販路開拓とは?具体的な手法14選と合わせてわかりやすく解説

新たな販売先を探す「販路開拓」は、企業の売上を上げていくうえで重要な課題です。しかし販路開拓の概要は把握していても、本質的な情報や具体的な実施方法がわからないという方も多いのではないでしょうか。

今回は初心者の方向けに、販路開拓の具体的な方法や、各施策のメリット・デメリットについて解説していきます。販路開拓の手法を網羅的に紹介するので、ぜひご一読ください。


販路開拓とは、製品・サービスを新しい市場や顧客層に広げること

販路開拓をひとことで説明

販路開拓とは、自社の製品・サービスを新しい市場や顧客層に広げ、新しい販売チャンネルや方法を見つけて、売上を増やすことを指します。

簡単に言えば、既存だけでなく、新しい市場や顧客を獲得し、ビジネスを拡大するための活動です。

販路開拓は、より多くの顧客に商品やサービスを販売する機会が増えて、その分売上アップを拡大させることができます。また、新しい販路や市場に挑戦することで、企業は新しいアイデアやビジネスモデルを試す機会を得ることができます。

販路開拓は、企業が長期的に成長していくためには必要な機会です。

販路開拓と販路拡大の違い

「販路開拓」と「販路拡大」それぞれの違いは、未開拓の販路か、それとも開拓済の販路かどうかという点です。

販路開拓は、まだ未開拓のチャネルや顧客層に販路を広げるという定義です。一方の販路拡大は、開拓済の販路に人員やコストを投下してさらにビジネスや売上を拡大させていくことを指します。

販路開拓の事例:マクドナルド、「Pokémon GO」とのコラボレーションで売り上げが前年同月比16%アップ

今回はモバイルゲームという新しいコミュニケーションチャネルを活用して、販路開拓をした事例を紹介します。

マクドナルドは「Pokémon GO」向けのサービスを全店舗で展開しています。サービス導入後、売り上げが前年同月比16%、客数が7.5%アップするという効果が出ています。

「Pokémon GO」は位置情報を活用した、モバイル向けのゲーム。実際にユーザーがいる位置情報とゲーム内のマップが連動し、ユーザーが現実の世界で移動した通りにゲーム内でも移動するのが特徴です。

マクドナルドに行くと、ゲーム内でさまざまな道具を手に入れたり、アクションができたりします。

この取り組みにより、マクドナルドの売り上げは前年同月比16%、客数7.5%アップ。現在、「Pokémon GO」はマクドナルドの他に、TOHOシネマ、ソフトバンクグループとも連携してサービスを展開しています。

参考:マックに「ポケモンGO」効果、8月売上高15%増 |日本経済新聞


販路開拓をする上で押さえておくべきチャネル3つ

販路開拓をするためには、3つのチャネルについて事前に押さえておきましょう。

チャネルとは、顧客に届くまでの経路のことを指します。チャネルは「コミュニケーションチャネル」「流通チャネル」「販売チャネル」の3種類に分かれます。

それぞれについて解説します。

1.コミュニケーションチャネル

企業が消費者と直接、または間接的にコミュニケーションを取る場所のことを指します。

(例)テレビ、雑誌、ラジオ、新聞等のマスメディア インターネット、ダイレクトメール、ポスティングチラシ、SNS

2.流通チャネル

商品やサービスを消費者に届けるためのチャネルです。

(例) 卸売業者、輸送サービス提供会社、小売業等

3.販売チャネル

商品やサービスを消費者に販売する場を指します。

(例)小売店、訪問販売、ECサイト(通信販売)


