クロストレーニングの方法として、属人化されている業務を、担当と異なるメンバーが期間限定で実践します。
実践することで業務に対する理解を深められ、いざという時に連携して業務を行うことが可能です。
従業員が業務の標準化に対して消極的
従業員が業務の標準化に消極的であることも属人化が起こる一因です。
具体的には、従業員が自分の方法で業務を行いたいと考えたり、標準化による効率化を優先せず、情報の共有が十分に行われないことが原因です。
経営陣やリーダーが標準化の重要性を徹底的に説明し、組織全体での意識改革を進めることが求められます。
解消するためには以下の2つの方法を実施するといいでしょう。
方法5.チーム全体で掲げる目標の設定
チーム全体で掲げる目標の設定は、属人化を解消し、組織の成長を促すために欠かせない要素です。
目標をチーム内で共有して共通認識を持てば、チームメンバーはそれぞれの業務を進める中で、自分たちがどのような成果を目指しているのか明確に理解することができます。
その結果、チーム内での情報共有や協力が促進され、個人の業務に依存しない組織の力が生まれるでしょう。
さらに、チーム全体で共有する目標を設定することで、従業員は自分の業務がチームや組織にとってどのように重要であるかを把握し、その責任を共有できるようになります。
結果として個人だけで動く体制ではなく、チームとして連携できる組織になります。
方法6.リーダーシップとサポート体制の強化
リーダーシップとサポート体制の強化は、属人化を解消するための有効な手段です。
これは、リーダーがチームメンバーに働きかけ、情報共有や協力をするよう促すことで、業務の透明性が上がり、スピーディーに属人化を解消できるからです。
具体的な方法として、メンバー同士でうまく連携されているかを組織のリーダーが逐一確認をしましょう。もし業務が特定のメンバーに偏っている場合、すぐに他のメンバーにも連携するよう指示だしを行いましょう。
属人化の解消を進めるための流れ
組織の属人化を解消するためには、現状把握や原因の特定から行う必要があります。
現状把握をする
属人化を解消するためには、まず現状を把握することが必要です。
組織内でどれくらい属人化が起きているかを理解し、問題のある業務や担当者を特定しましょう。
具体的には、業務フローを整理して情報共有や従業員同士の連携を評価します。
さらに、ヒアリングやアンケートを使って従業員の意識や意見を集め、現状理解を深めることが重要です。担当者からのフィードバックを得ることで、これまで見過ごしていた課題に気づきやすくなります。
原因を洗い出し解決策を検討
次に、属人化の原因を洗い出し、解決策を検討します。
原因は情報共有の不足や業務の専門性の高さなど多岐にわたるため、各業務やチームごとに原因を分析し、対策を立案します。
たとえば考えられる原因が「多忙による情報の共有不足」の場合、対策として社内SNSやコミュニティを活用したナレッジ共有や業務フローの改善などが挙げられます。
周知徹底を図る
属人化解消の取り組みを実行する前に、周知を徹底し、組織全体が目標に向かって一致団結できるようにすることが大切です。
組織全員が属人化解消をする意味を理解し、具体的な対策や変更点を把握することで、実行がスムーズに進みます。
例えば、「チーム間の連携が不十分で特定のメンバーに負担が集中している。この問題に取り組むため、定期的なミーティングを実施し、コミュニケーションツールを活用して情報共有を促進する」と具体的に説明することで、従業員自身も何をすればいいか把握しやすくなります。
上層部からの指示だけではなく、従業員の意見も取り入れ、全員が取り組みに参加できる環境を整えましょう。
進捗管理で成果を可視化する
進捗管理を行い、属人化解消に向けてどのぐらい進んでいるか可視化しましょう。
属人化解消の成果を確認しないまま進めてしまうと、今の対策が意味あるものか、このまま続けるべきか判断しづらくなります。
たとえば、定期的なミーティングやタスク管理ツールを活用すれば、どのぐらい対策を進められているか明確になるでしょう。
また、KPI(重要業績評価指標)を設定し、目標達成の度合いを評価することで、改善の方向性を確認できます。
参考:KPIの管理手順と漏れなく管理するための4つのポイントを紹介
改善を継続するための対策を行う
長期的に属人化が発生しない組織になるためには、継続的な改善対策が必要です。定期的なレビューを行い、問題点や新たな課題を発見しましょう。
その際には、従業員からのフィードバックも活用し、組織全体で改善に取り組むことが大切です。
また、属人化の再発防止策として、定期的な研修や教育プログラムを実施し、新たな業務や技術の習得を促進させることが可能です。
継続的な改善活動を通じて、組織内の属人化を解消し、業務の効率化や従業員のモチベーション向上につなげることができます。今後も組織の成長と共に、属人化解消への取り組みを継続していくことが求められます。
属人化解消におすすめのITツール4選
属人化を解消するためには、ITツールの活用がおすすめです。
紙の場合、情報は物理的な場所に限定され、容易に共有されにくいです。
