タイムCMは、特定の番組放送中に流れるCMを指します。
スポットCMとは異なり、半年以上の長い間同じ時間帯にテレビでCMが流れるため、ブランディングに最適、知名度向上につながるなどのメリットがあります。一方で、スポットCMと比べて多くの費用がかかる点はデメリットといえるでしょう。
今回の記事ではタイムCMの料金相場や料金変動の条件、タイムCMに適した企業について解説します。この記事を読むことで、タイムCMを出すための料金相場やCM効果を高めるための番組の選び方がわかるようになりますので、参考にしてください。
目次
タイムCMとは
タイムCMとは、特定の番組スポンサーとなりその番組の放送中に流れるテレビ広告で「番組CM」とも呼ばれています。テレビ番組放送時「ご覧のスポンサーの提供でお送りします」と紹介されることも少なくありません。
タイムCMは放送エリアにより「ネットタイム」と「ローカルタイム」に分けられます。
ネットタイムとは、キー局で購入できます。全国の系列局で放送する番組を指し、その番組の流れる全ての系列局に流れるCMです。この枠を利用すると全国で商品やサービスのPRが可能です。
一方、ローカルタイムは各地方局などで購入できます。こちらは、その局の放送地域のみに流れます。放送範囲が狭いため、ネットタイムよりも安価な予算で利用可能です。
参考:データ・事例に見るテレビCMの広告効果|測定の方法・成功のポイント
タイムCMとスポットCMとの違い
タイムCMは番組のスポンサーとして、その番組の枠内に流れます。番組枠に放送するため、最低でも2クール(半年)期間からしか購入できません。
一方、スポットCMは番組枠を買い取らないため、さまざまな時間に放送されます。最低放送期間が1週間からとなっており、期間の短いキャンペーンや初めてのテレビCMに向いているスタイルといえるでしょう。
それぞれの違いは次のとおりです。
タイムCM | スポットCM | |
---|---|---|
予算 | 2クール固定 | 購入期間ごと(最低1週間~) |
主な最低放送期間 | 2クール(6か月) | 1週間 |
最低CM時間 | 30秒 | 15秒 |
放送エリア | 全国または各局 | 各局 |
主なメリット | 番組スポンサーとして紹介される | 短期間・低予算でCMが打てる |
参考:スポットCMとは?タイムCMとの違いや料金相場・バイイングの流れを解説
タイムCMのメリット
全国に向けて放送できる、番組の指定ができるなどの理由で、タイムCMを検討することもあるでしょう。タイムCMを選択するメリットとして、ブランディングや企業名の浸透などがあげられます。
ここでは、タイムCMの5つのメリットをみていきましょう。
ブランディングしやすい
タイムCMは特定の番組を指定できます。最低でも半年以上の枠を購入しなければいけません。長寿番組のスポンサーになれば何年にもわたり長期間放映し続けられます。
そのため、同じ番組を見続けている視聴者に向け長く届け続けることが可能です。また、その番組の視聴者層に向けブランディングしやすくなる点がメリットです。
企業名を視聴者に覚えてもらえる
タイムCMの場合、番組の最初と最後に番組提供のアナウンスやロゴ・社名の表示が可能です。そのため、視聴者に対し「この番組の提供企業」として覚えてもらえる可能性が高まります。
とくに好感度の高い人気番組のスポンサーになれば、好感度や知名度アップなどの高い効果が期待できるでしょう。
メッセージ性のあるCMが流せる
タイムCMの最低時間は30秒です。そのため、15秒のCMと比較した場合メッセージ性の高いものを放映できます。さらに、時間があるため商品内容などをより詳細に説明可能です。
長い時間を十分に利用し、自社商品や自社のイメージをアピールしましょう。
社内・系列企業へPRできる可能性がある
タイムCMを出している広告主の中には、提供番組を社員全員で必ず見ているという企業もあります。固定番組を提供していると、多くの社員に見るように促すことが可能です。そのため、社内や系列企業へのPR効果も期待できます。
1社で独占すれば強烈なアピールになる
タイムCMには、複数の企業で共同提供している番組と、1社で独占している1社提供があります。
1社提供の場合、社名や商品名を番組の冠タイトルにしている番組もあります。また、長期間1社で提供すると「あえて番組の間にCMを挟まない」「番組中に自社の商品を使う」など特徴的で印象に残る番組を作成できる点も強みと言えるでしょう。
番組を1社で独占すると、さまざまな観点から強いアピールにつながります。
タイムCMのデメリット
