SEM(サーチエンジンマーケティング)とは、インターネット検索エンジンを利用して効果的にターゲットオーディエンスにアプローチし、Webサイトへの訪問者数を増加させるためのマーケティング手法です。
SEMは、即効性と高いコントロール性を兼ね備えているため、多くのビジネスにとって不可欠な戦略の一つとなっています。
反面、コストを投下している間しか集客効果が見込めないなどのデメリットもあるため、他の集客施策と合わせて利用されることが多いです。
しかし、具体的にはどのようなものなのか、どのような特徴があるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、SEMの基礎や、SEOや他施策との違い、メリットやデメリット、実行の手順、注意点などの情報を一挙に紹介します。
Web集客の開始を検討中の方は、ぜひご一読ください。
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目次
広義でのSEMとは、検索エンジン上で行うマーケティング施策の総称
SEM(サーチエンジンマーケティング)は、検索エンジンを利用した広告やコンテンツの配信を通じてWebサイトの訪問者数を増加させるマーケティング戦略です。
検索結果の上段に表示されるリスティング広告(検索広告)や、検索結果に表示されるページの順位向上を狙うSEO(検索エンジン最適化)などの施策を組み合わせてマーケティングを行い、認知の向上や、トラフィックやコンバージョンの獲得を行います。
広義でのSEMに含まれる5つの施策
広義でのSEMには、以下5つの施策が含まれます。
1.リスティング広告(検索広告、PPC)
リスティング広告はSEMの最も基本的な形態で、特定のキーワードに対して広告を配置します。この方法では、ユーザーが検索エンジンで特定の語句を検索したときに、広告が検索結果の上位に表示されます。キーワード広告は、高いターゲット指向性と即時性を持ち、迅速なトラフィック増加を目指します。
参考:初心者でもわかるリスティング広告とは?費用から運用のやり方まで徹底解説!
2.リマーケティング(リターゲティング)
訪問者が一度サイトを訪れた後に、他のWebサイトを閲覧している際に再度広告を表示させる方法です。リマーケティングは、既に関心を示しているユーザーを再度引き付け、購買へと導くための強力な手法です。
参考:リマーケティング広告を始める人にこれだけは知っておいてほしい!2つのポイント
3.ディスプレイ広告
視覚的に魅力的なバナー広告や画像広告を検索エンジン連携の広告ネットワークやWebサイト上に展開します。これにより、ブランド認知度の向上や製品認知の拡大を図ることができます。
参考:ディスプレイ広告の始め方とリスティング広告との違いを徹底解説!
4.ショッピング広告
商品の画像、価格、および説明を含む広告を検索結果に直接表示し、消費者が直接購入につながるように促します。この種の広告は、特にeコマース事業者にとって有効です。
参考:ショッピング広告とは?設定方法や効果を出すためのコツまで詳細解説
5.モバイル広告
スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスに特化した広告です。モバイル広告は、移動中のユーザーに到達することが可能であり、地域に基づいた広告や時間に応じたプロモーションに特に有効です。
狭義でのSEMとは、リスティング広告(検索広告)のことを指す
マーケティングの現場でSEMは、リスティング広告を指す言葉としても使用されています。
この手法の主な目的は、検索エンジンの広告スペースを購入し、関連性の高いキーワードで検索したユーザーに対して広告を表示することにより、Webサイトへの訪問を促すことです。
ディスプレイ広告などの広告は、直接検索エンジン上に表示されるわけではないことや、ページ順位向上施策がSEOと呼ばれていることから、より直感的に「SEM(サーチエンジンマーケティング) = リスティング広告(検索エンジン上に表示される有料広告)」として使用されていると考えられます。
広告を扱う現場では、こちらの方が一般的なので、本記事ではSEM = リスティング広告として説明を続けます。
SEMが重視される理由は即効性やターゲティング精度の高さにある
SEMは、即効性が高く、ターゲティングが明確なマーケティング手法です。
SEMの広告は設定後すぐに結果を出すことができ、特定の製品やサービスに対する直接的な需要がある顧客をターゲットにすることができます。
SEMは、キーワードをオークション形式で入札し、広告を配信します。