しかし、ITツールであれば情報をリアルタイムで共有でき、メンバー全員が必要な情報にアクセスできるようになります。
属人化の解消に役立つITツールを4つ紹介します。
- タスク管理ツール
- 共有ドキュメントツール
- コミュニケーションツール
- データベースツール
1.タスク管理ツール
タスク管理ツールは、業務の進捗管理や効率化を促進し、情報の共有がしやすくなる便利なツールです。
代表的なツールとして、ToDoistやTrelloなどが挙げられます。
タスク管理ツールとは、業務やプロジェクトのタスクを一元管理し、進捗状況を追跡することができるオンラインツールです。活用することで、各メンバーの担当タスクや期限が明確になり、業務の進行状況を一元的に把握できます。
その結果、個人が持っていた情報やノウハウがチーム全体で共有され、属人化が解消されるでしょう。
メンバーがどのような業務を行っているかわかりづらいという場合は、タスク管理ツールの導入がおすすめです。
参考:【2022年版】ビジネス向けタスク管理ツールのおすすめ15選を比較
2.共有ドキュメントツール
共有ドキュメントツールは、複数のユーザーが同時にアクセスでき、共有の円滑化を促進するツールです。そのため、チーム内での知識や業務手順の共有がスムーズになります。
さらに、リアルタイムでの共同編集が可能なため、迅速なフィードバックや修正ができ、業務効率が向上します。
GoogleドキュメントやMicrosoft Office 365などがその代表例です。
紙のマニュアルで情報共有や内容更新がスムーズにできなかったり、そもそもノウハウが一元化されていない場合に、オンライン共有ドキュメントツールの導入が効果的です。
3.コミュニケーションツール
コミュニケーションツールを活用することで、従業員間の情報のやりとりがスムーズになり、結果的に属人化を解消できるようになります。
そもそもコミュニケーションツールとは、従業員間のコミュニケーションを円滑に行うためのオンラインツールで、チャットやビデオ会議などの機能が提供されています。
SlackやMicrosoft Teamsなどがその代表例です。
また、各種情報を一元化して保存・管理することができるため、情報が散逸しない環境が整います。
各部署やチームのやり取りが不透明だったり、やり取りがしづらいという場合は、このコミュニケーションツールを導入しましょう。
4.データベースツール
データベースツールが属人化解消におすすめな理由は、情報やノウハウを組織全体でアクセス可能かつ検索しやすい形で共有できることにより、個々人が持つ情報の独占を防ぎ、知識の共有が促進されるからです。
そもそもデータベースツールとは、データの収集、整理、保存、検索をしやすくするためのソフトウェアやオンラインサービスです。例えば、NotionやMicrosoft Accessなどが該当します。
データベースツールを活用することで、業務に関連する情報やドキュメント、業務手順などを一元管理し、検索や参照がしやすくなります。
また、データベースツールは変更履歴や編集者がログに残るため、誰に相談・質問をすればいいか明確になりやすいです。
データが整理されておらず、データの管理・共有・検索が難しい場合は、データベースツールの導入が効果的です。
参考:データベースソフトとは?セキュリティ対策も可能な高機能ツール9選
属人化解消に関するよくあるご質問
属人化解消に関する役立つQ&Aをまとめています。
Q.属人化はどのように発生しますか?
A.業務が特定の人に集中し、情報共有が不足している場合や、専門性が高く他のメンバーが業務内容を把握できない状況で発生します。
Q.属人化を防ぐための初歩的な対策はありますか?
A.情報を定期的に共有する仕組みを作り、社内SNSやナレッジ共有ツールを活用することが有効です。
Q.属人化解消において、リーダーの役割は何ですか?
A.リーダーは情報共有の促進や業務の分担を行い、メンバー間の連携をサポートする役割があります。
Q.属人化の解消に効果的なコミュニケーション方法はありますか?
A.定期的なミーティングやチャットツールを使い、業務の進捗やノウハウをチーム内で共有することが効果的です。
Q.属人化解消のためにどのようなツールを導入すべきですか?
A.タスク管理ツールや共有ドキュメントツール、コミュニケーションツールなど、情報共有がスムーズにできるツールが有効です。
まとめ
本記事では、組織の属人化を解消するための流れと具体的な方法などを紹介しました。
属人化を解消するためには、業務の標準化や情報共有の仕組みを整えることが重要です。
具体的な解消方法は以下の通りです。
- 標準化されたマニュアルの策定
- チーム全体で掲げる目標の設定
- 社内SNSやコミュニティを活用したナレッジ共有
- 業務フローの改善
- クロストレーニングの導入
- リーダーシップとサポート体制の強化
また、情報共有の仕組みを整備するためには、ITツールの導入がおすすめです。
属人化によって業務に支障をきたす前に、メンバー間で連携し、必要な情報をスムーズに共有できる体制を整えましょう。
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