基本的な販路開拓の3手順

ここからは実際に販路開拓をする際の手順についてご紹介します。
基本的な販路開拓の3手順

1.販売したい商品やサービスの分析

まず初めに販売したいと思う商品やサービスについて、よく知ることが大切です。製品・サービスの本質、価格、プロモーションの実態などを考えてみましょう。

このとき、マーケティングミックス(4P)という考えをもとにしてみましょう。

マーケティングミックスについては以下の記事で事例付きで解説しているので、参考にしてみてください。
参考:事例で解説!マーケティングミックス(4P)とは

2.自社の商品・サービスのニーズはどこにあるかを考える

続いてその商品・サービスのユーザーニーズを考えます。どういった人がその商品やサービスに利用価値を感じて、お金を出してくれるかを検討しましょう。

自社のサービスに利用価値を感じてくれる人にアプローチするべきなので、ここでしっかりと整理しておきます。

3.複数の選択肢から最適な販路を開拓

これまでの情報を整理した上で、多くの販路の中から効果的な販路開拓を成し得る方法を考え実践しましょう。

販路開拓の具体的な方法については、次の章で解説します。大きく分けてインターネット上での販路開拓と、オフラインでの販路開拓を紹介します。


販路開拓の手法14選

販路開拓の方法を、オンライン上とオフライン上の2つに分けて紹介いたします。

オンライン上での販路開拓

1.ネットショップ

インターネット上に“商店”となる Web サイトを構築し、消費者に商品を販売する方式です。システムが稼働していれば、実店舗とは異なり、24時間販売が可能になります。

また、ネットショップであれば海外にも進出できるため、一気に販路を拡大させることが可能です。

利益を出していくためには始める前にある程度、営業計画を立てておくことが重要です。

ネットショップを始める前の注意点については以下の記事をご覧ください。

参考:ありがちな失敗例から学ぶネットショップの開業を成功させるための教訓

2.ECモールへの出店

Amazonや楽天市場のように、様々な店舗が集まったモールへの出店も、販路開拓のうちの1つです。

参考:ECモールとは?メリット・デメリット、費用相場、出店までの流れを紹介

独自の集実が難しい小規模ネットショップにとっては、ECモールに出店することで認知度の向上や実数の増加が期待できます。

Amazonや楽天市場など、ユーザー数が多いモールに出店をすれば、比較的簡単に集客ができます。

しかし、出店をすれば手数料がかかったり、競合は多くて価格競争が起きやすいというデメリットもあります。

3.ブログ

ある特定の商品、サービス等に関する記事を公開して集客する方法です。

具体的には、コンテンツマーケティングという、ユーザーにとって有益なコンテンツの作成、発信を通してファンを獲得し、契約や購買につなげていくという手法になります。

コンテンツの作成にはある程度時間やコストがかかりますが、長期的に見込顧客の獲得をしていきたいという方にはおすすめの手法です。

コンテンツマーケティングとSEO対策を組み合わせた「コンテンツSEO」は新規顧客も獲得出来ます。詳しくはこちらをご覧ください。

以下の記事では、弊社LISKULの運用方法を紹介しています。
参考:コンテンツマーケティング開始10ヶ月で100万UUを実現した手順を公開

4.SNSの活用

SNSを活用して販路を広げていく手法もあります。

「ソーシャルメディア担当」などの担当役職を置いてSNSでの発信を積極的におこなう企業も増えてきています。

拡散性のあるSNSの活用はSNSを積極的に利用する若い世代に対して効果的ですが、SNSを利用しない世代が置いてきぼりになっている点や、SNSのアカウントはつくったものの運用されていない現状があることにも配慮が必要です。

若い世代を中心に獲得したい場合や、SNSの運用にリソースを割ける場合はこの手法が効果的でしょう。

参考:SNSマーケティングとは?6つの事例から学ぶ始め方と成功させるコツ

5.自社ホームページを充実させる

ホームページのコンテンツを充実させることは企業としてのイメージアップにつながります。「ホームページのデザインにお金をかけている企業は収益が安定している」と思う人も多いようです。

ただしホームページを充実させるためには、企業によってはサイト制作会社への依頼が必要になる場合があります。また、慎重にホームページ設計をしないと、訪問したユーザーが回遊しにくくなったり、開くのに時間がかかって離脱率が増える可能性もあります。

参考:成果が劇的に、簡単に出るサイト改善 10のポイント

6.口コミサイト

消費者が自らの体験をもとに商品、サービスに対する評価を行い、ランキング等を発表するサイトに投稿する手法もあります。

BtoCの商材の場合は、このようなサイトから集客ができます。

ユーザーは口コミをもとに購買の意思決定をしますので、商品やサービスへの口コミが見られるようにすることは効果的な方法です。

ただし、必ずしもユーザーが口コミを掲載してくれるとは限りません。また、ネガティブな口コミも書かれる可能性は十分にあります。

そのため、できるだけ良い口コミを多く増やすために、商品やサービスを改善していく必要もあります。

7.動画サイトへの投稿

YouTubeなどの動画サイトへアップロードする手法もあります。

動画であれば、商品、サービスなどの特徴をより詳細に伝達できるうえ、話題性の喚起にも効果的と考えられています。

しかし、長期的に動画を制作していく上では、莫大なコストがかかる場合があります。また、せっかくコストをかけて作ったのに、思うように動画が見られない可能性もあります。