たとえば、ゲーミングマウスを販売する際に、「ゲーミングマウス 通販」などのキーワードを入札することで、この検索結果のみに広告を配信することができるため、広告の無駄うちを避けることができます。
また、SEMキャンペーンは、各広告のクリック数や転換率などを確認することができるため、ROIを計算することも容易です。
SEMとSEOの違い
SEM(サーチエンジンマーケティング)とSEO(検索エンジン最適化)は、どちらも検索エンジン上での可視性を高めて集客を行う施策ですが、SEMは有料広告を利用して短期間で結果を出すことに焦点を当てているのに対し、SEOはWebサイトの内容と構造を最適化することで、長期的な自然な検索トラフィックを増やすことを目的としています。
特徴 | SEM | SEO |
---|---|---|
目的 | 即効性が求められる場合に適しており、迅速なトラフィック増加を目指す。 | 長期的なトラフィック増加を目指し、持続的な成果を期待できる。 |
戦略 | 有料広告を利用して検索結果の上位に表示される。 | Webサイトの内容と構造を最適化して自然な検索結果を改善する。 |
コスト | 広告費がかかるが、設定した予算に応じてコントロール可能。 | 初期投資や運用の労力は必要だが、広告費は不要。 |
参考:検索エンジン最適化(SEO)の仕組みとやるべき3つの対策を紹介
SEMは短期的、SEOは長期的な施策
SEMは、検索エンジンの広告スペースを購入してすぐにトップの検索結果に表示されることを目指します。これにより、即効性のあるトラフィック増加とブランド認知度の向上を図ることができます。
一方、SEOはWebサイトの技術的な側面やコンテンツの質を改善し、検索エンジンによる評価を高めることで、自然な検索結果での順位を長期的に向上させることを目指します。
SEMは有料だがコントロール性が高く、SEOは無料だが労力がかかる
SEMは広告費を支払う限り結果が得られるため、コストが発生し続ける点が特徴です。広告キャンペーンが終了すると、トラフィックも減少する可能性があります。
一方、SEOの効果は時間をかけて徐々に現れ、適切な最適化が行われれば長期にわたる恩恵を受けることができますが、初期投資に時間と労力が必要です。
SEMはキーワードに合わせて広告を表示し、SEOはキーワードに応じたコンテンツを配信することで検索結果上位を狙う
SEMではキーワードやデモグラフィックに基づいて広告をターゲット設定し、特定のオーディエンスに直接アプローチします。
SEOでは、検索エンジンのアルゴリズムに対応したコンテンツとユーザ体験の向上を通じて、より広いオーディエンスに間接的に影響を与える戦略を採用しています。
SEMと他マーケティング施策4種との違い
SEM(サーチエンジンマーケティング)は、即時性と高いターゲット指向性に優れている特徴を持ちますが、異なる特徴をもつ他のデジタルマーケティング施策と併用されることがほとんどです。
そこで、SEMと併用されることが多い4つの他マーケティング手法との主な違いを紹介します。
マーケティング手法 | 目的とアプローチの違い | ターゲット | 効果の即時性 |
---|---|---|---|
SEM | 検索エンジンを利用して特定のキーワードに対する広告を展開。直接的なアクションを促す。 | 幅広い検索ユーザー | 高い |
ソーシャルメディアマーケティング(SMM) | ソーシャルプラットフォームを通じてエンゲージメントを高める。コンテンツ配信と広告展開が中心。 | 特定のソーシャルメディアユーザー | 中程度 |
Eメールマーケティング | 顧客リストを活用して個別化された情報を送信。長期的な顧客関係の構築。 | 既存の顧客リスト | 低い |
コンテンツマーケティング | 教育的または情報提供的なコンテンツを通じて関係を築く。SEOとの組み合わせが一般的。 | 広範囲のオンラインユーザー | 低い |
アフィリエイトマーケティング | 第三者のプラットフォームやインフルエンサーを利用して商品を促進。成果報酬型が多い。 | ニッチな市場や特定のコミュニティ | 中程度 |
1.SEMとSMM(ソーシャルメディアマーケティング)の違い
SMMはソーシャルメディアプラットフォームを利用して広告やコンテンツを配信しますが、SEMは検索エンジンを利用しています。SEMは検索意図が高いユーザーに直接アプローチできるのに対し、SMMはブランドの認知度を高めたり、エンゲージメントを促進するのに有効です。
2.SEMとEメールマーケティングの違い