メリットの多いタイムCMですが、費用が高額になりやすい、番組の視聴者層が限られるなどのデメリットもあります。ここでは、デメリットについてみていきましょう。
ターゲットが狭まる
テレビ番組は時間・曜日・内容が程度限定されているため、視聴者層が限定されがちです。そのため、タイムCMだけでは幅広い層にCMを視聴してもらうのは困難といえるでしょう。
タイムCMだけでは、幅広い層へのリーチは難しいという点を把握しておきましょう。
料金が高額になりやすい
タイムCMは少なくとも6か月にわたる契約が必要です。また、CMの最短時間も30秒からとなっています。そのため、最短1週間・最短CM時間15秒からの契約が可能であるスポットCMと比較すると、料金は高額になります。
参考:テレビCMの費用(料金)はいくらかかるのか?費用対効果についても解説
先に枠を取られる可能性がある
タイムCMには限られた枠しかありません。そのため、他社が先に契約をしてしまった場合、自社で枠が取れない可能性があります。
また、既に競合企業が提供している場合、同じ番組の提供が出来ないことも少なくありません。例えば、ある番組スポンサーとして自動車会社が入っている場合、他の自動車会社が同じ番組にCMを提供することはほとんどないといえるでしょう。
タイムCMの料金
スポットCMと比較した場合、高額になることの多いタイムCMです。具体的にどのくらいか気になる人も多いでしょう。ここでは、料金相場と料金の変動条件についてみていきます。
料金相場
料金相場は、番組の人気度や放送時間帯などによって決まります。
全国規模の場合は数千万から数億円単位になることも少なくありません。ローカルの場合、広域圏(関東・関西・中京)は数百万円単位となります。
なお、全てのCM枠が高額というわけではありません。テレビ局や番組によっては30万円〜50万円ほどで買える場合もあるため、まずはどこの放送局でCM放映したいのか検討してみましょう。
料金の変動条件
タイムCMの場合、さまざまな条件で料金が変動します。そのため、どの時間帯のどの番組を選択するのかは料金に大きな影響を与えるため注意しましょう。主な料金変動の条件は、次の4つです。
- タイムランク
- 視聴率
- 放送エリア
- 提供表示
それぞれについて詳しくみていきましょう。
タイムランク
タイムCMの料金は放送時間帯で大きく異なり、この料金ランクを「タイムランク」といいます。放送局によっても違いはありますが、ここでは一例をみていきましょう。(朝4時~翌26時表記)
- A:平日・土曜19~21時台、日曜18~21時台
- 特B:平日・土曜12~13時台、18時台、22~23時台、日曜12~17時台、22時台
- B:平日8時台、14~15時台、17時台、24~25時台、土曜14~17時台、24~25時台、日曜23~25時台
- C:平日:4~7時台、9~11時台、16時台、26時台、土曜・日曜4~11時台、26時台
ゴールデンタイムと言われるAが最も高く、Cに近づくに従い料金は下がります。
番組の視聴率
CM放映費用は視聴率に比例します。そのため、視聴率の高い人気番組でCMを出すと、料金は高くなります。
タイムCMを検討する際は、視聴率の確認が欠かせません。
参考:個人視聴率とは?世帯視聴率の違いやCM出稿時の3つのポイントを解説
放送エリア
キー局でネットタイム枠を購入し、全国に放映した場合と、地方局でローカルタイム枠を購入し、限定された地方にだけ流す場合とでは料金は大きく異なります。
全国に向けて放映する方が、料金は高くなります。自社の規模やターゲットなどに応じ、どの放送エリアが適しているのか、検討してみましょう。
提供表示
番組の前後に「情報提供」表示の有無でも、料金は異なります。提供表示や提供アナウンスのコメント内容も、提供秒数により異なるため注意が必要です。
タイムCMを利用すべき企業
タイムCMは、自社商品をブランディングし、広く名前を浸透させたい企業に向いているといえます。
タイムCMは最低でも2クール(半年間)からしか出稿できません。そのため、利用すべきかどうか迷う企業も多いでしょう。
タイムCMを利用する良さは、特定の番組内で放送されるという点です。
長期にわたり放送されるため、企業やサービスの認知度・好感度アップにつながります。
たとえば、化粧品メーカーや食品メーカーなど新製品を頻繁に出す企業の売、同じ時間にCMを流し、新製品をアピールし続けることで、視聴者からの認知度・好感度を獲得しやすいと言えるでしょう。
BtoBサービスを提供する企業の場合、会社に対する知名度を上げたいことも多いでしょう。タイムCMは毎週決まった時間帯に繰り返し放送されるため、知名度向上が期待できます。
参考:ブランド戦略とは?4つの成功事例から見る共通点と戦略の立て方