8.ウェビナーの開催

ウェビナーを開催して、多くのリードを獲得する手法です。

近年では、リード獲得を目的とした展示会や対面営業の代替手段として、ウェビナーが効果的であるとされています。

ウェビナーとはインターネット上で行われるオンラインセミナーのことで、語源はウェブ+セミナーを合わせた造語です。

会場に集合して行われるリアルの会場型セミナーとは異なり、参加者は会場に出掛ける必要はありません。自分の会社のオフィスや自宅から、非接触で3密を避けつつ、気軽に参加できるのがウェビナーの特徴です。

引用元:ウェビナーとは?メリットデメリットと開催方法・成功させるコツを解説

リアル型のセミナーと違って気軽に開催しやすいですが、オンライン上でセミナーを開催するので、名刺交換をすることができず、中々案件化しづらい場合もあります。

オフラインで販路を開拓する場合

9.ダイレクトメール

はがきやメールなどダイレクトメールの送付による販路開拓は、相手の手元に残るため送付先で広がりやすいことや、次のアクションへの導線となり得やすいことが特徴として挙げられます。

しかし、魅力的でない内容や必要以上の数のDMを送付すると開封してもらえないおそれもあるので、注意しましょう。

多くの顧客情報を持ち、広く発信していきたい方はDM送付をおこなうと良いでしょう。顧客をターゲティングすることで予算を抑えることも可能です。

参考:【3ステップで分かる】ダイレクトメール(DM)の始め方と上手な使い方

10.展示会・学会などへの参加

展示会や学会などのイベントに参加することも販路開拓につながります。会場に赴くイベント参加者全員がターゲットになり得ることや、イベント内容によってはある程度ターゲットを絞り込めることなどが良い点です。

反対に、準備に時間を要する点や同業の多い展示会や学会では注目を集めるのが大変という点がデメリットでしょう。商品やサービスと販売している人の顔や思いを合わせて知ってもらいたい方にはおすすめです。

参考:セミナー集客にもう困らない!鉄板アイデア14選+改善ポイント

11.業界誌や専門誌への記事掲載

業界で注目される情報誌への掲載はターゲット層へのアプローチに最適です。客観的な内容のため信頼度があがります。しかし、広告費が高い割にはリーチできる人数が少ないという点ではおすすめできません。

予算が多くあり、特定少数へのアプローチをしたい方は検討してみてはいかがでしょうか。

12.個人的な友人や知人に紹介を依頼

友人や知人に紹介を依頼することでの販路開拓は、縁故ある人同士のつながりをもとに、ある程度の信頼の元で話を進められます。

しかし、紹介ということもあって断りにくいという点は、双方にとって良くない影響を与えることもあるかもしれません。強力なパイプとなる友人や知人がいる方にはこの方法をおすすめします。

12.取引先に紹介を依頼

現在取引をしている企業から紹介を受けることによる販路開拓は、取引先と同業の場合も多いため、取引先でのやり方をそのまま紹介先にシフトすることもできる可能性があります。

しかし、このような紹介だけに頼っていては積極性のある販路開拓は臨めないので副次的な手段として取り入れるのがよいでしょう。現在の販売方法を広めていきたい方は取引先から紹介を依頼してみてください。

14.飛び込みによる営業

飛び込み営業での販路開拓はインターネットが普及した今、相手の顔が見えるという点で安心感を与えられるというメリットがあります。

また扱う商品・サービスによっては、実物を資料と合わせて顧客に説明できるため、特徴や強みを明確にアピールしやすいというのも魅力です。

しかし、初対面の相手に不信感を与えることや1社あたりにかける時間やコストは最も大きくなるなどのデメリットもあります。相手と直接対話をして商品の良さを分かっていただきたいという方は飛び込みでの販路開拓に向いているかもしれません。


まとめ:自社に合う販路を見つけることが重要

いかがでしたか。販路開拓は企業の売り上げを伸ばしていくために、必要不可欠です。

これから新しく販路の開拓をしようと考えている方は、ぜひ今回紹介した手法の中から、自社に合う販路を見つけてみてください。

また、経済産業省の中小企業庁では中小企業向けに販路開拓を支援する補助金を公募している場合もあるので忘れずに確認しましょう。
参考:中小企業庁:補助金等公募案内