Eメールマーケティングは既存の顧客リストに基づいて個別化されたコンテンツを提供します。対照的に、SEMは新規顧客を獲得するための手法であり、広告を通じて即時的なアクションを促します。
3.SEMとコンテンツマーケティングの違い
コンテンツマーケティングは情報提供やエデュケーションを通じて顧客との関係を構築しますが、SEMは特定の検索クエリに対する直接的な回答として広告を表示します。コンテンツマーケティングはより長期的な戦略に適しているのに対し、SEMは短期的な成果を重視します。
4.SEMとアフィリエイトマーケティングの違い
アフィリエイトマーケティングは第三者のWebサイトやインフルエンサーを通じて製品を促進します。これに対し、SEMは自社の広告を直接検索エンジンに掲載し、クリックを購入することでトラフィックを得ます。つまり、SEMは制御と予算の面でアフィリエイトマーケティングとは異なるアプローチをとります。
SEMのメリット3つ
SEM(サーチエンジンマーケティング)は、デジタルマーケティング戦略の中でも特に迅速な結果をもたらす手法です。SEMの最大の利点は、目的の市場に即座にアプローチできること、高度にカスタマイズ可能なキャンペーン設定、そして詳細なパフォーマンス追跡が可能な点などが挙げられます。
1.すぐに集客を開始できる
SEMは広告が公開された瞬間から検索エンジンの結果ページで高い位置に表示されるため、新しい製品やプロモーションを即座に大量の視聴者に露出させることができます。これは新規ビジネスや急速に市場シェアを拡大したい企業にとって重要な戦略です。
2.ターゲットを絞り込みやすい
広告キャンペーンは、地理的な位置、使用しているデバイス、検索の文脈など、非常に具体的な条件でターゲットを絞り込むことが可能です。これにより、広告は最も関連性の高い潜在顧客に対してのみ表示され、広告予算の効率的な使用が可能となります。
3.柔軟性が高くいつでも調整できる
SEMキャンペーンはリアルタイムでのデータに基づいてすぐに調整を加えることができるため、市場の変動に迅速に対応することが可能です。キャンペーンのパフォーマンスを監視し、必要に応じてキーワードの追加や予算の再配分が行えます。
SEMのデメリット3つ
一方で、SEMはその特性上、一部の課題も持ち合わせています。特に予算の持続性、高い競争率、そしてその効果の継続性には注意が必要です。
1.人気のキーワードはクリック単価が高騰する
SEMの広告はクリックごとに費用が発生するため、特に人気のあるキーワードでは一クリックあたりのコストが高騰しやすく、結果的に予算を迅速に消費してしまうことがあります。このため、効果的なキーワードの選定と予算管理が非常に重要となります。
2.検索回数はキーワードに依存し、季節やトレンドで変動する
SEMキャンペーンは、選択されたキーワードの検索ボリュームに直接依存しています。特定のキーワードやフレーズの検索回数には自然な限界があり、市場のニーズが低い、または非常に特化したキーワードの場合、十分なトラフィックを集めることが困難になる場合があります。
さらに、季節性や市場のトレンドの変動により、検索ボリュームが予期せず変動することもあり、これによってキャンペーンの成果が不安定になる可能性があります。これは、継続的に高い成果を求めるビジネスにとっては特に大きな課題です。
す。
3.コストを投下している間だけしか集客効果がない
SEMキャンペーンは広告が有効な期間中のみ効果を発揮し、広告を停止すればその効果も即座に終了します。これにより、SEMへの依存が高まりがちで、継続的な成果を維持するためには恒常的な投資が必要になります。
SEMを実行する手順7ステップ
次に、SEMを実施するための基本的な手順を7つのステップに分けて紹介します。
1.アカウントを作成し、目標の設定を行う
まずはじめに、Google広告などで広告用のアカウントを作成します。
キャンペーンの目的を明確に設定します。これには、リード獲得、販売促進、ブランド認知度の向上などが含まれます。目標を具体的にすることで、キャンペーンの成功を測定しやすくなります。
2.ターゲットを決める
次に、誰をターゲットにするのかを特定します。これには、デモグラフィックデータ(年齢、性別、地域など)、興味・関心、購買行動などが考慮されます。ターゲットを明確にすることで、広告の効果を最大化できます。
ターゲティングについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
参考:ターゲティングとは?基礎や種類から近年のトレンドまで一挙解説!