タイムCMのバイイングの流れ
CM放送枠を購入することをバイイングといいます。
バイイングの流れは次のとおりです。
- 番組を選択する
- 契約期間を設定(最短6か月)
- CMの購入秒数を決める
- 提供情報の有無を決める
まず、CMを流したい番組を選択します。番組の放送時間や放送エリアはもちろん、視聴層が自社のターゲットとマッチしているのか、番組イメージと自社のイメージに相違ないかなど多角的な検討が必要です。
契約期間の決定が必要です。最短6か月からとなる点は把握しておきましょう。
次にCMの購入秒数を決めましょう。情報提供の有無も選択できます。
提供表示の有無により金額が異なりますが、提供表示でどのようにナレーションが入るのかは、秒数により左右されます。
一般的な秒数、表記とナレーションの関係は次のとおりです。
- 30秒:「ご覧のスポンサーの提供でお送りします」
- 60秒:ナレーションに社名がはいる
- 90秒:ナレーションにキャッチフレーズと社名がはいる。
なお、タイムCMは放送の2ヶ月前には放送枠を確定しなければなりません。既に枠が売り切れていたら購入できないため、CM放映を希望する場合は、早めの行動が必要です。
CM効果が高い番組選びのポイント
タイムCMの効果は、番組選びに左右されます。CMを出す際、どの時間帯のどの番組を選択するかは重要な点です。ここでは、CM効果が高まる番組選びのポイントについてみていきましょう。
ターゲット層を絞る
対象となるターゲットに訴求できるCMを出すためには、ターゲット層を絞りましょう。
番組本編を楽しんでいる視聴者が、その流れで内容が関連したテレビCMを見ると商品に対する興味が高まります。
例えば、グルメ番組の途中で流れるビールや食品のCMなどがこれに該当します。最近では、ドラマ出演者がドラマ内の役柄そのままで、CMに出演することも少なくありません。
旅行会社であれば旅番組、飲食会社であればグルメ番組などと相性がよいことがわかっています。自社のターゲット層が掴み切れない場合、競合他社がどの時間帯の番組にCMを出しているのか調査・分析してみましょう。
このような演出により、視聴者はより商品に興味を惹きつけられます。
この手法は、番組本編を楽しんでいる視聴者にしか刺さらないため、広い効果を求めるのは困難です。
自社のターゲット層を見極め、コアな層にアプローチしたい場合はこのような手法を用いましょう。訴求対象ターゲットが視聴する番組を選定することで、より高い効果が見込めます。
そのためには、ターゲットのプロファイリングが欠かせません。性年代・ライフスタイル・居住エリア・志向性・購買行動などなるべく詳細に調査しましょう。
コスパのよいエリアに費用を割く
CMの費用対効果を高めるためには、予算配分や出稿量をもとにどのエリアにCMを流すべきか調べておきましょう。
タイムCMは、全国放送と地方放送とが選択できます。自社との相性によっては、全国均一で出稿するよりも、費用対効果の良いエリアに多くの予算を割くと大きな効果が得られる場合があります。
予算配分や出稿量の調整により、最適化と効果最大化が図れるため、自社にとってコスパのよいエリアがどこになるのか詳しく分析してみましょう。
例えば、地方に根付いた企業であれば、自社が最も力を入れている地方局でCMを流し、効果を確認します。その後、力を入れたい地域を増やす場合はテレビCMを流す地域も広げていくと良いでしょう。
市場規模に合わせて選択する
広告の効果を最大限にするためには、自社商品の分析が欠かせません。自社商品のターゲット属性とあわせて、市場規模の把握が必要です。
自社商品のターゲット規模が広いのか狭いのか、年齢層や性別、趣味・好みなどターゲット属性に偏りはあるのか、といったことを正確に把握したうえで、それにあったテレビ番組を選択すると大きな効果が期待できます。
市場規模を知るには、官公庁のデータや民間のデータを活用するとよいでしょう。自社商品が業界の中でどのくらいの規模を占めているかを知る計算式は次のとおりです。
まとめ
タイムCMとは、特定の番組放映中に放送されるテレビCMです。
スポットCMと比較した場合、費用は高めの傾向ですが、自社のブランディングや知名度アップに適しています。時間帯や視聴率、放送エリアにより料金は大きく左右されるのが特徴です。
競合他社と同じ番組にCMを出せない場合があります。また、タイムCMの枠は限られているため、早めの行動が欠かせません。
タイムCMを放映する際は、自社商品のターゲットや広告の目的などにあった番組を選択しましょう。
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