3.キーワードリサーチと選定
次に、効果的なキーワードをリサーチし、選定します。
検索ボリュームのリサーチには、Google広告などのアカウントに搭載されている「キーワードプランナー」などのツールを使います。
検索ボリュームの高いキーワードや、競合性が低いキーワード(上位表示のための入札単価が安いキーワード)を確認していきます。
たとえば「ゲーミングマウス」のキャンペーン場合、認知向上を目的とするのであればビッグワード(検索回数の多い単ワード)の「マウス」や「一覧」「おすすめ」などの掛け合わせワードなどを入札します。
商品の販売を目的とする場合には、「ゲーミングマウス 通販」「ゲーミングマウス 比較」などのより具体的なキーワードを入札することで購買意欲の高いユーザを狙うことができる反面、競合性が高いためクリック単価は高まり、検索回数もビッグワードに比べると少ない傾向にあります。
入札するキーワードによって、どのような状況の人を狙うかが大きく異なるので慎重に選びましょう。
参考:リスティング広告の効果を劇的に改善させるアカウント構成のコツ
4.広告を作成する
キーワードを決定したら、広告を作成します。リスティング広告であれば広告と言ってもテキストを入力するだけなので画像などは不要です。
※ディスプレイ広告を実施する際には、クリエイティブ(広告画像)が必要となります。
広告文は説得力があり、具体的なアクションを促す内容でなければなりません。また、ビジュアルも同様にターゲットの注意を引きつけるものである必要があります。
広告は、基本的に30文字程度の見出し(タイトル)と、90文字程度の説明文(ディスクリプション)で構成されており、特に強調されて表示されるタイトルは効果を大きく左右します。
広告文の作成については、以下の記事をご覧ください。
参考:【5分で学ぶ】響くキャッチコピーの4つの特徴と作り方
効果が3倍あがる! コピーライティングのテクニック【完全保存版】
キャッチコピーの作り方|もう失敗しないための7大テクニック!
5.予算の設定と入札を行う
広告を作成したら、予算を決定し、キーワードごとに入札します。
予算を設定することで、どのキャンペーンにいくらまで投資するかを決めることができます。
入札は、低すぎると広告が表示されない、または表示回数が少なくなってしまう可能性がありますし、高すぎるとすぐに予算がなくなってしまいます。
入札戦略は、予算や市場の競争状況を考慮して慎重に調整していきましょう。
※思わぬ配信を避けるためには、低めから徐々に上げていくことをお勧めします。
6.キャンペーンを実施し、効果を測定する
広告を実施したら、その効果を定期的に監視します。
広告の表示回数、クリック率(CTR)、クリック単価などの指標を確認しましょう。
そして、パフォーマンスがふるわない広告については、すぐに修正または停止しましょう。
7.終了後に次回に向けての結果分析を行う
キャンペーン終了後、全体のパフォーマンスを分析し、成功した要因と改善点を抽出します。
どのキーワードから商品購入につながったか、どの広告の成果が良かったかなどの情報を確認し、この情報を次回以降のキャンペーン計画に活かし、継続的な改善を図ります。
SEMを実行する際の注意点2つ
最後に、SEMを実行する際に注意すべきポイントを2つ紹介します。
1.1日1回は状況を確認する
競争が激しい業界では、同じキーワードをターゲットにする多数の企業との間で広告の入札戦争が発生します。
つまり、現在ある単価で上位表示できていたキーワードが、明日には表示されないということもあるのです。
そこでキャンペーン実施中は、必ず1日1回は状況を確認するようにしましょう。
2.広告の品質を確認する
SEMでは、「広告の品質スコア」という媒体独自の指標も存在します。
そしてこのスコアが低いと、表示回数が減少したり、広告の位置が低くなることがあります。
また、スコアが低いということは、広告がクリックされていない可能性があります。これは、広告の訴求やデザインがターゲットに適していないということになるので、広告文を修正したり、場合によってはキーワードの見直しを行いましょう。
まとめ
本記事では、SEMの基礎や、SEOや他施策との違い、メリットやデメリット、実行の手順、注意点などの情報を紹介しました。
SEMは、検索エンジン上のターゲットユーザーに迅速かつ直接的にアプローチすることが可能なマーケティング施策です。
特定の製品やサービスに対する直接的な需要がある顧客層を、キーワードを選定することで捉えることができます。
また、SEMの実施には、予算の配分や、実施後のキャンペーン評価や調整も大切です。
SEMキャンペーンを成功させるためには、市場や競合の動向をチェックし、広告の内容を柔軟に調整する必要があります。
そして、これらのポイントをおさえてSEMを実行しつつ、SEOなどの他マーケティング施策と組み合わせることで、短期的な利益と、長期的な成功の両立を目指すことができます。
そしてその挑戦の際には、本記事で紹介した情報が一助となれば幸いです。
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